「うーん、カラスと組み合わせると面白そうだね」 「そ、そうですね……。特にこのカードと合わせると、面白そうな動きができるかも……」 ある日のカードショップ「はなぶち」のブースにて向かい合わせに座っている二人の男女がいた。 男の方は痩躯の高校生の耐反浪漫であり、女の方は中学生の烏野鑑であった。 そしてその二人の間にはプリントされた用紙───今度新しく発売される新パックのカード一覧が印刷された物があった。 「やっぱり一番気になるのはこのインターステラだね。コイツはカラスをエースとするボクにとって非常に可能性を感じる一枚だよ」 鑑が指を指したカードは水/闇のSRクリーチャーである≪偽りの月 インターステラ≫であった。 「cipで7マナ以下の水か闇の呪文を踏み倒し……そしてATで超次元から無条件で呪文踏み倒し……今までにないカードですね……!」 「更に言うとコイツをカラスと組み合わせが楽しそうなのさ!cipの範囲内にインフェルノ・ポータルが入っているからインターステラを出して即座にカラスに繋げられる!そしてカラスのcipでお互いに手札を超次元ゾーンに送るけど相手にはマッドネス不可のハンデスになりこちらはインターステラのATの弾の補充になるからより強くなる!」 「そ、その場合……2Tライフ3T繁栄の鏡で2-4-7の動きをしつつ……カラスを墓地に置けますね」 新しいカードを前に色々と議論をしているが、元々二人とも大型クリーチャーが好きという傾向が似通っていて話が弾んでいた。 鑑は元々社交的で誰が相手でも基本的に関わっていく正確であり、浪漫も最初は非常に慣れない態度を示していたものの、デュエマや厨二病趣味などの共通の話題もあって何度も会話しているうちに打ち解けていった。 「その2-4-7の動きが一番理想なんだど再現性はどうなんだろう……上手く3T目にカラスを引き込めるかだね」 「そ、それなら……この≪レインボー・マップ≫は……どうでしょう……?1マナで上4枚から……多色生物をサーチ出来ます……」 「なるほど、1T目に撃てば2-4-7の動きを阻害せずに済むしカラスもインターステラもサーチ対象だから悪くない」 「あと……フィニッシュ手段はどのような形を……想定していますか……?」 「まずさっき言ったようにインターステラからカラスをリアニさせて相手の呪文をハンデス。そして次のターンにナスロイチャなどで2枚目のカラス埋めてから1枚目のカラスでワールドブレイクし、次にインターステラのATで最初に撃ったポータルをもう一度踏み倒して2枚目のカラスをリアニ、ブレイクしたシールドをまた超次元に埋めて逆転撃やシノビ対策しつつ安全にダイレクトアタックをいう構想をしているよ。まあ上振れの机上論だけどね」 「ほ、他にもウィニー対策ならギガンティノス……相手が先に大型を踏み倒したら……キーナリーをリアニなどのルートも……ありますね」 鑑の懸念事項に浪漫が解決法を提示したり、逆に浪漫の質問に対して鑑が答えるなどしてドンドンと考察を進めていった。 インターステラ以外にも新しいカードは幾つもあり、≪跳躍の絆≫などそれらについても色々と意見を交わすうちに二人とも大いに盛り上がっていた。 「うん、浪漫さんと話してると色々と思いつくね。さっきの議論を元にプロキシを入れつつデッキを改造してデュエルしてもいいかな?」 「だ、大丈夫です……。その、デッキレベルは……どのぐらいがいいですか……?」 「割とガチ目でお願いするよ」 「で、ではこの青魔導具で……!」 そうして先程の議論で出てきたカードをプロキシを使って組みつつ二人はデュエルの用意をした。 「しかし……ボクはある懸念を抱いてるんだ」 「な、なんでしょうか……?」 「コラボパックのカードだけど……どれぐらいの値段が付くんだろう?」 「それは……とても大きな問題ですね……!」 二人ともまだ学生、特に中学生である鑑は自由裁量で使えるお金が少なく、デッキに掛けられる予算に限界があった。 そして次のパックは前代未聞の大型コラボパックであるため、どれぐらいの需要があってシングルでどれぐらいの値が付くのか予想ができなかった。 互いにデッキのシャッフルをしつつ、自らの財布の中身を想像してはため息をつく二人であった。