害獣駆除ファイル2 「たぬきもどき」

害獣駆除を生業とする男は愛車である軽トラの荷台から籠罠を下して組み立てる作業を行っていた。
場所は住宅街の一角、住民達の憩いの場として設けられた小さな公園である。ここの町内会からの依頼を受け、近隣を徘徊するたぬきもどきを駆除するための準備を着々と整えていた。
「たぬきもどき」はたぬきの変異種である。
二足歩行を行うたぬきに対して、もどきは四足歩行を行う。
特徴的な緑色の洋服を模した毛皮はなくなり、代わりに茶色の分厚い毛皮が全身を覆うのだ。
そして肉体的には変異前よりも強靭なものとなり鋭い爪や牙が生え揃い、精神的には獣そのものとなる。
食性も雑食から肉食性へと固定され元同族であるたぬきを、その中でもとりわけ未成熟なちびたぬきを主な補食対象とする。
その上で食に窮すればペットや家畜を襲撃するようになるため、今回のように駆除の対象となることもある。

「これで最後だ」

持ち込んだ10個の籠罠が全て組上がった。後はここにもどきを誘引するための餌を入れて設置すれば準備は完了である。
男は荷台に積んであったクーラーボックスを下ろすと、蓋を開けて中を覗き込んだ。

「ｷｭ?」

中にいたのはたぬき玉を形成している10匹のちびたぬきである。 
今回の依頼を受けるに当たってもどきに対する強力な誘引能力を持つちびたぬきを活き餌として生け捕りにしておいたのだ。
暗いクーラーボックスが蓋を開けられて急に明るくなったので、もちもちとした手で眩しさに目をごしごしと擦っている。
男はそれに手を伸ばし、むんずと掴んでたぬき玉から一匹だけ引き離した。

「ｷｭｰ!?」
「ｷｭﾜｰ!?」
「ｷｭｩ...ｷｭｩ...」

引き離されたちびたぬきはじたばたと暴れる。
残りのちびたぬき達は連れ去られた姉妹を取り戻そうとしているのか必死に立ち上がっているが、二足歩行も満足に出来ない未成熟な身体であるためクーラーボックスから出ることも出来ずに無力にじたばたを繰り返すしかなかった。

「ｷｭｩｩ！ｷﾞｭｩｩｩ!?ｷﾞｭｯ!?...ﾀﾇｰ...ﾀﾇｰ...」

暴れるちびたぬきを男は軽く握り締めた。
もちもちの肌のお陰で打撃にはめっぽう強いたぬきであるが、圧力や刺突については例外である。
死なない程度に加減はしているがちびたぬきにとっては地獄の苦しみであっただろう。悲鳴を上げるとぐったりとして媚びるような鳴き声しか出さなくなった。
抵抗がなくなったことを確認すると、男はちびたぬきを籠罠の中に放り込んだ。
この籠罠は蓋が籠の内側に開く仕組みとなっている。入る際は蓋を押し開けてならば入れるが内側からは開かない作りになっているのだ。その中にちびたぬきは放り込まれた。
そして全く同じ作業を男はあと９回繰り返したのだ。

「ｷﾞｭｯ!?ｷｭｩｩｩﾝ...」
「ﾀﾇｰ...ﾀﾇｰ...」

男の手がクーラーボックスに伸びる度、たぬき玉は削り取られていった。
残されたちびたぬき達からすれば、抗えない大きな手が入ってくる度に姉妹が連れ去られ悲鳴が聞こえてくるのである。
その恐怖は尋常なものではなく、失禁や脱糞は避けられずクーラーボックスの内部は瞬く間に汚物で満ちた。
しかしそれすらも男の計算通りの出来事である。
たぬきの糞尿の匂いもまた、もどきをおびき寄せる誘引材として機能するのだ。

「ｷｭ...」

最後に残されたちびたぬきは糞尿にまみれながら自身の尻尾を抱いて踞っていた。たぬき玉をつくるための姉妹がいないちびたぬきが寝る際や防御体制を取ろうとしているときにこうなる。
男はその尻尾をつまみ上げた。逆さ釣りのちびたぬきが弱々しくじたばたと動いている。
そのまま籠罠に放り込み地面に置く。

「ｷﾞｭｯ!...！ｷｭｩｩｩﾝ！ｷｭｩｩｩﾝ！」

地面に置かれた衝撃で一瞬目を回したちびたぬきであったが、周りを見回すと同じように籠罠に入れられた姉妹を発見する。
合流しようと必死に籠罠の格子に身体を押し付けるが、目を細かく作ってあるためたぬきのもちもち肌に格子状の跡がつくだけで終わる。それでも諦めきれずに手だけ出して姉妹の方へと伸ばすが、直ぐに籠が持ち上げられてしまった。

「ｷｭｩｩ！ｷｭｩｩｩ！」
「ｷｭｰ!ｷｭｰ!」

姉妹に必死に呼び掛けるがそれでどうにか出来るはずもない。
男は籠罠を運び、公園をぐるりと囲むように籠罠を設置していく。
一定の間隔を空けて１０個の罠を設置し終えた男は住民達に挨拶をすると一先ず住宅地を後にした。
戻ってくるのは次の日の明け方の予定である。

「ｷｭｩｩｩｩﾝ!ｷｭｩｩｩｩﾝ!」
「ｷｭｩｩｩｩﾝ!」

一方のちびたぬき達は遠く引き離された姉妹達に必死に仲間に助けを求めるための鳴き声を出していた。
小さな身体のちびたぬきでも必死に声を張り上げれば両隣に配置された姉妹の声ならばギリギリ届く。
このようにして何とかお互いの存在を確認してあわよくば大人のたぬきが聞き付けて来てくれることを祈ることしかちびたぬき達には出来なかった。
そしてこれもまた男の作戦の内である。周囲に響くちびたぬきの鳴き声はたぬきもどきにとってはご馳走がそこにあることを報せるようなものだ。日の高い内は人間の住み処の近くには警戒して近づかないが夜になってからは違う。
そして太陽は徐々に地平線へと消えつつあった...



※


遂に夜がやって来た。
太陽は沈み月が登り、それに比例して気温もどんどん下がってくる。
未成熟故に体温調整がうまく出来ないちびたぬき達は、夜になればたぬき玉を作ってお互い暖めあいながら眠る。
しかし現状それが出来ないため、ちびたぬき達はそれぞれ自分の尻尾を抱いて僅かながらの暖を取りながら眠りに付こうとしていた。
そんな中、仲間を求める鳴き声が闇夜を切り裂いて一帯に響いた。

「ギュゥゥゥゥゥゥ！」

これまでよりもずっと大きな鳴き声である。
ちびたぬき達は確信した。大人のたぬきが声を聞き付けて助けには来てくれたのだと。そして自分の居場所を報せるために一斉に鳴き声を上げた。

「ｷｭｩｩｩｩﾝ!ｷｭｩｩｩﾝ!」
「ｷｭｩｩｩﾝ!ｷｭｩｩ...ｷｭ!?」
「ｸﾞｷﾞｭｯ!ｸﾞｯｼﾞｯｷﾞｭｫｫｫ!?」

だが...そんな助けを求める鳴き声に悲鳴が混じり始めた。
他の姉妹達に一体何が起こっているのかちびたぬきにはわからない。分からないから助けを求め続けるしかないのだ。

「ｷｭｩｩｩ...ｷｭ...」

やがて助けを求める声を出しているのは最後に籠罠に放り込まれたちびたぬきだけになった。
周囲からはもう姉妹達の鳴き声は聞こえてこない。
ことここに至り、ようやくこのちびたぬきは何かがおかしいことに気がついた。根拠があるわけではない、動物としての直感が危険を伝えていたのである。
ちびたぬきはゆっくりと籠の角に移動して縮こまった。
何故かそうすることが正しいように思えたのだ。
そのまましばらくちびたぬきは籠の角で震えていた。
時間にして５分にも満たない短期間であるが、ちびたぬきの脳内は完全に恐怖に支配されていたのである。
そしてそれはやって来た。
暗くてよく見えない闇の先、その暗がりの中から仲間のたぬきの声が聞こえてきたのである。

「ｷｭｰ...ｷｭｰ...ﾁﾞﾋﾞ...ﾄﾞｺﾞﾀﾞｼﾞ...」
「ｷｭｰ！」

ちびたぬきは跳ね起きて声のする方へと駆け寄った。
姉妹達も心配だったが一刻も早く大人のたぬきに見つけてもらいたかった。それほど怖かったのだ。

「ﾁﾞﾋﾞ...タヌー❤️タヌー❤️」

建物の影からそれは姿を現した。
毛むくじゃらの身体、四足歩行、たぬきの面影を残した顔...
たぬきもどきである。
たぬきもどきは随所にたぬきであった頃の要素を残しており、声帯もそのうちの一つである。
好物であるちびたぬきをおびき寄せるために、大人のたぬきとちびたぬきどちらの声もある程度真似することが出来る。
勿論警戒している大人たぬきならば聞き分けることは可能な粗末なものだ。しかし恐怖に駆られたちびたぬきはそもそもたぬきもどきの存在そのものを知らない個体だった。
じりじりとせまるもどきを大人たぬきと認識したのか声を張り上げて呼び掛けている。

「ｷｭｰ!ｷｭｰｷｭｰ!」
「ヴッフ...タヌー...」

たぬきもどきは籠罠の中のちびたぬきを見つけると決して急がない足取りでゆっくりとその前へとやって来た。
鼻をすんすんと鳴らして匂いを嗅ぎ、籠罠への侵入口を探している。

「ｷｭｯ!ｷｭ!」

ちびたぬきはそれを察したのか健気にも自分が放り込まれた籠罠の出入り口を小さく柔らかな手でぺちぺちと叩いて知らせた。

「タヌー...」

その様子をじっと見ていたもどきは出入り口について理解すると頭で押し開けていとも容易く籠罠の中にするりと入り込んだ。
がしゃりと音を立てて再び籠が閉まるが、もどきにとって今はそんなことはどうだって良いのだ。
目の前でｷｭｰｷｭｰと鳴く極上のご馳走を貪ることしか頭の中に無いのだ。

「ｷｭｯ?」

もどきはまず助けに来てくれたと思い喜んでよってきたちびたぬきを押し倒した。そして味見をするかのようにペロペロと全身を特にもちもちとしたほっぺたを舐めまわす。

「ｷｭｩｰ...ｷｭﾜｧｧ...」

ちびたぬきはくすぐったくなったのかいやいやするように軽くじたばたをした。
そして遊んでくれていると思ったのか、もどきのごわごわした顔へと手を伸ばしたぬき同士が親愛を確かめる際に行うほっぺたもちもちをしようとしたのである。
しかし次の瞬間にはもどきはその口を大きく開いた。
不揃いに生えた鋭い歯が月明かりを反射して不吉な光を放つ。
ちびたぬきが疑問を持つ暇もなく、もどきはその小さな足に食らい付いた。

「ｷﾞｭｯ!?ｷﾞｭﾜｧｧｧ!?」

柔らかい肉に牙を突き立て頭を乱暴に左右に振り回す。
ぶちぶちと千切れる音が響き、ちびたぬきの両足は簡単に食い千切られた。
もどきは狩りを行う時、このようにまずたぬきの逃げる手段を奪うため足や尻尾をよく狙う。
動きを封じて他のたぬきが逃げる前に次の獲物へと移るために確立した狩りのやり方なのだ。

「ｷﾞｭ…ｷﾞｭｱ...」
「ヴッフ...ヴッフ..」

傷口から大量の血が流れ出て、生命の香りがもどきの食欲をさらに掻き立てる。
ちびたぬきは足から登ってくる激痛に耐えかねてじたばたを繰り返すが、もどきはその振り回している手に噛みつくと木の枝を折るかのように気安くもぎ取った。

「ｷﾞｭｧｧｧ!ｷﾞｭｯ!ｷﾞｭｩｩｩ!」

両手両足を失ったちびたぬきは最早じたばたも出来ない。絶叫を上げ芋虫のように身体をのたくらせて逃げようとするが、もどきの鋭い爪の生えた前足が下半身をがっしりと押さえつけているのでそれすらも叶わなかった。
次にもどきはちびたぬきの洋服を模した毛皮を咥えると、強く引っ張ってそれを破り捨てた。
基本的に全身可食部であるちびたぬきだが、個体差で毛皮を食いたがらないもどきもいる。
このもどきもそのようで、柔らかな肌色の素肌を晒したちびたぬきの脇腹を味わうようにゆっくりと貪り始める。

「ｷﾞｬｧｧｧ!ｷﾞｬｧｧｧ!」

通常の生命体なら両手両足を食い千切られた時点で出血性ショックで絶命してもおかしくはない。
しかし、無駄にしぶとい生命力によってちびたぬきは脳や重要臓器に致命傷を負わない限りは死を許されないのだ。

「ｺﾌ...ｷｭ...」

ちびたぬきにはもう叫び声を上げる力すら残されてはいない。
悲鳴の代わりに血の塊を吐き出してもどきのされるがままだ。

「ヴッフッフ...」

もどきは組敷いたちびたぬきから抵抗らしい抵抗すら無くなったのを確認するとご満悦の様子でメインディッシュに手を付けた。
たぬきの身体の中で一番柔らかい部分、つまり頬である。 
牙を立てて食い千切ればまるで餅であるかのように頭一つ分ほどは肉が伸び、そしてぷちんとゴム紐が切れるように顔から引き剥がされた。

「ｷｭ......ﾏ...ﾏ...ﾀ...ﾃ...」

大量の血液と共に最後の言葉を吐き出したちびたぬきの頭ががっくりと項垂れる。
遂に出血多量によって死亡したのだ。
それを見たもどきは胴体を咥えると麺を啜るように全身をつるりと飲み込んでしまった。
後にはもうちびたぬきの流した血がこびりついた地面だけが残るだけである。

「タヌー...❤️」

極上のご馳走を味わい尽くしたもどきは踵を返して住み処へと帰ろうとした。
しかし籠罠は随分前に閉じられて罠としての役割をまっとうしている。
もどきは入ってきたときと同じように蓋を頭で押し開けて外に出ようとしたが、何度やっても固い鉄製の格子はびくともしなかった。

「タヌ...？」

もどきは何度も繰り返した。一度後退して助走を付けてから体当たりも試したが、籠罠がガシャガシャとやかましく鳴るだけでまったく開く気配がない。
これは不味いぞとさすがのもどきも考える。

「ヴッヴッ！ダヌッダヌッ！」

渾身の力を込めた体当たり爪や牙をでの破壊...
もどきが試みた脱出法方は全て失敗した。
冷たい鉄の格子は多少歯形や引っ掻き傷が付いただけでその役目を今も果たしている。

「タヌ...タヌ...クゥゥゥン...」

万策尽きたもどきは一縷の望みを掛けて他の出入り口は無いかと狭い籠罠の中をウロウロと行ったり来たりしたが、当然ながら他の出入り口など存在しない。
途方にくれて捨てられた犬のような情けない鳴き声を上げたもどきは、しばらくすると諦めたのか座り込むとゆっくりと寝息をたてはじめた。
そしてそれと同様の事態が周囲の籠罠でも起こっていたのである。



※


東の地平線が白み始める頃、公園にエンジン音を響かせて男の乗った軽トラが戻ってきた。
降車した男の姿はゴム長靴とゴム手袋を着けて防御を固めた出で立ちである。
そして公園を一周して仕掛けた籠罠を回収して回った。

「ダヌー！」
「クゥゥゥン...キュゥゥゥン..」
「ポコー...ポコー...」

公園の中心に集められた籠罠の中にいるたぬきもどきの反応は千差万別だ。
男を警戒して唸り声を上げる個体もいれば媚びるように鳴き声を上げてすり寄ろうとしている個体もいる。
図太く眠り続けているもどきもいた。
この一週間で発生したもどきからの被害は合計12件。
うち無傷で済んだのは4件。
内訳は噛みつかれて大怪我をしたペットが４匹。
昼間の出勤中に窓際で飼っていた文鳥が食われた事件が一件、残りはゴミ収集場所を漁っていたもどきを追い払おうとした住民が噛みつかれるなどである。
被害の数と発生位置が離れていることから単独ではなく複数のもどきが住宅地に侵入しているだろうと男は考えていたが、まさか用意した籠罠全てにもどきがかかるとは予想していなかった。

「終わりにしよう...」

男は静かに呟くと軽トラの荷台からある道具を下ろした。
二本の二股槍と、そこから伸びたケーブルで繋がれた電源装置である。
害獣のトドメ刺し用に開発されたこの槍は、突き刺した後に放電させることによって無駄な傷を作らず対象を殺害することが可能となっている。
穂先のカバーを外し、先端が尖っていることを確認すると電源を入れて一本を地面に突き刺し、もう一本は籠罠の中のもどきへと向ける。

「タヌッ...？」

もどきは槍を見て怯えたように後ずさろうとし、しかし狭い罠の中で身動きが取れずにいる。
そしてその眉間に容赦なく槍が突き刺さった。
変異して強靭な肉体となったとはいえ、もとはたぬきである。
猪や熊などの気合いの入った野生動物などとはその耐久力は比べるまでもなく、槍は頭蓋骨を貫通して脳へと到達した。

「ダッ！ダヌヴゥゥ！...ジッ！？」

もどきは一瞬突き刺された痛みで暴れたが、即座にその身体に電流が流された。脳を破壊され、それ以上は大暴れするでもなくぱたりと呆気なく倒れる。

「ダヌッ！？」

同族がいきなり動かくなったのを間近で見て他のもどきは一斉に籠罠の角に身を寄せる。
中には死に物狂いで体当たりを行う個体もいた。
男はそれらの抵抗を意に介さず淡々と死体から槍を引き抜き次のもどきへと向ける。

「クゥゥゥン...キュゥゥゥン...タヌー...タヌー...」
「ヴヴヴヴ！ダヌッ！」

逃げられないと悟って媚を売るものもいた。
牙を剥き威嚇をするもの、槍の穂先を必死で避けようとするものもいた。
そしてそのどれもが急所を貫かれ、電流を流されて絶命したのである。
ものの数分もせずに籠罠の中は死体だけとなった。
最後に生死確認のためもう一度槍を刺して反応を確認し、完全に死んでいることを確認した死体から取り出して死体用の袋へと詰める。

「ご苦労様です...」

作業を全て終えた辺りで、腕を包帯で吊った青年が男に声をかけてきた。
今回の依頼を行った町内会の代表である。
ゴミ出し中にもどきに噛みつかれた被害者の一人でもある。

「もどきの駆除は完了です。後はどうとでもなるでしょう。こいつらを見つけたらまずはその場を離れてください。狂暴ですので。」
「今回のことで骨身に染みて理解しました...有難うございます。これでここも静かになるでしょう...」

話している間に男は死体袋を荷台に積み込み終わった。
別れの挨拶をしてエンジンを掛ける。
向かう先は焼却処分施設である。

今日もまた一つの依頼が終わった。
しかし男の表情は固い。
季節は春先、動物にとって繁殖の季節である。
たぬきもそうだがアライグマやイタチなどの野生動物も活発化する時期である。
辛いが乗り越えなければならない。さもなければ罪のない人々が被害にあうだろう。
男は決意を新たにし、軽トラを走らせて行った。