
たぬき遊園地
たぬき好きの集まりがポケットマネーを出し合い作り出したテーマパークだ
基本的にたぬきのサイズに合わせての乗り物がほとんどなので人間が施設を楽しめる場所でない
たぬき好きの人間が遊園地で楽しむたぬきを見て満足できる場所なのだ

「飼い主、今日は遊園地ありがとうし！」
「わーい楽しむしー♥」
今日はそんなたぬきの親子と飼い主にスポットを当てるお話だ

午前中はメリーゴーランド、巨大迷路、美味しいおひるごはん、シューティングと遊園地を豪遊していた
そして午後はメインともいえる施設に向かっていた
「来たし…たぬジェットコースターだし！」
「怖いけどワクワクするし…！」
たぬきの親子も楽しさ半分怖さ半分と緊張した面持ちだ
たぬジェットコースターの入り口でスタッフさん達が説明しまわっていた

『たぬきのみなさーん！このジェットコースターはとぉーっても怖い乗り物デース！』
『怖くて怖くておもらしするたぬきさんがとても多いものとなっていいマース！』
『なので自信のないたぬきさんには【たぬジェットコースター用おむつ】をご用意しておりマース！』
『おむつ着用をされたいたぬきさんが居たら手を上げてくだサーイ！！』

そんなスタッフさん達の警告を聞いた順番待ちしているたぬき達は
「たぬきをなめるな…と言いたいところだけどオムツ頂戴し…」
「知り合いのたぬき一家が全員おもらししたって言っていたし…私も頂戴し…」
「クラスで一番勇気あるたぬきが盛大に漏らしたって言ってたし…私もおむつ欲しいし…」
大半のたぬきはおむつを装着していたが

「おむつ付けるなんて雑魚たぬきのすることだし！！私はこのまま乗るし！！」
親たぬきは堂々と言い放った
「わ、私はおむつ付けるし…」
子たぬきは他たぬきから聞いていた話やスタッフさん達の警告を聞いておむつ着用をすることにした
「まったく…私の子なのに情けないし…ちびはママの雄姿を見てるし！」
『いやいや止めておきなさいって、テレビの紹介でもほとんどのタレントたぬきがおむつにぶちまけてたでしょ』
飼い主がおむつの着用を促すように言っても親たぬきは聞く耳持たない様子だ

「さぁ行くし！私たちもおむつなしで大丈夫だし！」
「ママー！格好いいし～！やる気まんまんし…」
「ﾐﾃﾙｼ!!」
野良のたぬき親子でも挑戦しようとしているのが居た


彼女たちの順番が来てそれぞれが席に座らされ
ガコンガコンガコン！
一斉にロックバーが降ろされたぬき達が固定されていく
「やべぇし…ドキドキしてきたし…」
「ママ、ファイトし！」
「だいじょうぶしだいじょうぶしだいじょうぶしだいじょうぶしだいじょうぶし」
「ママ…顔色悪いし…」
「ｼ…ｼ…」
恐怖と緊張で頭の中が真っ白になっている親たぬき達
ハッっと気づいた時には既にコースターが登り切っている状態だった
「「あっ…やっぱおむつ付けた」」

ゴオオオォォォォォォォ！！！！！！！！！！！！！！！！
ギュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン！！！！！！！！！

時速80kmから繰り出される垂直ループ、スクリュウ、急カーブ
グワングワンと揺られたぬき達は絶叫をしながら早く終わらないかと祈ることしかできなかった

ｶﾞﾗﾗﾗﾗﾗ…
コースターが戻ってきた
「ふぃー…とっても怖かったけど楽しかったし！これならおむつが無くても大丈夫だったし」
なんと子たぬきはおもらしをせずたぬジェットコースターを楽しんでいた
もちもちした頬っぺたをプルプル揺らしながら笑顔でジタバタしていた

「ねぇママ！楽しかっ…た…？」
「…………」
親たぬきはスタートした時と同じ態勢のまま固まっていた
「あれママ…なんか座高が高くなってないかし？」
子たぬきの言う通り親たぬきはスタート時点とは異なり少し浮いていた
「…？それになんだかおしっことうんちの臭いがするし…あっ」
子たぬきが察した瞬間に親たぬきはポロポロ涙を流しながらこう呟いた


「……しっぽも…ぬれたし…」




『ハーイ！ではおもらししたたぬきさん達の服はお預かりしマース！』
『2時間ほどで洗濯と乾燥が終わりますのでその際にお届けしマース！！』
「はいし…」
遊園地のサービスの一環で漏らしたたぬきの服と下着を洗濯してくれる
その間に着るものがないたぬきにはおむつが渡されるシステムとなっている
親たぬきはおむつ一丁でスタッフさん達の話を聞いていた
上半身裸にしたはおむつだけという屈辱的な姿は流石に堪えている様子だ

『おもらししなかった子たぬきチャンにはジェット勲章を授与しマース！！！！』
「わーいし！！ありがとうしー！！」
一方では自分の子はおもらししなかった勲章を授与されているので余計惨めな気持ちになっていた

「みてみて飼い主さん！初めての勲章だしー！！」
『ふふふ、良かったね！』
飼い主に抱えられて子たぬきは大変ゴキゲンな様子だ
『じゃあおやつでも食べに行こうか』
「わーいし！」
「はいし…」


遊園地内のイートインスペースに到着し一旦落ち着いていると裸におむつを付けた野良のたぬき親子がやって来た
「…やっちゃったし…大人なのに漏らしちゃったし…」
「ママ…恰好悪いし…」
「うるさいし！お前も漏らしたのに生意気いうなし！！」
「ｵﾓﾗｼﾏﾏｰ!!」
ションボリとした表情で親子喧嘩をしている

『あ…あの家族も漏らしたのか』
「…ププッ！ださいし…」
飼いたぬきがバカにするように笑っていたら野良親子に気づかれた

「あー！何笑ってるし！お前も裸におむつだし！！漏らしたやつに言われたくないし！！」
「なにおし！！家族で漏らした野良にバカにされたくないし！」
おむつ一丁の親たぬき同士はもちもちと取っ組み合いの喧嘩を始めた
素手のたぬきの喧嘩なので怪我はしない
「もう怒ったし！抗議のおしっこするし！っしー！！！…あっあっおむつの中に全部出ちゃったし」
「隙ありだし！もちもちぱんちをくらえし！」　ﾓﾁｯﾓﾁｯ
周りから見てもどうしようもない喧嘩をしていると…

「ママ！やめてし！恥ずかしいことしないでし！バカー！！！」
子たぬきが泣きながら走り去ってしまった
野良の子供たちは家族と見られたくないようで距離を取って他人の振りをしていた
『あっちょっ待って！…お前はここから動くなよ！』
飼い主は親たぬきにここから動かないよう釘を刺し子たぬきを追いかけた

「おむつのたぬきが喧嘩してるし…」「おもらし同士なーにやってるし…」
「あいつらバカだし…」「子供も親に見切りをつけてるし…」「ぷぷっ恥ずかしい奴らだし…」
周りのたぬきにバカにされていることに気づいた

「ち、ちびに見捨てられたし…おしっことうんち漏らした上に周りにも馬鹿にされてるし…ﾀﾇｰ」
「ちび達がいないし…なんでし…遊園地に来た時はママダイスキーって言っていたのに…ﾀﾇｰ」
ショックのあまり取っ組み合いながら親たぬき達はトロンと溶けたような顔になり混ざり合っていった



『あっいたいた。ちび、いくら情けない親でもあんな言い方は駄目だよ』
子たぬきに追いついた飼い主はやんわりと子たぬきを諫めた
「キュウ…わかってますし…大好きなお母さんがあんな醜態晒したのはとてもショックだったし…」
『おやつ食べて服を着れば忘れるって、さぁあそこのアイス買ってお母さんのところへ戻ろう』
「…ありがとうございますし！ママと一緒に食べて仲直りするんだし…」
『よしよし、じゃあ一緒に行こうね』

ショップからカップに盛られたたぬきの顔をしたアイスを受け取った
親たぬきの分は子たぬきが手渡しするために持っている
子たぬきを抱えながら親たぬきの元へ戻ろうとすると…どうにも騒がしい
騒ぎの中心に向かってみるとそこには奇妙なものが鎮座してた
たぬきの蛹だ
見覚えのある顔がドロリと溶けて混ざったように表面に浮かんでいる


「マ…マ…？」
その蛹の元となったたぬきの正体に気づいた子たぬきは持っていたアイスを落としてしまった
ﾍﾞｼｬｧ
『あー…』
「…ママー！！！」
子たぬきは涙を流しながら走って蛹に駆け寄り小さな手でもちもちと叩き母親を呼ぶも当然返事はない
「ママー！ママー！！起きてしー！！」
『…ちび、蛹になったたぬきはもう元に戻らないんだ。もし孵化したとしても元の性格は消滅して別たぬになるだよ…』
「ｷｭ…ｷｭｰ…」
飼い主は鳴いている子たぬきを抱え上げて頭を撫でて落ち着かせた
ここでのフォローを間違うと子たぬきも蛹になってしまうからだ


一方離れたところで見ていた野良子たぬき達は
「ママはだめな奴だし…蛹になって逃げるなんて雑魚のすることだし！」
「ｷｭｰ!ｵﾈｴﾁｬﾝｶｯｺｳｲｲｼｰ!!」
「今日からは二匹で生きていくし！ママが居なくたって平気だし！」
親の庇護のもとぬくぬく生きていた子たぬき達に野良の生活ができるか答えは明白だった
次の日の食べ物を用意することも出来ず苦労するとは彼女たちはまだ知らない
野良の子たぬき達が餓死するまであと4日…それはまた別のお話



そろそろ閉園の時間
子たぬきを抱えてあやしながら帰路についていると入り口付近が騒がしい
「…？たぬきの声だし…」
『なんだなんだ』

「ママー！！いなーい！！ママー！！！いなーい！！！！」
子たぬきになりたてのちびたぬきだろうか
小さな小さなたぬきがワンワン泣きながら叫んでいた
付近ではたぬき含むスタッフさん達がコソコソと話していた

『あれは迷子たぬきちゃんデスかね？』
「うーん、カメラの映像を見ていたけど…捨てられたたぬきっぽいし」
『アラー…可哀そうデース』
「しかも捨てた親は園外の木で首を吊っていた野良たぬきだったし…親子心中しようとしたけど子供は手にかけられなかったっぽいし…」
『Oh…』
「ここで引き取ろうにも小さすぎるから園内の手伝いなんてできなさそうだし…可哀そうだけどペットショップに引き渡すしかないし」
『かしこまりました、では…オヤ？』

スタッフさんが子たぬきに目をやると子たぬきを抱えた飼い主達が話していた
『迷子のちびちゃん、良かったらうちの子にならない？』
「さっき飼い主さんと相談したし…どうやらちびの親は理由があって別れたらしいし…嫌じゃないなら一緒に来るし！」
「ｷｭ?…ｷｭｰ…ｷｭｳ!!」
迷子たぬきはﾄﾃﾄﾃと飼い主の足に抱き着いて頬をすり寄せた
飼い主はそんなたぬきを抱え上げ

『よかったよかった、よいしょっと…これから宜しくね』
「よろしくだし！」
「よ…よろしくですし！」
飼い主の腕の中でお互いの頬をすりすりとくっ付けながら親愛のもちもちをする子たぬき達

『…アーラ、心配する必要はなかったようデース！』
「運のいいちびだし…まぁショップに行くよりは絶対マシだし。よかったし！」


ここはたぬきの遊園地
たぬきの為に作られた施設である
今日も幸せそうなションボリ顔でたぬき達が返っていく様子が見られていた


おわり



その他
・蛹
遊園地内の孵化施設に運ばれ孵化される
その後園内のスタッフたぬきとなる
性格はハイテンションで落ち着かないたぬきであるが仕事はきちんとしている

・飼い子たぬき達
子たぬきはシッカリとしたおねえちゃんたぬきになる
拾われたたぬきは甘えん坊の妹たぬきになった

・スタッフさん
全員外国人女性
たぬきに慣れた日本人はたぬきの扱いが雑になるため外国人を起用している
バニースーツを着用している