ニャアン人妻概念補講のおはなしするね。 ニャアンはマチュやシュウジと無事なかなおりしたよ。エグザベくんとも結ばれました。マチュはちゃんとシュウジのことを連れ戻しました。 ニャアン・オリベは無事名誉除隊しジオン公国の市民権を獲得した。今はジオン公営団地に住んでるよ。シュウマチュ夫婦も隣に住んでいます 採光性も高い大きな窓もある。4LDK風呂トイレ別。愛の棲家にしては十二分だった――― 「いやだ!いやだ!やめて!」 午前2時半、絶叫と共にニャアンは飛び起きる。視界に広がるのはイズマコロニーの部屋ではない、難民キャンプでもない まだ住み慣れていない我が家の一室である事を理解するのには5分程かかった。 そして夢であった気づくと、現実が襲いかかる。お腹に宿した命が胎動している。 「いやなにおい」はしないオリベ家の寝室しかしニャアンの遺伝子にはもう「いやなにおい」が刻みこまれていた。遺伝子の暴力です そして現実である事を脳が認識し始めると、また恐怖とワケワカが襲ってくる 「うわあああ!!!」 泣きじゃくるニャアン。誰も恨めない哀しみが彼女を一人にさせてしまいます。もう『一人』じゃないのに 隣で眠るその『存在』が目覚めます。「いやなにおい」が一切しない。ぬくもりを感じる存在が 「ニャアン!大丈夫だ…ニャアンッ!」 何が大丈夫なのかエグザべくんにはわかっていません。しかし、彼は彼女を抱きしめます 「ううっ…ううっ」 ニャアンはエグザべくんの胸の中で泣きじゃくります 「もういやだ…もういやだッ!!!!!」 何かに怯えるニャアンを、ただ受け止めるしかできない。しかしエグザべくんは断言します 「大丈夫だよニャアン、ここはサイド3だ…平和だ、平和なんだよ」 彼は彼女に命の危険がない事を周知させます。そうです難民という絶対的貧困と生命の危機に接して生きてきた同士だからこそわかる感覚なのです 彼女の涙は次第に収まりを見せます。小一時間ほど泣いて、眠りにつきます。 悲しい夜が時折オリベ家を襲う。 「常にニャアンのそばにいてあげられたらいいのだが…」 翌朝、エグザべくんは溢す。こぼす相手はマチュとシュウジ ニャアンは疲れてまだ寝室で眠っている。コンチのスピーカーが彼女が常にイヤホンで聞いているプレイリストを奏でる それはニャアンにとっての子守唄であった 「わたし達いるから大丈夫だよ」とマチュ 「でも夢の中までは一緒にいられないだろう?」エグザべくん 「ニャアンもキラキラの中にいる、だけどそこまで干渉する事はできない」シュウちゃん 「何か心の支えになるものがあればいいのだが」エグザべくん 「心の支えは誰しも必要だボクにだって必要だった」シュウジ「エグザべくんの存在が心の支えだよ…大丈夫だよ」マチュつっこむ 人口の半分を死に追いやった一年戦争、コロニー難民だけで10億人近く登る みな、心の傷を抱えていた。UC0085はそういう時代であった。 何か彼女の心を救う解決策はないだろうか。「ニャアンは私達が看てるから、ちょっと気分転換しておいでよ」とマチュ シュウマチュ夫婦に何故か追い出されてしまい、宛もなく市街地を散策するエグザべくん 「ニャアンがこのままじゃ産まれる命も悲しい」と心でつぶやきながら雑踏をあるく 人口の『色』とは違い、自然の色が鮮やかに彩る一角が、エグザべくんの視界に落ちる 花屋さんだった。人間を生かしておくだけで手一杯なコロニーサイド3、酸素を消費するペットは貴重品で 植物が人気である事はエグザべくんも知っていた。 ふと中に入る。祝い事を飾る白い胡蝶蘭の花々達が出迎える中、エグザべくん店内の華をしげしげと見守る 「お花か、ニャアンに生活に何か明るい物があった方がいいな…」 「何か?お探しですか?」 どうみても暇つぶしではなさそうエグザべくんに話しかける店員さん 「いえ、何か探している訳では…いや、探しています」 自分に嘘をつけないエグザべくんがいました。 店員さんに「妻が…」から始まるニャアンについてのお話を必死に話すエグザべくん 「花は…人の癒やしになるでしょうか?」最後にエグザべくんは伺う 「当然です、有史以前より人類は植物と共に生きてきたのですから…でもお花にこだわる必要はありませんよ」 CV藤田茜っぽい店員さんが何やら大きな鉢を持っていきます 「この植物は人を癒やします。なぜなら話しかけると答えてくれるからです」 そこにあったのは緑のサボテンだった。明るい緑色の葉肉がエグザベくんを迎えてくれる 「植物が答えてくれるのですか?」 「そうです、話しかけてみてください?直接でなくてもいいです。心の中で呟けば返してくれます」 エグザべくんサボテンに話しかけてみます 「―――彼は、答えてくれた」エグザべくん後にニャアンへ口述します。 悩む事はなかった、1000ハイトと値が張ったが早速購め、店員さんに「ありがとうございます」の一言を残して こみごみする中心街へ戻っていった。帰り道。不安ではあったが何か心に善き感触を噛み締めながらメトロに乗り、家路についた。 団地へ戻る、軽金属製のドアをあけると 「おかえりなさい」とニャアンがリビングから駆け寄ってくれた。彼女の瞳は涙で腫れぼったくなっていた 「どうしたの…それ」と彼が抱える大きな鉢を気にしている、サボテンだ 「我が家は殺風景だから…なにか彩りがあった方がいいなと思って」 「『あなた』って本当におもしろいね」ニャアンが笑っている。今日はじめて見た笑顔だった 「それでねニャアン―――」エグザべくん、玄関ではなし始めようとする 「とりあえず家にあがろうよ」ニャアン大きなお腹(8ヶ月)を抱えながらエグザべくんをリビングへいざなう 「いいかいニャアン、ボクやマチュくん達がいない時。いやどんな時でもいいんだ」 「どうしたの?」 「何か話したくなっても話す相手がいない時、このサボテンに話しかけるといい」 「サボテンに話しかけるの?」「そうだよ」 「…なんかネットで見たことある『おはなし?』してくれるんでしょ?」 「そうだよ、偶然よったお花屋さんで店員さんが同じ事を言っていた」 「わたし、お話相手にこまっていない!この子にいつも話しかけてる」 ニャアン、膨らんだお腹をさする。胎動する命を感じている。 「赤ちゃんに話せないこともあるだろう」 「うん、けどそういう時は…コンチいるし」 ビゴビゴとコンチが返事をしている。オレンジ色の筐体に内蔵されたカメラ越しにマチュとシュウジが監視しているかもしれない 「コンチはシュウジくんの物だ、たまには家に返してあげないと」 「それもそうだね」 「まぁコンチのかわりだと思って話しかけたらいいよ、返事が返ってこなくてもこれからは観葉植物として我が家の一員だ」 「そうだね、ありがとう『あなた』」 彼の額にニャアンは唇を重ねる 「手を洗って…ご飯にしよう、今日ははマチュが作ってくれたシチューだよ」 夕餉を共にする二人。マチュ謹製のシチューはちょっとしょっぱかったそうな。 ニャアンの生活に「サボテン」が加わった これから彼女の生活の支えになってくれるだろうか、サボテンは花を咲かせないと聞く しかし彼女という花を咲かせてくれる。かもしれない存在 これがニャアンサボテン概念前編です。次回後編に続く。 これがニャアン人妻概念の全容です 時間帯が遅くなってしまい申し訳ありません 明日はちょっとお休みです。サボテン概念後編は水曜日にでも 次回はジークアクスの放送次第で語り足りない所があると思うので続きはまた後日