後で読むと言いながら結局今読んでしまいました。 入りのお気楽さの中にうっすら漂う不穏さがとてもいいですね…… 案内の代役だと言って大人しそうなクラリアが接触するところから警戒心を抱かせない工夫と説得力を持たせるための工作をし、仕留める時はまずリーダー格を狙って統率が取れなくなったところを分断して各個捕獲という流れとその手慣れた感じから知能の高さが伺えてまさに知性を持った相手の捕食を得意とする蟲惑魔らしさが溢れていました。 捕まるARG☆Sの面々も各々の個性や性格を逆手に取られたり優しさに付け込まれたり抵抗を試みたりとそれぞれにらしさがあり、それゆえになぜそうなってしまったのかにも納得できました。こういう時はどうしても片方あるいは両方に納得いかないところが出やすいのでこの描き方はさすが書き慣れていると感じます。 アドラがアトラに捕まって頭の回転が速いがゆえに抵抗は無意味だとすぐに悟ってしまい食い殺されるとすぐに察して殺されずに弄ばれると分かった時に抵抗を諦めて玩具にされることを受け入れてしまう……この流れがとてもえっちでした。周りよりも頭が切れるがゆえに誰よりも先に全てを察してしまうのいいよね……あとアドラとアトラで名前が似ているネタが盛り込まれているの好き。 個人的に一番好きな捕まり方はエテオでした。同じちっちゃい同士のセラに心を許したところを絡めとられる光景はまさに蟲惑魔の悪辣さと同時にエテオのコンプレックスなど心の柔らかな部分も見せてくれたことでより仲良くなりたいという気持ちが本心であることとそれが裏切られたと分かった時の崩れ落ち方が印象に残りましたし、結局お互いに相手の心中など理解できないのも無常さがあってとても好きな描写でした。 ラストの一番元気と反抗心のあるパルテから愛撫し始めることで真っ先に体力を奪いながら全員の心を折りに行き彼女たちにとって神聖な場所である競技場で一生弄ばれる姿はもうこの手の作品として満点だと思いました。 アドラは一応少しくらいは蟲惑魔に関する知識持っていたのかな……もしそうだとしたら本当に無念でならないだろうな……終わり方もその後の暗い未来が簡単に浮かぶ良いもので、これほどの質のものを書いてもらえてうれしい限りです。改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。