﻿崩壊:5


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同刻、現実世界



マーナガルルモンがオノゴロ市の天井に開いたゲートから、ダークエリアがこの地を飲み込もうとしているとアカネからの報告。まもなくそれは現実世界からでも観測可能となった
刻一刻と迫るタイムリミットの中、FE本社に潜入しサーバーからオモイカネモンを奪取すべく奮戦するBVメンバー
「あの赤い嵐、影サンが言ってたヤバいデータストームだ、巻き込まれたらマトモにお陀仏できナイぞミサキ！」
「ジョンのウェザドラモンが天候操作で嵐を食い止めてるけど長く押し込めないぞ！」
「オモイカネモンのサルベージは……ああっコレもダメ…！？」
水没したサーバールームという未曾有の危機との板挟みになりながら、皆が副社長派の追っ手を跳ね除ける中ミサキはハッキングを繰り返し続ける
だが自閉モードで引きこもったオモイカネモンの居場所へルートを構築できない
「マズイまた敵の増援かよっ、ガスマスクされてちゃオレたちの花粉が効かねえし……なんとかしてジョンとミサキを護らねえと！」
徐々に数を増してきた戦闘員とデジモンがポリノーシスの抑える通路へ雪崩込もうとしている
普段こういう荒事を担当するジョン-ドゥまで完全にウェザドラモンへのバックアップに回らねばならぬほど余裕がなく、このままでは……
「ハァアッ！」
と、ポリノーシスが顔を覗かせた通路の向こうでけたたましく起こった爆発の中に新手。いや、この声には聞き覚えがある
「うっわドゥフトモン司令なんでココに！？」
「フッこの状況下では居ても立っても居られなくてな、久しぶりの敵陣での前線指揮とは腕がなる。お前たちは復旧を急げ此処はこのドゥフトモンが引き受けよう！」
峰子の身体を依代とし、時間制限の中人間サイズにリアライズしたドゥフトモンが通路の向こうのデジモン軍団へ飛びかかり、たちまち制圧してゆく
「すげー…司令って強かったんだな」
「───最後のガラスをぶっちやぶれー！」ｶﾞｼｬｰﾝ
「うわあああリーダーまで何やってんダヨ！？てかそこコンクリ壁ジャン！！」
「ありゃりゃもしかしてお困りチューかな」
今度はスケイルモンを引っ提げサーバールーム外壁を破壊しながらやってきたリーダーに皆がひっくり返る
「チャンネルまたBANされちゃったんだけど通信悪くてアカウント作り直せなくてさー、とりあえずギリギリゲート開いたからこっちに戻ったらヤバげな映像取れちゃいそうでびっくりしちゃった。世界のオワリってヤツ？」
こんな状況下だろうとチャンネル登録者数再生数を稼ぐため我先に駆けずり回っていたとは恐れ入る
だが機械に強いめもりの帰還はまさに渡りに船、ミサキがたまらず助けを乞う
「め、めもりさぁんお手伝いお願いしまぁす…！」
「とりあえずここに閉じこもってるデジモンちゃんに用事があるんだよねー、どれどれ？」
「は、早い…！？」
「うおっなんだそのタイピングとプログラミング速度…！」
どこからともなく引っ張り出した眼鏡をサッと身につけてミサキの持ち込んだ予備のノートPCを2台並列に操作しだすめもり。同時に手の空いたインプモンやポリノーシスにサーバーの中継やケーブル類の差し替えなどをテキパキと指示しつつ、サルベージが一気に進行し出す


「あーんなるほどね、サーバーが本体ってよりその向こうにいるデジモンちゃんのチカラを効率よく引き出すための窓口ってトコねーこれ、ぶっちゃけココフツーに復旧させるより直接乗り込んだ方が早いかも」
「ええっ！？」
「ここをこうしてバイパス繋げて…ラッキーっボロボロのおかげでファイアウォール穴だらけじゃん。そしてこれをハイハイハイ……できた！」
「うそぉっ！？」
「この端末からもう直接挨拶しにいけるよー。はいじゃあ最後のファイアウォールを爆破して寝起きドッキリいってみよーーー！！」


ｯﾀｰﾝ！！ﾄﾞｶｰｰｰﾝ！！


『え、ええ……ひやああああっアナタたち誰ぇー！？』
「あっらーパッツンメカクレ前髪のカワイ子ちゃんじゃないのさ。この子がオノゴロのシステム牛耳ってるボスってマジ？」
「マジマジ」
「やぁ待たせたなひとまず片付いたぞ。私はドゥフトモン、ロイヤルナイツのドゥフトモンだお見知り置き願おう。我々がキミの身柄の安全は保証する」
モニター越しに会合する怪しげな組織のメンツに震え上がるオモイカネモンをあーだこーだとあやしつつ、作戦立案者へと報告のため回線を結ぶ
「影さん、オモイカネモン見つけましたよ！………影さん？」
ミサキが影太郎に連絡を取ろうとした瞬間、通信が激しいノイズに晒されて途絶する
……次の瞬間、アカネの悲鳴のみが漏れ響いた


『───影さん離脱してください！そのままじゃデータストームに……墜……影さ……！！』
「アカネさん！？影さんたちの状況を…アカネさんっ！！」
こちらも応答を受ける前に通信が切れる。ダークエリア側でただならぬアクシデントがあったに違いないと皆が息を呑んだとき


「影ちゃんならきっと大丈夫だよ、何があってもやると決めた事はやり遂げて帰ってくる頑固者だもん。こっちもやることやらないと怒られちゃうもんね」
「めもりさん？」
「それより……オモイカネモンちゃんアナタひどいねー、変なプログラムで従属化されちゃって苦しかったでしょ。今解いたげる」
副社長に仕掛けられた従属化が解けオモイカネモンのシステムが正常化
ぼやけた思考がクリアになり、外界と途絶された間に起こった全ての情報がオノゴロに張り巡らされたネットワークを通じて彼女が瞬く間に流れ込み始める
やがて見つかる『最終実験開始』のログ。自分が眠っている間にクオンの長年の悲願をかけた一大事が動いていたのだ


『クオン…クオン、聞こえてるクオン！ねえクオン！』
急いで連絡を取ろうとあらゆる回線を通じて呼びかけるが、天沼矛そのものからの応答が見られない
そしてめもりのPCの画面から空の向こう、切り開かれた闇の穴を見上げ絶望する
『何あれ、クオンの計画にこんなの無かった……天沼矛の開いたゲートじゃない、オノゴロの街とダークエリアが繋がって……どうして！』
オモイカネモンの動揺を受けドゥフトモンが思考を巡らせる
「天沼矛にデジタルゲートを開く機能があるとは調べがついていたが、どうやらこの状況はクオン社長の描いたものとはかけ離れたイレギュラーのようだな……。ダークエリアとの通信もしばらく全く通じなくなっていた、それがあのゲートの解放で僅かに回復したようだな」
「ということはクオン社長の身に何かあった……ってトコか？」
『そんな！』
こちらの世界には朧巻タツミのバグラモンとの戦闘開始時刻付近からの情報伝達がストップしていた。原因は副社長派の決起に伴い敷かれた通信妨害と、天沼矛が突入した赤い嵐という膨大なデータストーム、さらに混戦状態となった戦場という三重の原因によるもの
ゆえに現実世界に身を置くBVらはマーナガルルモン復活とそれに伴いクオン社長が瀕死となっていることも、天沼矛がマーナガルルモン・ゴスペルの開いたゲートに向かい、その向こうのオノゴロへ墜落する最中であることも知る由がなかったのだ


『天沼矛へ行かなきゃ…！！』
オノゴロに点在する幾つもの実験施設、その中で最も高所に・高出力に対応するパラボナアンテナを幾つものバイパスを通じてハッキングし闇の穴へと照準を合わせる……と、それに勘づいたBVメンバーが慌てて転送処理を妨害しだす
「お、おい何やってんだオメーを逃すわけにゃいかないんだって！」
「アナタがいないと困るんです。この事態解決のために私たちBVに力を貸してください…！」
静止を振り切ろうとするオモイカネモン。この程度の妨害であれば普段ならば児戯に等しくキックアウトし何処へでも逃げる事など容易いはずだった
……しかし思うようにハッキングが進まない
『……っ、だめ……まだ天沼矛へのルート計算の演算能力が復旧しきれて無』


「どこか行きたいトコあるの？」


ずい！と画面に顔を寄せるめもりにオモイカネモンが再び驚き面食らう
『きゃあああ！？え……天沼矛に』
「なーんだ影ちゃんたちのいるトコだしちょうど良いじゃん。いいよーでも終わったらちゃーんと影ちゃんたちと一緒に帰ってきてね、配信のため聞きたいトクダネいろいろあるしー」
「「「めもり(さん)！？」」」
ようやく身柄確保にこぎつけたオモイカネモンをみすみす見逃すようなリーダーの突拍子もない行動に皆が目を剥く
「アタシたち今向こうに行けなさそうだしアナタ賢そうだし、用事のついでに影ちゃんやアカネちゃんや結愛ちゃんたちの様子見てきてくれると嬉しいなー。ホラ一応アタシたち命の恩人だし、お願い聞いてくれてもよくないー？」
『えっ、あっ…確かに……でも出来るかな……？』
「まぁまぁ案ずるより産むが易しってね。とりま行ってみよー！」
「「「ええーー！？」」」








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「イロージョン・ラプチャー！！」
「チィッ、ヤツからホウライオブジェクトを引き摺り出すぞ。ラグナロードモン"アサルトモード"───"デュランダルエッジ"、セット！！」　
暴走するマーナガルルモン・ゴスペルを止めるべく、回避とともに乗算化したバーストデジソウルの大半を攻撃出力へと注ぎ込んだことでラグナロードモンX-proudの鎧が黒から【白の終極騎士】へと瞬転
黄金のオーラがデュランダモンの剣を模した3対のソードビットを象り吶喊、炎・氷・雷をそれぞれに纏いマーナガルルモンを切り裂き、ラグナロードモンが息もつかせぬ間に大気を震わすほどの重撃を幾度も叩きつけ突き崩す
その最中でも傷口を即座に再生させ、逆手に構えた刃を振り翳し反撃を試みる魔狼
「ディレクトスマッシャー！！」
だが天空より薙ぎ落とされた金色の剣が魔狼の攻勢を容赦なく悉く挫いた
「ソード・オブ・ニブルヘイム！！！」
そして放たれるデュランダモンBMの用いる奥義。魔法陣より飛来せし氷霧の槍が魔狼を刺し、押し潰し、絡みついた牢獄へと捕らえ、ソードビット・デュランダルエッジ共に切り裂く四連撃
「ジャマをォオ……スるナァァァ！！！」
コアの髄まで凍りつくような斬撃に四肢をガラス片へと千切られながらもマーナガルルモンは止まらない
「奴の苦しみが見える。力と憎しみに呑まれ自我の崩壊が進んでいるのか……魔狼よ、何が貴様をここまで突き動かす」
ラグナロードモンの問いにマーナガルルモンは属性攻撃に焼かれた躯体を激情に捩り悲鳴をあげ続ける
「ボクハ…ボクハ役立タズ、ジャ…無イ……ボクが護ルンダ……コレ以上、コレイジョウ……敗北ハ許サレナイ」
バキリと傷口から生え出た四肢が肥大化し再生する。ホウライオブジェクトの権能がマーナガルルモンの命のチカラを歪に高みへと押し上げる
やがてラグナロードモンを見下し覆い尽くすほどの影をつくり魔狼が完全復活を遂げる
「さらにデカくなりやがった！？」
「破壊した部位の高速再生、そのたびにデータ質量まで際限なく上昇している……本当に不死身の怪物らしいな」
「優里…優リ、ハ！ボクが護ルンダァァアアアアア！！！！」
「来るぞ！！」
イロージョンラプチャーを目眩しに吶喊するシルエット。白の終極騎士が殺到する空間断裂の黒い泡を切り裂いた一瞬に、自身の空間跳躍を織り交ぜることでマーナガルルモンが死角から肉薄する
自分ごと広範囲への空間断絶を行い消滅させる自爆特攻の可能性に黒のプロテクトモードとなったラグナロードモンの侵食耐性は、かつて七津真のオグドモンXの猛毒にすら耐え抜いたものだ。空間断裂への防御力は十分である
……が、次の瞬間彼らは理解する
「断裂ではない───跳躍！？」
「オマエモ、苦シメ！！！」
それはラグナロードモンごと自身の周辺を消失させながらの瞬間移動。背面にさらされた光景を目の当たりにした時、マーナガルルモンがラグナロードモンへ喰らい付き、空を蹴り上げた
「しまった、ヤツの狙いはホウライオブジェクトの再生能力を利用して……自分ごとコチラをデータストームで削り殺すまでもつれこむつもりだ！」
『影さん離脱してください！そのままじゃデータストームに……墜……影さ……！！』


「「ぐあああああああああああっ！！？」」


彼らの悲鳴を最後に通信が途絶する
死の赤の底へ墜ちた身体が細胞の一分に至るまで刃物と鑢に根こそぎ削り取られるかのような苦痛
脳の内に針の山を直接ねじ込まれたかのような激痛
人もデジモンも関係なく、あらゆる生きとし生ける者を蝕む断絶
渦巻くノイズに宿る怨嗟の濁流に思考と意識が噛み砕かれていくような前後不覚の恐怖
ラグナロードモンプロテクトモードの防壁の内に包まれながらもこのデータストームは如実に侵喰し人間に到底耐えられるものではない負荷を心身に及ぼし続けている
やがて身体と自我がバラバラになり全てが砂粒にまで分解されようと、この赤の奔流に呑まれた者たちへ死という安寧と終着は訪れない。永遠の苦痛のみがこの大地に齎された唯一の公平であり掟なのだ


「マズイ、このまま……X-proudを維持できなけれ、ば……僕らは一瞬で…ぐああああ！！」
「負け、る……かよォ…ちくしょ……！」
デジソウルの出力にも多大な影響を及ぼし、ラグナロードモンの乗算化バーストの出力が低下しだす
自身の身体ごと大地に押し潰し食らいつかせたまま、もがき足掻き力を失ってゆく者たちを一瞥する魔狼。己が憎しみとともに生まれた揺籠のような赤の中でマーナガルルモンが崩壊と再生を繰り返しながら嵐を抜ける
再びゲートの前に現ることで、その亀裂はさらに巨大さと引力を増してゆく
「マタヒトツ……ジャマ者ガ消エタ」










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「今のうちに、天沼矛から離れねば……」
マーナガルルモンの注意が逸れた今がおそらく脱出のための最後の好機だろう。ザンバモンが弾き飛ばした副社長もどういう訳か此方へ猛追する気配がないのは気になるが、クオンの容体をいつまでもこのままにしておくには危険すぎた
一刻も早く適切な治療をしなければならない
「たとえ……」
たとえタツミがジャスティナたちに告げた"バグラモンが語ったクオンの結末"が本当だとして、この先の希望が潰えていようとも
「……ッ！それでも、クオンちゃんをこんなところでむざむざと死なせるために私は今日まで付き従ってきたんじゃない……！」
「……そうですね」
「せやな、クオンちゃんキミを大事に想っとるヒトはずっと側にいてくれてるんやで。キミかて本当はどこかで迷ってたんちゃう、ユウちゃん」
ザンバモンの姿を保ったまま、オボロモンの意識と混じり武人となっていた声色が解けタツミが口を開く
「……私は優里を許せない」
「ジャスティナ……うん、ぼくにそんな資格はない」
「けどキミの味わった苦しみは有り余る。そして察することのできなかったのも事実だ……せめて今だけはクオンちゃんの手を離さないであげてくれ、頼む」
「……うんっ」
失われ乖離した時間を再会の喜びに埋めるにはあまりにも何もかもがありすぎた
歩み寄ることは難しく、しかし彼等は同じ友のため想い・悔やみ涙を流す心を持つ者たちに違いなかった
「ルーナちゃんもクオンちゃんの手ェ握ってええんやで。仲間外れは寂しいやろ」
「ハァ…できれば先の厳かさを保ったまま居てくれませんか朧巻タツミ。それにその姿───マトリックスエボリューションを行使しても死なないどころか通常個体より強化されているように見受けますが」
「あーなんかもう平気そうやで、なんちゅーか前より『生きてるー！』って実感があんねんきっと愛のチカラってヤツや！心配してくれるん嬉しいなぁルーナちゃんとグレイナイツモンもかっこよかったでー」
「へへ…ありがとな」
激闘を終えて退化したデビモンは照れくさそうに飛び回り、しかしルーナはあくまでクールに突き放す
「ふん……またクオン社長に鬱陶しく付き纏う不埒な蛇が面倒だなと」
「あらっ」


その時、後方に何かの気配
外界の赤い嵐を掻い潜り天沼矛へ転がり込んだ人影とデジモンへと躍り出たザンバモンが素っ頓狂な声をあげ、せわしなく出迎える
「アカネちゃんどないしたん！？」
「へっ…へぁ？タ、タツミさん…ですよね？影さんと鉄塚くんがさっきあの嵐の底へマーナガルルモンに引き摺り込まれて！」
「えっ…！？」
サイバードラモンに抱き起こされたアカネの悲鳴に真っ先に青ざめたのは優里。そしてタツミたちもまたこの大地を無数に蠢く嵐の群れの脅威と危険性を理解する者たちだ
「だ、ダメだあの中に落ちたら自力じゃ出てこられない！あそこは……あそこは人もデジモンも全部すり潰してしまう牢獄だ……」
「クオンちゃんが蘇らせな、ユウちゃんはこの先もあの中に魂が囚われとったのかもな。……けどキミは今生きとる、クオンちゃんもまだ生きとる。先の事はここを出て考えればええ───そのケツはウチが持つで」
言葉の端々を震わせすくみ上がる優里をザンバモンがなだめ、促されたことでジャスティナたちは改めて脱出ルートを探す


「派手に暴れすぎたな…上へ逃げる通路は完全に壊れている。きっとこの天沼矛のあちこちがマーナガルルモンのせいでスポンジのように穴だらけなのだろうな。これじゃゲートやトレイルモンも動いていないか」
「彼女のサイバードラモンと私のメタルグレイモンなら皆を連れて飛んでいけそうですが……ええ、この非常事態に一時休戦を申し出させてください」
「……わかりました」
「みんな連れてここからなるべく離れるんやアカネちゃん、影ちゃんたちはウチにまかしとき。ジャスティナちゃんルーナちゃんはその夫婦を頼んだで」
「タツミさん！」
「…お、ちょい待ちオボロモンに代わるわ『ユウリよ』」
「オボロモン？」
ザンバモンの声色がタツミのそれから再び変わり、主人格となったオボロモンが踵を返しながら優里へ言い放つ
「『我等が主の友を止め必ず戻る。お主は……独りではない』……やて」
「……っ、信じて……ううん、信じるよ今度こそ僕は」
彼の言葉を受け蒼いザンバモンが脚へ鬼火を灯し……飛び立つ
「フッ、いってくるで」






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金行筆頭:朽業夭下（クギョウヨウカ）は天沼矛の一角に力尽きようとしていた
闇の空に見上げる血染めの怪物と戦士たちの戦いは神話のようで、崩壊していく世界とあいまって今生の最期に冥土の土産とする情景としてはこの上ないものへの畏敬すら抱きながら
やがてその目に映る天沼矛の上層、戦場を見下ろす外套の男へ柔和な笑みを浮かべる
「嗚呼、お待ちしてましたわ……」
彼が来たからには新世界は果たされる
果てなき野心を携え我々の計画の共謀者となった彼ならば、この混沌を鎮め最終勝者足り得るだろう
「───様…」
「……」
名を呼び、彼女の声を察したように向けられた視線が重なる




その確信が、揺らぐ




「───違う……貴方は、貴方は何者…？」




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崩壊:6→
