なんとなくニュースサイトを覗いていると、めっちゃ世も末な感じの記事が目についた。
『たぬきを虐めてお金を稼ごう！』
どうせ過激なタイトルで釣ってPV数を稼ぐという、よくあるクソみたいな記事だと思う。
しかし、どうしても気になってしまう。1回見られた程度じゃ向こうに利益は無いだろうし釣られてみるか……
自分みたいなのが沢山いるから、こういうクソ記事って減らないんだろうな……

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たぬきを虐めてお金を稼ごう！

かわいさと憎たらしさでペットとして大人気のたぬき！
ですが、「顔がむかつく」「野良に家庭菜園を荒らされた」という感じで嫌われていることも事実！
そこで最近にわかに人気になりつつあるのが「たぬきいじめ動画」！
（※明確な名前がまだ無いので勝手に命名）

なんと、野良たぬきを駆除するだけの動画が50万再生を突破！
広告収益は1再生で0.1円以上と言われているので、最低でも5万円以上ゲット！
リンク：https://www.tanutube.com/watch?v=S1um3xte2mI

他にも『たぬきを生きたまま解剖してみた』や『うどんダンス中に蹴り飛ばしてみた』といった動画が大人気！
あなたもたぬきをいじめて小遣い稼ぎをしてみませんか？
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クソ記事かと思っていたが、文体はさておき割と真面目だった。
それよりも、たぬきを虐める動画が本当に流行っているのか……マジで世も末じゃないか？
そう思いつつも、金が稼げると聞いたせいで興味が湧いてきた。

どうせ相手は動物愛護法にすら保護されていないヘンテコ生物なのだ。
自分のストレス解消ついでに、たぬきいじめ動画を撮影してみよう！

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とりあえずペットショップで適当なたぬきを買ってきた。
「お迎えありがとうございますし…店では『うーちゃん』って呼ばれてたし…」
一番長く売れ残っていたたぬきだからか、なんとなく丁寧な感じだ。

「一番端っこのケージだったから、うどんダンスの『うっ♪』から取って『うーちゃん』だし…」
その命名規則だと、一番逆側のたぬきの名前は『きつね』にならないか？

「呼ばれ慣れてるっていうだけだから別にうーちゃん以外の名前でもいいし…」
なんか名付ける流れだが、わざわざ名前をつける気が無かったから全く思いつかない……
「う～ん……うーちゃんでいいかな。まぁとりあえずよろしく」
「こちらこそよろしくお願いしますし…」

こうも丁寧だと虐めるのが少し心苦しい……
そういえば、虐めてみようという気持ちだけ先行して、どう虐めるのか考えていなかった。
うどんダンスでも躍らせている間に考えるか？

「うーちゃん、とりあえずうどんダンス踊ってみてくれるかな？」
「わかったし…いくし…………きっつっね♪たっぬっき♪……」
よっぽど踊り慣れているのか動きにキレがある。特に足さばきが見事だ。
『つっきっみ♪』のところのジャンプが、たぬきにしてはとても高く跳べている。
……よし！思いついた！

「……うっ♪うっ♪…………いかがでしたし…」
「うん、凄く良かった！せっかくだから、お外で踊ってるところを撮影したいんだけど大丈夫？」
「了解だし…お外の方が多分いい感じに撮れるし…グッドアイデアだし…」
というわけで、撮影機材とその他諸々の道具を持って近所の公園へ向かった。

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「なんかここの地面ゴツゴツしてるし…ちょっと痛いし…」
この後やろうとしてることの為に、地面がアスファルトの公園にやって来た。
というか、この程度で痛がっていたら野良たぬきとして生きていけないだろうな……

「まぁ景色はいいし…良い動画が撮れそうだから頑張るし…」
うーちゃんがやる気を出してくれているので、さっそく撮影の下準備に取り掛かろうと思う。
とりあえずカバンの中からハサミを取り出しておいて……頭にウェアラブルカメラをつけて……

「撮影する前におめかしをしようか。ほら座って、足をこっちに向けて……」
「おめかし…もしかしてメイクだし？……嬉しいし…ずっと憧れてたし…」
一体どこで知識を仕入れたのだろうか？たぬきにしては割と語彙力あるな、うーちゃん。
尻尾をブンブンと振り回していてかわいい。切り落としたい。
だが今回の本題は別のところなのでグッと我慢しよう。うーちゃんだって我慢しているし。

「それじゃあ足切るね」
「ｷｭｰ!?今なんて言ったし…聞き間違いじゃないし…？」
「えいやっ」ｼﾞｮｷｯ
「ﾀﾞﾇ"ｯ！！………………いたいし…あし…」

モチモチしてるから刃が通りにくいかと思いきや、驚くほど簡単に両足が切れた。
例えるなら……そうだな……豆腐かな……それも、木綿ではなく絹ごしの方。
抵抗らしい抵抗なんて一切なく、スパッと切れてしまった。弱すぎないか？

「よし、準備完了！さぁ、踊って！」
「こいつ目がイってるし…断ったら何されるかわからないし…仕方ないから痛いけど踊るし…」
なんか一瞬で貶されまくったけれど、踊ってくれるらしいので結果オーライ！

「いくし…………ｷっ!?づぅ！ね"っ！たぁっ！ﾇ"っ！きっ！」
ステップを踏む度にうーちゃんの表情がコロコロと変わって楽しい。全て苦悶の表情だけど。
アスファルトが足裏の傷口に突き刺さっているのだろう。傷口というよりは、もはや断面だが。
どれほどの痛みか想像もしたくない。あんな状態にした張本人が言っても説得力がない気がするが。

「てんぶっるぁ！つっ！きっ！ﾐ°ｯ!!…………」
うーちゃんは『つっきっみ♪』の最後の大ジャンプを決め、着地した途端に動かなくなった。
顔からは変な汗がダラダラと溢れ、尻尾はピンと真上に張ったままピクリとも動かない。
いつの間にかうーちゃんの足元には血溜まりができていた。なんだか格好いい。
愉快な見た目なので、もう少しの間だけ静観を続けようと思う。

「……ｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞ……ｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞ……」
うーちゃんはなんかヤバそうな痙攣をし始めた。ほっぺがプルプルと揺れてかわいい。
とか言ってる場合ではなく、このままではうーちゃんが死んでしまう。
……まあいいか！

「ｼﾞｼﾞｼﾞｼﾞ……ﾀﾞﾇｯ！………………」
うーちゃんは一際大きくビクンと震え、そのまま電池が切れたかのように動かなくなってしまった。
「死んだかな……呼吸は……無い……心臓は……動いてない……よし、死亡確認！取れ高オッケー！」

たぬきの死体をそのままにしておくのはアレなので、持参しておいたゴミ袋に入れて持ち帰ることにした。
いい感じに血抜きできているから、多分たぬき料理に使えると思う。美味しいのだろうか？
念のため地面の血溜まりを洗い流してから家に帰った。

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動画を投稿してから数日後、なんと見事に10万再生を突破していた！
あんな動画が10万再生される世の中はなんか嫌だが、これで1万円ゲットだ！
惜しむらくはうーちゃんが既にこの世にいないことと、あまり美味しくなかったことぐらいだろう。

思い返せば、うーちゃんの肉はマジで美味しくなかった……
ほほ肉とモモ肉を軽く塩胡椒して焼いてみたけれど、モチモチというよりはモサモサだった。
味の方は良くも悪くも淡白な味わいで……旨い不味い以前に素材の味が全然無いのだ。
結局、衣をつけてカラリと揚げて、ソースで味をごまかしながら食べきった。
たぬき揚げって考えられた料理だったんだな……

そんなことを考えていると、TanuTubeからメールが届いた。
「なになに？『虐待要素を含む動画の収益化を停止することを決定しました（要約）』……？」
クソが……いや、常識的に考えて当前のことだけど……それはそれとしてクソが……

ムカついてきたので、この怒りをたぬきにぶつけよう！おまけに2本目の動画を撮ってしまおう！
お金は稼げなくとも再生回数で承認欲求を満たせるのだ！
「次は何させようかな……おろし金とほっぺたスリスリしてもらおうかな……」

完