適当にぶらつくとたぬきがいた
大きいのが一匹と小さいのが三匹、豆みたいに小さいのが一匹だ
何処にでもいるたぬきの特に変わり映えのしない一家か群れだろう
たぬーたぬーキューキューとよくわからん鳴き声で鳴いているこいつらは死骸でよく見れども生きているのはあまり見ない
それだけ死にやすいのだろうが、果たしてどれだけ死にやすいのかちょっぴり興味が湧いてくる

「ｷｭ…ｷｭｷｭｰ!」

まずは一番小さい豆みたいな奴だ
人間の指と同じか少し大きいぐらいで触ればふにふにと柔らかい
こんなに小さくとも生きているということには雑なたぬきと言えども感動みたいなものがある
大きいたぬきが放せ放せと言っているが適当に蹴飛ばしてまずはこの豆の顔をコンクリの壁で削った

「ｷﾞｭｯ」

サッと引く
それだけでゴリゴリとしたコンクリの壁は柔らかいたぬきの皮を剥ぎ取った

「ｷﾞｭﾋﾟｨ…?ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ!!ｷﾞｭｱﾋﾞｧｧ!!」

うわっ、キモい
大きくても小さくてもしょぼくれたこっちまで気の滅入る顔をしているたぬきだが、こうなれば皮を失ったプチ人体模型みたいな感じになる
普段は目も閉じたように薄いのにこの状態になれば痛みに悶えているのか目を見開いて狂ったような鳴き声を出している
しかしこの状態でも死なずにたぬき特有のジタバタをするだけで死ぬ気配はない
思ったより…というかこんなに小さくでも死なないのは結構凄いんじゃなかろうか
とはいえまだ顔の皮を剥いだだけなのだから分かるものではない
逃げようとしている残りの三匹を捕まえて検証継続だ。ちなみにこいつら小さすぎて逃げても人間の一歩二歩で追いつけるんだから悲しいぐらいに捕まえやすい

「ｷｭｩｩ!ｷﾞｭｩｷﾞｭｩ!!」

相変わらずのモチモチとした感触は心地良いが野良だけあってか汚い。後で手を洗わなければ
とりあえずたぬきの特徴と言えば尻尾と耳だ
なので三匹いる内、それぞれ手足、尻尾、耳を引き抜いてみる

「ｷﾞｭｱ!」
「ｹﾞﾋﾟｨ!!」
「ｱｯｱｯ…ｼｯﾎﾟｶﾞ…ｱ"ｱ"ｧ!」

これもまた三匹とも、掌でジタバタするぐらいで死ぬ気配はない
念のために先ほどの豆サイズのたぬきのように顔や体を壁で削って皮を剥いだがやはり死ぬほどに至らない
うーむ、こうなるとよく見るたぬきの死骸は逆にどうやって死んだのか疑問に思える生命力の高さである

「さようならだしチビ…ママはもうお前たちはを救えんし…」

薄情にも大きなたぬきは子らを見捨てて逃げようとしていた
子が子なら親も親…とはいえたぬきはそういう生態なのも知っているからどうとも思わんが
しかし子らが味わうものを親が味わないままというのはもったいないのではないか？

「意味のわからん理屈やめろし…さわるな…やめろ…やめろ！！」

がっしりを頭を掴んで動けなくして、さぁ壁とご対面
今まで見たことのないぐらいに高速のジタバタをしているのだが微動だにしないのが悲しい力の差だ
やはりこれがたぬきが生き残れない理由の一つなんだろうな
そう思いながらたぬきの顔をごりごりごりごりと壁で削っていく
さすがに小さいたぬきと違ってサッと終われないが、少し時間をかければ皮を失った顔面人体模型の完成だ
やっぱキモいな

「ひょあばぁ！ばおが！ばおがが！ぎじぃぃぃ！」

力加減をミスって歯を失い歯抜けになった状態でも器用に歯軋りをし、ジタバタを繰り返している
見た目こそキモいが大きいのも小さいのもたぬきは皮程度を失っても死なない事に謎の感動をしつつ後を立ち去った

後日、顔が剥げている恐ろしいたぬきたちがいるという通報を受けて周辺のたぬきが駆除されたようだ
そうなると通報を受けるまであのたぬきたちは死ななかったのだからやはりたぬきの生命力は存外に舐めたものではないようだ