「食用たぬき親子5匹詰め合わせ」
…なんて物を貰った良いが、どうやって処理しようか悩んでいる。

「人間さん…たぬき達を飼ってくれるんだし…？」
「ｷｭｰ?」
「ﾀﾆｭｰ…」
「ｷｭｰﾝｷｭｰﾝ」
「ｶｲﾇﾁ!ｶｲﾇﾁ!」

飼い主と勘違いされてるけど、飼う気はさらさら無い。
けど、せっかくの食用なんだから美味しく食べてやろうか。
早速食用たぬきのレシピを調べよう。ええと何々…

“豆たぬきの土手煮”
“たぬきの丸ごと塩釜焼き”
“子たぬき刺し”
“たぬき頬肉の赤ワイン煮”
“ローストタヌキー”

目移りするものばかりだが、一番目を引いたのが“ローストタヌキー”だった。ダジャレじゃねぇか。
しかしレシピを見れば、たぬきの親子両方を使うみたいなので丁度良い。
一度で全部処理出来るならそれに越した事はない。早速準備に取り掛かろう。

まずは親子たぬきを冷水できれいに洗浄する。
流しだとちょっと狭いから風呂場でやる。

ジャブジャブ
「ひぃぃぃぢべだいじぃぃぃぃ！」
「ｷｭｨｨ!ｷｭｨｨｨｨ!!」
「ﾀﾞﾆｭｩｩｩ!!」

あまりの冷たさに我慢出来ないたぬきは親子揃ってジタバタしている。

ゴッ
「ﾌﾞｷﾞｭｩｪ!!」

水が飛び跳ねるからやめろ、と言わんばかりに親たぬきを殴りつけてやった。
よく洗ったら台所に戻り、ちびたぬきを胡椒と数種類の香草とオリーブオイルを混ぜたボウルの中で揉みながら下味を付ける。
親たぬきは別のボウルに入れて塩コショウで下味を付ける。

「だぬー…だぬー…」
「ｷｭｰﾝ…」
「ｷﾞｭｴｴ…ｷﾓﾁﾜﾙｲﾁ…」

冷水並の不快感でジタバタしたいだろうが、殴られた母親を見て学習したのか誰もジタバタしなかった。
下味を付け終えたら次は親たぬきの中にちびたぬきを入れていく。オラ股開け。

「いやーんし…」

やかましい。そう言っていられるのも今のうちだからな。今からちび共を胎内回帰させてやる。
まずは1匹目。

ﾐﾘﾐﾘ…ﾌﾞﾁﾌﾞﾁ…
「いっいぎいぃぃぃ！痛い痛い痛いしいぃぃぃぃぃ！！」

我が子で処女喪失した気分はどうだ？感想を述べよ。
2匹目。

ﾐﾘﾐﾘﾐﾘﾐﾘ…
「あぁぁああぁ！！抜いて！抜いてしいぃぃぃぃぃ！！」

お前じゃ抜けねぇよ。
3匹目。

ﾐﾁﾐﾁﾐﾘﾐﾘ…
「やだしぃ…やめてぇ…し…もう入らないしぃぃ…」

もう限界なのかよ。4匹も入れない不良物件がよ。

「ﾝｰ!!ﾝﾝﾝ−!!」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

3番目に挿入たちびは親たぬきの体内に入りきれず、親たぬきのまんまんから下半身だけはみ出した状態でジタバタしている。
目に毒なので俺は満員電車に客を押し込む駅員をイメージしながらはみ出し者のちびをフィストで押し込んだ。

ﾐﾘﾐﾘﾐﾘ…
「＿＿!!＿＿＿!!!!」
「あっあっあーっ！あーっ！！何か入って来るしぃぃぃ！！！」

すっぽり入ったのを確認したら、きたないたぬきのまんまんをタコ糸で縫う。

ﾁｸﾁｸ
「いっ！？いたたたたたしぃ！！」

それと親たぬきが暴れない様に手足もタコ糸で縛る。
（ダルマにしても良いが、手際の良さを求められる上級者向けらしいのでやめておく）

「やめてし…たぬきにそういう趣味は無いしぃ……」

俺もねぇよ。ていうかお前ここまでやられて自分が食われるって理解してないのか？

「え？…し……！？」

えぇ…

「ﾓｳﾔﾒﾃﾁ!ﾏﾏｶﾞｶﾜｲｿｳﾀﾞﾁ!!ﾀﾞﾆｭｰ!!」

そう言えば最後に唯一喋れるちびが余ってたな…仕方ないのでこいつは親たぬきの横に添えてやるか。
身動きが取れずにうねうねとジタバタする親たぬきをグリルパンに乗せ、先にオーブンの中にセットする。

「ﾏﾏｰ!ﾏﾏｧｰ!!」

ほら次はお前だ。はぐれないようにママと一緒に居るんだぞ。
余ったちびの尻尾を摘んでママのもとへポイッと…あっ…

ﾋﾟﾀｰﾝ
「ﾌﾟﾋﾟｪ!!」

顔から行ったな…あーあ泣いちゃった、ごめん。

「ｵｶｵ…ｲﾀｲﾁｨ…ｴｰﾝｴｰﾝ…」
「ちび、もう大丈夫だし…ママがついてるし…」ｳﾈｳﾈ

その姿でそんな事言っても説得力に欠けるぞ？
まぁいいや、オーブン閉めるぞ。

バタン
「だぬ！？」
「ｷﾞｭ!?」

しまった。俺とした事が予熱を忘れていた。
予め220℃で20分予熱しておく必要があったのに…仕方ない。220℃の90分ぶっ通しで焼こう。
タイマーのダイヤルを回して、いよいよ調理開始。

「…し？なんだか熱くなってきたし…」
「ｱﾁｭｲﾁ…」

後は15分おきに様子を見る。焼き加減もそうだが火事になってはいけないからな。



「あぁぁ熱いしぃ！！熱いしぃぃぃぃぃぃ！！」
「ｷﾞｭﾜｧｧｧｧｧｧｧ!!!!」
「あっぎぃぃぃぃ！！ああああ！！あああああ！！！！」ｳﾈｳﾈ

10分後、オーブンの中では親たぬきがグリルパンの上で身体を激しく波打たせていた。
髪の毛と尻尾、その他体毛がチリチリと音を立てて焦げ付いている。
本来なら事前にたぬきの体毛は全て取り除かないといけないのだが、それを怠った男の無知が親たぬきを一層苦しめた。

「あああ！燃えるしぃ！！たぬきの、毛！！毛ぇぇぇ！！」
「ｷﾞｭｩｩ…ﾀﾞﾆｭｩｩｩ…」

焼かれながらもパニックを起こす親たぬきを尻目に、ちびはオーブンの窓ガラスにへばりついていた。
ちびなりに、精一杯力を込めてオーブンの扉を開けようとしていたのだ。

「…ｱｹﾃﾁ…ｱｹﾃﾁｨ…」ﾓﾁﾓﾁ

しかし所詮はちび。
虫にも劣る力で押そうとしても扉はビクともせず、やがてオーブンの窓ガラスをもちもちと叩き始めた。

「ｱｹ…ﾃ…ﾁﾞ…ﾁﾞﾁﾞ…ﾁﾞﾁﾞﾁﾞｨｨｨｨｰｯ!!」

ポッと音がしたその時、ちびの髪の毛が発火した。
発火性の高いたぬきの体毛、特に全身に熱が通りやすいちびの小さな身体である。
火はあっという間にちびの全身を包み込んだ。

「ちび…！？ちびぃぃぃぃぃぃ！！！」ｳﾈｳﾈ
「ﾋﾟｨｨ!!ﾋﾟｨｨ!!ﾋﾟｲｨｨｲｲｨｨｨ!!!!」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

火だるまになったちびが聴いた事の無い悲鳴を上げた。
ジタバタした所で火は消えないが、たぬきの本能がそうさせた。
たとえ無駄だと分かっていても、ジタバタしてしまうのがたぬきである。
既に親たぬきも体毛は残さず焼け焦げ、内蔵も熱で焼き尽くされていた。

「…だぬ゛…ぎ…が……な゛に゛…………を゛」

それ以降、たぬきの悲鳴はぱったりと途絶えた。



さて、15分経ったし様子でも見てみるかな。

ガバッ

…この木炭みたいな物体はちびなのか？
親たぬきもなんか臭いし…何か間違ってたかな？
まだ焼き始めて15分しか経ってないのに大丈夫かこれ。
まぁ食材にも当たりはずれあるんだし、今回のははずれだったんだろう。
自分にそう言い聞かせながらオーブンを閉め、次の15分を待った。



後日談

・親たぬきは身体の半分以上が炭化して食えなかったが、中に詰め込んでいたちびは大丈夫だった（味のしない豚の角煮のようなものだったという）
・炭化したちびは脱臭炭代わりになるかなと冷蔵庫で試したら余計に臭くなったので捨てた