:
「ふうん」
:
「資料室がいいんじゃない?」
:
「教祖の部屋も重要な物品ありそうだけど」
:
「どうせ本人は居ない、後にしましょう」
:
「はーい」
:
:
リヴァ :
リヴァ :
「ッチ」
リヴァ :
「魔術行使の足跡しかないじゃない」
リヴァ :
「ここまでやって、両者完全に抜け出したっての?」
レナ :
「両者?」
リヴァ :
「二人よ、それは違いない」
リヴァ :
「明らかに形式が違うからね」
リヴァ :
「黒魔術じみた古臭いのに対して、異様に先鋭化した跡もある」
リヴァ :
「多分、手練れなんでしょうけど…」
レナ :
「…けど?」
リヴァ :
「…」
リヴァ :
「ジュリエッタにパンドラ…まではわかるけど」
リヴァ :
「もう一人お尋ね者がいる記憶はないのよね」
リヴァ :
「…誰が来てるんだか…」
リヴァ :
リヴァ :
緋衣 南天 :
緋衣 南天 :
「ちょっと時間よろしいでしょうか?」
緋衣 南天 :
別れてすぐさま、立ち読みしている少女に声を掛ける
流れの傭兵 :
びく!
流れの傭兵 :
と飛び上がり
流れの傭兵 :
「な、ななななぁ…何の用でしょう~?」
緋衣 南天 :
ジュリエッタから愚痴は聞いており、雑貨屋を集合場に選んだのはそこにいるだろうという推測からだ。
緋衣 南天 :
「いやあ、その… 何をしてるのかなぁ…と思いまして」
流れの傭兵 :
「え、えっとぉ…吟味とか~?」
緋衣 南天 :
「吟味。…それは、漫画や菓子類の…とかでしょうか?」
流れの傭兵 :
「は、はい~…そうですけど」
緋衣 南天 :
「……ふむ」
やっぱサボってんじゃねえかこいつ
緋衣 南天 :
などという気持ちは少し抑えて
緋衣 南天 :
「申し遅れました、私は緋衣南天。…あなたは?」
流れの傭兵 :
「え、えと…」
流れの傭兵 :
「槌永ヒヨリです…?」
緋衣 南天 :
「ヒヨリさん、ですか…ありがとうございます」
「…漫画や菓子類、好きなんですか?」
流れの傭兵 :
「えへへ…大好きですね~」
流れの傭兵 :
「ちょっとお財布がそろそろ心許ないですけど…仕方ないですよね」
緋衣 南天 :
「…私、いい店知ってるのと…」
「後いくつかお金もあるので、よければ一緒にどうですか?」
流れの傭兵 :
「ええ…!?」
「会ったばかりなのに…なんでそんな…怪しい勧誘じゃないんですかぁ?」
流れの傭兵 :
「でも…気になりますしぃ…」
「あの、どういうお店なんですか…?」
緋衣 南天 :
「ほら…ここ最近物騒じゃないですか…」
「そりゃあもう、死ぬほど甘くて美味しいものだとか。そんなスイーツがある店が、ちょうどちょっとした街外れにあるんですよ」
緋衣 南天 :
「どーです?私もちょっと1人で行くのは気がかりだったので、良ければ一緒に…など思いまして」
緋衣 南天 :
ccb<=95 めぼし(1D100<=95) > 57 > 成功
流れの傭兵 :
「えへへ…成程…スイーツ…」
流れの傭兵 :
買い物袋やなんやらだけでなく
大きな何かを入れたケースなどもあるでしょう
緋衣 南天 :
「……」
一度、そのケースに視線を向けて
流れの傭兵 :
「?」
流れの傭兵 :
「行かないんですか?」
流れの傭兵 :
もう行く気である
緋衣 南天 :
「あ…ですね、行きましょうか」
緋衣 南天 :
視線を元に戻して
緋衣 南天 :
スイーツ屋に向かうなどと、アホのような嘘を吐いたまま
おかんむりで待ってるであろう拠点に向かって行くことに
緋衣 南天 :
…耳栓買っておこうかな。
なんてちょっと考えてはいたけども。
ヒヨリ :
そんな行先もつゆ知らず
奢りと言われた時点で既に口がスイーツになってる様子なのだった
ジュリエッタ :
ジュリエッタ :
「買ったもの全部焼くと脅したら観念したわ」
ジュリエッタ :
笑ってない顔でそう言うのだった
緋衣 南天 :
「騙していたのは申し訳ないわ」
「その分協力してくれたら報酬でさっきのやつは…数十倍にして返すので…」
ヒヨリ :
「あは…あはは…」
「やっぱりこの世の中においしい話なんて、無いんですもんね…えへへ…」
項垂れつつ契約書を書かされたのであった
ヒヨリ :
GM :
朝手番特別部です
GM :
誰行きますか
ライナー・ブラウン :
公民館でカドックへ会いに行こう
ノエル :
そして心理学を使おう!
ライナー・ブラウン :
おい…なんで…味方が俺に心理学してくる…?
ノエル :
隠し事があるから…
ノエル :
大丈夫、精神分析も持ってるから!
ライナー・ブラウン :
どこも安心できる要素がない
GM :
では始めますか
GM :
エンブラさん連れてきます?
ライナー・ブラウン :
連れて行かれると俺が墓穴を掘り続けることになる
ライナー・ブラウン :
墓穴掘ってその内埋まりそうな俺を見てニヤニヤしたいならいいが…
GM :
好きな方をば
ノエル :
よし、相談!ぶっちゃけいてくれた方が嬉しい?何かしら一緒に行動してたらパンドラ様への足がかりになるかも知れないけど
ライナー・ブラウン :
いや…俺個人として心理学でバラすってなると思いっきりパンドラへの不信感出すからな…
ライナー・ブラウン :
今のところ絶対関わったらまずい魔術師としてしか俺の視点だと映らない
ライナー・ブラウン :
だがいた方が笑えるなら連れて行ってもいい
ノエル :
よし、笑えそうならそれがいっか!
お願いします上司様ー!!
GM :
ワ
GM :
わかった
GM :
GM :
GM :
公民館に向かうと、普段通りの様子だった
GM :
とはいえ
村外れの若者 :
あまり見かけない人物や
エンブラ :
困った人物がついてきているのを除けばだが
ノエル :
「やっほー!ライナー君、なんかおっひさ〜!」
ライナー・ブラウン :
「…随分気楽だな、そっちは」
ライナー・ブラウン :
はあ、とため息一つ
ノエル :
「いや、正直合流できてホッとしてる…」
ライナー・ブラウン :
「正直、このまま別行動でエンブラさんと一緒に居てくれた方が助かった…」
と、小声で
エンブラ :
「ははは」
ノエル :
「ここら辺に変な連中がいるらしいし?宗教については肝心な情報がなんでか流れてこないし…」
エンブラ :
「久方ぶりに子供の世話の気分を思い出したよ」
エンブラ :
目を細めて
ライナー・ブラウン :
「でしょうね、俺もこいつが遭難したって聞いた時は気が気じゃなかった」
ライナー・ブラウン :
こつんと小突く
ノエル :
「あれ?私縁者全員に子供扱…いたっ!?」
ライナー・ブラウン :
「勝手に夜の山に登って死にかけるなんて子供そのものだろうが」
「いいか、勝手な行動は慎め」
エンブラ :
「夜の山ってさあ…死ぬんだよね」
エンブラ :
「普通に死ぬから」
ノエル :
「あは、あははは…いや、だって…いや、もう言い訳は止めます…運が良ければ帰れるだろ…くらいの考えで生きるのは止めます…」
エンブラ :
「君の運がいいわけがないじゃないか…」
ライナー・ブラウン :
「お前自分の評価高すぎないか?」
「俺より運悪いだろ」
ノエル :
「がはっ」
ノエル :
「ラ、ライナー君ばっかりアイスの当たりが当たってた様な…そんなメモリーがあった気がする…」
ライナー・ブラウン :
「小さな幸運に恵まれることにはお前よりよっぽど自信がある、なんなら今ここでアイスでも買って試すか?」
エンブラ :
まぁ当たるなら私だけど
という顔しながら眺めて
エンブラ :
「それもいいけど、調べ物に来たんじゃないのかい」
ノエル :
「あ、そうそう!私も聞きたい事があったんだった…!」
ライナー・ブラウン :
「ああ、まあ、そうなんですが…」
ライナー・ブラウン :
チラ、と視界に白い髪の男を入れる
ライナー・ブラウン :
(ノエルと鉢合わせなければ色々聞いたんだが…こいつの目の前で村の真相に迫るのはな…)
エンブラ :
「ああそうだ」
エンブラ :
「じゃあ普段は出来ない役割分担する?」
エンブラ :
「私も今は保護者出来るだろう?」
ノエル :
「保護者…」
ノエル :
なんの反論の余地もない
事実保護されているのだから
ライナー・ブラウン :
「そりゃ助かります、こいつの前じゃやりづらい話もありますから」
ノエル :
ぐうの音も出ない有様
これが仮にも大人の姿だろうか
ノエル :
「じゃ、じゃあ…振り分けっていうと…ライナー君があの子に話しかけて来る感じね…?」
ライナー・ブラウン :
「ああ、気を遣ってくれるんなら助かる」
「聞きたいことはまた後で」
ノエル :
「じゃ、ちょっと待ってるからすぐに聞いてきてね〜!」
エンブラ :
「じゃね~」
エンブラ :
「アイスあたり勝負するか」
エンブラ :
食品コーナーに引っ張って
ノエル :
「負けませんよ!今日は行ける気がしたり…うん、あの…やっぱり無理かも──」
ライナー・ブラウン :
それを笑いながら見送る。そしてコートを着直し、見慣れない白い髪の男へと近づいて行く
村外れの若者 :
「うお…」
村外れの若者 :
「…なんですか?」
村外れの若者 :
ちょっと警戒した様子で
村外れの若者 :
その手には買い物籠
買い出しのようだ
ライナー・ブラウン :
「いや、すまん。ちょっと今調べ物をしている最中で色んな人に話を聞いてるんだ」
ライナー・ブラウン :
「俺の名はライナー、ライナー・ブラウン」
「あまりここらへんじゃ見ない顔だが、そっちの名前もよければ教えてくれるか?」
村外れの若者 :
「…」
ライナー・ブラウン :
あまり警戒心を持たせないよう、できるだけ気さくな態度を心がけて
村外れの若者 :
「カドック・ゼムルプス」
「村の…外れに住んでる」
ライナー・ブラウン :
「カドックか、いい名前だ」
「それでだカドック。俺の調べ物についてなんだが…」
ライナー・ブラウン :
「この村、何故か白髪の人が多い。なぜか、というのを調べている。遺伝的だけじゃなく、伝承とかも含めてだ」
ライナー・ブラウン :
「何か知っていることがあれば、よければ教えてくれ」
カドック :
「……な、なんですかいきなり」
カドック :
「…態々そんなことを何故?」
ライナー・ブラウン :
「考古学や遺伝子学について調べている友人がこの村を調べたがっていてな、俺で力になれることがあるならとこうやって足で回って出来る事をやってる」
ライナー・ブラウン :
嘘は言っていない。シュウとくびりの調べ物ではあるからな、と心の中で思いつつ
カドック :
「…………」
カドック :
「……」
カドック :
何かを気にするようにしたのち
カドック :
「あまり碌な話じゃないと分かってて聞いてるのか?」
ライナー・ブラウン :
「知っている。今何を気にしたかもある程度把握している」
ライナー・ブラウン :
ふっ、と軽く笑みを浮かべ
ライナー・ブラウン :
「他のウェンディゴがいないか…ってとこか?」
カドック :
「…ならいいが」
カドック :
「わかってるならいい」
「三田さんは何も知らないし、安心できるからな」
カドック :
「それで…遺伝子、の話か」
ライナー・ブラウン :
「ああ、遺伝子も調べてるのは確かだ」
「まあ、調べてるのは俺じゃなくて今この村に来てる教団の教祖だが」
カドック :
「………アイツか」
「協力者なのか?」
ライナー・ブラウン :
ある程度信頼していい相手…だと思って踏み込む。どうせもう引き返せないところまで自分は来ているのだから、躊躇う必要はない
ライナー・ブラウン :
「そっちの立場次第だな」
「村にとっては敵だが、俺にとっては味方…のはずだ、そう思いたい。カドックは村側か?」
カドック :
「村の人間の味方のつもりだ」
カドック :
「だから、犠牲の伴う風習について味方する気はない」
ライナー・ブラウン :
「それなら仲良く出来そうだ、俺もあの風習をどうにかしたい。特に今回のはひとしおだ」
カドック :
「…ならいいんだが」
「アンタの連れは随分妙な様子だったな」
ライナー・ブラウン :
「ノエルのことか?ノエルには殆ど何も話していない、あのまま無関係であってほしいからな」
カドック :
「そっちじゃない」
カドック :
「あの神官様だよ」
ライナー・ブラウン :
「…ああ、エンブラさんか」
「あの人は俺もよく知らない。俺を拾ってよくしてくれてるんで、疑いたくはないんだが…」
ライナー・ブラウン :
「傍から見れば怪しいのは確かだが、俺はあの人を怪しむ材料を何も持ってない」
「証拠がないのが何よりの証拠になる」
カドック :
「…そうか」
カドック :
「じゃあいい」
「それで、何を聞きたい」
ライナー・ブラウン :
「その前にだ、俺が聞くだけじゃ不公平だろう」
ライナー・ブラウン :
「今この村に迫っている危機について話す、信用できる相手だと信じてな」
カドック :
「大体知ってるつもりだが、話し合えるのは助かる」
カドック :
「…正直二人じゃ人を逃がすのがせいぜいだと思ってたしな」
ライナー・ブラウン :
一瞬目を少し開いて驚きを見せるが、すぐに平静に戻る
ライナー・ブラウン :
「そうか、魔術師が儀式に細工してイタクァを呼び出すかもしれない…ってことも知ってるのか?」
カドック :
「……は?」
ライナー・ブラウン :
「………いや、悪い。ただ、その可能性は高い」
「ただそういう話でもないと、あの魔術師が関わって失敗させる理由がないはずだ」
カドック :
「……なるほど」
カドック :
「悪い、思った以上に知らない部分があるみたいだ」
「そんなスケールなのかよ……」
ライナー・ブラウン :
「なら、一度今の状況について俺の知ってることを話しておく。そっちの方が詳しいことは補足してくれ」
カドック :
「わかった……頼む」
メモ帳を取り出す
ライナー・ブラウン :
「まず…この村の勢力、儀式に関わる村の上層部と、関わってきた嵐と歩む者。そしてさっき俺が言った儀式に関与している魔術師。さらにもう一つ…"治安維持"を目的とする武装組織」
ライナー・ブラウン :
「このうち村の儀式の成功を願うのは村の上層部だけだ。他の勢力が大きすぎるから、今年の儀式はほぼ必ず失敗すると見ていい」
ライナー・ブラウン :
「…問題になるのはそれぞれの目的だ。嵐と歩む者はウェンディゴの遺伝的欠陥をどうにかするために、今年の巫女…なんの欠陥も存在しないねむを調べたいがために、自分らの側に引き入れたい…らしい」
ライナー・ブラウン :
「だが他がわからない。教祖曰く、魔術師は儀式に細工をしてイタクァを呼び出すようにしてる可能性があるらしいんだが…その魔術師も儀式の失敗を目的に行動してる」
ライナー・ブラウン :
「"治安維持"の連中は儀式の失敗が目的なのは確かだが、かなり過激だ。もし穏便に済ませられなかった場合、全員銃殺して済ませに来る危うさがある」
ライナー・ブラウン :
「…こんなとこか?」
ライナー・ブラウン :
話しきった後、ふうと一息入れる
ライナー・ブラウン :
「イタクァとか、ウェンディゴとかはそっちの方が詳しいから言うまでもない…よな?」
カドック :
「…それは、そうだが」
カドック :
「申し訳ないがこれは正直とんでもない状態だな??」
ライナー・ブラウン :
「ああそうだ、正直かなり困ってる」
ライナー・ブラウン :
「だから、こっちもまず聞きたいことを整理させてくれ」
ライナー・ブラウン :
「カドック、祭祀場の奥の神域を管理してる古びた血筋ってのは誰のことを指してるか知っているか?」
「俺はどうにかして、祭祀場から神域に行く必要がある。出来れば、協力を仰ぎたい」
ライナー・ブラウン :
(…村長の血筋以外にいればいいんだが)
カドック :
「…今はほぼ村長の家のものだが」
カドック :
「本来は、この村に昔から住んでる家ならどこでもいいはずだった」
カドック :
「ウチの爺は独占したがって、村から追い出したり謀殺したがな」
カドック :
「だがもう一つ決定権を持ってる枠もある」
ライナー・ブラウン :
「謀殺…ドミノさんが言っていたのは村長がやってたことか」
「それで、もう一つあるのか?」
ライナー・ブラウン :
(ウチの爺という単語も気になるが、今はそれよりもう一つの血筋だ)
カドック :
「単純な話、落とし子さまってやつらしい」
カドック :
「なんでも、この世にはイタクァの子が人の体で産み落とされることがあるんだと」
カドック :
「そういう話が昔あって、この村でもイタクァに並んで信仰の対象になっている」
カドック :
「本来、神域にあるらしい巨大な化け物もその落とし子様が人の姿になる際切り捨てたものだって話をしていた」
カドック :
「尤も、眉唾物だがな」
ライナー・ブラウン :
「だが、正直もう何が起きても驚かない状況だ」
「あながち、落とし子様も本当にいるかもしれん」
カドック :
「孫として恥ずかしい話だが、結局この村は信仰を餌にいい目にあいたいだけの場所だからな」
カドック :
「俺はあまり信用してない」
ライナー・ブラウン :
「そうか…ならそっちを頼りにせず、別の方法を見つけることも考えるべきか」
カドック :
「…やっぱり頭下げるしかないか」
ライナー・ブラウン :
そういえば、と思い出す
シュウは今何をやってるんだ?山の方に行くという連絡はあったが…
カドック :
「…そんなもんか、取り敢えず質問に答える側になるぞ」
カドック :
「アンタ、随分明け透けな感じで話はしやすそうだ」
ライナー・ブラウン :
「そうか?ま、さわやかナイスガイで通ってるからな」
ライナー・ブラウン :
軽い冗談…ではなく本気を飛ばしつつ
カドック :
「たくましタフガイって感じだが」
カドック :
「まぁいい、取り敢えず何を応えればいい」
ライナー・ブラウン :
「じゃあまず1つだ」
「さっきの話からするに、カドックは村長の血筋か?」
カドック :
「そうだ、玄孫だよ」
カドック :
「ウェンディゴの血が薄い、体温が低いくらいしかなかった」
カドック :
「だから村はずれに行っても文句ひとつもない」
ライナー・ブラウン :
「5世代目の遺伝か…くびりの言っていたことと一致するな」
ライナー・ブラウン :
…この村の平均年齢についてはもう突っ込む気も起きない
カドック :
「ただ悪いことでもない」
カドック :
「"同種"を察するくらいはできる」
カドック :
「獣の匂いを嗅ぎ分けるみたいにはな」
ライナー・ブラウン :
「そりゃあ便利だ、信用できる相手とそうじゃない相手がわかるんだものな」
ライナー・ブラウン :
「2つ目」
「さっき2人と言っていたが、協力者がいるのか?」
カドック :
「いる」
カドック :
「村の外だが、妙な現象に詳しいらしい人たちがいてな」
カドック :
「逃げ出すときとか、足を寄こしてくれるってのと」
カドック :
「妙な発見を調べて貰ったりしてる」
ライナー・ブラウン :
「…………妙な発見か」
カドック :
「"シイナ"って人だ」
「民間の集まりらしい」
ライナー・ブラウン :
(…昨日シュウのクライアントについては教えてもらった、それとはまた別で調べてる団体がいるのか)
カドック :
「といっても、遠方らしいから」
「情報共有が主だな」
カドック :
「…そっちの予測じゃ、いざって時酷い吹雪で逃げられなくなる可能性は高いそうだ」
カドック :
「確実な逃げ道がないと危ないぞ」
「電車は間違いなく止まる」
ライナー・ブラウン :
「…それについてはまた考える。そもそも、逃げても無意味になる危険もある以上そっちへの対処が優先だ」
ライナー・ブラウン :
「さて、3つ目…というか、個人的な興味なんだが」
「カドックは他人より詳しいとか、調べてるとか言えることがあったりするか?」
カドック :
「…ふむ」
カドック :
「村の話、くらいかな」
カドック :
「村の儀式の歴史なら、特にだ」
ライナー・ブラウン :
「歴史か…いくつか気になることがあるといえばある」
カドック :
「答える」
ライナー・ブラウン :
「この村は大昔ウェンディゴだらけになった…とは聞いた。そしてウェンディゴは白い髪の特徴が必ず出るとも」
「だが、その特徴が出てないこの村出身の人と会った。これも遺伝の問題なのか?」
カドック :
「違う、村には結構人が新しく加わることもある」
カドック :
「といっても、拾ったとか養子とかだが」
カドック :
「村の中で血筋が濃くなりすぎると、異常な個体が生まれる」
「当たり前の遺伝学だ」
ライナー・ブラウン :
「そうか、希釈しているわけか」
「考えてみれば当然だな」
カドック :
「その内、自分をウェンディゴの血だと知らない子供も増え」
カドック :
「ウェンディゴの血からと自覚を残した層は自分たちで儀式を主導する」
カドック :
「村長がその最たる例だ」
ライナー・ブラウン :
「そうか…なら、次だ」
ライナー・ブラウン :
「今年の巫女、ねむは色々と特別なのはわかる。彼女はどういう存在なんだ?誰から生まれて、どうやってこの村で育ってウェンディゴとして目覚めたんだ?」
カドック :
「…」
カドック :
「"わからない"」
カドック :
「村で生まれたんじゃなく、山で生まれたそうだ」
カドック :
「ある日、猟人のおじさんが山奥で拾ってきた」
カドック :
「雪の中でしもやけ一つない子供が泣いてたってな」
カドック :
「と言っても、聞いた話だから殆どわかることはない」
カドック :
「確かなのは、ウェンディゴのような存在だが」
「村長だのの何倍も濃いものを感じたよ」
ライナー・ブラウン :
「あるいは、彼女こそが落とし子だったりしてな」
ライナー・ブラウン :
…ない、とは言いきれん
わざわざ村の外へ逃げた彼女を呼び戻して生贄にしようとしてるんだ、特別な存在なのかもしれない
ライナー・ブラウン :
「なら、更に次」
「ドミノさんが言っていた。ウェンディゴになった仲間の末路は殆ど目にした。が…一人だけ、どうなったかを知らない女性がいると」
ライナー・ブラウン :
「心当たりはある…か?」
カドック :
「村の外に逃げた人ってのも、大概は孤独にダメになったらしいが」
カドック :
「結婚…要は子供を宿してた人がいるらしい」
カドック :
「そういった場合、祝福の負荷は子と分散される…と俺は見てる」
カドック :
「"分かち合う相手がいれば"呪いや祝福も二等分だ」
「それで…ある意味ウェンディゴとして弱くなったから」
カドック :
「だから生き延びて市井に消えたんじゃないか」
ライナー・ブラウン :
「なるほど…分かち合う相手がいれば、か」
「生きているといいな、その人も」
ライナー・ブラウン :
「……………これは…どうするか」
少し躊躇うように、言葉を濁す
ライナー・ブラウン :
「………」
そして少々の無言の後、きり出す
ライナー・ブラウン :
「…この村の宗教は、今の捧げものの風習を作ったのはパンドラという女らしいな」
「そのパンドラがこの村で行ったこと…とか知ってたりするか?」
カドック :
「…儀式を定着させ、イタクァについて教えた…のは聞いた」
カドック :
「仲間を増やせば、いずれ受け入れられ神の身元で許されるとな」
カドック :
「そうして、いくらかのアーティファクトを残して去ったらしい」
ライナー・ブラウン :
「俺が言えた義理じゃないが…外道だな」
シュウから聞いた情報の中に、ビオトープという単語はあった。くびりの話と照らし合わせて、意図的にウェンディゴを増やす目的でこの宗教と儀式を作ったことは知ってたが…
カドック :
「まぁな」
カドック :
「だが、新しい儀式の様相は妙だった」
カドック :
「もっと高度で、神に近づくだの…」
カドック :
「どっちの方がマシなんだか」
ライナー・ブラウン :
「妙…か。その新しい儀式、どこが妙だったかわかるか?」
カドック :
「神との新しい契約だとか、なんだとか」
カドック :
「まるで嫁入りみたいな道具もそろえてな」
ライナー・ブラウン :
「神への捧げものとしての嫁入り道具か…それを壊すか、隠すかすればあるいは…?」
「…だが、それじゃ根本の解決にはならないな」
カドック :
「まぁ、な」
「だが…」
カドック :
「…」
カドック :
「遅かれ早かれ、こんな風習続かないよな」
カドック :
「安心したよ、目をつけてる連中だっているんだ」
カドック :
「生き延びるのを最優先していいらしい」
ライナー・ブラウン :
「ああ、その方がいい。手助けは十分だ。後は、自分最優先で動いてくれ」
カドック :
「アンタもそうした方がいい」
「だが…ああ」
カドック :
「こいつを分けておく」
小瓶を手渡す
ライナー・ブラウン :
「これは?」
カドック :
中には、白い粉末
カドック :
「…不道徳だが、古い墓を暴いて骨を漁った」
カドック :
「そいつは村の第一世代の遺骨だ」
「何かに使えたらいいな、遺伝子方面にでも」
ライナー・ブラウン :
「第一世代…か。助かる。俺には不要の産物だが、あいつの助けにはなるかもしれん」
ライナー・ブラウン :
「…最後にもう一つ。シイナへの連絡手段って俺に教えられるものか?」
ライナー・ブラウン :
今は、少しでも人の助けがいる。超常現象に詳しい集団なら尚更
カドック :
「電波が通じるならどこでもいけるさ」
カドック :
「このアドレスを使えよ」
アドレスを貰った
カドック :
「俺から連絡を入れておく」
ライナー・ブラウン :
「ありがとう。貴重な情報だった」
「それじゃあな、幸運を祈る」
ライナー・ブラウン :
遺骨のビンをまじまじと眺め、それからコートの内ポケットにしまう
そして礼をし、その場を立ち去る
カドック :
「じゃあな」
カドック :
そのままカドックも去っていった
ライナー・ブラウン :
ライナー・ブラウン :
準備中、席を立ってノエルの肩を軽く叩く
ライナー・ブラウン :
そのまま、邪魔にならないように隅へと移動するように示し、重い足取りで動く
ノエル :
そうして、その前を気軽な様子で歩いていく
話す事は察してもいる、けれど今更何も変わらないから、悶えてみても仕方がない
ノエル :
そうして、お似合いの隅っこに辿り着いて、笑顔を浮かべながら振り返った
ノエル :
「おやおや〜?厳かな式の場で密会だなんて…いつからそんな関係になっちゃったのかしら〜?」
ライナー・ブラウン :
「ああ確かに、言われてみればそういう事になるのか」
ライナー・ブラウン :
軽く笑みを漏らし、しかしすぐに真剣な表情へと戻る
ライナー・ブラウン :
「ところで、結婚式だって言うのに神父役はいないんだな。エンブラさんとかピッタリだと思ったんだが」
ライナー・ブラウン :
世間話をするかのように切り出すが、その目は至って真剣で、どこにも普段の緩さはない
ノエル :
「あー…教会が焼けた日に上司様はもう村の外に行っちゃったのよね〜」
ノエル :
「だから、タイミングが悪かった…って感じかな〜」
ノエル :
その目に応えず、ただ曖昧な事実のみを答え後ろ手に手を組みキツく握る
ノエル :
「まあ、この村での厄介ごとに巻き込まれない選択だし…それが一番だったのかもね〜」
ライナー・ブラウン :
「ああ、幸運なのか、警戒心が強いのか…ともかく、無事なのは確かか」
ライナー・ブラウン :
「ところで、ノエルは教会が燃えた後、どこにいたんだ?」
ライナー・ブラウン :
いつまでも迂遠な話をする訳にもいかん、嫌な汗が流れる感覚を味わいながら、少しずつ、少しずつ最初からわかっている結論へと誘導する
ノエル :
「火事の時かぁ…正直、あんまりにも突然だったから本当に困ったのよ!アレ!!」
ノエル :
「泊まる場所を探すのもそうだけどさ〜唐突に出火したせいで、幾つか回収できなかった私物もあるしさー」
ノエル :
「もうボッロボロ」
ノエル :
答えを逸らすような言葉を使う自分に気付く
もう、答えはきっとわかりきっているのに
ノエル :
どうしてだろうか?
いいや、それもわかっている
もしも答えが出たならば、線引きは明確となってしまうから
ノエル :
「…ライナー君と、こんな感じで話をする仲になりたくなかったなぁ」
ノエル :
けれど…もう答えが出ている、仕方がない
これ以上話し合っても、妥協点は見つからない
ノエル :
「それで、ライナー君?“本題”は何かしら」
ライナー・ブラウン :
「…!」
ライナー・ブラウン :
一瞬面食らうが、すぐに元通りの強張った顔へと戻り
ライナー・ブラウン :
「ノエル、お前は…」
「パンドラの仲間か?」
ライナー・ブラウン :
本題、そうこれが本題だ
もう回りくどい話など必要はない
ノエル :
「うーん…そこは判断に悩むけれど」
ノエル :
「味方か、っていう事ならYESかな」
ノエル :
残念ながら、部下と仲間は全く別の概念だ
味方をするのは同じだとしても…
ライナー・ブラウン :
「そうか」
ライナー・ブラウン :
「それはお前の意思か?」
「他でもない、お前自身が味方になることを選んだのか?」
ライナー・ブラウン :
"向こう側"かもしれない、そう思った時からずっと聞きたいと思っていた
聞いたところで、何が変わるわけでもない。だが、納得の材料にはなる
ノエル :
「うん、それは確かに私の意志よ」
ノエル :
「あの人は命の恩人だもの、命を拾ってくれた人を助ける…ほら、かなり真っ当な理由じゃない?」
ノエル :
自分の命など、捨てられても仕方がない
誰に取り落とされても仕方がない物だ…と、今でも思いはしているのだ
これは単純に、私が脆くて、弱くて、どうしようもない程壊れているから、ただそれだけ
ノエル :
だからこそ、そんな命を拾ってくれた人には
できる限りの事をしてあげたい
私を選んでくれた子にも、そう思う
ノエル :
「…ま、ちょっと危ない橋はあったけど、いろいろ助けて貰ってるから、その辺は大丈夫よ?」
ライナー・ブラウン :
僅かに目を細め、ノエルの顔をじっと見る
しかし、その目はノエルではなく、ノエルを通して別の誰かを見ているようで
ライナー・ブラウン :
「…命を救われた恩を返すためか」
「まさか、そんな聖女みたいなバカげた考えで自分から死にに行く奴をもう一度見ることになるなんてな」
ノエル :
「あはは、聖女だなんてシスターへの褒め言葉には大袈裟すぎない?」
ライナー・ブラウン :
「それ以外に形容の仕方を知らん」
「恩義だか礼だかで、それを返すためだけに自分の身を犠牲にするような道に足を踏み入れる…そういう事が出来る奴のことは」
ライナー・ブラウン :
溜め息1つ、大きく吐く。
どこか達観したような、諦めたとも取れる、そんな眼差しを送り
ライナー・ブラウン :
「なら、俺がそれを止める権利はない」
ライナー・ブラウン :
「過去にそいつに俺は救われた。なら同じように、誰かに恩を返そうとしているお前を止めることなんて俺にはできん」
ノエル :
「……そっかぁ、なんていうか、もうちょっと押し問答みたいなことになるかなぁ…なんて思ってたけど…意外」
ノエル :
それは嘘だった
彼は真っ直ぐで、自分を曲げる事が苦手でいつも馬鹿正直に損をする奴だ
ノエル :
だからまあ、多少思う所があっても
少しでも正しい理があるなら、それで押し通せるだろう…と、まあ…少しだけ侮っていた
ノエル :
そういうわけで、驚かされたのはそこではないのです
ノエル :
「…なんていうかさぁ」
ノエル :
「こういう時に、胸を張って言うライナー君は想像してなかったなぁ…泣きそうだったり、苦しそうだったり…そんな顔ばっかりで…」
ノエル :
「うん、心配事が一つ減っちゃった!」
ノエル :
「アレかな?男児三日会わざれば〜って奴?ジャパンの諺も侮れね〜」
ライナー・ブラウン :
「別に、したくて苦しい顔をしてた訳じゃないんだが…」
ライナー・ブラウン :
「ただまあ…少しスッキリした。正直、裏切ったか、最悪乗っ取られた想像もしてた」
ライナー・ブラウン :
「けどお前はお前の意志で進んでいる。なら、俺も俺の意志を貫く覚悟は出来た」
ライナー・ブラウン :
「だからノエル。ここを出て、次に会うときは敵同士だ」
ライナー・ブラウン :
悩みが消えたような、晴れやかな顔で決別を告げる
ライナー・ブラウン :
「俺はパンドラを追う、断言できる。あの力は人が持ってちゃいけねえ力だ」
ノエル :
「…うーん、ライナー君がそう思うなら、そうなのかもね」
ノエル :
「人間の領分を超えないで、真面目に地道に頑張って…でも結局、人間以外のおもちゃにされて死ぬ」
ノエル :
「そんなの嫌だから、私はあんまり賛同できないけど…うん、それはそれでいいんじゃない?」
ノエル :
是非もなし、意見が真っ二つになっても
立場が相対しているのなら、むしろお互いの意思を確認できるいい機会だ
ノエル :
「でも、敵同士ってのはちょっと違うかな」
ノエル :
「私は、上司様の味方だから…ライナー君は、その上司様の敵だから、そりゃあ色々あるだろうけどさ」
ノエル :
ザコで矮小で、チンケだからさ
手に入れた物が、どうしても惜しくて仕方がない
もしかしたら、これがいつか…私を滅ぼす矛盾なんだとしても、言っておこう
ノエル :
「私は、ライナー君の仲間だもん、危なかったら味方くらいはしてあげるよ…なるべくね!」
ノエル :
そう区切るしかない程、正反対で
もしかしたら、守れないかもしれない言葉でも
今だけはそう告げておこう
ライナー・ブラウン :
「その考えは止めた方がいい、きっとどこかで無理が来て壊れるぞ」
「どっちつかずの中途半端は、一番苦しいのは自分だ」
ライナー・ブラウン :
…ああ、だが、ここでそういうことを言えるからこそ、恩義を返すために、自分の命すらも懸けれるのか
ライナー・ブラウン :
「ノエル、最後に確認させてくれ」
「どこまで、パンドラに踏み入った?」
ノエル :
「んー…どういう意味?」
ノエル :
「とりあえず、知り合いの事をちょっと教えてもらえるくらい…だけど…あっ」
ノエル :
「そうそうライナー君、“カルメン”って魔女には気をつけてね?かなり人でなしだから」
ライナー・ブラウン :
「…わかった、気を付ける」
ライナー・ブラウン :
まだ浅瀬なら、自力で這い上がってこれるかもしれんとそう思ったが…
あの用心深く、冷血な魔女が自身の知り合いを教えるくらいだ。もうだいぶ踏み込んでいる気がする
ライナー・ブラウン :
「なら俺も教えておく」
「いいかノエル、この結婚式が終わったらすぐに村から隠れて逃げろ」
ライナー・ブラウン :
「俺が例の部隊にパンドラの情報を流した。共にいたお前も狙われる、捕まれば何をされるかわからない」
ノエル :
「うへぁ…マジかぁ…三田ちゃんのこと、面倒見てあげないといけないのに…」
ノエル :
「ま、それが向こうの仕事だし仕方ないかぁ…」
ライナー・ブラウン :
「三田さんか…そう言えば、昨夜の時点でまだ見つけてないような口ぶりだったが…」
ライナー・ブラウン :
「…まあ、お前が面倒を見るんなら多分大丈夫だろう。俺は教会が燃えたせいでもう無一文だからな」
ノエル :
「あはは…お互い大変だねぇ…」
ノエル :
「頑張ろうね、ライナー君!これから色々あるだろうけどさ」
ノエル :
「今はほら、しっかりお祝いしてお見送りしてあげなくちゃ」
ノエル :
さあ、戻ろうか
敬虔なる者達が、幸福を約束される一時を
縁遠き式を見守りに
ライナー・ブラウン :
「そうだな…こんな時に、話を切り出して悪かったな」
ライナー・ブラウン :
ポン、と軽くノエルの肩を叩いてから席へと進む
俺には眩しく、とても直視できないほど輝かしい、契りを結ぶ式の観客になるために
ライナー・ブラウン :
そして一言だけ、その輝きに紛れ消えて行くように願って、決意を口に小さく出す
ライナー・ブラウン :
「必ず、俺が地獄から引き上げる」
そう、必ずだ
ノエル :
…その願いは神に届いたのでしょうか
それとも、地獄にでも落ちたのでしょうか
ノエル :
ノエル :
その答えを示す物は、微笑みだけでした
ノエル :