ファヨン編続き 朝焼けの色が混じった木漏れ日が差し込む森の中、ギリードゥモンが樹間に紛れて構える狙撃銃・べリョータの銃口は、1km先にあるテントを、微動だにせず捉え続けている。コートをギリードゥモンのテクスチャと同じ色の物に取り替えたファヨンは、首に掛けた双眼鏡で、枝葉の緑と樹木の茶色がなだらかに続いていく空間を、無言で見渡す。 それからしばらくして、テントが微かに動く。そこから、灰色の服を着た男と、小型のデジモン……マメモンが談笑しながらテントから出てくる。 ファヨンはすぐ、双眼鏡の倍率を上げ、男を捉える。ひげの剃り残しが目立つ、20代半ばか後半の男。双眼鏡に表示された【登録無し】の四文字。 つまり、【商品】だ。ファヨンが確信した瞬間、何の感情もなく、パートナーに告げた。 「ギリードゥモン、撃て」 「……コアシュート」 べリョータの花弁のような銃口から火が吹き、弾けた音を鳴る。撃ち出された弾丸ら、囁くような風切音と共に目標に向かい進んでいく。 マメモンが一瞬、こちらを振り向いた。そしてその瞬間、弾丸はマメモンの体を貫いた。 「デジコアに命中」 ギリードゥモンが短く言う。撃ち抜かれたマメモンが何かを伝えるようにテイマーの方を向き口を開くと、そのまま0と1へと姿を変え、消えていく。 テイマーはその瞬間を見届ける間もなく、全力で走ろうとするが、突然伸びてきたツタが足を絡み、動きを止める。男が激しく抵抗をするうちに、落葉と土だらけの地面から黒紫の大渦が巻き起こり、何かを叫び、男は飲み込まれた。 「よし。これでこの前逃がした分はチャラ」 パートナーだったであろうデジモンは始末し、テイマーはダークエリアに送った。完全体まで新型させられるテイマーならば、高く売れるだろう。 倍率を戻し、一度あたりを見渡す。残されたのは、テントのみ。周辺に何も無い。 終わったか。双眼鏡を降ろしたファヨンが深呼吸をするの、先程までの無感情な声音からは懸け離れた明るい口調で、淡い緑のデジヴァイスに向かって連絡をした。 「スゴヘッソ(お疲れ)。朝早くから手伝わせてごめんねブロッサモン!後は任せたよ!」 デジヴァイスからの返答を聞いた後、通信を切り、既に狙撃銃を降ろしたギリードゥモンを同じ言葉で労うと、そのままノヘモンへと退化させた。 「さて、朝ご飯食べに行くよ」 「食べに行く?テントにあるもの使わないの?」 ノヘモンの疑問にファヨンは、無言で笑った。 「アンニョン(おはよう)勇ちゃん。そしてみんな……今日の朝ご飯は何?」 「帰れ不審者!!」 篤人達が朝食を取ろうと街の一角に集まった中、フラリと……いや、さも当然のように、浅葱色のコートを着たファヨンとノヘモンは再び現れた。昨日のやり取りを思い出した光は怒声を上げると、勇太やデビドラモン達が宥めると、光は怒気を隠さないまま、勇太の隣の椅子に勢い良く座った。 「あの、ファヨンさん?昨日、もう大丈夫って言ってたと思うんですが……」 「心配無い。金なら何とかしたよ」 「だから材料費くらいは出すよ。まぁ、可愛い弟に会いに来たと思って!」 「朝ご飯は厄介になる気だね、この二人」 ヴォーボモンがため息をつくがそんな様子に構うことなく、ファヨンが後ろから近づいて勇太の頭を撫で回す。勇太は照れはあるけど嫌がった様子で、それを見た鬼塚は猛犬のように唸る。 「なんか……余計なこと言った気がしてきたな僕……」 篤人はその喧騒表情も動かさずに眺めつつサンドイッチを頬張ると、牛乳で流し込むと、不意に肩を軽く叩かれたので振り向くと、三幸が遠くを指差したので、一度席を離れた。 「篤人さん。ファヨンさんの持ってたデジヴァイス……ひと屋の鳥谷部って人のと同じで……」」 戸惑いながら話す三幸の言葉を聞いて一気に険しい顔になった後、ファヨンが自分に向けた目の事を思い出し、何か繋がった感じがした。 「まず、教えてくれてありがとう犬童さん」 硬い笑みを浮かべた後に、語気を抑えるように話す。 「まぁそれを聞いても、シラ切られて終わりかな……」 「最悪はユウタ達を巻き込むぞ」 すごい嫌そうな篤人やジャンクモンの言葉に、三幸も苦い顔をした。 「……心底不服ですが、日野君や光ちゃんを巻き込むのは御免被りますわ」 「うん。でも分かれば出来ることはある。とりあえずは、余計なこと言わないようにしようか」 胸の奥底から滲むどす黒いを抑え込み、篤人達はもう一度朝食に戻る 「へ勇ちゃん達、今日は東のほうに行くんだ」 「はい。夜には街に戻れると思います」 ファヨンはノヘモンに視線をやったあと、濃紺のデジヴァイスを取り出し、操作を始める。 「あの辺は荒地だし……草が生い茂ってるし、低い木も多いから……小型のデジモンが不意打ちもしてくるのよねぇ。気をつけてよ?」 突然のファヨンの忠告に、びっくりした顔で固まる勇太達 「ファヨンさん。行ったことあるんですか?」 「いや?でも地図は見慣れてるのと、ノヘモンじゃ自分の足で歩くしかないからさ」 「勇ちゃん達は何かあったら飛ぶなりするんだよ」 「ノヘモンまでその呼び方やめてよもう……」 ため息をつく勇太の元に、篤人達が戻ってくる。何をしてたと光が聞くけど、篤人はまぁちょっとと言ってはぐらかす。光も特に興味が無いようにまぁいいけどで終わらせる 「っと。この前の本当の意味でお礼や材料費も兼ねて、お小遣いあげるね勇ちゃん」 「え!?そんな……貰えませんよ!」 「いーのいーの!デジヴァイス出して!」 ファヨンの圧に押されてデジヴァイスを出した勇太。操作をしながら受け取った額を見て、目を細める。勇太の様子を見てヴォーボモンとデビドラモンが近づくと、画面を見て、強張った顔になる。 「無駄遣いしないでよ……ってあれ?どうしたの?」 「……あの、操作間違えました?」 「え?足りない?」 「四人で分けるにしても多すぎます!」 気になった篤人達が全員で見ると、五万bitの送金があって流石にびっくりしてる 「ファヨンさん。昨日のことがあるにしても、少し奮発しすぎですよ。というより……無一文だったはずなのに、どこからそれだけのお金が?」 「もう一つのほうにはあるの。今はテントに置いてきてるけど」 探ってきてるなと判断してファヨンは半笑いで誤魔化す。もう少し篤人が追求しようとする前に、光が目の前に出てきた。 「ファヨン。アンタ……勇太にして欲しいことでもあるわけ?」 光の目は、自分が見てきた物に対しての嫌悪感が混ざったいた。その何かをファヨンは、理解できずにいた。 光もファヨンの目をじっくり見ると、自分の言葉の意図が本当の意味でわかっていない様子が感じ取れた。拗けた純真が宿る暗い緑の目で、ファヨンが問いかけるくるように思えた。 それからやがて、ファヨンが思わず口で手を覆う。 「……ごめん!糠喜びさせて悪いけど本当に一桁多かった!!」 「またか!このお人好しに感謝するのよ!!」 「」 それから操作し直して、5500bitの送金をするファヨン。500bitがお小遣いだと言って、勇太は微妙な顔で篤人を見たけど、受け取ってあげなよと言うと、仕方なさそうな顔をしたあとに礼を言う。 「じゃ、お仕事頑張ってね勇ちゃん。あ、それとお姉ちゃんコーヒー入れてほしいんだけど」 「甘えてんじゃねー!コーヒーなら私が淹れるからそこで待ってろ!!」 キレる鬼塚にファヨンがお礼を言う。 それから去って行く勇太達を見送った後、ファヨンはノヘモンに聞く 「東だってさ、ノヘモン」 「……どうするのファヨン」 それからファヨンは考える仕草を見せて、デジヴァイスを操作する 「……山林地帯がある。街道をそのまま通るならここから狙える?」 「うん、十分。他は?」 「後は協力者が2体。これは……試したいことがある。これが上手くいったら分断も狙える」 「雇うか本部に連絡ね……見逃すよりはマシな動きって所?」 ノヘモンの言葉なファヨンがため息をついた 「最悪の場合は見逃して、片桐達の行き先だけ連絡するか……ところでさ、ギリードゥモン」 ギリードゥモンが相槌をうつと、ファヨンは純真な疑問でいっぱいの目で話す 「やっぱお小遣い5万円って多かった?」 「多い多い。あんたがどうだったのか思い出せ」 ファヨンが額を掻いた後、沈んだ顔で答える 「……貰った覚えも使った覚えも、無い」 「……本当にごめん。聞いたのが間違いだった」 依頼を受けた先の荒地から整備された街道でいったん休む篤人達。既にあたりは暗くなり始めたけど街に 「そうですか……明日で多分お別れですのね……」 「まぁ、テイマーってそんなもんだよ」 そうやって話してるうちにデジモンに声を掛けられた。よく見たら怪我してる。 「これなら回復ディスクで十分治るけど……どうしたの?」 「分かんないけど、あっち側から撃たれたの」 森の方を指差すデジモン。回復のお礼のbitを置いて立ち去る 「……弾丸……こんなところにバルチャモンとかギリードゥモンがいるって話はなかったけど……」 「ちょっとごめんよこんな所!」 少しヒスってる鬼塚と宥める勇太 「仕方無いな……ここに居たくないのは僕も同じだし……デストロモンで……」 そして聞こえた銃声と悲鳴。みんなで行く。そこにはまた怪我したデジモン。 回復させて、これ放っておいたらまずいけど暗くなってきたし明日出直すか……する そこに自分達に向けて連射される何か。躱してから篤人はデストロモンに進化させる ブルムロードが出て来た。また肩の花から機関砲のように撃ってきたから回避。そのまま種子から一瞬で草花が生えてきて、分断された。 分断された篤人と鬼塚の前にロゼモン登場。壁の向こうは勇太と鬼塚。 花の壁は前も上も空いてるから飛んで対応すればいいと鬼塚がレディーデビモンに進化させて飛んだ矢先、突然レディーデビモンが光を庇って撃たれた。その瞬間すぐ篤人が光の腕引っ張ってデストロモンの後ろに隠す。 ファヨンが反応いいなあのデジモンと呟く。 かなり無理して力使ってるから弾丸の威力落ちてるしデストロモン無理と話すギリードゥモン。じゃあロゼモンにはデストロモンのデジコアあるところの装甲削らせて攻めるかする。 勇ちゃんと犬童は今はブルムロードモンに任せて……まずは片桐から殺すか……光は……殺さずに済めばいいな……