
「ふんし！…ふんし！…ふぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ん゛じ！！…ダヌゥ！」
「どうだい？今日も駄目かい？」

　今日もたぬきがトイレで唸っている。どうにもここ一週間ほど便秘なのだ。
与えている食事はたぬフードやうどんだし、きちんと水も与えて消化に悪そうなものも食べさせていないが…
「なんか外で変なものでも食べたんじゃないだろうな？」
「そんな卑しくありませんし…あっ」
「思い当たるフシがあるようだな…」
「こないだおさんぽしてた時にどんぐりを食べたし…でもすこしだけだし…少しは5より少ないし…」

　野良のたぬきが嬉しそうに「みんなで食べるし！」と集めていたのを見て…とたぬきは言った。
そういえば公園を散歩していた時、こいつなにか拾ってたな…
だが、たぬきとは言えたかがどんぐり程度でお腹を詰まらせるようなことは考えにくい。
便秘に良いとされる事を色々試しては見たが…結果は芳しくない。


　お腹のマッサージを何度かしてやったが駄目だった。
お腹を軽く圧迫し、下腹部へ向かって押してやる。腹の下の塊の感触が伝わってきたが、そこを押しながら動かそうとすると

　ｷｭ…ｸﾞｩ…ｷﾞｭｳ…

「うぅぅんし…うぅ…いたっ！いだだだだだし！！」
痛がってジタバタしてしまうのだ。


「これ以上続くようなら危険だしこうなったら駆除用の下剤でも…」
かくなる上は、と薬の使用を提案してみる。もちろん駆除用をそのままだと危険なので薄めて使ってみようと言ってみるが
「嫌ですし！アレはおなかの中身ごと出ちゃいますし！たぬき死んじゃうし！」


──「うぅ…お腹痛いし…うんちでるしっ！いっぱい出るし！」「ぽこーし…ぽこーし…ぶりりりゅし…？ｷﾞｭｳ!?全然…止まらないし…？」
「気持ちも悪いし…ｷﾞｭｫｴｯ…ｳｫｴｯ…ｸﾞﾎﾞｪ…ｳｫﾛﾛﾛﾛﾛｯ…」「ハァ…ハァ…やだ…やだしぃ…！！」──


以前、公園の奥で駆除餌を食べた野良が下痢と嘔吐し続け、内臓まで排出した末路を見たことがあるので怖がってしまった。

「うーん…じゃあもう病院にいくしか…」
一応、砂糖や栄養剤を加えた水を与えているが、このままでは命にかかわるだろう。
「なめるな…うんちくらい一人でできるし…ちびといっしょにしないでほしいし…」
「もう何度か俺が手伝ってるけどな」
「う、うるさいし…みてるし！ふぅぅぅん…アッ…やっぱみないでし…うぅぅぅぅぅんし…」

どっちだよ…と思いながらも、あまりじっくり見てもかわいそうなのでスマホで動画でも見るかと動画サイトを観覧していると一つの動画が目に留まった
「これだ！！！！！」
「ﾀﾞﾇｯ！？なんだし…うんち出ないのに大声を出さないでほしいし…」
「これだよこの動画を見てくれ…」
「なんなんだし…？ちょっと待つし…」

　うんちの姿勢から下着とスカートを履きなおし、ヨロヨロとこちらの足元に近寄ってきた。
持ち上げて膝の上に乗せてやり一緒にスマホを見る。そこにはある動画が再生されていた。
昔のビー玉を発射して遊ぶ玩具のテクニックが紹介されている。玩具を握ってパンチのように振りかぶり、
腕が伸びるタイミングで玉を発射することで、腕の加速と合わさりより早く玉を発射するといった内容だ。

「どういうことなんだし…？」
「つまりだな…」
たぬきに説明をする。

たぬきを高い高いのように持ち上げ、つかんだまま素早く下ろす。そして下がりきる直前でたぬきが踏ん張る。
「加速と重力を味方につけて俺とお前のタイミングを合わせてうんこを発射するんだ」
「…うまくいくのかし？」
「やってみなくちゃわかんねぇ！」
「なんでそんなにテンション高いし…」
　排泄の補助に若干の抵抗があるようだが、これがダメなら病院かなと言うと
「わかったし…やってみるし…」
覚悟を決めたようだ。


「じゃあ行くぞ？ふん！で振り下ろすから合わせてふんばってくれ」
「わかったし…」
　たぬき用トイレの上で、うんちのポーズを取ったたぬきの身体を両手で持ち上げ、タイミングの打ち合わせをする。
「じゃあいくぞ…せーの！」
たぬきの身体を自分の胸の高さあたりまで持ち上げ…
「ふん！」「ふんし！」
トイレの寸前の高さまで振り下ろし、止める。すかさずたぬきが気張る。
「どうだ？」
「出ませんし…でもちょっと下がってきた感じがするし…」
「じゃあ続けてやってみるか」
「うんし！」
手ごたえはあったようなので続けてみる
「せーの…ふん！」「ふんし！」
「すこし遅いんじゃないのか？」
「わかったし！」
「せーの…」
「ふんし！」「ふん！」

　ｷｭ…ｷﾞｭｸﾞｸ…
何度か繰り返してるとたぬきのお腹が鳴った
「いたたたし…お腹がゴロゴロ…してきたし…」
「行けそう？」
「ちょっと…おなかいたいけど…大丈夫だし！」
「じゃあ続けるぞ！」
「うんし…！」



「はぁはぁ…どうだ…！」
　それなりのサイズのたぬきを何度も繰り返し上げ下げしているので、額に汗も浮かび腕もつらくなってきた。
「ハァし…ハァし…もうちょっとで…出そうですし…」
たぬきも繰り返し気張っているので顔を真っ赤に紅潮させている。つらそうだが苦労のかいあってだいぶうんちも降りてきたようだ。

「いけるし…たぶん次で決まるし…」
「わかった…」
次がおそらく最後になる──そんな予感があった。
「じゃあいくいくぞ…」
「応し…」

「せーの…」
頭の上までたぬきを持ち上げ…
「ふん！！」
一気に振り下ろし、下がりきるタイミングでグっとたぬきを急停止させる。
その瞬間たぬきが踏ん張る！
─ここだし！─
繰り返して見つけた、一番おたがいの力が重なるタイミングだ。
加速と急停止による重力を感じる刹那で…踏ん張る！
─ふんし！─
腹筋に力を入れ、おしりの出口を全開にさせ、下腹にすべての力を込める。
押し留められた便が狭き門より今、解放される。

「ぽこぉ…じっ！？」バビディ！
変な掛け声と音とともにたぬきの尻から茶色い塊が発射された。成功だ！
「でたっ！」
「はぁ…はぁっ…やった…し！」
　
たぬきを床に下ろしてやり、たぬきと向き合うとふたりでハイタッチのように手を合わせる。
「長く苦しい戦いだった…」
「つらかったし…どれ…たぬきを苦しませたやつのツラを拝んでやるし…うわっ…すごい大きいし…」
たぬきがトイレを覗き込む。確認できるところだと自分の便って確認しちゃうよな。
「おいおいお尻拭いてくれよ…本当に大きいな」
そこにはたぬきの糞としては巨大な、人の拳くらいのサイズの歪な塊があった。
飼い主として便秘の原因を探るために観察する。
「これは…なんかの殻？」
「苦くて硬くておいしくなかった実だし…」
うんちの表面に砕けた殻のようなものが確認できた。おそらく拾い食いしたというどんぐりだろう。
「馬鹿だなあれは殻を割って食べるものなんだよ」
「知らなかったし…」

　他に変なものは食べてないかなと、使用済みの割りばしで突いてみるとごろっとひとつの塊が分離した。
とても歪ながらもしっかりとした塊で、まるでつぶれた人形のようだった。
「なんだこれ？なんか手足みたいな…」
「これ…え…でも…し…」
剥がれた塊を見たたぬきが突然青ざめ、うろたえる
「これ…ちびだし…」
それはうんちにまみれ、腸の機能により水分を奪われ、しおしおに萎れたたぬきのちびだった。
「嘘だろ？なんで…」

　通常、たぬきはたぬ木の実から産まれるか、ションボリが溜まるとどこからともなくポップする。
だが、無機物や植物などにポップすることはあっても死体でもない生き物の中からポップしたなんて話は聞いたことがない。
萎びたちびを観察してみると、頭であろう部分に被り物のようなものがあった。
「これは…どんぐりの帽子？」



　あのとき。どんぐりをひろいぐいしていたとき。
「ボリボリし…うーん…味はともかく硬くてあんまりおいしくないし？」
公園でどんぐりを野良が一生懸命拾い、やったし！みんなでたべるし！と嬉しそうに言っていたの見たので
そんなにおいしいのかし？と思い、散歩で飼い主から離れ、見つけたどんぐりを拾って食べてみた。
「こんなの喜んで食べてるなんてかわいそうだし…たぬきはご主人に飼ってもらえてよかったし…」
野良の食べ物なんておいしくなかったけど、ちょっとお腹も空いていたし夕飯までまだ時間があるし。
いくつか拾ったどんぐりをまとめて口に放りこんだ。その時だった。
「おーい！たぬきーそろそろ帰るぞー」
ご主人の呼ぶ声が聞こえた。ちょうど口にどんぐりを入れたタイミングだったので驚き──
　ゴックン
どんぐりをそのままのみこんでしまった。
「～～～～～～～～！！んぐぐっっっ…！！じぃぃぃ！」
「いたいた…そろそろ帰るぞ…ってどうした？泣きそうな顔して」
「なんでも…ないですし…それよりおみずがのみたいし…」
「じゃあそこの水飲み場で飲ませてやるよ」
硬い実を飲み込んでしまい、まだのどに引っかかっている感じがして苦しかったのでたくさん水を飲んだし…


「もしかして…拾ったどんぐりにたぬ木の実が混ざってた…？」


　枝の一部がたぬ木と化してたブナの木に実ったちびの入ったどんぐりは、普通のどんぐりとともに地面に落ち、誕生の瞬間を待っていた。
だが、殻は硬く中のちびでは自力で割ることが不可能で、産まれる事なくただ地面に転がっていた。
　そこを落ちていた他のどんぐりと一緒にたぬきに拾われ、運よく噛まずに飲み込まれたところで死を免れ、そのあとたぬきが大量に水を飲んだことにより
胃酸が薄まり、完全に消化されずに殻を若干溶かした程度で胃を通過し、生きて腸まで届いたのだ。


「いくつか飲み込んだって言ったな…じゃあまだ？」
うんちの塊をさらに突いてみると、もうひとつボロっと元どんぐりちびの塊が崩れ落ちた。どうやらたぬき玉を形成していたようだ。
「こんなのが腹の中で固まってたらそりゃ便秘にもなるわな…しかし…」
そのちび達はどんぐりから産まれたちびにしては大きかった。
　


　歯での咀嚼と胃酸の消化に耐え、十二指腸を通過し、表面を少し消化された殻は体内の水分でふやけ、柔らかくなりどんぐりの中のちびは外に出られた。

（ｸﾗ…ﾐｴ…ｳｺﾞｹ…ﾅ…ｷｭ…）

通常、たぬきが腸内という環境では生きられるはずはない。だが先ほどまで消化されずに残っていた実の中と同じで
暗く、体全体がまだ包まれているという感覚から、まだ実の中にいるという判定がくだり、胎児のように呼吸をすることなくちびは生存を可能とした。
なんともいい加減である。

（ｱｯﾀ…ｶ…ｷｺｴ…ﾁ…）

──ご主人！今日のごはんはなんだし？…わーい！うどんだいすきですし！──

自分たちを優しく包む温もり、そして響く声。ちびは確信した。
（ﾏ…ﾏ…?）
なにも見えず動けないが、感じる同族の気配、鼓動、温もり、声。
自分たちを優しく包み、温め、守ってくれる絶対の存在。
自分は“まま”に包まれているのだと。

（ﾏﾏ…ﾁ?）（ｷｭ…）（ｷｭｰ…?）
伝わる温もりと響く声に呼応したかのように、別の殻のふやけたどんぐりからもちびが誕生した。

（ｷｭｰ…ﾏﾏ…ﾁ?）（ｸﾗｲ…ﾁ）（ｷｭｰ…）
腸内で誕生したちび達は、“まま”の気配を探り、手足を動かす。もそもそ、ちたぱた。

──んー？おなか…いたいし…？──

（ｷｭｰ…ﾄﾞｺ…ﾁ）（ﾏﾏ…ﾏﾏ…ﾁ）（ｷｭｰ?）
腸内をノソノソと、まだ未発達な手足を動かし、近くに感じるなにかに向かって進むと、それに触れた。

（ﾏﾏ…?）(ﾅﾆ…ﾁ…？)（ﾏﾏ…ﾁｶﾞ…ｳ…?）（ｷｭｰ！）
ちび達はなにも見えない場所で、手足に触れたそれを本能で理解した。
自分たちは同じ仲間、姉妹だと。

（ｷｭ!…ｵﾅｼﾞ…ﾁ!）（ｵ…ﾈｲ…ﾁｬ…ﾁ?）（ｷｭｰ?ｷｭｰﾝ!）
ちび達は触れた“仲間”と本能で手や足、しっぽで互いの存在を確かめ合う。もちもちを試み、互いを手足で抱きしめあう。

（ｲﾀ…ﾁ！）（ｷﾞｭｰ!ﾁ!）（ﾓﾁ…ﾓﾁ…ﾁ!）（ｷｭｳ!）
腸の中でちび達のたぬき玉が形成された。それがたぬきの不調の始まりだった。

 
　この腸の持ち主のたぬきは、よくうどんを与えられていた。
先ほどの食事で咀嚼され、消化されどろどろになったうどんは、その栄養を吸収するために腸へ送られる。

（ﾅﾆ…ﾁ?）（ﾄﾞﾛﾄﾞﾛ…ﾁ）（ﾓﾁｭ?）（ｷｭｰﾝ?）
消化されたどろどろのうどんは、腸のちび達と同じところに流れ着いた。当然ちび達の全身はうどんにまみれた。
（ｷｭｳ…）（ﾍﾞﾄﾍﾞﾄ…ﾁ）（ﾑｷﾞｭ…）（ｷｭｷｭｰﾝ!）
未知の感覚にあるものは戸惑い、あるものは興味をしめした。そして、その“どろどろ”はちび達の口にも入った。
（ｺﾞｸﾝ…ﾁ）（ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ…ﾁ）（ﾝｷﾞｭ…）（ｷｭｰﾝ?）
どろどろに消化されたとはいえ、たぬきたちにとって特別な意味を持つ“うどん”
ちび達に認識はまだできなくても、たぬきの遺伝子に刻まれた食べ物。それを全身にあび、口にしたのだ
（ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ…ﾁ!）（ｺﾞｯｸﾝ…ﾁ）（（ｷｭｰﾝｷｭｰﾝ!!））
産まれて初めての食の喜び。それがうどんだったのだ。ちび達はそのどろどろをむさぼりすすった。
うどんの刺激を受けたちび達は腸の中ですくすく育っていった。

　定期的に与えられるどろどろ。それらを摂取していくうちにどんぐり程度の大きさだったちび達はとんでもない速度で成長し、倍以上になっていた。
当然、腸内でそんなサイズのものがちび玉になって固まっているため、通常の腸の働きは阻害される。

──ぽこーし…ぽこーし？ふんし！…ふんし！！うんち…出ないし…──

蠕動運動により流されることもあるが、大腸のあたりで大きくなったちび玉は詰まってしまった。

“まま”の温もり。声。うどん。そして──便秘によるションボリ。
それらの要素はますますちび達を成長させ、ちび達は指人形ほどのサイズになり、もはやちび玉を解除しても腸の働きを阻害する大きさになっていた。


──それじゃ…優しくお願いしますし…──
（ｷｭｰ?…ｷｭｰ!!）

　ある日、自分たちを包んでいる感触が急に自分たちを圧迫してきたことがあった。ちび達は産まれて初めての不快感に本能で抗議した。
（ｵｺｯﾀ…ﾁ!）（ﾀﾞﾒ!…ﾀﾞｼ!）（ﾀﾞﾇｰｯ!）（ｷﾞｭｰｷﾞｭｰ!）
自分たちを押さえつけし、どこかに追いやろうとする何かに対してちび達は、じたばたやダヌー癇癪をした。

──うーんし…あたっ！いだだだだだっ！お腹いたいですししぃ！！──

何度か同じような事があったが、じたばたすることでその現象は止まった。


“まま”に包まれ、どろどろを食べて、姉妹たちとたぬき玉になり眠る。そんな温かい日々が永遠に続くとちび達は信じていた。
しかし、そこは大腸。消化された食べ物の栄養を吸収する器官なのだ。

（ｶﾗﾀﾞ…ｲﾀｲ…ﾁ?）（ｺﾞｯｸﾝ…ｼﾀｲ…ﾁ）（ｷｭｳ…）
大腸にとどまり続けていることで、腸がちび達から水分を吸収していたのだ。
消化されずに腸に入った異物は、そのまま便として排出されるが、ちび達は大きくなりすぎて詰まってしまっている。
便秘の人の便は、腸がさらに便から水分を吸収してしまい、カチコチになってしまう。
通常のちびならば、外気や他の刺激を受けた肌や皮膚が、もちもちではあるがある程度の硬さになる。
しかしこのちび達は、外気に触れたこともなければやわらかい内臓の中育ちの為、おなじやわらかなもちもちしたちび同士の刺激しか受けたことがない。
その柔らかすぎる皮膚は簡単に腸へ体内の水分の流出を許してしまう。
（ｷﾞｭｵ…）（ｶﾗｶﾗ…ｼ）（ﾔﾀﾞ…ｼ）（ｷﾞｭｷﾞｭｳ…）
ちび達はせめてもの抵抗として、じたばたをしようとするも、水分が抜けている身体はもはや満足に動けない。
（ﾐﾅ…ｲｯｼｮ…ﾁ）（ｷﾞｭｰ…ﾁ）（ﾏﾏ…ﾏﾏ…ﾁ）（ｷｭ…ﾏﾏｰ…ﾁ）
よわったちび達はなんとか集まり、ちび玉を作った。姉妹同士でくっついたことで安心し、ちび達は眠りにつく。まだ見ぬ“まま”の夢を見ながら。


──…ふんし！せーの…ふんし！！──
（ﾏ…ﾏ…）
“まま”の声が聞こえる。いつもより大きな声。
まるで弱っている自分たちを励ますような。
──ふんし！…ふーんし！──
まま…まま…会いたい…助けて
ちび達は“まま”の声に答えるべく、その欲求をうまれて初めて口から発した。
「「…ｯ…ｷｭｰ！」」
はじめての鳴き声。

“まま！”ちび達はここだし！たすけてし！

しかし声として空気を出すということは、空気を吸わなければいけない。
「「ﾝｷｭ…ｷｭｸﾞ!?」」
そこは腸内。消化物と腸内菌により発生したガスや汚物の漂う空間。
「「ｷｭ…ｶﾞ…！ｶﾊｯ…」」
生命の危機に瀕したちび達は鳴き声を出すことで呼吸せざるを得なくなり、今まで自分たちが育った環境の空気がトドメとなり、死んだ。
そして─

「ぽこぉ…じっ！？」バビディ！




「うう…ﾋｯ…ﾋｯ…ちび…ちびぃ…！！」
たぬきがうんこ、もというんこちび玉の前で泣いている。しかしちびに縋り付かないその辺の線引きはきっちりしてるようだ。
「せめて埋めて墓でも作ってやるか…」
「…し…ごめん…ごべんじぃぃぃぃ！！！ちびぃぃぃぃ！！！！」

正直、うんこちびなんてトイレに流してしまいたかったが、泣いているたぬきにも悪いし、配管が詰まる恐れもあるので庭に埋めてやることにする。

「ごめんし…ごめんしぃぃ…！」
「どんぐりがたぬ木の実になってたなんてわからないって。それにお前が拾わなくても鳥やほかの動物の餌になってるよ」
なだめながら庭に来たがまだ泣いている。拾ってきたとかじゃなく正真正銘お腹を痛めて産んだちびだもんな…

周辺に木や植物のないところに穴を掘り、うんこ達を埋めようとちびを乗せたトイレシートを見ると、うんこ玉がわずかに揺れていた。
「ん…？まさか…生きて…？」
「…ちび？」
確かめるために割りばしでうんこ玉をつつくと、ちび玉のうんこがすべて崩れた。
どれも生きている様子はないが、その中心にそれは居た。
「…ﾝ…ｷｭ?」


～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

　ちび達が身体の水分を吸われ、弱りながらたぬき玉を形成しようとしているとき、あるちびが気づいた。
（ﾏﾀﾞ…ｲﾙ…ﾁ?）
そこには殻が消化されずにまだ残っていたどんぐりがあった。そのどんぐりは普通の木の実ではあったが、
水分を吸われ命の危機にさらされているちび達のションボリが集まり、ちびが宿ったのだ。

（ｷｭ…ﾀｽ…ｹ…）（ｲ…ﾓｰﾄ…ﾁ!）（ｷﾞｭ…ﾁ）（ｷｭｰ…!）
ちび達は、その産まれかけのちびどんぐりを中心とし、たぬき玉を形成した。
たぬき玉は一緒になって安心して眠る時や、外敵や寒さからちび達が身を守るために形成される。
その時一番安全であったかい中心になるのは、一番ちいさなちびや、弱っているちびになることが多い。
これは、弱い個体を守ろうとする本能で行う行動なのだ。

（ﾏﾓ…ﾙ…ﾁ）（ｲﾓｳﾄ…ﾁ）（ﾊﾅｻ…ﾅ…ﾁ）（ｷｭ…!）
偶然が本能で感じたのか、ちび玉に包まれたことで中心のちびは、腸による水分の吸収から免れたのだ。

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

「ｷｭ…？ｷｭｰ！」
うんこ玉の中心にいたちびは、初めてみたたぬきを“まま”と認識した。
ﾄﾃﾄﾃとﾉｿﾉｿと、自分を守ってくれた姉たちの屍を乗り越え、“まま”のもとへと向かう。
「あぁ…！ちび…！」
しゃがみこんだたぬきの足元に近づき、初めてのモチモチをしようと、両手を広げたちびがたぬきに抱きつこうとした。
その時。

「…さわるな！！」
「ｷﾞｭｷｭ!?」
たぬきがちびを制止し、大声で拒絶したのだ。
はじめて会えた“まま”にモチモチしてもらえると思ったのに拒絶されたことを感じ取ったちびは、涙目でじたばたし始めた。
「おいおい…せっかく生きてたちびなのに…」
「…だって！うんちまみれだし！臭いし！汚いし！」

そう。腸内で育って動き回ったちびに守られ生まれたちびも、当然うんちまみれである。自分が汚いと言われたちびはショックを受けたようだ。
「ｷｭｳ…ｷｭｴﾝ!ｷｭﾜｧｧｧﾝ!」じたばたじたばた
「あーあー…そんなに暴れ回ったら…」
「ｷｭｴｪｪ…ｷﾞｭｷｭ!?」ｽﾞﾎﾞｯ
眼を閉じ暴れまわりながらじたばたしていたため、姉たちの屍うんこに身体を突っ込んでしまった。
「ｷｭｳｳｳ…ｷﾞｭﾜｧｧｧｧｧﾝ!ｷﾞｭｹﾞｯ…ｷﾞｭｵｯ!?」
汚物に身体を突っ込んだ不快感からか、さらに激しくじたばたしてしまい、崩れたうんちに顔をふさがれてしまった。
「ｷｭ…ｷﾞｭ…ｹﾞｯ…ｶﾊｯ!」
あまりの臭いと不快感により、生きていたちびも姉たちのあとを追ってしまった。

「あぁ…！？ちび！ちびぃ！？あぁぁぁ！ごめんし！ごめんしぃぃぃぃ！！！」
洗ってやればよかったかな…？なんて思いながらうんこ達を埋める準備を進めようとすると、足元が濡れていた。
たぬきがショックのあまりおもらしでもしたか？と思いたぬきの方を見ると、たぬきの足が血に染まっていた。
「おい…たぬき血が出てるぞ！どっかで切ったか！？」
「ちびぃ…ちびぃ！…し？」
よく見るとたぬきの血は足からの出血ではなく、太ももから滴っていた。
「もしかして…おいちょっとこれでお尻拭いてみろ」
「し？…（ﾓｿﾓｿ）しぃ！！真っ赤だしいぃ！！」
「あーやっぱりかー…」
　
　うんちよく大きく、水分を吸われ硬くなったちび玉をあんな勢いで発射したらそりゃ裂けるよなぁ…
「じぃぃぃぃぃぃぃぃ！！痛くなってきたしぃぃぃぃぃぃぃ！！」
「やっぱり病院いくか」
「じぃぃぃぃ！！お尻がドキドキしてるしぃぃぃぃぃ！！」

　その後、たぬきの病院で診てもらい出血は納まったものの、しばらく固形物を食事に与えることが禁止され、傷がふさがるまで処方された軟膏を肛門に塗ることになった。


「うーんし…うーん…し…あたっ!?（ﾎﾟﾃｯ）」
たぬきが自分の肛門に薬を塗ろうとしているが、何度やっても失敗し、でんぐり返ししている。
「だから最初から塗ってあげようか？って言ってるのに…」
「たぬきにだって羞恥心はありますし…しょうがないから頼みますし…」
ゴム手袋をして、たぬきを四つん這いにさせてスカートをめくる。
「…いやーんし///」
なんか腹立つな…
「ほら尻尾上げて」
「三回出たし？」
「うるせぇ」ｽﾞﾎﾞｯ
「っ！！じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ！！！！」

おしり