少し前に『スクイーズ』というものが流行っていたのをふと思い出した。柔らかいので握ると気持ち良いらしい。
自分もやってみたいものの、若い女性……というより女児がメインターゲットっぽいので買うのが少し恥ずかしい。
そこで豆たぬきをスクイーズの代わりにすることを思いついた。

「ﾔﾒﾛｼ…ﾆｷﾞﾙﾅｼ…」
というわけで豆たぬきを買ってきたが、なんだか態度が悪い。
まぁ、自分よりもずっと図体のデカい相手に握られては当然のことだろう。

それはそれとして実際に手に持ってみると本当に小さい。
手の平にスッポリと収まるから、大きく見積もっても15cmぐらいだろうか？
少し力を込める度に「ﾌﾟｷﾞｭ…」と鳴くので、これだけでも愉快で少しかわいい。

けれども、本題はスクイーズの代用である。
聞いたところによればスクイーズは乱暴に扱うのが作法のようなものらしい。
スクイーズで遊んでいる動画でも、優しくモチモチした後に親の仇のように握り潰していることが度々ある。

ただ単にモチモチするのもいいが、せっかくなので捻じってみようと思う。
モチモチするだけだったら成体のたぬきでもできるが、捻じることなんて豆たぬきか子たぬきじゃないとできないからだ。

胸のあたりと股間のあたりを掴んで、雑巾を絞るように少しずつ捻じっていく。
「ﾅﾆｽﾙｼ…」とか言っているが気にせずに力を込める。
すると驚くほど簡単に捻じれていった。赤子の手をひねるようとは正にこのことだろう。

30度。普通の生き物だったらこの時点でかなりキツいだろう。
しかし豆たぬきは「ﾔﾒ…ﾃｼ…ｷｭｰ…」と、まだまだ喋る余裕があるらしい。
抜け出そうと必死にジタバタしているおかげで、手足がペチペチと当たってきて心地良い。

60度。そろそろ限界、というわけでもなさそうだ。
なんか豆たぬきの内部からグチャッという感じの音が聞こえてくる。中身が潰れ始めたのだろうか？
流石に「ｲﾀｲｼ…」とか言っているが、むしろまだ痛いだけなのかこいつ…
これだけ捻じってもまるで抵抗が無い。この抵抗の無さは、開封済みのペットボトルの蓋といい勝負だ。

90度。もはや上半身と下半身が別の方向を向いている。
豆たぬきの口から赤いドロドロとしたものが流れ出てきた。鉄っぽい匂いがするので恐らく血だろう。
液体の中に固体も混じっているが、これは内臓なのだろうか？
一応、豆たぬきは「ｷﾞ…ｷﾞｪ…ﾔﾒ…ｼﾞ…」と辛うじて鳴いていた。

120度。それは突然のことだった。
ブチブチと皮膚が千切れる気持ち悪い感触が伝わってきた。それと同時に生温かい血が私の手に飛び散ってくる。
いくら何でもこれ以上やるとまずいと思い、急いで手を放したものの時すでに遅し。
豆たぬきの胴は完全に千切れていて、腸らしき臓器で上半身と下半身が辛うじて繋がっているだけの見るも無残な姿となっていた。

すっかり気分が落ち込んでしまったので、豆たぬきの死体や、豆たぬきの体液で汚れてしまったテーブルを掃除する。
……冷静になって考えてみれば、スクイーズは実店舗に行かなくても通販で買えるじゃないか！
どうしてそんな簡単なことに気がつかなかったんだ！

無意味な犠牲となってしまった豆たぬきに哀悼の意を捧げ、普通に通販でスクイーズを買った。
こっちの方が柔らかくて気持ち良いな…