甘い甘い香りが漂うし…
ここは私…たぬきたちが働く『たぬきのケーキ屋さん』だし…
知識と技術を持ったたぬきが人と混ざって働く先はだいたい飲食店だし…
その中でも私たちは甘いお菓子が大好きだし…だから必然的にお菓子屋さんで働くし…

「ホイップ足りないし…C班作り置きお願いするし…」

「この果実を切り分けるし…手本見せるからよく見るし…」
「すごし…苺が薔薇になってるし…えっ…？どうやるし…？？」

「朝の分のスポンジ焼き上がり完了し…」
「クリーム付けるし…」
「果実も付けるし…」
「ちょっと味見し…」
「「「消えろ…」」」
「たぬきジョークし…」

沢山のたぬきがわちゃわちゃしながらも様々なお菓子を作っていくし…
たぬきが作るだけあってサイズはさほど大きくないけどそれが食べやすさと安さもあって人間にも好評なようし…
外で暮らしているたぬきも同じたぬきが営業してるお店だけあってか通いやすいようだし…

「たぬショートケーキ二つありありしー」

「注文の焼き立てたぬクッキーとたぬモンブランとたぬカット饅頭でお間違いないですし？お会計が…」

「本日のおすすめは双葉名産の桃を使ったフルーツゼリーですし…おひとついかかですかし…？」

そうして作られたお菓子はどんどん売っていくし…
たぬきの作った甘いお菓子がお客さんを笑顔にするのはこのお店で働いてて一番のモチベーションになるし…
いつもはションボリなたぬきでも甘いお菓子を食べればニッコリするし…

とはいえただ同じ商品を作り続けるのもそれはそれで売上もリピーターもストップしてしまうし…
常に新しく手に取ってもらうための新商品も作らないといけないし…

「ふっしふっし…いざ御開帳し…」

お店を閉じてから新商品開発にたぬきは残るし…
大きなダンボールを複数たぬきで運んで開けばそこには可愛い可愛いチビたちが全裸で沢山眠っているし…

「おぉぉ…こいつが例のチビし…？」
「開いた瞬間から凄い香りし…涎が出そうになるし…」

「そうだし…かの安納芋からポップしたチビだし…」

チビたちから甘い匂いがするのも当然だし…
鹿児島という遠い場所から蜜のような甘い糖度がするとても美味しくて高級なサツマイモだし…
そんな高級芋からポップしたチビも当然、糖度と匂いが受け継がれているし…正直お菓子屋で働いている私でもクラっと来るし…

「じゃあさっそく予定通り作ってみるし…このチビたちはもう使えるし…？」
「断食済みだから問題ないし…とりあえず起こすし…」

モチモチゆさゆさとチビたちを起こすとションボリとした目を擦りながら起き上がっていくし…
まだ言葉を喋る前のチビたちはキューキューと鳴いてて可愛いし…これが保護欲かし…

「ｷｭｰ…?ｷｭｩｩﾝ…」
「おお、よしよし…フフ…こうして見ると可愛いもんし…」
「ちょっともったいない気もするし…」
「でもこれで作ると凄く美味しそうだし…さっそく取り掛かるし！」

各々がチビをモチモチしたり抱き上げたりとしてるけど本題を忘れちゃいけないし…
チビたちも新しい親だと思っているのか凄く甘えてくるし…今の内に甘えておくし…もう甘えられないし…
一旦水で洗浄して準備を整えるし…これからのことを考えると尻尾を濡らして大人させておくし…

「ｷｭ…ｷｭﾝ……」
「よしよし…綺麗になったし…あとはこの棒をお尻から…入れるし！」
「ｷﾞｭｫ!?」

刺して固定するために使う棒をチビのお尻の穴に突き刺すし…
とはいえあくまで貫通せずにチビが死なない程度の…精々胸元あたりまで刺しておくし…
尻尾が濡れてジタバタもできなかったチビもこれには必死の形相でジタバタしてるし…ウケるし…

「ｷﾞｭﾋﾞｨｨ!ｷﾞｭﾋﾞｨｨ!!?」
「ﾀﾞﾇｩｩ!ｷﾞｨｨｷﾞｨ!」
「元気だし…これは良い商品になるし…」
「それじゃ、さっそく焼くし…」

あとはこの日のために用意した焼き上げる壺を使うし…
サツマイモの甘い食べ物と言えば焼き芋…その中でも壺を使って熱を閉じ込める手法が一番美味しいし…
イモの甘さを最大限に引き出すには一定の温度で長時間焼く必要があるし…普通にオーブンを使ったりすると焦げちゃうし…

「ｷﾞｭｩｩﾝ…ｷﾞｭｩﾝ……!」
「ﾀﾇ…ﾀﾇｩ……ﾀﾇﾀﾇﾀﾇｩ!」
「ﾎﾟｺｰｼﾞｨ……」

壺の中に炭を焼いてチビに刺した棒で壺の中に吊るして長時間…まずは一時間、二時間、そして三時間のそれぞれの焼いた時間を測ってどれが一番チビを美味しく焼けるかを検証するし…
高温で燃やさずにじっくりと焼き上げるからチビもじわじわと苦しんでいくし…
ちょくちょく壺の蓋を開けて様子見をしてると歯切りしたブサイクなチビの顔に笑うし…こうしたユーモアがあるから働く気力は尽きないし…
じっくりと焼き上げたチビたちを回収して一口食べてから味の良さとそこからの時間コストの比較を計算するし…

「うーん…やっぱり一時間程度だと普通に美味しい芋程度だし…」ｷﾞｭﾋﾟｨ…
「もぐもぐし…三時間だとさすがに甘くて美味しいし…ヤバいし…でも時間取りすぎし…」ｬﾅ…ﾀﾍﾞﾅ…ｼ…
「二時間だと半端し…三時間を味わった後でこの味はあまり妥協はしたくはないし…」ﾀﾞﾇｰﾀﾞﾇｰ…

お菓子屋さんとしての誇りもあるたぬきにとってコスパで味を落とすということは出来る限りしたくないし…
それは引いては食材への冒涜だし…食べる以上は敬意あってこそだし…無駄にはしないし…
暫定的に三時間の壺焼きとしてイモたぬきを売りに出すし…
しかし焼いただけならそれはただの焼き芋たぬきでしかないし…

「安納芋を使ったカスタードクリーム完成しましたし…」
「おっ…ナイスタイミングし…あまし…もうこれで売っていいんじゃないかし…？」
「検討するし…芋のクリームはお客さんが各自で味付けするための商品にできそうし…」

別の開発班が作ってきた安納芋を使ったカスタードクリームで更なる味付けで壺焼きイモたぬきは完成するし…
お腹をサクっと切り開いてクリームを詰め込んでバーナーで軽く焼き上げれば芋の香りが更にむんむんだし…手間暇かけてこれはまずくないわけないし…
まだ息をしているチビにいただきますの祈りを込めながら足からお腹の半分まで食べるとモチっとした食感から芋のクリームの甘さも相まって舌が蕩けそうになるし…
数年生きてすっかりションボリ顔に固まった私の顔も思わずにやけてる方にニッコリ顔になるのが止められんし…

こうして生まれた壺焼きイモたぬきのクリーム添えブリュレという新商品が産まれたわけだし…
一日で作れる量にも限度があるから売れる数は少ないし…でもこうしたコストを一部度外視した商品に引き寄せられて定番商品も売れる流れを作るし…
甘くて美味しい『たぬきのケーキ屋さん』はいつでもお客さんをお待ちしておりますし…