
ちびたぬきが人間の言葉をしゃべられるようになった時の第一声が飼い主を下に見るような発言だった場合は
「思っていたのと違う、こんな風に自分の事を見ていたのか」
と言うショックから捨てられてしまう
自分の庇護の中でないと生きられない畜生に下に見られたとあれば温厚な人間でも穏やかな反応は出来ない

これはそんなちびたぬきが捨てられる話である


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「ｷｭｰ!ｷｭｰ!!」
飼い主の右手の上で仰向けになりながらコロコロ転がっているちびたぬき
「ｷｭﾜｧﾝ!ｷｭﾜｧｱﾝ!!」
左手の上では鳴きながらジタバタしているちびたぬき
飼い主はそんな二匹を愛情を注いで育てていた
「ふふふ、お前たちは可愛いなぁ」
早く喋られる様にならないかな、何考えているのかな、最初に喋る言葉は何なんだろうな
飼い主はちびたぬき達が育つのが楽しみで仕方がなかった


ちび達はｷｭｰｷｭｰ鳴いていたちびたぬき達はどんなことを喋っていたのか？
後にこの子達に詳細を聞いてみたのでここで翻訳をしてみよう

右ちび「ｷｭｰ!ｷｭｰ!!(ご主人のおてて、暖かいし…えへへしー)」
左ちび「ｷｭﾜｧﾝ!ｷｭﾜｧｱﾝ!!(手の上楽しいし！もちもちもしてほしいしー)」

この通り２匹のちびたぬきは飼い主に対して極めて友好であり本来であれば良き家族として過ごしていけるはずだった
しかし右のちびたぬきは甘えん坊で素直なのに対して左のちびたぬきは少しだけ悪戯好きであった
2匹はちびたぬき用ケージで過ごしていたが左ちびは時々脱走してはタンスや扉を齧ったりティッシュをまき散らしたりして飼い主を困らせていた
と言っても飼い主に構ってほしい行動であり決して悪意があったわけではない
飼い主も構ってほしいがゆえの行動と思っていたので脱走したちびたぬきの頬っぺたを軽くふにーっと引っ張ったりして躾もしていた


そして1週間後…

右ちび「ｷｭ…ｼ…ｷｭｳｼ…ﾀﾞｼ…」
左ちび「ｷｭﾜｧﾝｼ…ﾀﾞｼ…」
「おお！これはまさか…」
飼い主はついにちびたぬき達が喋られる瞬間に立ち会えるとワクワクしていた

右ちび「ｼ…ｼ…ｺﾞｼｼﾞﾝ!!ﾀﾞｲｽｷﾀﾞｼ!!!」
「！！！ち、ちびー！！」
先に喋ったのは右ちびだった
最初に喋った言葉は飼い主に対しての愛情を伝える言葉だった
飼い主は可愛らしさのあまりにちびたぬきを手に抱え頬をすり合わせもちもちをした
右ちび「ｴﾍﾍｼ…ｷｭｰｷｭｰ♥」

右ちびに喋るのを先に越された左ちびはちょっと悔しかった
自分も一生懸命喋ろうとしているのに右ちびと飼い主が仲良くしているのは左ちびにとって面白くはなかったのだ

左ちび「ｷｭﾜｧｧﾝ!!ｼ!!ｼ!!(ずるいし！私も喋られそうだしー！私ももちもちしてほしいし！！)」
そんな左ちびを見た飼い主は右ちびを優しくをテーブルに置いて左ちびを両手に乗せた
「がんばれ！あともうちょっとで喋られるぞ！！」
左ちび「ｷｭ…ｼ…ｩ…ﾅ…」
「？？？」
悪戯好きだったことと右ちびに出し抜かれて面白くなかったこと
そして両手に乗せてくれた嬉しさのあまり左ちびは自分が最初に喋ろうと思っていた言葉とは別の言葉を口にしてしまった
左ちびは嬉しそうなションボリ顔でジタバタしながら

左ちび「…ｻﾜﾙﾅ!」
と言ってしまった

「！！？？」
飼い主はショックのあまり左ちびの言う通りテーブルの上に置いた
優しく降ろすのではなく軽く放るように
そんなジタバタする左ちびに右ちびは駆け寄り

右ちび「ｷｭｳ…ｿﾝﾅｲｲｶﾀｼﾁｬ…ﾀﾞﾒﾀﾞｼ」
左ちび「ｳﾙｻｲｼ!ｲｲｺﾌﾞﾙﾅｼ…」
右ちび「ｷｭｰ!!」
ジタバタをやめた左ちびはそう言いながら右ちびの頬へ腕を振るった
本来であればもちもちしているようにも見えるが右ちびと飼い主は左ちびの態度から癇癪を起しているようにしか見えなかった


それでも飼い主は気を取り直して喋れた記念として2匹のちびにご馳走を振るった
右ちび「ﾜｰｲ!ｵｳﾄﾞﾝﾀﾞｼｰ!」
左ちび「ｼｼｼ…ｼｮｳｶﾞﾅｶﾗｺﾚﾃﾞｶﾞﾏﾝｼﾃｱｹﾞﾙｼ!!」
そして左ちびはまた言葉を間違えてしまった
喋られたことにより調子に乗ってしまったのか言って良いことと悪い事のラインが測れなくなってしまった
本来であれば2匹とも頭の良いたぬきで普通であれば立派な飼いたぬきになれるはずだったのに


その夜…
うどんも食べて幸せそうに笑顔で寝ている2匹のちびたぬき達
飼い主は複雑そうな顔で二匹の頬をもちもちしていたが
「なんか…思っていたのと違う、な」
そう呟いた飼い主の左ちびを見る目は愛情の欠片もなく冷めていた


左ちび「ｷｭ…ﾅﾝｶｻﾑｲｼ…」
暖かい部屋で寝ていたはずの左ちびは急に冷え込んできたので目が覚めてしまった
ふと上に目を上げると真ん丸と輝く月を背に立つ表情が見えない飼い主が立っていることに気づいた
左ちび「ｵﾊﾖｳﾀﾞｼ…ﾅﾝｶｻﾑｲｼ…ｶｲﾇｼﾀﾞｯｺｼﾃｼ…」
「…その前に自分の左足見てみて」
「…?」
そうして自分の左足に目をやると…足が糸で結ばれていた
糸の先を目で追うと500gと刻まれている分銅に繋がっていた
しかも今の自分は裸だと言う事に気づいた

左ちび「…ｼｨ!?ﾅﾝﾃﾞﾊﾀﾞｶﾝﾎﾞﾅﾝﾀﾞｼ!?」
「残念だけど君が僕の事をあんな風に思っていることに耐えられなくてね…捨てることにした」
左ちび「!?ﾋﾄﾞｲｼ!!ﾅﾝﾃﾞﾀﾞｼ!!」
抗議の押し問答をしようと左ちびが声を荒げるも

「酷いのは君の方だ！！！」
声を荒げる飼い主にびっくりして次の言葉が出てこなかった
相変わらず月光を背にしているので表情が見えない左ちびは不安で仕方がなかった

「愛情を持って育てていたのに君は心の中ではベロを出して馬鹿にしていたんだ。そんなヤツと一緒に住めるわけがないだろ！」
左ちび「ﾁ、ﾁｶﾞ…ﾜﾀｼ…ｿﾝﾅﾂﾓﾘｼﾞｬ…」
「さようならだ、もう会う事もないだろう」
足早に去っていく飼い主

左ちび「ｱｯｱｯﾏｯﾃｼ!!ｷﾞｭｷﾞｭ-!!!」
追いかけようとして走ろうとした左ちびだったが左足につながれた分銅を引っ張れずその場に転んでしまった
慌てて顔を上げるも既に飼い主はそこにいなかった

捨てちび「ｼﾞ…ｼﾞ…ｽﾞﾃﾞﾗ"ﾚ"ﾀﾞｼﾞｨｨｨｲｲｲ!!!!」
悲しみのあまり大声で泣き叫ぶ捨てちびだったがそれは飼い主の耳に届くことはなかった
最後まで飼い主がどんな表情をしていたかは分からなかった捨てちびであったが見られなかったことは幸運だったかもしれない


その後ひもは簡単に千切れ分銅から解放されたが先ほどまで飼われていたちびたぬきが外の環境で生きて行けるわけもなく…
3日後に死にかけている所を我々が発見し生命維持できるよう食料を提供し捨てちびからこの話を聞きだしたのだった

話を聞いた後は捨てちびに報酬として換金勲章(200円金券として使える)を渡して別れた
後ろの方から捨てちびが「ｶｯﾃｸﾚﾙﾝｼﾞｬﾅｲｼ!?」と言っていたが無視してその場を後にした

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このようにちびたぬきの最初の言葉は大変重要なものである
ちびたぬきが捨てられる理由の24%(捨てられる理由ランキング3位)がこの最初の言葉から生まれるすれ違いが原因である
根気良く付き合える飼い主であれば簡単に捨てられることはないが世の飼い主が全員そうでないことをたぬき達は知っておいてほしい
尤も大半が頭たぬきな生物にそれを理解してもらうのは酷であるが…


ちびが捨てられる他の理由では
トイレトレーニングが出来ない(1位:31%)
部屋のものを壊したりつまみ食いをするなどの性格が悪い個体(2位:27%)
等があるが…それはまた次の機会に話そう
ではまた今度




※補足事項
1.右ちびはその後幸せに飼い主と暮らしたとの事
　飼い主は左ちびは起きたら死んでいたので弔ったと嘘を吐いている

2.捨てちび(左ちび)は弊社スタッフが離れたところで観察していた
　一頻り泣いた後にキラキラ輝く勲章に見とれてヘラヘラ笑っていたところを光物に目を付けたカラスに連れ去られていった
　テイクオフから5秒後、飛んでいる速度に耐えられず勲章から手を放した捨てちびは落下
　落下中に電線に引っかかり感電死した