「お姉ちゃんにちょっと相談があるんだけど…」 壱世界の人魚のうちで最も若い幼い人魚が二人の姉に助けを求める。 「いいわよ、私達の仲なんだからそんな遠慮しなくていいのよ」 「私は…まあ…力になれるかわからないけど…」 シェイレーンは長女としての役割を全うしようとし、ハゥフニスは自信なさげに返答する。 「あのね…じ…実は!好きな人が出来て…どうすればいいかの相談なんだけど!」 ふり絞るようにメイルゥは声を出す、親しい人間にも勇気がいる相談内容だった。 「はっwヒヒヒw、誰だれぇ…教え」 「ハゥフニスこっち来て」 半笑いの次女を長女が引きづって行く、その牽引力は凄まじい。 「なっなによシェイレーン…そんな引っ張ったらヒレが…」 「いい?オシャレや恋愛だったり背伸びしようとしてる時にからかうのは駄目!御法度!」 「そ…そんな怒らなくても…、わかった…わかったから…」 「本当にわかった?まだ半笑いだけど」 「私ももう大人だからはい…すいませんでした…」 シェイレーンによる 「ごめん…メイルゥ…、もう大丈夫だから正気だから…もうちょっと詳しく教えて欲しいその人のどんなとこが好きとか…名前とか…」 「う…うん…でも名前は伏せていい?、恥ずかしいよ…」 「勿論いいよぉ…」(そこで言い淀むのは殆ど答え言ってるようなものっていうか…、この世界に男なんて全然いないんだから) 「初めて会った時はわからなかったんだけど…、」 「うん…うん…」 「頼りがいというか…その人の強い所を見てカッコいいと思ったの…、やる時はやる所っていうか…」 「あーそういうのはやっぱり見るよねぇ…うん…」 「後笑いかけてくれた時凄いドキッとして…えーっと…」 メイルゥの告白は段々とか細くなっていく、それは恥ずかしさがそうさせているのだろう。 「ずっとその人の事が頭の中でグルグルしててこういう時どうすればいいのかなあ…」 「そ…そっかぁ…シェイレーンはどう思う?」(フッ…、異性にそこまでの感情抱いた事ないからわからない…) 早々に長女の方にパスする事にしたハゥフニスであった。 「うーん…難しいけど…、その人と今より仲良くなりたいなら自分からアタックしないと駄目よね…」 「でも…もし変な事しちゃってウザいとか思われると思うとなんも動けなくて…」 「そう…そうよね…恋煩いなんて絶対そうなるのよね…」(うっ…私だってこんなのに答え出せないわよ…) 三女の姉を信頼している…だけど不安が滲んでいるその瞳にせっつかれシェイレーンは段々と焦り始める。 「と…取り合えず、それとなーく、その人の好みのタイプとか聞き出すのよ!」 その結果大して役に立たないアドバイスを繰り出す羽目になっていた、後々言った事後悔するタイプのアドバイスだった。 (いやタイプ聞いても仕方ないって言うか…、もしメイルゥの年が好みのタイプに当てはまる男性はヤバいでしょ…) ハゥフニスはそう思った。 ◆◆◆ 「ごめんなさい…、全然力になれそうもないわ…」 「冷静に考えると私達もそういう経験に乏しかった…」 「ううん、話聞いて貰えるだけでも大分スーッとした感じする!ありがとう」 明らかに気を使われており、もうちょっとそっちの勉強もしようと自戒する二人の姉がいた。 ◆◆◆◆ 手に取った真珠と空に浮かぶ月を重ねながらメイルゥは独り言ちる、 「はぁ…キトカロス様…、好きです…」