【退廃前後ホテル「ゴルゴ田」跡の一室:ダメージド、スノードロップ】 「ピガーッ!?」スノードロップは悲鳴を上げ痙攣!腹部からの電磁ショック、ダメージドの手には改造スタン警棒が握られていた。 インシステントの爆発四散跡から持ち去ったものだ。いかにニンジャソウル憑依者とは言えウキヨ、機械の身体の構造的弱点までは変えられぬ。 最大出力の電圧がスノードロップの回路を焼き切る直前に、ダメージドは警棒を放り捨て、スノードロップをエンハンスされた剛力でホールド! 額を突き合わせる。「カーッ!」「ンアーッ!?」カラテの輝きが弱まったスノードロップの瞳に、ダメージドのジツがゼロ距離で注ぎ込まれた。 スノードロップはダメージドの腕の中でガクガクと痙攣し、やがてだらりと脱力する。ダメージドは頬を寄せ、その髪を撫でた。「ア……アア……」 「おれの勝ちだよマツユキ=サン。ごめんね」 スノードロップの自由は完全に奪われ、言葉も満足に話す事ができない。唯一瞳だけは右往左往する。「今度は意識あるよね?色々加減が効くんだ このジツ、沢山試したからね」 ダメージドは屈み、スノードロップの背中と太腿に手を回し軽々抱き上げると、オブジェと残骸に囲まれたベッドに悠々と向かう。整えられたシーツ の上に丁寧に横たえた。 その上に膝立ちで跨り、顔の横に両手を着き覗き込む。穏やかに微笑むその瞳は、人ならざる愉悦と暗紫色に輝く。 「マツユキ=サンもニンジャなら壊れると……死ぬと爆発四散するのかな。嫌だな」ダメージドはスノードロップの両頬に手を添え、憂わしげに呟く。 「少しずつゆっくり、優しくするよ。なんだか初々しくていいね、恋人ぽくって」「……!……!」スノードロップは全力で抵抗しようとした、 だが無駄だった。全身にまるで力が入らず、吐息めいた音が喉から漏れるだけだ。 「もうじき喋れるようにはなるから。痛かったら我慢しなくていいからね」スノードロップは大抵の苦痛も陵辱も、それこそ破壊寸前まで痛めつけられては 修復される地獄も既に経験している。 どれだけ恐怖と耐えられぬ苦痛を伴い、最後は完全に破壊されるとしても、行為そのものは想像と経験をさほど逸脱しないだろう。だがそれは自我なき道具に 徹した時の話だ。存在として興味のない者が相手であれば猶更だ。 見知らぬ他人がただ家具や家電が使っているのと何も変わらない。意識を切り離し時間が過ぎるのを待つだけだ。その思考停止の殻はスノードロップの 自我の最も奥深い部分だけは守ってきた。だが今は、今目の前にいる存在は。 既にスノードロップの、ひとりの女の自我は泣き叫んでいる。今まで一度も経験したことのない、張り裂けるような痛みが胸の内から手足の先まで根を張り、 狂い回る。今からスノードロップは、外と内から引き裂かれ、完全に壊される。唯一自由な瞳からはとめどなく涙が溢れ出る。 ダメージドはスノードロップの上着に手をかけ、たくし上げた。平坦なバストが露になる。雪のような白い肌。淡く色づいた先端とその周囲。「すごく、キレイだ」 漏らすような吐息。 唇と舌で、ほんの僅かな膨らみながら吸い付くような弾力のオモチシリコンの感触を感じながら、左の突起を咥え、挟み、転がす。指と掌は右の輪郭を撫で、 弾き、包み込む。交互。(嫌) やがて唇は白い肌を啄みながら上へ、鎖骨、喉、顎筋、そして首を持ち上げ左の傷痕。オモチシリコンの裂け目をなぞり、冷たいクロームを舐め上げる。 舌と鼻腔に広がる鉄の味と匂いにダメージドは身震いした。そして唇へ。バストを揉みしだいていたもう片方の掌は腰をなぞり、下腹部へ向かう。(お願い) 感触を味わうようにゆっくりと強弱をつけ唇を押し付ける、吐息の熱。やがてその間に舌が捻じ込まれる。歯茎、上顎、舌……絡み、動き回る口腔内に広がる熱と 体液。二度目の体験……一度目に感じた胸を満たす温かな感覚との対比にスノードロップは泣き続ける。(こんなの) 同時にダメージドの片手はスノードロップの下腹部から脚の付け根に。他の指が裂け目を押し広げる中央、中指の根本から腹は僅かな突起を擦り、押し付け、 第二関節までが沈み込み内側の人工粘膜を貪る。やがてダメージドは唇を離すと、スノードロップの両脚を大きく開き、深く身を寄せた。身体の芯が触れる 感触、脈拍、熱。(やめて) 「マツユキ=サン」ダメージドはスノードロップをこじ開け、侵入した。 ◆◆◆ 「……!!」「すごい」振動、息遣い、汗のにおい……「アッ」「……っ!」「……マツユキ=サンもわかった?今おれ」ジツの弱まりかけたスノードロップから 声が漏れだす。熱いものが内に広がる……「イヤーッ!」「ンアーッ!」絡め合わせた両手の指に、ダメージドは万力の如き力を籠める。スノードロップの両掌は 歪にひしゃげ、十本の指はあらぬ方向に折れ曲がった…… 「痛い……痛いぃ!」ギリギリと音を立ててスノードロップの両腕を締め上げるダメージド。圧壊しかけた二の腕からは歪んだ内部フレームが覗き、スパークする。 「イヤーッ!」「ンアーッ!」引き千切る…… 鎖骨付近に突き立てられたスタン・ジュッテ。低電圧。「アッアッアッアッ」「カワイイよ」……背後から揉みしだかれていた平坦な胸に深々突き刺さる爪。 「イヤーッ!」「ンアーッ!」ブチブチと音を立て剥がされたオモチシリコン…… 「アアアーッ!アアアーッ!」剥き出しの胸部フレームに音と煙を立てて垂らされる硫酸。絶叫。「すごい、内側まで響くね。いいよ」……「……あ」暫し意識を 失っていた。目の前には腕枕をするダメージドの笑み「がんばったねマツユキ=サン、じゃあ脚」…… 「ぁ……」「フゥーッ……!」虚ろな目、シーツの上で芋虫めいて濡れ蠢く塊。両脚は太腿の付け根から切除されている……「……お……がい……ろして」腹部に 突き立つ数本のドス・ダガー。その1本を掴み、ヒラキめいて大きくスライドさせる。「イヤーッ!」「ピガーッ!?」…… 「……マツユキ=サン?」「……」反応なし、ダメージドはベッドごと貫通するカタナを力強く捻じ回した。「イヤーッ!」「ピガーッ!」…… 「イヤーッ!」「ピガーッ!」「イヤーッ!」「ピガーッ!」「イヤーッ!」「ピガーッ!」「イヤーッ!」「ピガーッ!」「イヤーッ!」「ピガーッ!」…… ……「ピガガガガガ」…………「……ッ…ガ」……「愛してる」……「ガ」……………「マツユキ=サン」…………「…………」…………………「嗚呼」…………… ………… ◆◆◆ 朝を迎え、日が暮れ、再び朝を迎え……どれだけ時間が過ぎたか。窓のない密室の薄暗い電灯は何も変わらない。 周りを囲む伽藍洞の表情のオブジェと残骸たちに見守られる、何度も濡れては乾き、乱れきったズタズタのシーツの上。元は何の形をしていたかも判別しかねる、 パーツとも呼べぬ大量の金属片と細切れのオモチシリコンの屑が散乱する。その中央、アグラするダメージドはボール大の物体を抱え、穏やかに目を細め口付ける。 ぶらぶらと垂れ下がる脊髄ユニットと共に、白と黒のモノトーンの長い髪の毛が揺れていた。