数日前から家の裏山から動物の鳴き声が五月蠅い
裏山は竹林で食べ物になるような物はたけのこか虫しか無く、動物も住み着いていなかったはずだ
しかも今は秋でたけのこの旬でも無い
人里に出た熊か何かじゃないかと不安になりながら鳴き声の主を探しているととんでもない物を見つけた

「人間さんだし…！助けて欲しいし…！」
「お腹空いたし…」
「ｷｭｰ!ｷｭｰ!」
「ｷｭ…」
「ﾀﾇｰｼ…」

なんと竹の根本にたぬきが十匹以上生えていたのだ
正しく言えばポップした、だろうか？
たけのこかキノコのように土から上半身を出してジタバタしている
上半身だけでなく数本たぬきの尻尾のようなものも見え、仲間の声に反応するかのように激しく振られている
竹からポップしたのかたけのこからポップしたのか分からないがたぬきだから食べれるだろう
今日のおかずを掘り起こすべくスコップを取りに家に戻った

～～～⏰～～～

「助かったし…ありがとうございましたし…」
「ｷｭ－♪」
「ｷｭｷｭｰ」

たけのこたぬきを掘り起こしたら二十五匹もいた
ただし一匹は雑に引っこ抜いた結果尻尾が千切れて逃走し、四匹は土の中にポップしたためか掘り起こした時には窒息死していた
大きさは一番大きい話せるたぬきは約10cm、他の話せないたぬきは約3～4cmで料理にほぼそのまま使えるサイズだ
裏山から自宅に戻り土落としと逃亡防止を兼ねてホースで水をぶっかける

「尻尾が…全身が濡れたし…」
「ｷｭｰﾝ…」
「ﾀﾇｰ…」

たぬきが大人しくなったので今のうちに灰汁抜きの準備を済ませる
たぬきは火を通せば食べられるがポップしたのがたけのこなので多分灰汁が出るだろう
無かったら茹でたぬきが出来上がるだけだ
大鍋に張った水に米ぬかと唐辛子を入れて水洗いしたたぬきを放り込み、蓋をしたあと火をつける

「何するし！溺れるし！」
「ﾀﾇｰ!?ﾀﾇｰ!?」
「ｷｭｯ…ｺﾞﾌﾞｯ…」

ちびたぬきが既に溺れかけてるが気にせず調理の準備を進める
まさかたけのこたぬきが採れるとは思わなかったのでたけのこを使う料理の材料なんて無い
たけのこご飯にしようにも米は切れてしまっているので消去法で煮物に決まった
そんな事を考えている内に鍋からたぬきの鳴き声が聞こえてきた

「熱っいし！やめてし！たぬきは何も悪いことしてないしいぃぃ！」
「ﾀﾞﾇｩｩｩｩｩ!!!!!!ﾀﾞﾇｩｩｩｩｩ!!!!!!」
「ﾎﾟｺﾎﾟｺﾎﾟｺ…」

たぬきが熱がり出したということは鍋の中身が沸騰したという事だ
火を弱火にしてあと一時間ほど放置する
相変わらずたぬきの鳴き声がやかましいが灰汁抜きが終わる頃には静かになっているだろう

～～～⏰～～～

一時間後鍋の火を消すとたぬきは大人しくなっていた

「や、やっと助かるし…謝って欲しい…」
「ﾀﾞﾇ"ｰ…」
「ｷﾞｭｰ…ｱ…ﾂ…ﾀﾇｽ!」
「ちび…！？ちびが死んだしいぃぃぃ！」

前言撤回まだ全然元気だった
熱湯で一時間茹でられても生きているなんてとんでもない生命力だ
さすかにちびたぬきは死んでるか死体のように鍋の中を漂っているだけだが話せるたぬきは他を気遣う元気がある
灰汁が出たたぬきを別の鍋に移し水と顆粒出汁としょうゆを入れて煮る

「また熱いのだし！たぬきに何の罪があるんだし…人間は何も思わないし…？」
「ﾀﾞﾇ"…」
「ｷﾞｭｰ…」

ひと煮立ちさせる間に鍋からﾀﾇｽﾀﾇｽとちびたぬきの断末魔が聞こえる
大きいたぬきも他のたぬきが全員死んだことが分かったのか大人しくなった
あとは落とし蓋をして15分煮るだけだ
・
・
・

「ｷﾞｭ…ﾀﾞﾇ"…」

15分後、子たぬきがもぞもぞ動いているが煮物が完成した
一時間半煮られて死ねないというのもたぬきの生命力の高さによる弊害だろう
こいつだけ火が通っているか不安なので適当に右腕を包丁で切って味見してみる

「ﾀﾞﾇ"ｯ!?…ｷﾞｭｲｯ…」

たぬき肉のはんぺんみたいな柔らかさとたけのこの固さが合わさった結果たけのこ風味の砂肝みたいな食感だった
火もしっかり通ってて不味くはないが違和感がすごい
少しなら食べられるが大皿一杯にたぬき二十匹分なので明らかに食べ切れない
近所の人に分ければいいか…

「ｷﾞｭ……し……死…ね……タヌス！！」

最後のたぬきの断末魔を聞きつつ小皿とラップを探す
近所の人もタダで貰った物なので喜んで食べてくれるだろう

おしまい


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人間
竹林がある山を所有している田舎住みの人間
たぬ食は好きでも嫌いでもない
たぬきは所詮動物なので人語を解しても鳴き声としか思っていない

たけのこたぬき
竹の根元にたけのこのようにポップしたたぬき
数が多く灰汁があって他の動物も食べたがらないので他の動物が多い竹林にポップすればワンチャンあった
たけのこを調理できる人間に出会ったのが運の尽き





おまけ

「ﾀﾞﾇ"ｰ!?ｷﾞｭｰ!!」

たけのこたぬきを見つけてからしばしば竹の根元にたぬきが埋まってポップするようになった
しかもたけのこの旬である春ではなく夏から秋にかけてだ
煮物にするには味と食感がイマイチだったが焼肉にすると美味しかったのでちょくちょく様子を見て収穫していた
リポップ祈願として食べられないたけのこに子たぬきを百舌鳥の早贄のように突き刺しているおかげで毎年ポップしている
たぬきを刺す作業をしていると刺している子たぬき以外のたぬきの鳴き声が聞こえた

「ヴッフ…タヌー…！」

声の方に目を向けると一匹の様子のおかしいたぬきがこちらを威嚇していた
大きさは成体たぬきほどで普通のたぬきと違い四足歩行をしていて尻尾が無い
さらに人語を放さずたぬきもどきのような鳴き声しか出さない
もしかして最初にたけのこたぬきを見つけた時に尻尾を抜いてしまって逃げたたぬきだろうか
昔の事を思い出しているとたぬきがこちらに突撃してきた

「ギャイー！！！」

…が速度が遅いうえに尻尾が無いためかフラフラしている
他の野生動物だったり普通の成体たぬきだったら警戒していたが人間の赤ん坊の全力のハイハイ程度の速さで来られても余裕で迎撃出来る
手に持っていたスコップで頭を突くとたぬきはひっくり返ってジタバタし始めた

「ｷﾞｬｳｯ!?ダヌーーーーー！！」

成体たぬきは肉は解体する必要がある上臭みが強くて好まれない
このたぬきがあの逃げたたぬきならもう寿命が近いだろう
老衰寸前でストレス一杯に育ったたぬきの肉など食べれた物ではない
次ポップするたぬきの材料となってもらおう
早速ジタバタしているたぬきの四肢を根元からスコップで切り周囲のたけのこに突き刺す

「ﾀﾞﾇｩｩｩｩｩ!?」

達磨のようになったたぬきを抱えて持ち上げ、手頃な長さのたけのこに突き刺す
尻尾が無くて寂しかっただろうからたけのこを新たな尻尾に見立てて尻尾があった所に刺さるようにたぬきを降ろす

「ｷﾞｬｲｯ!?…ﾎﾟｺｰ…ﾎﾟｺｰ…」

たけのこに刺したらたぬきが大人しくなった
やはり尻尾が無いことが原因で暴れていたのだろうか
まあ合ってても違ってもこのたぬきは次にポップするたぬきのためにションボリを絞り出して死ぬんだが
想定外の事態があったがたぬきを刺し終わったので家に帰る
今年はたぬきを多く刺したから来年は多分たぬきが沢山ポップしてくれるだろう

おまけおしまい

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尻尾を抜かれたたぬき
人間が土から引っこ抜く時尻尾を持って力一杯引っ張ったため尻尾が抜けたたぬき
痛みから発狂して逃走し山の中で虫やポップしたちびたぬきを食べて生きていたため半分もどき化している
自分の尻尾を抜いた人間を恨み襲い掛かったが武器を持たないたぬきが人間を傷つけられる訳が無い
尻尾の抜けた傷口にたけのこを刺されてションボリを放出しながら苦しんで死んだ
次の年はたぬきが例年の倍ポップした

竹
最初はただの竹だったが人間がたぬきをたけのこに刺してションボリを出しまくっているためたぬ木になってしまった
生えるたけのこの半分以上にちびたぬきがポップしているが地面の中にポップしたたぬきが生きられるはずもなく運よく浅い所にポップしたたぬきしか生き残れない
