コンビニTANUKIの商品開発は時に無茶ぶりを上から要求されるし…
あれをしろこれをしろみたいな事務所内での決まりならまだ良いし…
開発に置ける何々の材料を使って売れる商品を出せ…これが一番言われる事であり、そして一番の難題だし…
流行りものに乗っかって類似商品を作るならまだ簡単だし…パイの取り合いになるけどこれが塩梅と言える売上は出せるし…

だけど今まで一度も使ったことのない、もしくは使ったけど商品を出せるほどじゃなかったものとなると途端に難易度は跳ね上がるし…
良い子の諸君には覚えてほしいし…使ったけど商品に出せない材料は根本的に材料として使えないかコストと味諸々が見合わない代物だと言うことをし…
目の前には大量のたぬきのサナギが置かれてるし…雑に収納されてるせいか隣り合ったサナギ同士が触れるとぐにんぐにん動くし…キモいし…

「サナギの殻を捨てずに新商品…どうしろとし…」

たぬ食の商品を多く出してきたけどこればっかりはお手上げだし…
何せ見た目は虫のサナギそのものだし…キモいし…
中身はドロドロの再構成する前のたぬきの液体だし…これもキモいし…
そして何より越冬をしたり野生の動物を避けるための形態だから殻も食えたもんじゃない味だし…
前にたぬきの液体を使ってホットケーキにした商品を出したけど殻ごと…どうしたもんかし…

「先輩…お昼ご飯作るのにキッチン使わせてもらっていいですし…？」
「え？ああ…ちゃんと掃除するなら別に良いし…」

後輩の開発たぬきはこっちも悩みも知らずにマイペースにキッチンを使い始めてるし…
どうやら魚焼きに使うグリルで餅を焼いてるみたいだし…
アルミホイルに餅を乗せて何度かひっくり返して軽い焦げ目が付くまで焼き上げればぷっくりと膨らんだ焼き餅の完成し…
うーむ、美味そうし…私も何か食べに…

「今頭に電流が走ったし…思いついたが行動しぃぃぃ！」
「先輩！？…行っちゃったし…」

営業たぬき経由でサナギの状態に詳しいたぬきを探し出して今こそ革命を起こすし…
まずはサナギの中から羽化直前の代物を選ぶし…
サナギは普通に焼いても中身のドロドロとした液体がただ固まるだけで普通のたぬき肉と変わらんし…
だから羽化直前の少し体が固まった状態が望ましいし…
そして次にサナギから羽化した際に頭の位置になるであろう部分にちょっと傷と付けておくし…
続けて水で溶いた小麦粉をヘラで丁寧にコーティングするし…
これ自体は調理に関係はないけど単純に虫っぽいサナギの見た目を消すためだし…
それでもぐにんぐにん動くからキモいし…やっぱこれ無理かもしれんし…

「諦めたらそこで試合終了だし…」

白く染め上げたサナギを後輩たぬきが餅を焼いていたようにアルミホイルの上で焼いていくし…
普通に焼いたならその熱で中身の液体は固まってそのままだし…
でも羽化直前という半端な肉体が出来上がった状態で餅を焼くようにじっくりと焼く工程が為されれば…直前に傷を入れた場所からパキパキと音が鳴って羽化が始まるし！
そこから形成し終えて羽化するたぬきの顔が産まれてくるし…おはようし…

「たぁ…たぁう…？」

でも半端な形成ということは半端な肉体以外に他ならないし…
本来はチビがサナギになって羽化すれば成体にもなるのにその顔はチビみたいに丸々と幼い顔つきだし…
しかも目も口も位置がバラバラで福笑いみたいだし…笑えるし…
これは…正月に売れそうな感じがするし…

「たう？たぅうぅ！ぅぅうう！？」

まともに口も使えないから何言ってるかわからんし…
とりあえずこのまま熱を通して更に焼いていくし…

「だう"う"ぅぅ！！だうっ！たうぬううう！！？」

熱が伝わってサナギの温度がどんどん上がっていくし…
それに比例してサナギたぬきの声もどんどん断末魔も鮮明になるし…
形成していたのは頭を優先されるからかそれ以降から這い出る気配もないし…そしてそれこそが狙い目だし…
逃げ場のない未形成の肉体は熱から逃れようと外に出ようとするし…
つまりすでに飛び出ている頭のほうにどんどん液体が流れてサナギたぬきの頭はぷっくりと膨らんでいくし…

「……！？…！たっ！！……うぅ……ﾀｩｰﾀｩｰ…」

それはまるで餅のように膨らんで、そして香ばしい香りが辺りを漂わせてくるし…
爪楊枝でぷすりと刺せばさっきまで膨らみに膨らんだ頭はしゅるしゅると萎んでいくし…

「…モチモチが一点に集まって餅そのものだし…結構行けるし…！」

味自体はたぬき肉だけど食感はモチモチを超えて餅に近いものになってるし…
醤油を付けたり海苔を巻いて食べるとかなり行けるかもしれんし…
何よりもサナギの殻ごと売れるのと福笑い要素があることだし…
正月に向けての新商品…思わぬところで誕生してまったし…

というわけで正月の限定販売として冷凍サナギ餅がコンビニTANUKIで売るようになったし…
売れ行きは…まぁ上々と言えずともそれなりだし…やっぱりサナギの見た目は色だけじゃ誤魔化せんし…
それでも普段味わったことのない味や見た目に口コミも増えてるようだし…
とはいえサナギの殻そのものはまだ商品に使えないままだし…まだ悩みの種が残っているけどどうしたもんかし…