25/09/18(木)22:38:55No.1354536408 「必ず貴方を無事に脱出させてみせます!」 あなたは初めて無力を憎んだ 不慮の事故によって『キスしなければ出られない部屋』に入り込んでしまったあなたとネーサ・マオであったが マオは一度もキスの提案をせず、部屋から出る方法を模索している 当然だ。マオにとってあなたは守るべき対象だ その尊厳は一切侵されざるべきと考えているから、必死になって工夫を重ねている 対等ではない事がひどく悔しくて、あなたは歯噛みする 格が違えば男ですらない。邪魔にならないよう、お客様らしく縮こまる 「はあっ!やった、開きましたよ!さあ脱出しましょう!」 力が欲しかった この人に男として見られたいと、強く思った 25/09/18(木)23:04:31No.1354545585 「あ、あんな部屋もありましたっけね!」 屈辱、反抗心は人を劇的に変える。あなたは強くなり勤勉になった 上位冒険者の堅苦しい業務にも耐えて、ごく限られたS級冒険者であるネーサ・マオの足元まで辿り着いた ランクが近付く程に共闘する機会も得られ、実力と人となりを再評価された瞬間の達成感は言葉にならなかった あなたはマオにとってお客様ではなくなった。同じ視点で世界を見る相手になれた その上で。今、偶然にも『キスしなければ出られない部屋』の側にいる 「危険ですから!入らない方が良いでしょう!さあ行きましょう!さあさあ!」 少なくとも、キスを検討する相手として考えられているというのは 弾けてしまいそうな嬉しさが、思考を埋め尽くしてしまった ずんずんと先を行くマオの耳も、あなたと同じように赤く染まっているのが見えていて 居ても立っても居られず、あなたはガッツポーズした 25/09/26(金)22:37:40No.1357097748 「いや…でも…やっぱり待って!!」 鍛錬のペア探しにも苦労する。マオは冒険者の最上位であり、あなたもまた同じ視座に辿り着いた 同等な相手が手近にいるのだから、自然鍛錬の相手として選ぶ事になる。だがそこでマオが渋った 今ではあなたにもわかる。マオにとって冒険は人生を費やす価値があり、鍛錬はそのために血肉を育む行い そこに異性を…守るべき相手でも住む世界の違う存在でもない、目線の合う相手を混ぜると言うのは 自らの中に男を取り込むが如き意味を持つ。動揺する気持ちをあなたは良く認識していて、だからこそ申し出ている 冒険に、マオの世界に加わりたい。だからあなたは一歩踏み込む。やろう、と 「う、うぁ…………あ、ぇ、う……わ、わかった…やる…」 赤面し、視線を彷徨わせ、小さく身体を丸める様のなんと愛らしい事か!そんな反応を引き出せたばかりか、了承を得られた事にあなたは歓喜し…直後襲い来る攻撃を躱す 流石はマオと感嘆し、だから好きなのだと胸を熱くする。羞恥はそのまま闘争へ機能する彼女の一部になり、また彼女を自分の一部にするため、あなたは油断なく得物を構えた… 25/09/27(土)00:36:18No.1357138225 大怨魔霊マケフィ・ロウィンの討伐こそは、ネーサ・マオ最大の功績であったが その時からマオは知らず呪いに侵されていた。それこそは恋愛非成就 「こ、おっ、ん、のぉぉ~っ!!」 あなたとマオの精神的距離が縮まる内に、物理的な斥力となってあなたとマオの間に立ちふさがったのだ 恐ろしく強く、しかもあなたに対しては何やら他の女性へ向けた引力まで発生している。邪魔極まりない障壁 しかし、マオは冒険者の最上位である。そしてあなたも同じ視座に立っている。危険を冒してこそ職名を表すならば 「こんなっ!ものに!まっけっるっかぁ~~~~っ!!!!!」 マオだけならば、届かなかっただろう。あなただけでは、詰めきれなかっただろう。二人の力だから、僅か一時であっても呪いを突き破り得る 反発力によって周囲へ激しい破裂音を立てながら、あなたとマオは抱き合った 「ぐっ……!ぐぐ……っ、う!今日は、じ、10秒……あぁっ!!」 たった10秒の密着で限界を迎え、逆方向へ強烈に弾け飛ぶ 不本意な別れ際、昨日より1秒触れ合いの時間を増やした事をハンドサインで称え合い 支度が済み次第呪いの元凶を必ず断つと誓ったのだった 25/09/28(日)00:26:04No.1357482217 激しい攻防の末、マオはついに呼び捨てられる権利を手にした さん付けを譲らず、模擬戦までもつれこんだあなたであったが、意欲十分のマオには押し切られてしまった 呼びたくない事など無い。ただ恥ずかしく、それも敗れてまで意地を張るべきではない 「ネーサ」 「はい……っ」 敬称も愛称も付けず、名前をそのまま呼ぶ、呼ばれる。それだけで決定的に関係性が変わったと感じる ネーサは口をモゴモゴさせ、視線をあちこちに彷徨わせてから、再びあなたに呼び捨てを要求した 「ネーサ」 「うん!」 呼び捨てられる感覚に慣れてきたのか、二度目のネーサは少し余裕を見せ、頬を赤く染めながらあなたを見つめ返す 三度ねだると、あなたの方が首まで朱に染めて粘るが、繰り返し要求されるとやはり折れて 「……ネーサっ」 「……ん」 耳を澄ませて、あなたが呼ぶ名前の響きを味わうまで成長してみせた これがS級冒険者の力かなどと、場違いな感動を覚えつつ、あなたはひどく照れくさい行為を何度も何度もするハメになった… 25/09/28(日)00:57:07No.1357492443 恋愛にうつつを抜かせば仕事の能率が落ちる。これは最早常識であったが S級冒険者ネーサ・マオはそのような枠に収まる器ではなかった 「最近なんだか一日中楽しくって!」 朗らかに語りながら同行者へ迫る白刃を退け、笑顔のまま敵を蹴倒す 夢見心地の足取りは地を踏み外す事もなく、現実を見ているか怪しい瞳が死角すら見通す 勘は鋭さを増し、剣技の冴えなど以前のネーサ比で三倍はあろうかという鋭さ 彼女は生き甲斐が増える程に強くなる人種であった。恋情を燃やし、同時に冒険への情熱を昂らせ、人生が他の百倍ばかりの速度で充実していく 「あぁ!早く会いたいなぁ!」 歌うように軽やかで、幸せに満ちた声を上げる。地位故の仕事と、冒険者の本分、そこに恋想う相手との時間が加わって、どれかを煩わしく感じても良い所なのに ネーサ・マオは輝いている。幻覚に酔うようなまやかしは彼女に効かないのだから、心の底から満たされている 迂闊に正対すれば目が潰れそうに錯覚する、恋の光が放たれていた 25/09/28(日)21:41:24No.1357816701 一緒に仕事をする時間とは、もうデートなのだった 性能を損なわない程度にワンポイントのアクセサリーを添えて、ネーサはそれはもう浮かれ気分であなたとの冒険に出かける 見れば誰でも分かるし、例え目が見えなくても声色で分かる程にあからさまな恋だった 「さあ、行こ!」 浮き上がってしまいそうなくらい軽いステップを踏んで、ネーサはあなたと共に出発する 待ち受ける未知と危険。そこへ挑む務めに元より不満など無く、だのにあなたを伴って良いのかとさえネーサは思っている 二人きりなのだ。道中好きなだけ話していられるし、見つめ合っていられるし、沈黙を楽しむ事も出来る そして心を結んで冒険に挑む事まで出来てしまう。子供様昼食でさえここまで全盛りになった所は見た覚えがない 会えない時間が幸せで、会える時間が幸せで、一緒にいられるのは特に幸せで ネーサ・マオはほとんど無敵状態なのだった そして危難が訪れると、ネーサとあなたは無言で戦闘態勢に入る 一糸乱れぬ動きが小さな胸をときめかせ、恋に浸りながら以前の三倍の速さで敵を退けたのだった 25/09/28(日)22:39:00No.1357842666 晒した肌を見られていると気付いたのは何時の事だったか あなたの視線が不意に滑ると、二の腕や太腿へ注がれているをの感じ取り、ネーサは赤面した 「…………っ!……っ……!」 しかし、指摘は出来なかった。あなたが向ける邪と言って良い視線に、ネーサは感じるものがあったからだ スカートとニーソックスの間で露わになっている部分を見つめられている。それは 嫌ではないし、むしろ…………ネーサは真剣に、装備の一新を検討した 「いえ、でも……流石にこれは!」 要望を受けた訳でもないのに、肌を晒しすぎれば痴女である ネーサは言うまでもなくサキュバスではない。誰も彼もに見られたい訳ではないのだから、着替え案は取りやめとなった 結果、何も変わらない日が続く あなたの目がついと下へ流れて、胸元から動かなくなると、ネーサは指摘する事も身を庇う事も出来ず 眉をハの字にして、覗かれるに任せる日であった これだと一方的に色欲が溢れているようだが、ネーサもまたあなたの首筋や耳、鎖骨などを隙あらば覗いている そしてあなたに気付かれていないと思っているのだった 25/09/29(月)22:19:22No.1358165216No.1358165216 視線を読む。気配を読み、体捌きを読む。 力の流れを見切り、刃を合わせて、弾き合う中でも意識を向け続ける これはもう、鍛錬と銘打っているだけの■行為に匹敵するのではないかと、ネーサは思っている所だった 「はっ!そこ、えぇい!」 剣を振るい、躱されて。剣を構え、受け止めて あなたがネーサを狙い、ネーサがあなたを狙う。その結実は打破という形になるのだが 力を注ぎ込み、技を尽くす。目の前に立ちはだかる、ただ一人を想い駆ける 同等の相手と打ち合う昂りも、互いに知り尽くしたが故の見切りも まるで裸になって、全てを曝け出してしまっているような錯覚 そこに打ち込みが来て、打ち返して。全身を衝撃が駆け抜けていけば 「…………っ!」 ネーサ・マオは、はしたなくも生唾を飲み込んだ その上で切っ先は速く重く、並び立つため鍛錬を重ねたあなたをして、勝敗の比率は大きくネーサへ傾いていた 上気したネーサの美しさに、あなたが度々目を奪われそうになるせいでもあったが ネーサもあなたを見て、小さな胸を高鳴らせているため、言い訳には使えなかった 25/09/29(月)22:34:24No.1358172804No.1358172804 それこそお姉様の親が許すなら勝手にまとめても何ら問題はないと考えられる 一方的に怪文書を投げてる立場なので俺は権利を放棄しておく なりすましだと思われても困るので簡便に文も添えておく 勝者の権利を行使しても良いとあなたに言われれば、ネーサは喜び小ジャンプを繰り返してしまうのだった 模擬戦に勝っただけの事でそんなにも好きにさせてくれるから、頬は釣り上がり笑みの形で固定されてしまう にこやか極まったS級冒険者は、もう公私共に明らかな親密さの相手を伴い、昼の街に消えていった… 二人して武器防具を眺め、互いを着せ替え人形にして服を買い足し、仲睦まじく食事する所を多数の冒険者に目撃されたという 25/09/30(火)21:57:16No.1358484123No.1358484123 何はともあれマケフィ・ロウィンは滅ぼすべきである ネーサ・マオは大怨魔霊マケフィ・ロウィンを討伐した。その時より今日まで呪われ続けている かつてのネーサは被害者達の嘆きを聞き、討たなければと義務によって戦った だが今、ネーサは個人の怒りに燃えている 呪いの解析が進むにつれ、整った顔は険しく歪み、詳細が明らかになる頃には完全な怒りが浮かんでいた 親密になる程遠ざけようとする働き。心を引き離し、身体を引き離し、まだ抗うならば殺害してでも ネーサが極めて強力な冒険者であるから、無事でいられるだけで ネーサの想い人が一途に想ってくれているから、離れずにいられるだけで 呪いと言えど生かしておけぬ。壮絶な、ネーサを良く知るオトーでさえ見た事の無い激怒を露わにした姿 ネーサが悲しむ事を願わない人がいる。あなたが、あなたと出会う以前から、オトーが、多くの仲間や友人、家族。 親愛を、友愛を、恋愛を。ネーサが繋いできた多くの愛を踏み躙り泥を塗りたくる呪いだ 例え大怨魔霊へ至るまで、怨念を抱えて死んだ某が哀れであっても。既に死して変じた、悪害振りまく者は決して許さない 25/10/01(水)22:44:30No.1358791976No.1358791976 ネーサの誤算は、呪いを掛けた犯人である大怨魔霊マケフィ・ロウィンが復活していた事 一度討伐した相手であり、呪いを残し消滅したと思っていただけに、霊が蘇生(と言って良いのか)を果たした事に驚きがあった そしてもうひとつの誤算が、予期せぬ戦闘と、大悲恋魔霊王と化したマケフィ・ロウィンの強さでさえ より強くなったネーサとあなたのコンビネーションは、打ち破ってしまえた事だ 「以前は大分苦戦した筈なのだけど…」 見下ろす者と見上げる者、決定的な勝敗の形となって、力の差が浮かび上がる ネーサの恋情によるパワーアップは、確かに有効だったが。それでは説明がつかない 説明するならば、ネーサとあなたは呪いに抗い、スキンシップを重ねていた。マケフィの呪いに対して耐性が付いていたのだ 一方的にダメージを軽減するボスのように、マケフィからは見えていただろうか。不幸にさめざめと泣く被害者のような顔をするが、泣きたいのはネーサの方であった 「まあ…直接怒りをぶつけて良いのは好都合ねっ!」 怒りたいのもネーサの方であり、慈悲無き一太刀は今度こそ、完膚なきまでに大悲恋魔霊王を消し飛ばしたのだった 25/10/01(水)23:04:55No.1358798840No.1358798840 「あ……その……」 あなたとネーサの前に、またしても『キスしなければ出られない部屋』が立ちふさがった 誰が用意し、どこから生えてくるのかいまいち分かっていない、かなり迷惑な存在 しかし、今のあなたにとっては。ネーサにとっても 触れ合いを邪魔する呪いは、もう存在しない。専門家に確認してもらい、完全な解呪が成ったと診断書もいただいている あなたがそっと手を伸ばすと、ネーサも手を返して、普段の力具合からは考えられない弱々しい力同士で繋がる 入れば、後戻りは出来ない そこは全く問題無いが、半強制するような部屋でするのはどうなのか。あなたの脳内で思考が加速して 「あの……できれば……誰にも見られないところが、いい、な……」 あなたはネーサを伴い、ゆっくりと部屋の扉を開いた…… …… … 部屋を出てから、用意した誰かが覗いていたのではないかとあなたは思い至ったが。その思考さえもふわふわした気持ちに押し出されていった ネーサとあなたは、互いに相手の唇をチラチラと覗いては、己の唇を指でなぞって 露骨すぎてここまでくると逆に演技ではないかと疑うくらいに、進展したのだった 25/10/02(木)22:17:00No.1359068615No.1359068615 ネーサにとって初めての経験だった 何せ異性を伴い、下着の選択をしようというのだから。何らかの法に抵触していないかと心配になりさえした 試着室の外にはあなたがいるのだ。そして今手に持っているのは、あなたが選んだ下着なのだ 「ふぅ~……っ!ふぅ~……っ!はぁぁ~!」 ネーサは過去のどんな戦いよりも緊張していた。あくまで上のフィット感を確かめるだけであるし、ここであなたに下着姿を曝け出しはしない だが、どうだ。これを一度でも試してしまうというのは。すなわち 「ん゛……っ!はぁ、はぁ……こ、こんなに手こずるなんて…!」 以前はもっと気楽に選んでいたし、オトーに気を使って選ぶべきだと言われていた。無下にしてきたツケが、こんな形で来るなんて 女性の、生まれたままの姿に重なる事で、魅力を引き立てそうなデザインのものを! 「お……………………おまた、せ……」 疲労困憊だった 結局、ネーサは買った。店員が追加で勧めるものも買った 頭を冷やすために軽食を摂ったが、自分の荷物に特別な下着が入っていると考える度に、沸騰してしまった ネーサが赤面するのに合わせて、あなたも顔を真っ赤にさせていた 25/10/02(木)23:51:42No.1359100581No.1359100581 野営の最中の事であった あなたとネーサを引き裂かんとする呪いは、もう存在しない。好きなだけ距離を詰められるし、遠慮なく触る事も出来る 一切の制限を失ったからこそ、逆にあなたもネーサも、ささやかな触れ合いしか出来なくなっていた 「ん……もうちょっと…うう……っ!」 指先を僅かに重ねるだけのスキンシップ。これはこれでネーサの薄い胸の内を大変責め立てる行為ではあったものの 段階を進めたい気持ちがある。ただ野営、冒険の合間であるため、多くは望めない 手を繋ぎたいのだった。あなたも指と指を絡めるだけのイチャイチャから、進展を望んでいた 同じ思いであるのに、遅々として進まないのは。同じだけ好意の熱量を持った男と女であるから 迂闊に踏み込むと、直ちに一線を超えてしまう。最終的に超えるのが目標であっても、拙速すぎる 性欲は当然あって。その前に、二人とも恋愛を噛み締めて、一歩ずつ進みたかった 既に両想いで、割って入られる隙間も無い故の、ある種贅沢とも言えた 「ふ、ぁ……あんまりくすぐらないで……」 その日は五指を延々と絡ませるに留まり、夜番の時が訪れたのだった 25/10/03(金)23:51:16No.1359399057No.1359399057 毎回一人しか参加しない事で知られている、S級会議というものがあった 忙しくて参加出来ない者と、普段会議など頭から抜け落ちてる者に分かれるが、とにかくごく一握りのS級冒険者が、実質持ち回りで会議室を暖めるだけの時間だった 今回はネーサの番であり…今ネーサの隣にはあなたがいる 「紅茶を淹れてみたのだけど、どうかしら」 和やかであった。常の静かで、一人では議決しようも無くただ茶をしばくだけの虚無が ネーサはあなたに茶を振る舞い、議題に関して話し合う事まで出来ている 建設的であり、親密な時間だった 「今回も、やっぱり他には来ないのね…………それって」 密室と、言えなくもなかった ネーサが気付く所にあなたも気付いたが、ここは制した。今回もいつも通りだろうと思った瞬間に、まさかの事態はやってくる 加えて言うと、あなたは万が一の時に、ネーサの特別な姿を見られるのが嫌だった 「そう、ね……帰ってからで、良いわよね」 会議は、結局2名では議決出来ないため、議題に所感を添える程度に留め ネーサとあなたは、今や同じくする住まいに帰宅した… 25/10/04(土)21:08:05No.1359657033No.1359657033 ネーサとあなたに引っ越すつもりは無かったが、他国で違う生活を営む自分達を想像するのは楽しかった 「これでも畑仕事も得意なのよ。駆け出しの頃はそういう依頼も取ってたんだから」 あなたは農婦の格好をしたネーサを想像し…美人はどんな格好をしても美人だと思った 所感をそのまま言葉にすれば、ネーサは顔を赤くしてあなたの肩を叩いた 「もうっ!すぐ口説くんだから…私以外にやっちゃダメよ?」 あなたが好きなのはネーサであり、ネーサに夢中でいてもらいたいからあれこれとしている 他の誰かに甘い言葉を囁く予定は無い事が分かると、ネーサは蕩けるように微笑んであなたに抱き着く ここは二人の住まい。誰にも遠慮せず、好きなだけ触れ合っていられる 「ん……当分引っ越しは無理よね…引っ越して、新しい環境に慣れる時間が惜しいわ」 想いが結実し、妨害も退け、やっと抑えてた感情を好きなだけ重ね合えるようになった所である 冒険は好きだが、冒険へ至る手続きひとつ取っても、土地が違えば変わってくるものだろう ネーサとあなたは、頬を擦り付け合いながら、妄想の域を出ない他国生活ごっこに耽った… 25/10/05(日)22:27:56No.1360071368No.1360071368 冒険者ギルド広報誌『Bo's』(ぼうず)の表紙を飾る事になった まずツーショットの写真を取り、それから肖像画を描くという流れ 表紙には肖像画が用いられ、写真の方は有償応募者の中から抽選で届くという、中々いやらしい商売であった 「こんなにくっついて、良いのかしら…」 口ぶりとは裏腹に、あなたへ小さな胸を押し付けるネーサは、常に上機嫌だ あなたもネーサの腰を抱く形で密着出来て、大変気分が良かった。はや一時間は寄り添っている気がするが、全く苦にならなかった 次号のテーマは冒険者カップル大特集。ネーサとあなたのインタビューも掲載される予定 二人の関係は特に誤魔化そうとしていない。見れば誰からも明らかだった 「私達の話が、誰かの関係を進展させられたら、それは良い事よね」 時々身動ぎと称してあなたに向き直り、花々も恥じらうような美しい笑みを浮かべるネーサ 脳まで焼けてしまいそうな愛しさに、しかしあなたは踏み留まって、微笑みを返す その甘い空気と言ったら、画家の方がゲッソリするほどであった 25/10/05(日)23:40:12No.1360099327No.1360099327 いよいよ二人の交際が広まると、仲をからかうような輩も現れる それまで恋愛とは無縁だったネーサ・マオの事である、男避けに無理をさせているのではないかと 日頃の二人を見ていれば、言ってる側も無理があると思っているが、過去に基づいた差しやすい話だった だが 「そんな、違う!違うのよ…」 結構ネーサが真に受けたため、からかおうとした側の顔色が悪くなった 想い人を風除け代わりに使っているなどと、塵ほども考えた事の無かったネーサ。だがもし今の話で、あなたが気にしてしまったら 空気が深刻さを帯びて、オトーがそっとやらかし者の背後を取った頃 あなたが 「んっ……むぅ、ん、ん……んく……っ」 濃密だった。濃厚だった。そして長行だった 互いに好意を抱いていなければ、とても出来ない情熱的な粘膜接触だった あのネーサ・マオが、進んで反撃している驚きの光景だった 掛かった銀の橋が切れると、必要な分は見せたとばかりに、あなたは惚けたネーサを伴って去っていった ギャラリーの止まっていた呼吸が戻り、皆一様に顔を赤く染めていた…… 25/10/07(火)00:15:25No.1360407240No.1360407240 縋り付いているのはどちらなのか あなたとネーサは寝台の上で身体を寄せ合い、腕を巻き付けてひとつの生き物のようになっている 元々は、あなたの一方通行から始まった。異性として見られる事のない悔しさが発端だった 気付けば、目で追う相手になっていた。ネーサにとって特別意識する人に変わっていた 強く、強く、腕の力を込める。S級冒険者だからと言って、常人と抱擁出来ない訳ではない。しかし、心を剥き出しにして抱き着くには、対等な相手が必要だ ぐぐ、と、身体の内側で筋肉の悲鳴が聞こえる。だがそれだけ。あなたはネーサの密着を受け止め、ネーサもあなたの掻き抱く力を受け入れている 互いの吐息の音だけに耳を澄ます どちらが、必要としているのか。どちらが、欠けたら耐えられないのか 片方だけが、過度に意識している頃はあった。けれど、今はもう 離したくない。いつでも触れ合っていたい。あなたもネーサも同じ気持ちで、執着して、縋り付いていて 「寝るまで、このままでいて…」 そうして灯りが消され、夜闇の中でさえ見つめ合えるくらいに、距離を無くした 25/10/07(火)22:35:27No.1360671837No.1360671837 脂の跳ねる音で目が覚めると、朝食の用意が進んでいた ベーコンとガルガド卵の目玉焼きを主菜とし、パンにスープ、サラダも添えて ありふれた朝食だった パンが籠にこんもりと積まれ、スープとサラダは丼になみなみと。焼けた目玉も10はあろうかというボリュームでなければ S級冒険者の身体を支えるには、もう少し盛っても良いくらいである 「おはよ……美味しそうな匂いね」 あなたの肩に手を添えて、ネーサが台所を覗き込む エプロンを身に付けたあなたの後ろ姿、それから横顔に、朝から眼福だと思いながら あなたの手がネーサの寝癖を撫でて、ネーサの指はあなたの首筋をくすぐる 寝覚めのスキンシップに及びながらも、あなたの意識が焼け具合を逃す事はない サッと火から引き上げ、ベーコンの使用量も半端ではない朝食が完成する 冷めない内に、つまり料理から熱が引かない間であれば、糧を無駄にしている事にはならず あなたとネーサは抱き合い、額と鼻を擦り付けて互いの朝の匂いを胸いっぱいに吸い込んでから、それぞれの席についた 二人の一日が始まる… 25/10/08(水)21:23:32No.1360943999 一人には限度がある。一人の確認は必ず見落としを生む だからあなたとネーサは、冒険の荷物を揃えた後、互いの所持品を確認し合うのだ 地図、コンパス、フックロープに、防水具。持てる限り持ちたいが、旅の負担になっては困る 取捨選択の成果を目視し、指差し確認もし、まとめ終えると時間が空く 「確認、おわっちゃったわね…んっ」 ネーサはあなたの胸に飛び込み、あなたはネーサを抱き締める 暇があって、他人の目が無いならば、ボディチェックの時間だ 見えない所に傷でもあったら大変、という口実に基づいて、身体のあちこちを触っていく ネーサの、S級冒険者の名に恥じない力を持ちながら、柔らかく吸い付いてくる肌を あなたの、ネーサに追いつくため磨き上げた、固く張り詰めて熱を帯びた身体を 「あ……もう、そこは触らなくて良いわよ……ふぁ……」 ダブルチェックを欠かしてはならない あなたとネーサは、荷物点検よりも念入りに、時間をかけた 25/10/09(木)22:26:14No.1361261508No.1361261508 贔屓にしている宿というものがある 腰を下ろした拠点とは別に、冒険の最中頼りにする所。後で埋め合わせをすれば、少しは無理を聞いてくれるような馴染みの店 S級に至るまで冒険を重ねたネーサには、そういう宿がいくつかあって 「一部屋で、いいわ…」 耳まで真っ赤になったネーサを見れば、宿の女将も真っ赤になった 恥ずかしいので、部屋を別々に取っても良かったのだが。ネーサもあなたも夜は一緒にいたかった 関係性を隠してもいないのだから、恥は恥に当たらない。そう自らを鼓舞して、ネーサは若干震えた足取りで、あなたを部屋に連れ込む 想像の余地は無限にあった。あの男の影が見えなかったネーサ・マオが、いかにも親密気に男と一晩を共にするなどと! あの表情!あの態度!あの息遣い!間違いなくそういう事をするのだと!宿の一階は蜂の巣をつついたような騒ぎになった 「もう…好き勝手に言って…」 防音確かな一室さえ貫く賑わいが、ますますネーサを恥ずかしくする こんな目に遭ってさえ、同じく真っ赤になったあなたが寄り添う幸せと引き換えなら、悪くないとネーサは思うのだった そして、互いの声しか聞こえなくなった 25/10/10(金)00:17:46No.1361297333No.1361297333 S級冒険者とは、一種の抑止力である 強い者が睨みを利かせる事で、悪事に手を染める一歩を萎縮させるし、大々的な悪行も踏み留まらせる では、そんなS級冒険者が色ボケしたという噂が流れたら 「本気で隙が出来たと思ったのかしら」 こうなる。ネーサの監視が緩んだと思い込み、サカエトルに潜む悪党の内いくつかは行動を起こした そしてたちまちに首根っこを抑えられていた。ネーサ・マオは色ボケてなどいない、恋情が燃える程に冒険欲も使命感も唸りを上げている 加えてあなたがいる。ネーサと同じ視座に立つため鍛え上げた存在が、同じくして悪の芽を摘み取りに走るのだから、効率は倍で済まない 元々A級のオトーを連れて活動していたのに、S級が加わるという事は、悪漢悪女にとって破滅的効率をもたらす 「お姉様を侮るなんて、とんでもない不敬者!」 「いいのよ、オトー。後は牢屋で絞ってもらうから」 S級冒険者の輝きは健在であった。むしろ輝きは増していた それはそれとして、オトーはネーサとあなたがこっそりと手を触れ合わせたり、目線を絡ませたりするのを、横目で捉えていた 色ボケという評価自体は、間違いとも言えなかった 25/10/10(金)00:17:46No.1361297333No.1361297333 S級冒険者とは、一種の抑止力である 強い者が睨みを利かせる事で、悪事に手を染める一歩を萎縮させるし、大々的な悪行も踏み留まらせる では、そんなS級冒険者が色ボケしたという噂が流れたら 「本気で隙が出来たと思ったのかしら」 こうなる。ネーサの監視が緩んだと思い込み、サカエトルに潜む悪党の内いくつかは行動を起こした そしてたちまちに首根っこを抑えられていた。ネーサ・マオは色ボケてなどいない、恋情が燃える程に冒険欲も使命感も唸りを上げている 加えてあなたがいる。ネーサと同じ視座に立つため鍛え上げた存在が、同じくして悪の芽を摘み取りに走るのだから、効率は倍で済まない 元々A級のオトーを連れて活動していたのに、S級が加わるという事は、悪漢悪女にとって破滅的効率をもたらす 「お姉様を侮るなんて、とんでもない不敬者!」 「いいのよ、オトー。後は牢屋で絞ってもらうから」 S級冒険者の輝きは健在であった。むしろ輝きは増していた それはそれとして、オトーはネーサとあなたがこっそりと手を触れ合わせたり、目線を絡ませたりするのを、横目で捉えていた 色ボケという評価自体は、間違いとも言えなかった 25/10/10(金)21:02:38No.1361519564 冒険者に定休日は無い 依頼を取る受け身の型でも、未知を求める攻めの型でも、休祝日を勘定に入れる事はまず無い 依頼などむしろ、一般に休日の時ほど求められるものだ 故にそう、華の金曜日などという概念は存在しない 「かんぱーいっ!」 仕事終わりがそのままハレの日となるのだ あなたとネーサは、同じ卓につき同じ酒を飲み、同じ肴をやって楽しんでいた 一つの冒険に片が付き、ご機嫌な様子で飲み食いをしていた 他と違う点があるとすれば、あなたとネーサは対面ではなく、肩を並べて寄り添って飲んでいる事か 「こらぁ…あんまり触っちゃだめ…」 などと言いつつ、あのネーサ・マオが女の顔をして男に触っている それはもうあちこちに触っている。合意が無ければセクハラ扱いされそうなくらい触っているのだ とんでもない光景であり、恐れ知らずの冒険者達をして、様々な感情を生唾と共に飲み込んだ なんとなく、これ後日追求したら死ぬんだろうなと、一同思ったのだった 「これおいし…はぁい、あーんっ」 25/10/11(土)22:27:24No.1361882829No.1361882829 「どう…かな?」 あなたは一撃で参っていた。元より美人のネーサが、身体の線を大胆に晒す衣装に着替えているのだから 古風な反応になるが、少し鼻血も垂らした。深いスリットによって見えている生脚も扇情的が過ぎる いわゆるチャイナドレス、今はチーパオと呼ぶのか。とにかく美女の美貌を引き立てていた 「もう、大袈裟なのよ…そっちも、似合ってるわ」 一方だけが着替えるより、互いにリクエストで着替えた方が盛り上がる という事であなたは、胸元が緩々の浴衣姿であった。ネーサの熱視線が胸板から首筋にかけてを舐め回している 呼吸も荒くなり、身体から力が抜けていくのが、あなたから見て取れる 二人して、とても正気ではいられなかった 「いえ…似合いすぎてるわね…こんなの私以外の前で着たら、だめなんだから…!」 高い等級にこそ至っているが、あなたもネーサも普通の男女として、そういう欲望を持っている 興奮のあまりおぼつかない足取りで距離を詰めると、ネーサはあなたの胸に顔を埋め、あなたはネーサの細い腰を独占する 二人の家は、この日も愛の巣となった 25/10/11(土)22:58:57No.1361895005No.1361895005 >Kこれから >Oお姉様 >Cチャイナコス 「とある地域の近日の状況について調査を求む、なお訪問時は現地住民との親和性を考慮し専用の衣服を支給する。」 久々に受けた潜入調査の仕事だが、宿に戻り支給された衣服を改めたとき、ネーサは顔色を失った。 東方地域で使われる屋外活動用の衣服を、同じ地域に伝わる魔物に見えるよう装飾した衣装と聞いていたが、 一枚ものの布しか入っておらず下半身に履くものがなかったのだ。 そしておそらく下半身を覆うであろう布の部分が前後に分かれていて、腰から下を覆うには短く見える。 服を胸にあて確信する。これを着たときに派手な動きを取ると尻も腿も露わになる。もしかすると前側すら…。 いつもは涼し気な顔が崩れ赤くなる。安易に仕事を請け負った代償としては重くはないが、この晩ネーサは悩みに悩み寝付けなかった。 25/10/12(日)22:03:35No.1362248086No.1362248086 ネーサはあなたのために早起きして、お弁当を作ったのだった 「口に合えば良いんだけど…」 合わない筈が無い。あなたとネーサは互いに胃袋を掴んでおり、好みの味付けを把握している そんなネーサが期待と不安に包まれている。今のあなたに喜んでもらえるよう最善を尽くしたからだ あなたも今のネーサにとって、最良のパートナーでありたいと願っている。だからいつまで経っても、緊張する瞬間がある あなたは忙しい冒険者が片手で摘める惣菜パンを手に取ると、勢い良く齧りついた 「ど、どうかしら…?」 大変な美味だ。美味しい上に幸せの味がする。あなたのためにネーサが一生懸命工夫してくれた証だった あなたはたちまち一つ平らげると、二つ目にも手を伸ばした。それもあっという間に消えてしまう 「ん…良かった。安心したら私もお腹空いてきちゃった」 あなたはネーサのために早起きして、お弁当を作ったのだった 朝から二人で台所に並び、すぐ隣の相手のために昼食をこしらえるというのは、何だか吹き出してしまうような話だった 「とっても美味しい…!それに、幸せな味がするの…」 穏やかな昼の時間が流れていた 25/10/13(月)22:43:27No.1362603446No.1362603446 隣に恋人がいるだけで、他にはもう何もいらない あなたの肩に頭を預けてくるネーサの体温が心地良く、繋いだ手の柔らかさに心音が早まる いつだって安らいでいるが、興奮もしている。好きという事は、慣れる日が来ない ネーサの髪、ネーサの匂い、ネーサの温もり。何度味わったって胸を締め付けられる。苦しくて切なくて、それなのにほんの少しも離れたくない気持ち あなたの手に力が籠もると、指を絡めていたネーサの手がむずがり、慌てて優しく結び直す 恋人繋ぎで繋がったあなたの手の感触に、ネーサの頬がもう何度目か朱色を深める あなたに体重を預けきり、胸の内を思慕だけで満たす時間が流れる 逞しい腕の作りに、少し汗の混じった男らしい匂い。そっと見上げれば、何度でも恋仲の相手が目に映る ネーサの鼓動が強くなり、幸せで蕩けてしまいそうなのに、力が湧き上がり落ち着かなくもなる 一呼吸ごとに、ネーサとあなたの脈打つ速度が合わさっていく。触れ合う面積は僅かなのに、一つの生き物になっていくような錯覚 あなたが手を引くと、ネーサも進んで身を寄せ、髪と髪を絡ませた 25/10/14(火)21:16:31No.1362882237No.1362882237 寒いからという事で、あなたとネーサは合法的に抱き合っているのだった 二人の家の中であるため、そもそも誰も咎めに来はすまいが。口実があるのはありがたいのだった 「もっと、ぎゅってして……あぁ、寒いのも良いものね…」 ネーサはあなたの腕の中にくるまり、予備のマントを引っ張り出してあなたごと包んでいる こうすると温もりが逃げないし、匂いも出て行きにくい。満足度が跳ね上がる、ちっぽけなシェルターだった もぞもぞと身を捩るネーサは、そっとあなたの首筋に唇を這わせ、粘液の跡を滑らせていく 「ん、むぅ……んは……ぁ。良いわよね……家だし」 あなたはネーサの言葉に、唇で応える。額に、髪に、首筋に口付けて回る 吸い付いた跡が残らない、優しいキスの雨。粘ついたネーサのお返しと共に、男と女の匂いが充満していく 愛おしい。昨日よりずっと。愛おしい。明日はきっともっと マントで二人の身体を完全に覆い隠すと、薄闇の中で盛んに這い回る音を立てる あなたとネーサは本能に従って、身体を押し付けながら何度も愛の告白を交わした 25/10/15(水)22:30:26No.1363206191No.1363206191 あなたはネーサの一挙手一投足に見惚れている。向けられた突きを躱す ネーサはあなたの立ち振舞に魅了されている。前蹴りを半身になって躱す 全神経を恋人に集中しながら、同時に五感が捉える全てを認識出来ている不思議 ネーサを応援するオトーの声、どちらが勝つか賭けている不良冒険者達、声、振動、風 二人の世界に没入しながら、今訓練場で起きている何もかもを感じ取る 一段上の知覚に至ったあなたとネーサの激突は、舞のように華やいで、嵐のように無慈悲 例えば間に何者かが割って入れば、たちまちミンチ肉となって転がるだろう 「あはっ!あはは!」 互いに真剣を用い、当たれば即死の一撃を間断無く振るい続ける 袈裟懸けに胸を引き裂き得る一刀。顔面狙いの高速突き。今力をぶつけ合う相手なら、もっといけると信じて 二人だけの冒険 汗と、かすり傷から血を飛び散らせながら、あなたとネーサは一心不乱に刃を交え続けた 「そぉれっ!」 受け止めて、鍔迫り合い。ネーサの瞳にあなただけが映っている幸せを、あなたは噛み締めた 25/10/16(木)21:25:55No.1363462929No.1363462929 未知の第一踏を果たす。それこそ冒険 そう、人の知らぬ世界に踏み入り、その姿を暴き立てていけば、思いもよらぬ出会いがある 「ふぅぅ~……まさか温泉が湧いてるなんて」 世に名湯秘湯は絶えないが、真に知られざる湯というものは、冒険者しか知らないのかもしれない 湯浴み着に着替えたネーサは肩まで浸かり、旅の疲れを癒やしている 男湯も女湯も無いので、あなたは堂々とネーサの隣で湯に浸り、肌という肌を舐めるように見ている その仕草はまるきり変態だったが、ネーサもかなり大胆に見返してくるので、おあいこだった 「ちょっと、目が血走ってるわよ…私を見てくれるのは、嬉しいけど…」 湯から二の腕を覗かせるネーサのサービスに、あなたは興奮しすぎて体勢を崩す あなたはネーサに並び立つため鍛えた冒険者なので、この程度の不調は乗り越えられるが 立て直すより早くネーサの腕が巻き付き、小さな胸に頭を抱え込まれてしまった 早業であった 「見るなら…もっとしっかり見て欲しいな…」 それからしばらく、水音が立っていた 25/10/17(金)22:01:02No.1363765750No.1363765750 妬けるのだった ネーサはいち冒険者であり、他者とクエストのパーティーを組むのを好む。そこには自由があり、あなたが阻害していいものではない だからすんなりと行かせるのだが、あなたの目はどうしても淀み嫉妬の視線をぶつけずにいられないのだった 男でも女でも、以前から親密なオトーだったとしても、自分が代われたら割って入れたらと考えずにはいられないのだ 苦しく、切ない。身悶えしたい気持ちを押し留めて、あなたもまた冒険者の務めを果たすのだった… 妬けるのだった ネーサとていち冒険者、いかに愛していても実績あるあなたを拘束し続ける権利はない 仲間と冒険するのは好きだし、オトーとの気心知れたやり取りも改めて良いものだと感じる だけど、やはり。特別な人が欠けた寂しさに、自分ではない誰かが共に冒険してるかもと思うと、全身が熱を帯びる 譲りたくない、性別も種族も関係ない、並び立つのはネーサ一人でありたいと考えてしまうのだった 流石に固執しすぎだと、頭を二度三度と振ってから、ネーサはにこやかな表情を取り戻して仲間を率いるのだった… 25/10/18(土)21:56:01No.1364107608 華やいだ装いのネーサを、あなたは独占したい気持ちと見せびらかしたい気持ちの板挟みに遭った サカエトルの祭日という事で、あなたはネーサと共に街へ繰り出す…訳にも行かず、S級冒険者として表に裏に治安維持の務めを果たしたのだが 喧騒が過ぎ、人々の心が平日に戻る頃、あなたとネーサは賑わいを埋め合わせるべく街へ繰り出したのだった 女性らしくも戦闘を意識した普段のネーサとは違う、軽やかで可憐な姿。どの瞬間を切り取ってもそのまま王城に飾れる美麗さだ この美しさ、この愛らしさ、どれだけ褒め称えたって許される。あなたはネーサが果実水で喉を潤すだけでも称賛し、隣を歩けばすかさず愛を囁いた ネーサの頬は常に赤く、大胆に晒した肩から鎖骨周りも朱色に染まっている あなたの一方通行にはさせまいと、たどたどしくも思いを伝え返すが。今日の舌回りの良さはあなたの方が上だった それを見ていた人々は、もう茶化す言葉を投げ込む事さえ出来なかった あまりにも桃色の世界に、彼女さんにサービスだなどと軽口を叩く気も起きず、無言で肉串を五割増しにするのが精一杯だった 25/10/19(日)22:16:03No.1364475932No.1364475932 >ここからはセ部屋や感度3000倍で無理矢理にでもくっついてもらうジーコ式で行かせてもらう! こうした不埒な企みは、時に無関係な者を巻き込み悲惨な結末をもたらす そのためネーサとあなたの巨頭を同時運用して、不審な建築物には抜き打ちテストが行われるのだった 朝起きたら見知らぬ建物が生えていて。あの屋敷の雰囲気が最近ガラリと変わった そうした情報を元に、また足でもって稼いで。魔術的呪術的はたまたあれやこれやの罠と化した家屋へ駆け寄って ネーサとあなたは踏み込んだり…はしない。代わりに壁へ札を一枚貼り付けると 『色ボケ』の一文が! S級パワー同時攻撃によって、スケベトラップハウスは粉砕された。淫獄の巣に変えられた以上、慈悲はかけられない 「全くもう、やるなら個人的にやってもらえないかしら」 この札、『毒ガス』『火災』など様々な探知が出来るが、殆どの場合『ドスケベ』『エロトラップ』『感度3000倍』なのだからネーサも呆れがくる あなた達は少々楽しんだ事もあるとはいえ、基本強要するための空間を仕掛けるなど悪しき仕業なのだから サカエトルならば守れるが。遠い空の先で罠に落ちる人などいない事を願った 25/10/20(月)23:04:13No.1364801532No.1364801532 雑草取り。冒険者に依頼される仕事の中でも、下の下の下に当たるもの。やりたがる者は殆どいない しかし依頼されるという事は、冒険者による解決を望まれているという事。ギルドは受注を待っている いつまでも…いつまでも……それでも誰も受注しに来ないのだから、仕方ないのだった 「よいしょっと…我ながら中々の量じゃないかしら」 S級冒険者がするべき仕事ではない。しかしS級冒険者が率先してやって見せなければならない時がある 先駆する、そしてためらわない。それが冒険者の最上位というもの。ネーサはせっせと一本ずつ雑草を抜き、あなたもまたチマチマと根を掘り起こしていた こうなるともう、他の冒険者もやらない訳にはいかない。何せS級が地道に雑草を抜いているのだから、それを肴に飲んでいるなど、序列の世界では許されない 続々とギルドから駆け出したA級だのB級だのなんだのかんだのが、もう頼まれてもいない辺りまで手当たり次第に雑草を引き抜いていく 「あら…結構楽しくなってきたのに。ねぇ?」 ネーサはそっと呟くとあなたと目を合わせ、小さく吹き出した 25/10/21(火)22:29:57No.1365092730 旅の世界にも四季があったり、四季は無くとも寒暖の差はあったりする サカエトルもまた、緩々と気温を下げていく時期になった。街行く人の装いも重ね着が増え、暖かさを重視していく 冒険者の多くは屈強であるため、寒くなっても耐えられるが。耐えられるだけで耐えたくはないため厚着に変わっていく ネーサもまた、スカートの下にタイツを履くようになったし。肩腋を覆うようになった 「寒くなってきたわね…」 ほうと息を吐く姿さえ絵になる。あなたはネーサの寒気向け装いに魅了され、些細な仕草に目を奪われていた こんなに美しい女性と交際出来ているとは、過去の自分に教えたら目玉を飛び出させて失明してしまいそうだと 「……もう。油断するとすぐじ~っと見てくるんだから」 気付けばネーサの目もあなたを見返していて、なんて事のない道端で甘い雰囲気が漂う あなたは冒険者に手本を示す側でなければならないので、所構わず立ち止まって往来の邪魔をしたりはしない ただ恋人と手を繋いで、見つめ合いながら歩む。その間互いしか見ていないのに、通行人とぶつかったりする事もなく 恋情は感覚力を研ぎ澄ましてくれる 25/10/22(水)22:29:48No.1365389941No.1365389941 S級と言えども節制は心がけなければならない。S級なのだから派手に金を使って見せなければならない どちらも正しい。そこでかつてドカンと買って見せたのが、こちらのマオ宅であった 流石にデカい新居を構えたとあっては、財産の使い道に下世話な口出しもかなわない。まだネーサが恋愛と無縁だった頃の話である そしてこの家には、自前の風呂があった。上位冒険者ともなれば、湯など容易く生成出来るので 「ふぅ……あの時お風呂を作って正解だったなぁ……」 一糸纏わぬ姿で、ネーサは湯に浸かっていた。ネーサが腰掛ける椅子のようにして、あなたも風呂を共にする タオルで髪を纏め上げ、うなじを晒したネーサが、あなたの至近距離にある。心音が早いのは湯のせいばかりではない 温かいものが頻繁に間へ挟まってくるというのに、ネーサの柔肌の感触は信じられないくらい敏感に感じ取れている 「ねぇ。もっと夢中になってくれても、良いんだけど」 ネーサが敢えて身を離すと、透明な液体が二人を遮るが 透明であるために、互いの全てが露わになっていた。家での入浴に、湯浴み着など用いたりはしない 25/10/23(木)01:06:59No.1365434811No.1365434811 >カプはみんな映画館デートでもすればいいのだ 並んで腰掛けるネーサとあなた 照明が落ちると流れで手を繋ぎ楽しいシーンでは顔を見合わせて一緒に破顔し悲しいシーンでは互いの目尻へハンカチを当てて涙を拭う マナー違反はしてないのだが目にした他の客が落ち着かなくなる被害を発生させた 25/10/23(木)21:20:00No.1365654147No.1365654147 ネーサ・マオが美しい事は周知の事実である。であるがため、顔に惚れて冒険者を志す不埒者も少なくないくらいに 一種の商品的価値を持ったネーサの美貌であったが、この度独占状態に陥った 「やだ、もう……これじゃあなた以外には見てもらえないわね…」 なんて事のないフードを被ってしまえば、もう正面以外から顔を覗く事は叶わない そしてネーサの正面、至近距離からあなたが見つめている。フードが落とす影に、二人の表情が隠されている 「変な事思いつくんだから…」 恋人を、自分以外の誰も触れなくしてやったらどうなるか。次は誰からも見えなくしてやる 欲求はエスカレートしていき、留まる所を知らない。あなたの手はフードの中の柔らかな頬に触れ、滑らかなネーサの肌感触を味わっている 一切を自分だけのものにしてしまいたくなる、狂った独占欲。合意の上で好意に基づいていても、好ましいものではなかった 「……そろそろ、私もやりたいようにさせてもらうから」 だが、互いに狂い求め合ってしまえば。少なくとも二人の間では対等である ネーサがどんな顔をしてあなたを手繰り寄せたか。それはあなたにしかわからなかった 25/10/24(金)22:29:25No.1365967680No.1365967680 まやかしでもって人を迷わせ、秘密を守る仕掛けは世界に点在している 余程隠したいのだろうが、この手の術は相手を選ばない。見つけたら解除が望ましいのだった そうして足を踏み入れたネーサは、 『オトー……!あなたよくもっ!』 可愛い妹分を、親の仇のように憎んでは刃を振り下ろし、醜い争いを繰り広げ 『どうして……私だけ誰とも寄り添えないの……!』 涙に暮れて雨に打たれ、どうか救いよあれと神に祈りながら怨嗟を呟き 『全て全て、私と同じになればいいんだわ……っ!』 呪いを手当たり次第に撒き散らし、不幸の再生産を始め、「悪趣味ね」 乱麻は一太刀に絶たれ、まやかしはなごり雪のように散っていく もしかしたらそんな未来もあったかもしれない。我が事のように味わったその光景を、しかしネーサは払い除ける 「だってそれは、ここにいる私じゃないもの」 ボタンをひとつ掛け違えたら。そんな空想は寝物語にするものだ。ネーサ・マオは小揺るぎもしない 過去を振り返り、未来に思いを馳せても、ネーサの立つ所はここなのだから そっと手を重ねてくれる人の温もりを感じて、ネーサは微笑みと共に振り返った 25/10/25(土)21:49:25No.1366290765No.1366290765 ネーサ・マオは猫ではない。気高く、和を尊び、責任感がある しかしあなたの頼みとあらば、猫の真似事をしなくもなかった 「にゃ、にゃお~ん……」 猫耳を冠し、愛らしい鳴き声を上げるネーサの姿に、あなたは息が詰まりそうなくらい魅了された 決して沈黙の時間を流れさせまいと、あなたは肺に残った空気を振り絞って、大変似合っており呼吸が止まりそうだと称賛を贈る ネーサの頬が赤く染まっているのは、羞恥ばかりではなかった 「褒めてもらえると、その、やった甲斐はあったなって感じるわね…」 いじいじと指を動かしながら、視線を彷徨わせ控えめに喜色を表すネーサの、なんと美しい事か ちょっと今日死ぬかもしれないと思いながら、あなたは口をパクパクさせる。酸欠気味だ 感動は時に人を殺す。ネーサが猫に扮するというのは、破滅的愛くるしさである 危険なのであなたが責任を取って封印しなければならない。あなたは己の手で強く胸を打ち、無理矢理呼吸を回復させる そうしてから、美猫を捕まえにかかった 「やだ、ちょっと…もうっ。そんなにこの格好が良かったの、にゃあ?」 捕物には大変時間を費やした 25/10/26(日)21:38:53No.1366650087 S級冒険者とて人の子、時にはSNSで自分の評判を探りたくなる日もある ネーサ 検索。すると出るわ出るわ最新の風評が… 曰く、惚気すぎ。曰く、目の毒。曰く、前より綺麗になった。等…… 「そんなに、かしら…?」 端末をスリープさせると、ネーサはおずおずとあなたへ振り返る あなたから贈る返事としては、そんな事は無い一択だ。触れ合う時間などいくらあっても足りないし、外では見られて恥ずかしい事はそんなにしていない ただし、主観と客観が違う事も認めなければならない。今まで以上に人目のある所では控える必要があるだろう 「そう…そうね…ちょっぴり寂しいわ」 所構わず抱き締めたいし、密着したまま語り合いたい気持ちはあなたにもある そして今は二人の住居の中であるため、辛抱する理由は無い 外では我慢出来るように、今の内たっぷりとスキンシップしてしまおうと、あなたはネーサを捕獲した 「…もっとぎゅってしてくれなきゃ、物足りないの」 あなたとネーサは一塊となり、端末は隅に転がされた この日を境に、人前ではイチャつく頻度が下がったとか 25/10/27(月)22:32:40No.1366969456 あなたはネーサに追いつくべく、急ぎ功績を積み立てた冒険者である そのため人が手を付けたがらない・手を付けられないような依頼にも積極的に飛び付いていった 何だって構わない。とにかくネーサと同じ世界を見るまでは…という訳で 「こんな事もしていたのね…」 あなたは墓地の清掃に勤しんでいた。冒険者にとって身近だが、同時に忌むべき地でもある ついでに言えば、冒険者などと荒い人種に依頼を飛ばすのが、既におかしいのだが。あなたには関係なかった 生えてきた雑草を抜き、墓石に溜まった汚れを落としていく。ひとつひとつ、丹念に ネーサもあなたの手付きを見て覚えると、二人で倍以上の効率を出して、死者の眠る地を清めていく 「敬意を忘れたつもりは、無かったのだけど」 ネーサの気に病む事ではないし、墓に収まった霊達も冒険者に掃除されては気が休まらないだろう あなたはかつて依頼だから務め上げ、今は依頼となる前にこなしている 慰霊の日が近いのに、面が苔まみれではあんまりだ 「そうね…ええ。誰が見ても驚くくらい、綺麗にしてあげましょう」 二人がかりである。作業の音が止むまでに、そう時間はかからなかった 25/10/28(火)21:45:15No.1367275550No.1367275550 釣り竿を垂らしているが、真面目に釣る気は無いのだった あなたはネーサと共に川を眺めている。少し肌寒い風が流れ、木々がざわめく ゆるりと流れる水に糸が踊らされ、陽の光を弾いて一面が輝いている 時間は緩慢に流れる 「ふぁ……のんびりしてるわね……」 ネーサがあくびを噛み殺せない程に、釣り竿は反応を見せず周囲は穏やかな音色で包まれている 冒険はいいものだ。しかしたまには、腰を据えて落ち着くのもいい 糧を得るためでなく、時に身を任せるために釣具を用いる。あなたが先輩冒険者から教わり、先輩もそのまた先輩から受け継いだ知恵だった 何も起こらないまま、あなたとネーサは手を繋ぎ、肩を寄せ合って水面を見つめる 「あっ、かかった!」 平和ボケした魚は見境なく針を飲み込み、ネーサは鋭く竿を合わせる 流石はS級冒険者、力の要点を見誤る事がない。抵抗を許さない振り上げで一気に水上へ引きずり出す 釣果イチ。あなたは釣果ゼロであった 「ふふんっ」 自慢気に鼻を鳴らすと、ネーサは元の位置に戻り再び手を繋ぐのだった 25/10/29(水)21:31:36No.1367577765No.1367577765 『グッとガッツポーズしたら世界の未知が一つ解明された』偉大なるネーサ・マオ叙事詩(著・オトー) 冒険者の中では有名な噂である。あなたもネーサの能力を考えれば、ありえない話ではないと思っている せっかくなので当人に聞いてみると、慌てて両手を振り否定にかかった 「違うのよ!あれは、そう、ポーズを取らないと扉が開かない妙な遺跡で…」 鍵が存在せず、押しても引いても開かない扉。古文によれば、扉の前でポーズを決めると開くのだという 奇妙に思いつつも、ネーサに退却の二文字はなかった。天を睨み拳を突き上げると、それを認証して道が開かれた 以降もポーズ取りを要求され、応じていったのが事の真相なのだった 「あれにはうんざりしたわ…途中からオトーと二人がかりじゃないと出来ないポーズになって」 最終的に遺跡は暴き切ったが、その過程は振り返っても大変なもののようだった ちなみにどういったポーズを取っていたのか 「それは、こう……一緒にやってみる?」 ネーサに手を取られ、姿勢を変えられる。これは中々、人目に晒すのは照れるもののような 抱き合うような体勢の中で、これを当時オトーは経験したのかと、あなたは少し妬いた 25/10/30(木)22:02:47No.1367887763 「お菓子をくれなきゃいたずらするわよ」 つまりはそういう事だった 慰霊の意味を持ちつつも、現世の住民が賑わうための催しとなった祭事において定番の掛け声 あなたはそっと仮装したネーサの手に菓子を握らせた。そしてすかさず定型文を返す 「勿論用意が…あら?確かここに…」 ネーサがあなたのために用意していた菓子袋は、こっそりと持ち出してクローゼットの中にしまってある しかし、ネーサがその程度の仕込みに気付かない筈が無い。つまりはそういう事だった 困ったフリをするネーサへ、肉食の怪物に扮したあなたが迫る 「困ったわね…どんないたずらをされてしまうのかしら…」 半身になって、両手で身体を抱いて襲われまいとしているように見えるネーサ その腕にあなたが触れ、そっと力を込めると、防備は難なく崩壊するのだった 「きゃ…!いたずらじゃ済まないような事、考えてるでしょ」 滑らかな感触の素肌を撫でて、あなたはネーサをベッドまで運んでいく すんなりと転がされ、頬を赤くして期待する恋人目掛け、いたずらが始まるのだった 25/10/31(金)22:19:41No.1368191231 あなたは大量の菓子を保持していた。万に一つもネーサがいたずらされるなど耐えられないからだ 行く先々でネーサ目掛けて定型文が放たれ、自然と菓子は尽きる。そこであなたが割って入り、菓子を配っていく あなたとネーサ、二つの菓子袋。鉄壁の守りであった 筈だった 「トリック・オア・トリート…調べはついてますよお姉様っ!二人揃って手持ちのお菓子が無い事は!」 「オトー!くっ、確かにもうお菓子は…」 子供達をそれとなく誘導してきたのは察していたが、相手が子供であるため邪険に出来なかった オトー、恐ろしい女である。しかしあなたは挫けない。ネーサを庇い立ち塞がる 「どいてください。私はお姉様に用があるんです」 どく必要は無い。勝利を目前にして焦ったか、トリック・オア・トリートの呪文は対象を指定していない。 いたずらされるのはあなたでも構わないのだ 「ふざけた事を!押し通ります!」 絶対に許さない、絶対にだ。あなたは決意と共に地を蹴り、ネーサの妹分と取っ組み合いを始めた 「…………私も混ぜてっ!」 横から飛び込んできたネーサによって、二人まとめて壁に埋まるのだった 25/11/02(日)22:16:57No.1368911519No.1368911519 野営というものは大変危険が付きまとい、複数人が交代で見張りを立てるのが基本である つまり、あなたとネーサは一緒に寝る事が出来ない。仕方がないが寂しいのだった 「そうね…せめて寝るまでの間は、傍にいてくれる?」 ネーサは先に眠るが、まだ眠たくないらしく、あなたの手を取って腕に抱き込む 大変柔らかく、滑らかなネーサの腕に絡み付かれ、あなたは心臓を高鳴らせる 火種が爆ぜて、ぼんやりと二人を照らす。ネーサが頬を朱に染めているのは、あなたの見間違いではない そこから先に進展したいのだが。冒険の最中の事である。あなたは悔しく思いつつも、ネーサのぬくもりを感じる幸せに感謝する所で留める 「あったかい…あぁ、でも寝なくっちゃ…」 ネーサも自制心を働かせようとしている。あなたの肩に頬ずりし、名残惜しそうにしながら、ゆっくり巻き付けた腕を緩めていく 夜は静かで、何も咎めはしない。だからこそ、あなた達は自ら律しなければならない ケアレスミスで今生の別れ、或いは死後の再会など冗談ではない。あなたはネーサの額に口付けると、僅かに身を離した 「んぅ……おやすみなさい…」