[main]
GM :
《抗いがたき言葉》
・参加するPCの服装は自動的に水着かサウナ着になる
・ここは星空を見ながら外気浴ができるのがウリ
[main] GM : ここはプール併設サウナ施設『煙幻郷』─夜から深夜まで営業している奇妙な店。
[main] GM : 一般人には見つける事すら叶わないオーヴァード専用サウナである。店員は"従者"しか存在せず、店長と予想される人物は滅多に現れない。ともかく今日も様々な陣営のオーヴァードが日頃の疲れを癒しにやってくる─
[main] ホイップ : 一応見えてないからセーフのはず
[main] 八千華 一果 : ツーストライクってとこか……
[main] 不夜城 :
[main] 不夜城 :
[main]
不夜城 :
プール併設サウナ施設『煙幻郷』。
秘湯の地、とも言える。UGNが管理するその場所は、いつ、如何なる時に訪れるかもしれない『非日常』の悪夢からの解放を目的としており、オーヴァード達にとっての憩いの場となっていた。
[main]
不夜城 :
外気浴スペースには、幾つものサウナチェアが並べてあった。
その悉くが所謂、インフィニティチェアであり、背に重心を掛けることで頭の位置を下に、そして足の位置を上部へ移動させ、体全体が安定した体勢となる。
[main] 不夜城 : 特に、足は重力によって血行が鈍りやすい為に、頭の高さと同じラインにすることにより、サウナルームと水風呂を経ての血流をより促進できることが期待されている。
[main]
不夜城 :
なお、インフィニティチェアのお値段はそこそこのものである。
一般的なサマーベッド同様に、1万円はする。
しかしここはUGNが管轄する施設。国家組織故に資金は潤沢している。
[main] 不夜城 : 贅沢にも、質の良いインフィニティチェアが、それも多種多様なものが選ばれている。
[main] 不夜城 : そして、何よりも特筆すべき点は……この見晴らしにある。
[main]
不夜城 :
外気浴は、その身の解放にある。
過酷な高熱下、そして低熱下を潜り抜けた先の……言わば、ご褒美。
[main] 不夜城 : その際の味わいは筆舌に尽くしがたいものがあり、人はこれを『整い』と呼ぶ。
[main] 不夜城 : 燦然たる星空の下、山風によりオーヴァード達の肉体には、憩いが齎されていく。
[main]
万紫閃紅 :
「はー…気持ちがいい…」
ちょっと離れた場所で寝転んでいる。
[main] 不夜城 : そう。あのような状態が所謂、『整い』というものだ。
[main] 不夜城 : そう述懐する、ぼさついた橙の長髪に、隈の張り付いた三白眼が特徴的な男。
[main] 不夜城 : コードネーム『不夜城』。UGN支部長だ。
[main]
不夜城 :
彼もまたインフィニティチェアに横になりながら、星空を眺めていた。
……やや、眉を顰めた様子で。
[main]
不夜城 :
先程耳に聴こえたように、『整い』の域に達し、身体を休めることができているオーヴァード達がいるのは、とても喜ばしいことだ。
これに関しては、不夜城は何一つとしての文句がない。
[main] 不夜城 : あるのは……。
[main]
不夜城 :
「仕事がしたい……」
ぼそりと呟く。星空を眺めながら。
[main]
不夜城 :
不夜城は……部下達に催促され、この施設に来た。
決して、自らの意思で足を運んだわけではない。
[main]
不夜城 :
確かに、サウナを終え、水風呂で身を引き締めた後のこの感覚は、素晴らしいものと言える。
頭にある渦巻く思考が取り払われていくようで、回路が是正の方向へ再構築されていくようだった。
[main]
不夜城 :
サウナをするメリットは、ある。
不夜城は分析する。しかし、それはそうと……。
[main]
不夜城 :
今もこうしている間に、『日常』は危機に瀕している。
もしかしたら、自分の不在に緊急事態が訪れているのかもしれない。
そう考えるたびに……。
[main] 不夜城 : 「仕事がしたい……」
[main] 不夜城 : ぶつぶつと、呟くのだった。
[main] 万紫閃紅 : 「ワーカホリックですか…?」
[main]
不夜城 :
「? あ、ああ。どうもです……」
静寂の間から聴こえた声。そちらへ一瞥すると、若者がこちらへと声を掛けていたようで、ぺこりと一先ずの頷く。
[main] 万紫閃紅 : 「あっこちらこそすみません…」
[main]
不夜城 :
「まぁ……そうですね……」
ワーカホリック。プライベートよりも仕事を最優先し過ぎた異常者を差す言葉。
顰めた眉のまま、しかし反論する言葉も特に浮かばず。
[main] 不夜城 : 「いえ。こちらこそ申し訳ありません。休息の場だというのに……」
[main] 不夜城 : 「仕事という単語をここで呟く方が、マナー違反でしょう」
[main] 不夜城 : 声量は抑え気味に、頭に手を添えながら、再度ぺこりと会釈。
[main] 万紫閃紅 : 「いえいえ…こんなところじゃ気も緩みますよ…緩んだら仕事したいなのは…うん…」
[main]
不夜城 :
「……」
でせうね。いや、常識的に……「仕事だー!たーーのしいいーーー!!」する人間は、はっきり言って異常者に部類される。
月曜日を待ち遠しそうに待つ者など、恐がられて当然。それが一般的価値観なのだから。
[main] 不夜城 : 「少し話題を変えましょう。あ。私は……『不夜城』と言います」
[main]
不夜城 :
一応のプライベートだというのに、コードネームによる自己紹介。
本名は一切を秘匿。理由は、アキレス腱足り得る為。
[main]
万紫閃紅 :
「あー…えっとじゃあ俺のコードネームは"血炎"です。よろしくお願いします」
合わせた。
[main] 不夜城 : 「血炎さんですね。よくこの施設には来られるんです?」
[main] 万紫閃紅 : 「初めてですねー…リラックスというかデトックスして体を休めたくなりまして…」
[main] 不夜城 : 「それは重畳。良いことだと思いますよ」
[main]
不夜城 :
「我々UGNでは実は、エージェントの『日常』離れが問題となっていまして」
プライベートの話をするっつったのに、仕事の話が口から零れる男。
[main] 万紫閃紅 : 「…日常」
[main] 不夜城 : 「ですから、しっかりとリラックス・デトックスに対する意識を向けていることは、私としても喜ばしいことです」
[main] 不夜城 : 青年の呟きに対し、じっと三白眼を細めるように見つめながら。
[main] 不夜城 : 「何か、含みのある言い回しに聴こえましたね。勘違いでありましたら、申し訳ありません」
[main] 不夜城 : 「これは私の悪い癖です。別に深い意味はなくてもいいです。何か、日常に対し思うことが?」
[main] 万紫閃紅 : 「…いえ、最近日常の大切さを知りまして。オーヴァードになった異常の変化なんてそうそうない。と思ってたんですよね」
[main] 不夜城 : 「…………なるほど。大切さの再確認……ですか」
[main] 不夜城 : 「失礼ながら、仕事の話に関わるもので申し訳ないのですが、経歴はどの程度で?」
[main] 万紫閃紅 : 「一年未満?まだまだ若輩です」
[main]
不夜城 :
「おや」
驚きが現れるように、三白眼が薄らと見開かれる。
[main] 不夜城 : 「なるほど。『覚醒』したばかりでしたか。これはこれは……」
[main] 不夜城 : 「……そうですね。分かりますよ」
[main] 不夜城 : 「私も『覚醒』した際には、天と地が引っ繰り返されたかのような思いでしたよ」
[main] 不夜城 : 「今まで当然のように、そこにあったものが……その実は、薄氷の上にあり、いつドミノ倒しの巻き添えを喰らうか分からない、と知った際には……」
[main] 不夜城 : 「とても、言いようの無い気持ちを抱きましたねぇ」
[main] 万紫閃紅 : 「…分かります」
[main] 万紫閃紅 : 「とんでもない非日常の世界が存在してましたね…」
[main]
不夜城 :
ここで支部長の身分であることを明かしても、きっと恐縮させてしまうことだろう。
そう思う不夜城は、自らのパーソナリティをこれ以上開示することなく、傾聴へ意識し。
[main] 不夜城 : 「……血炎さんは……どう思いましたか? 『非日常』に対し」
[main] 不夜城 : オーヴァード達の安寧を約束する者としての、これも一つの悪い癖。
[main] 不夜城 : こうして出会う者達の、心の在り様を確かめずにはいられなかった。
[main]
万紫閃紅 :
「…やっぱり少し、嬉しくはありました。アニメや漫画だけのものだと思ってましたから」
指先に炎を灯してみる。
[main] 不夜城 : くすりと、笑みが浮かぶ。
[main] 不夜城 : 「確かに。男の子として生まれたからにはやはり……」
[main] 不夜城 : 「憧れを抱くものですからね」
[main] 万紫閃紅 : 「やっぱり、カッコいいですからね…」
[main] 不夜城 : 「テレビや漫画で見たような出来事がこの現実に、そして……自らの手にある。その感覚は、少年心を擽られないことはないでしょう」
[main] 不夜城 : ええ。と同意するように頷く。
[main] 不夜城 : 「……しかし、血炎さん。故にこその……危惧が一つ、あります」
[main] 万紫閃紅 : 「…呑まれないか、ですかね」
[main]
不夜城 :
「その通りです」
こくりと、頷く。
[main] 不夜城 : 「いいですね。まだ一年未満だというのに……聡明ではありませんか」
[main]
万紫閃紅 :
「…知り合いが、間違った奴等の手を取ったのを見たので」
友達、とはやはり呼べなかった。
[main] 不夜城 : 「…………」
[main] 不夜城 : 神妙な面持ちへと遷移。眉が僅かに顰める。
[main] 万紫閃紅 : 「そして、チルドレン達の叫びを聞きました」
[main] 万紫閃紅 : 「だから、だからこそ。日常を、非日常を生きる仲間を、絆を。大切にしたい、改めて思いました」
[main] 不夜城 : 「……血炎さんのお知り合いの方、そして……叫ぶチルドレン」
[main] 不夜城 : 「何れも、我々の……私の、不徳がなしたことでしょう」
[main] 不夜城 : 「UGNとして、まずは詫びなければなりません。申し訳ありません」
[main] 万紫閃紅 : 「…あいつは、運が悪かったんです。そう、あいつもあいつなりに…」
[main] 万紫閃紅 : 「チルドレン達は…これから。俺達もあんな悲しい事にならないように。変えていきたい、そう思ってます。だから、力を貸してくれたら、嬉しいです」
[main] 不夜城 : 「……! ……これは……」
[main] 不夜城 : その言葉にまた、驚きが現れるように……寝不足の籠った三白眼が、見開かれる。
[main] 不夜城 : 確かに、眼前にいる青年の中に……炎の残滓を見た。
[main] 不夜城 : 「とても優秀な方が、我々に協力いただいているようで……。私としては、喜ばしい限りです。とても嬉しく思います」
[main] 不夜城 : 「勿論です、血炎さん。我々も、私も、尽力を惜しむことはありません」
[main] 不夜城 : 「『不眠不休』。それが私の信条。一睡の気の緩みも無く、血炎さんに、それに……」
[main] 不夜城 : 「多くの方の『日常』の守護に尽くすことを、約束しましょう」
[main] 万紫閃紅 : 「…ありがとうございます。あなたみたいな人がいるのは、嬉しいです」
[main] 万紫閃紅 : 「…でも、適度に休んでくださいね?自分達は体力が資本ですから」
[main]
不夜城 :
「あ、あはは」
歪む口端。曖昧な笑み。乾いた声しか出なかった。
[main] 不夜城 : これは………………確約できないものだから。
[main] 不夜城 : 「まぁ、ですが、はい。一理あります。体が資本ですからね」
[main]
不夜城 :
「私はソラリスなので、いくらでも稼働できますが」
※嘘
[main] 不夜城 : 「血炎さんは……この機会のように、じっくりと……休める時に、休んでください」
[main]
不夜城 :
そうして、目線を星空へと移す。燦然の絨毯。
煌めく星雲が、憩うオーヴァード達を優しく……包み込む。
[main] 不夜城 : そうして走る、銀閃。銀河の果てで、流れ星。
[main] 不夜城 : ……どの口がほざくのやら。
[main]
不夜城 :
筋の通っていない言葉。自分ながら、嫌気が差す。
こんなことしていれば、自分の言葉に対する重みが無くなるというのに。
[main] 不夜城 : ……それでも、『休み』は……苦手だ。
[main] 不夜城 : 宇宙の粒の一つひとつ。古に生きた人々は、祖先と準えた。
[main] 不夜城 : 人は、死ねば……天高く、遠くへと旅発ち、そして……星となるだとか。
[main] 不夜城 : 息を吞むような綺麗なこの景色も、散っていった魂の残滓と思えば……。
[main] 不夜城 : ……もう少し、自分達が、自分が頑張っていれば、取りこぼすことのなかった命が、含まれているかと思えば……。
[main] 不夜城 : キュ。握られる……拳。
[main] 不夜城 :
[main] 不夜城 :
[main] 不夜城 : ……休めそうになかった。
[main] 不夜城 :
[main] 不夜城 :
[main] 不夜城 :