ネァ・ミルセ [大浴場2]
談笑が繰り広げられている後ろをしれっと通り過ぎる。
177cmと背の高いエルフだ。洗い場で長い髪の毛を丁寧に洗う。特別なことはない。ごく普通の浴場の利用客である。
ネァ・ミルセ [大浴場2]
美女ではあるが、まあエルフなのでだいたいは美女だ。
それだけ。あとは世は並べて事もなし。
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
人の密集地帯を避けて奥の方へ来る小さな人間
ここにも1人いるがまあいいか
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
む。良い体をしている
刺青を入れているのもあってか、やたらと艶めかしく見える
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
とはいえここでじっと見続けるのもマナー違反
目線を切り距離を取ってゆっくりと湯へ
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
ふぅ……
拳に薬湯が染みる
ネァ・ミルセ [大浴場2]
視線の先で洗い場に置かれた椅子に腰掛けたエルフが髪の毛を桶に汲んだお湯で洗っていた。
腰を過ぎて尻のあたりまでかかるような長い髪だ。身体の前に回し、お湯で濡らしては整髪料を少し塗って擦っていた。
ネァ・ミルセ [大浴場2]
湯船の方には背を向けている。髪の毛を前に回しているせいで背中ごと裸身が顕になっている。
エルフとしても大柄な方だろう。かなり均整の取れた身体をしていた。肌は白く、浴室の熱気で仄かに火照って赤みを増している。
ネァ・ミルセ [大浴場2]
肌の表面には複雑な模様をした緑の入れ墨がまるで女の肌をキャンバスにしたみたいに広い範囲に渡って彫られていた。
何らかの魔法使い。あるいは、何らかの故郷の因習に従っているもの。それが魅力的かどうかは見る者の美観次第だろう。
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
エルフが後ろを向いているのを良いことに、
眼福眼福と濡れた長髪と背を視界に収めている
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
背が高い
…いいよなぁ、エルフは。小さいエルフはあまり見かけない
種族柄も大きいのだろう
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
刺青に関しては悪くないと文様をぼーっと見ている
ネァ・ミルセ [大浴場2]
長い時間をかけてようやく長い髪の毛を洗い終えたらしい。引き千切れないようこれまた丁寧に塗れた髪へ優しく櫛をかけている。
髪の毛を軽く畳んで纏めると、身体の方は髪と違っててきぱきと軽く洗って済ませていた。
洗うのに利用した道具をかき集めると、ひたひたと濡れた足音を微かに響かせながら浴槽の方へと歩いていくる。
ネァ・ミルセ [大浴場2]
積極的に身体を隠そうとはしないが、かといってわざとひけらかすような素振りでもない。冒険者の貞操観念においてはよくある程度の感覚だ。
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
とと、と背から正面へと移ったので良いタイミングだと遠くの方(大浴場1)に顔を向ける
ネァ・ミルセ [大浴場2]
逸れた視線の死角でちゃぷんと湯船に人間大のものが沈み込む音がした。
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
特に隠さぬその様子から色事を生業とする者、あるいは冒険者なのではとあたりをつける
ネァ・ミルセ [大浴場2]
「……………………………」
小さな溜め息がひとつだけ聞こえたあとは静かになった。
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
気安く雑談を楽しむタイプでもなさそうだ
声をかけても鬱陶しがられそうと自身も入浴の方に集中する
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
湯気でそこまで見通せないが、あっちはあっちで楽しそうだな
気まずいんで混ざる気はないが
ネァ・ミルセ [大浴場2]
「……………………………」
こうして浴場の一角は……人間の少年とエルフの女がただただ黙ってお風呂に浸かっている空間となってしまった。
風呂場なんだからそれでいい? そうですね。
ヴェニイ・リージュ [大浴場2]
そうだねx10