
とある一軒家
この家には若い男性一人とたぬき一匹が住んでいた
しかしそれとは別に壁の裏側に一匹の豆たぬきも住んでいた

男性はたぬきが大好きで豆たぬきを見つけても駆除したり追い払ったりすることなく放置している
飼いたぬきには「豆たぬきを見つけても駆除したり退治しないようにね。あの子は虫を追い払ったり小さなごみを掃除してくれているから」と言っていた
しかし飼いたぬきは自分以外のたぬきがかわいがられているのが面白くないので、豆たぬきを見つけては追っかけてちょっかいを掛けていた
尤も豆たぬきは余裕をもってのらりくらりと逃げているのだが…

そんなたぬきのちょっかいに対して豆たぬきは仕返しをしていた
「こら待つし！私のおやつを食べるなし！」
「今日はご飯の収穫が少なかったんだし…お前のおやつ多すぎるからちょっとよこせし！」
たぬきはドタドタと追っかけるも豆たぬきに翻弄されひぃひぃと疲弊してしまう
そんな光景をほほえましく見るのが飼い主の癒しの時間だった


そんなある日…
豆たぬきの住処の自身よりも一回り小さい籠が置いてあった
「コレなんだし…何か入っているし…家主さんのプレゼントかし？」
豆たぬきが籠の中身を見てみると…オムツを履いたちび豆たぬきが幸せそうにすやすやと寝ていた
首をかしげていると一緒に手紙が入っているのに気づいた

「なんだしこれ…ヘッタクソな字だし…教養の欠片もないし」
何とか読み解いていく
「えーっとし…」

『２週間育てても喋らないし飯だけは食うからこいつはもういらないちびだし。
　このできそこないちびを拾ったやつは責任もって育てろし。捨てたら許さないし。捨てるやつは最低だし…』

「捨てた奴が何言ってるんだし…親に恵まれなかったちびかし…」
親に捨てられたと露知らず幸せそうに寝ている豆ちびを抱きかかえた
「ｷｭ…ｷｭ…」
「ふふっ…かわいいもんだし…しょうがないから育ててあげるし」
ちび豆に頬をすり寄せてもちもちをしてあげた
「…♥」
豆ちびは寝ながらほっぺを吸ってきた
「ははは、よしよしし…」


豆ちびは喋れはしないものの歩く事は出来たので豆たぬきの後をとてとてくっ付いて歩いてきた
豆たぬきの住処で自由に遊ばせ、時にはもちもちして、飼いたぬきのおやつを与えたりと仲良く暮らした
そんな生活も１週間続いたが豆ちびは一向に喋らなかった
「うーん、偶にはこういうちびもいるし…辛抱強く育てるし！」


ある日、豆たぬきがいつも通り屋内を掃除し虫退治や飼いたぬきがボロボロこぼしたご飯やおやつの回収をしていた頃
留守番していた豆ちびは親である豆たぬきを待ちきれず豆の住居から屋内へ飛び出してしまった
本人、いや本たぬとしては冒険のつもりだったのだろう
さんざん豆たぬきに「この屋内には優しい人間さん入るけどでかいたぬきはケチで危険だし…勝手に歩いたら大変だし！」と言いつけられていたが退屈には勝てなかった

ﾄﾃﾄﾃ…
「ｷｭｰ…ｷｭ？」
思うままに歩いていると寝ている飼いたぬきと出会った
口の周りに今日のおやつであるショートケーキのクリームを頬っぺたにつけたままだらしない顔で寝ていた
生クリームの甘く良い香りに誘われた豆ちびは飼いたぬきについたクリームをペロペロ舐め始めた
「ｷｭｰ♥」
初体験の甘さに笑顔で喜んでいる
「ぶへへへ…くすぐったいしご主人…」
舐めとるクリームが無くなってしまいションボリした豆ちびだったが頬から香る甘い香り、そして親とは違う巨大なもちもちほっぺは美味しそうに見えたのだ

ガブリ！！！！

豆ちびは思うまま飼いたぬきの頬に齧りついてしまった
「ダヌー！！？痛いし！？なんでし！！？」
痛みのジタバタをし、噛みついていた豆ちびを弾き飛ばしてしまった
「ｷｭﾑ！」
「いたたたし…ってこいつなんだし！？いつもの豆とは違うし…あかちゃんだし」
裸にオムツだけという豆ちびの姿に飼いたぬきは驚いた

「ｷｭｰ…？」
「…ご主人はあの豆たぬきを追っかけるなとは言っていたけどこいつには言っていないし…しししっ！このちびでうっぷんを晴らしてやるし！」
「ｷｭｰ！？」
にししと笑った飼いたぬきは豆ちびを捕まえようともちもちした手を伸ばしてきた
捕まったらアブない本能的に理解した豆ちびはﾋﾟｭｰ！っと逃げた
「ああっ！待つし！逃げると許さないし！」

豆ちびを追っかけてあっちにぶつかりこっちにぶつかり、飼いたぬきは部屋を汚しながら豆ちびを追いかけ部屋の隅に追い詰めた
騒がしい様子に部屋をうろついていた豆たぬきも気づき
「なーにやってるしあいつ…ん？あれはちびだし！あいつ何やってるし！！」
慌ててちびのもとに駆け付けようと箪笥の上からわっせしわっせしと急いで降りる

しかしその間に
「しっしっし…ついに追い詰めたし」
ハエ叩きを片手ににやにやと迫る飼いたぬき
「ｷｭ…ｷｭｰ!!!」
恐怖のあまり豆ちびは尻尾を抱え後ろを向き丸まってしまった
さながら一人たぬき玉だ
「無駄だし…くらえし！！」
丸まっている豆ちびのお尻に向けハエ叩きを全力で振り下ろした

バチーーーン！！！
「ｷｭｷｭｰ!!!!」


「こらお前！何やってるし！」
豆たぬきが駆けつけた頃には豆ちびはお尻を抑え涙を流しながら苦悶の表情をして立っていた
「あわわわし…こ、これはし…」

慌てる飼いたぬきを無視し豆ちびのオムツを脱がしてみると…真っ赤に腫れあがった痛々しいお尻が出てきた
豆ちびは鳴き声も上げず涙をポロポロ流しお尻を抑えている
オムツを戻し豆ちびを抱きかかえもちもちする
「大丈夫かし…よしよしし…よしよしし…」
「……」

飼いたぬきはションボリ顔をしながら大量の脂汗を流していた
「(やべぇし…こんなところご主人に見つかったら)」
「全部見てたぞ」
「しぃいいいいい！？」
振り向くと鬼のような形相で飼いたぬきを見下ろす飼い主が居た
「ち、違うんだし！これはこの豆が」
「手に持っているハエ叩きで折檻するところを見てたんだぞ…」
「あ…あ…し」
「お前！豆たぬきと普通のたぬきでは体格差が違うんだぞ！しかも赤ちゃんの豆たぬきのお尻を思いっきり叩いて…！！」
「ご、ごめんなさ」

ゴスッ！！！

飼いたぬきが言い訳し始める前に飼い主のげんこつが振り下ろされた
「ダヌッ！？」
飼いたぬきは目を回しその場に倒れてしまった
しかもショックのあまり失禁までしていた


その後、飼い主は豆ちびに対するたぬきの暴力を謝罪し、豆たぬきは豆ちびの不始末を謝罪しながら豆ちびの看病をした
看病の甲斐あって豆ちびは元気を取り戻した

「ｷｭｰ…ﾏﾏｺﾞﾒﾝﾅｻｲﾀﾞｼ…」
「ああっ！ちびが喋ったし！」
「あららめでたい」
叩かれたショックと看病された安心感が刺激になったのか喋るようになった

「今後はちびから目を離さなければ大丈夫なので…はい、お祝いのケーキとご飯ですよ」
「これはこれは…ありがとうございますし」
「ｱﾘｶﾞﾄｼｰ!」
豆たぬきたちにお祝いを渡しつつ住処に戻っていく姿を見送っていった


「ふぅ…さてと」
飼い主は飼いたぬきが散らかした部屋や糞尿を掃除して、気絶しているたぬきを風呂で洗った
「ちびに噛みつかれたのは不幸だけど…お前も大人げなかったんだからな」
「…私が何したってんだしぃ…」
目を覚ましたたぬきはションボリしながら寝床に向かった…
罰としてご飯は抜きなのでお腹のたぬきがタヌータヌーうるさくてなかなか寝付けなかったとか


おわり



その後

・豆たち
喋られるようになり仲良く過ごしていった
ちびは豆子たぬきに成長したがまだ飼いたぬきが怖い様子
お尻を叩かれた恐怖はそう消えない

・飼いたぬき
いつも通り豆たぬきを追っかけては逃げられてションボリしている

・飼い主
いつも通りの光景を見て癒されている
虫が大嫌いなので虫取りをしてくれる豆たぬきに感謝している
何もしない飼いたぬきに対してはのんびり屋さんも可愛いと思っているので悪い印象は持っていない


・豆ちびを捨てた元親
豆ちびを突てた２日後、空腹でフラフラしている所をダンスを踊っている野良たぬきに踏まれ死んだ