とある休みの日。俺はなんとなく地元の郷土資料館を訪れた。
さしたる歴史も偉人も何もない、強いて言えば山しかない。
そんなこの町にどんな資料があるのか気になったのだ。

結論から言えば、ほとんど何もなかった。
そもそも建物が小さい。しかも一階建て。おまけに建物の1/5ぐらいがレストランである。
大半は『町の歴史コーナー』だし、その中身も戦後からスタートというやる気の無さだった。
これといった歴史すら、この町には無いらしい。

しかし、比較的まともな展示が一つだけあった。
『妖怪コーナー』だ。
一体誰が遺したのか、妖怪に関するものだけは昔の資料があるのだ。
とは言っても巻物が一つだけなのだが、あるだけでもマシだろう。

その中身はと言うと…
「近所の山には膝の高さにも満たないほどの小人たちが住んでいる(現代語訳)」
これ、たぬきじゃないか？

「人々はその小人のことを『山童(やまわろ)』と呼んでいる」
山童は一般的には河童の山バージョンだが、これはたぬきじゃないか？

「茶色の髪の毛、緑色の服、腰のあたりから生えた尻尾が主な特徴である」
どう考えてもたぬきじゃないか？

「人の言葉を操り、常に『○○し…』という奇妙な口調で話す」
もはやたぬきで確定じゃないか？

「山童は『饂飩の舞』という頓珍漢な踊りで人間を惑わす」
うどんダンスって昔は名前が違ったんだな。

「資料を基にしたイメージ図がこちらです→」
そこに飾られていた絵は、たぬきから遠ざけようとしたのか恐ろしい絵柄で描かれていた。
だがそれでも、どこからどう見てもたぬきだった。

「ぶっちゃけ、当資料館の職員もみんな『これ、たぬきじゃない？』と思っています」
そうだろうな。
「というわけで、当資料館のレストランにたぬき料理があるので是非お立ち寄りください！」
もしかして、このコーナーが丸ごとレストランの宣伝だったのか？
通りで資料館のショボさの割にレストランがやたらといい感じだったわけだ。

すっかりたぬき料理の気分にされてしまったので、そのレストランに向かった。
…のだが今日の分の食用たぬきが足りないらしく、営業していなかったので仕方なく帰ることにした。

ションボリとした気持ちで帰っていたせいだろうか？
道端に野良たぬきがいたので、腹いせにそいつをドリブルしながら帰路に就いた。