『たぬショタ夏休み』


0.

あれは確か……小学6年の夏休みだったはずだ。
そこそこ田舎の方にある、父方の祖父母の家に帰省していた時の話である。


1.

あの時の私は、とにかくセックスということをしてみたかった。
オナニーすらしたことがない、純粋……というよりは無知な少年だった。
そんな少年が保健体育の授業で性知識を教え込まれてしまったのだ。
興味を持つな、という方が無理な話だろう。

授業では「セックスすると子供ができる」ということ程度しか教えられなかった。
先生に質問しても「君たちにはまだ早いから知らなくていい」といなされるだけだった。
その「いかにも何かを隠しています」的な態度が、却って私の好奇心を刺激したのだ。

まずは図書室に行ってみたものの、セックスのことをはっきりと説明している本は無かった。
「君たちにはまだ早い」という先生の言葉の意味を無理やり分からされた気分になった。
（補足しておくと、スマホ等はまだ普及していなかった頃の話である。）

仕方ないので近所の図書館に行ってみると、セックスについての本は大量にあった。
それらはまさしく未知の世界であった。
「ペニスをヴァギナに挿入して……」、「気持ちよくなると精液を放出し……」……
知らない単語が続々と現れたせいで、頭が破裂するかと思ったのを鮮明に覚えている。


2.

そんなわけで、すっかり私はエロガキと化してしまった。
……と、言い切っていいのか分からない状態で帰省が始まった。
なんせこの時に至っても、まだオナニーはおろか射精すらしたことが無いのだ。
エロガキよりは耳年増の方が近いように思える。
（余談だが、耳年増は女性限定らしい。）

適当に祖父母に挨拶を済ませると、私はすぐさま裏山に向かった。
祖父母とは年に2回程度しか会わないので、正直なところ愛着が無かったのだ。
なんとも薄情だが子供なんてそんなものだろう。

裏山に向かった目的……それはたぬきである。
地元では野良たぬきは駆除の対象なので、野良たぬきなんて全く見かけないのだ。
ペットショップや動物園と縁遠かったのもあり、たぬきを見る機会は帰省の時だけだ。

期待通り、裏山には野良たぬきが大量にいた。
多いところだと、石を投げれば必ずたぬきに当たると言っても過言ではない程にいる。
餌が豊富、天敵がいない、その他諸々の影響でたぬき達の楽園となっているらしい。

普段通りなら「ボクも混ぜて！」という感じで適当に遊んでいた。
この山のたぬきは警戒心というものが皆無らしく、一瞬で輪に入ることができるのである。
それどころか「ちびとモチモチしてし…人間に慣れさせておきたいし…」と誘ってくることさえある。

しかし、今日はそういう気分ではなかった。
内なるエロガキの自分が語りかけてくるのだ。
「たぬきとならセックスできるんじゃない？」と……


3.

たぬきとのセックスは、その時の私にとっては理にかなっていた。
「好きな人とセックスしましょう。ただし、家族としてはいけません。」
読んだ本には、そういうことが決まって書いてあったからだ。

たぬきは好きなので問題ない。たぬきは家族ではないので問題ない。
論理的には間違ってないが、それ以外の悉くが間違っている思考回路である。

大勢の目の前でセックスするのは恥ずかしい気がする。
そんな感情は何故か持ち合わせていたので、群れから離れているたぬきを誘うことにした。
都合のいいことに、子たぬきを寝かしつけている一匹のたぬきが近くにいた。

「ねぇ、一緒にセックスしてくれない？」
「せっくす……ってなんなんだし…？」

あまりにも迂闊だった。
たぬきは基本的に木から生まれる意味不明な生物なのだ。
セックスを知っているわけがない。

「一言で言えば子作りのこと……で合ってるはず。」
「子作り……ｷｭｰ！ちびを増やせるなら大歓迎だし…どうすればいいし…？」

一瞬で許可が取れたせいで、逆に少し困惑してしまった。
関係ないが、たぬきの感動詞って「ｷｭｰ！」なんだなと思った。


4.

そうして、不確かな知識を教えながらという、なんともあやふやなセックスが始まった。

「えーっと……まずはペニス、おちんちんを」
「ちょっと待つし…まずそのおちんちんが何か分からないし…」

初手でいきなり躓いた。一応まだ想定の範囲内だ。

「おちんちんは男性の股間についてるやつで……見せた方が早いな……」
「なるほどだし…たぬまんの代わりにおちんちんがついてるんだし…」
「たぬまん!?……名前の響き的にマンコのことか？」

認識や語彙の違いを少しずつすり合わせ……

「うん、確かにマンコだ。本で見たのよりツルツルしてて綺麗……だと思う。多分。」
「褒められるのは素直に嬉しいし…それで次は何すればいいし…？」
「マンコにおちんちんを入れて、それで……その辺はよく分からないかも。」

もう少しでセックスというところで、本格的に知識不足が露呈してしまった。
実際、「どのようにセックスすればいいか？」ということは本に書かれていなかった。
射精すればいいらしいが、そこに至るまでのプロセスが省略されているのだ。

「とにかくやってみよう！このままだと入れづらいから持ち上げてもいいかな？」
「いいし…優しく持ってし…」

当たり前のことだが、たぬきとの身長差は凄まじい。
この時でさえ1メートルの差は余裕であったはずだ。
駅弁のような体位になったことは必然と言えるだろう。

「それじゃあ入れるね……」
「………………入ったし…？」

幸か不幸か、私はとんでもない短小だった。
大人になった今でも親指程度あるかどうか、と言えば短さが分かってもらえるはずだ。
短小すぎるおかげですんなりと挿入できたので、この時に限っては幸運である。

「腰を動かしておちんちんを気持ちよくすればいい……はず？」
「これ本当におちんちん入ってるし…？」
「あっ、なんか出る！」

私はひどい早漏でもあったのだ。
文字通り三擦り半で射精してしまったと記憶している。
決してたぬきの膣内が気持ち良かったわけではない。

「もう終わりだし…？」
「多分そのはず……？」

こうして、初めてのセックスは釈然としないまま一瞬で終わった。


5.

「それでいつ頃ちびが増えるんだし…？」
「人間だったら約十ヶ月らしいけど……たぬきの場合は分かんないや。」
「まあ気長に待つし…それじゃあバイバイし…」
「うん、バイバイ！」

事後の余韻など一切無く、私達はあっさりと別れを告げあった。
見間違えでなければ、たぬきの腹が妊婦のようにポッコリと膨らんでいた気がする。
そういうものかとあの時は思っていたが、今にして思えば明らかにおかしい。

それからは何事もなく帰省が終わり、月日は流れ、次の帰省が始まった。
いつものように裏山に行こうとすると、祖父に止められてしまった。

「今は裏山に行ってはいかん！」
「どうして？」
「おまんこたぬきを自称しとる変なのが大量におる！汚らわしい！」

「私のせいではないか？」という嫌な予感がしたと同時に、「じゃあいいか」とも思った。
というのも、夏休みの後半でついにオナニーを覚えてしまったのだ。
正直に言えば、たぬきとのセックスよりもオナニーの方が何十倍も気持ちいい。

おまけに、性的に興奮してない時に浴びる性的言動の気持ち悪さも一緒に知ってしまった。
わざわざ「おまんこたぬき」などと名乗っているんだから、それはそれは卑猥なのだろう。
一体どんなたぬきなのかという好奇心よりも、何かしらへの恐怖心の方が圧倒的にあった。

「だったら家で大人しくしてようかな。」
「あぁ！その方がいい！そうだ、餅でも食うか？昨日ついたばかりだぞ！」
「お餅!?食べる！トッピングは餡子と、きな粉と、砂糖醬油と……」
「全部用意してあるぞ！いっぱい食え！」

これ以上はたぬきと関係ないので、この話はここでおしまいにしようと思う。
それにしても、あの餅は美味しかった……




















ex.

「過ぎ去りし…眩しい日差し…思い出し…ヒトちん恋し…このまんまんし…」
「良い唄だし…たぬまんが疼くし…まんまんし…」
「ﾏﾝﾏﾝﾁ…ﾏﾝﾏﾝﾁ…」
「セックスしてからちびが増えまくったし…あの男の子とまたヤりたいし…」
「まんぴかししてればいつか来てくれるし…まんまんピカピカにするし…」
「きっとそうだし…まんぴかし…まんぴかし…」

終