[main]
スカーレット :
ぐつぐつと鍋が湧いている。そろそろ食べ頃だろう。既に周囲からは酒盛りで盛り上がる人達の声が聞こえている
こちらのテントにも、汁物を求める人たちが来る頃合いだろう。杓子を握り椀の数を数える。十分な数があるはずだ
[main] スカーレット : choice[シチュー,ビーフシチュー,ポタージュ,豚汁,肉じゃが,カレー,ポトフ] (choice[シチュー,ビーフシチュー,ポタージュ,豚汁,肉じゃが,カレー,ポトフ]) > 豚汁
[main] スカーレット : 2d6+5+5 料理判定 (2D6+5+5) > 7[6,1]+5+5 > 17
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 鍋を準備する少女の足元から、ガシャガシャと金属鎧が動く音がする。
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「お嬢さん!汁物ひとつ!」凡そミスマッチの、金属鎧を着たタビットがあなたを見上げる。
[main]
スカーレット :
タビットか。ファイターなら無条件に大盛にする所だがこの体躯で食べきれるかどうか。並盛にしておこう、足りないなら言ってくるだろうし
「はい、どうぞ。食器はそこのテントの前にあるから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「ああ、どうもどうも。」器を受け取り、食器を持ってきて、よっこいと言いながらテント内の椅子に座る。
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「アンタ、昼間の戦闘の時は見なかったな?昼勤の護衛とは違うのか?」モグモグ
[main] スカーレット : 「私は料理番の方がメイン。一応護衛だけど、戦闘時は荷物守ってるよ」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「嘘つけ、かなり戦える戦士だろ。料理番より前衛の方が給金良いはずだぞ?」
[main] スカーレット : 「その分危険だもの。危険を避けてるわけじゃないけど、私はこっちでも雇い入れて貰えるだけの技量はあるし」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「へー。料理人なのか?」
[main] スカーレット : 「家政婦。恩人のお世話をしばらくしてたから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「家政婦ねぇ。こんな大所帯のキャラバンでご苦労な事で…」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 料理人としてなら料理を作ってればいいが、家政婦なら他の雑事も押し付けられるだろうに、としみじみ
[main] スカーレット : 「いいの、分かった上でだから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…ひらめいた!アンタ、日中オレの助手やってくれよ!そうすりゃ雑事をやらない言い訳にもなる。」
[main] スカーレット : 「私、日中は先約あるから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…フラれた!?天ッ才物理学者のオレが!?」
[main]
スカーレット :
「…………物理学者?」
どうみても戦士の見た目をしているが学者だったのか
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「おう!このキャラバンに雇われた天ッ才物理学者、センツォ=カヅラーヴァとは俺の事だ!」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…実際は学者集団が奇襲された時の護衛って立場もあるんだが」小声
[main]
スカーレット :
それは学者専属の護衛とかそういう立場なのでは──エルフの長耳は小声でもよく聞き取れる
「このキャラバン、学者までいたのね」
大きなキャラバンだ。構成までは把握していない
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「キャラバンって聞けば基本は行商だろうけどな。ただ行く先々で見たことない植物や鉱物を見つけた時、それを即座に調査するなら、学者も連れて行った方がいいだろ?」
[main] スカーレット : 「手広いのね、ここ」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「その位の方が働き甲斐があるってもんさ!オレも見たことない研究に参加出来て悪くないしな!」
[main]
スカーレット :
「それは重畳」
どの道自分は大鍋を掻きまわすだけではあるが、モチベーションの高い職場であること良いことだ
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「アンタは…このキャラバンにはただの出稼ぎかい?」
[main] スカーレット : 「メインは移動ね。少人数での移動より大勢の中に居た方が安全だから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「ふむ。…失せもの探しとかか?」
[main] スカーレット : 「そんなところ」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「物理学者の知識が必要なら言いな。ココで会ったのも何かのよしみだ、手伝ってやるぜ。」
[main]
スカーレット :
「う~ん」
しばらく、考えて
「必要なところは……ない、かな。多分」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「あら、そう…」ずっこける
[main]
スカーレット :
「うん」
どこにいるかもわからない人を探すのに役立つ物理学者の知識がどんなものか見当もつかないのだから、目の前で項垂れているタビットには悪いが仕方ない
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「いや、てっきり物を探してるもんだと思ったんだが…ホントに学者の知識いらない?それとも地質学とか紋章学とかの方か?」
[main] スカーレット : 「探してるの人だから……」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 純粋な目で首をかしげる
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「それならキャラバンの連中に聞いてみたらどうだ?酒の席なら口も滑りやすいし、あれだけ人数いるなら数当たれば何かしら情報引っかかるだろう。」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : くい、と別のテントで宴会騒ぎをしている護衛集団を指す
[main] スカーレット : 「ちょっと、事情が普通と違う人だから」
[main] スカーレット : 「知っているはずがないから、そういうことはしてない」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 眉間に皺を寄せる。つまり、旅人の類よりも、犯罪者とか流刑の罪人とかを探しているとこの少女は言っている…と判断できる。
[main] センツォ=カヅラーヴァ : オマケに耳が尖っている。…エルフの流刑とか、気が遠くなりそうなくらい長い話ではないか?タビットなら100人くらいの大家族が形成されるくらいの年月が経過しないか?
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「最ッ悪だな…」下手するとその問題解決する前に自分の寿命が来るのではないか。
[main]
スカーレット :
「そうね」
フッ、と笑って同意した。彼がどう解釈したにせよ、自分の中に彼の言葉を否定する根拠も、そうしたい感情もなかったから
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…ただまぁ」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「アンタの話は聞いていいのかい?その探し人についても。」
[main] スカーレット : 「母よ」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : やけにアッサリ話してくれた。もうちょっと人に言いにくいものかと思っていたが。
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「特徴とか、名前とか、癖とか。もしよければ教えてくれ。記憶しておいて、該当しそうなエルフを見つけたらアンタに教えるよ。」
[main] スカーレット : 「分からない、全部」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : もう一度ずっこける
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…ああいや…うん…オレか?聞いたオレが悪かったな?」
[main] スカーレット : 「相談のし甲斐がなくてごめんなさいね」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「オレの天才的な頭脳によればアンタが探すだけじゃなくてオレも探せば検索効率は2倍!…だったんだが」
[main] スカーレット : 「雲を掴むような話だから、あまりしないの。知っても仕方のないことだから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「じゃあ、どうやって探すって言うんだよ。もし見かけても母親だって分からないじゃないか?」
[main] スカーレット : 「そうね。その通り」
[main] スカーレット : 「それでも、探すの」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…ああもう!」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 白紙の本と羽ペンを取り出しインクを付ける。
[main]
スカーレット :
「?」
何に怒ったのかは知らないが、何かに急に彼は怒ったらしい
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「出身地、年齢、母親が自分について知ってそうな事、全部話せ!」そう言って筆を走らせる
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 一度少女に本のページを突き出す。精巧な少女の似顔絵が書かれている。
[main]
スカーレット :
「多分、ブルライト。年齢は49」
剣幕に押されて、答える
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 鬼気迫る勢いで筆を走らせる。
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「母親との記憶は!何か同じもの食べたとか、手料理とか!」
[main] スカーレット : 「ない。何も」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 羽ペンを床に叩きつける
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 一呼吸置いて、羽ペンを拾って椅子に座りなおす
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…オレの研究ノートに人探しの情報を書いた挙句、その情報に空白が多い。…最ッ悪だ。」
[main] スカーレット : 「……千切ったら?」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「嫌だね、紙の無駄だ。そしてこの情報は既にオレの頭の中にある。」とんとんと自分の額に指を当てる
[main] スカーレット : 自分で書いておいて自分で怒っている。変な兎だ
[main] スカーレット : 「賢いのも考えものね」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「ああ、忘れたくても忘れようがない。…家政婦さんよ、アンタの名前と連絡先は?」
[main] スカーレット : 「スカーレット。固定の拠点はないから冒険者ギルドあたって」
[main] スカーレット : 「街に行ったら必ず顔は出してるから」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「判った。もしオレがアンタの母親を見つけたら、ギルド伝ってアンタに連絡が行くようにしておく。」
[main] スカーレット : 「……ありがとう」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「だって、ダメだろ。母親に会いたい娘が、母親に会えないなんて。」
[main]
スカーレット :
「──」
彼は、健全に育ったのだろうな。だから、自然と、こういう行動を取れるのだろう
[main] スカーレット : 「そうね……そう、思う」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「それで、母親に会えたらもう一度その顔見せろよ。」
[main] スカーレット : 「あなたは、ずっとこのキャラバンに?」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「事情が変わったり、戦士として別の依頼が入らない限りはな。」
[main] スカーレット : 「じゃあ、その時はまたこうして料理番をしているわ」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…じゃあ。」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「折角だからもう一杯くれ。怒ったら腹が減った。」
[main]
スカーレット :
「はい、はい」
先程と同じ量をよそって渡す
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「人によっちゃ香辛料をもっと入れた方が好みかもしれないけど、オレは気に入ったぞ、この味。」
[main]
スカーレット :
「そ、ありがとう」
その時初めて笑った
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「…良いね、その表情。記憶させて貰った。」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「オレの頭に記憶されたアンタの顔が、毎度寂しそうな眼をしてちゃ目覚めが悪いからな。」
[main]
スカーレット :
「む……これは寂しそうな表情じゃない。普通の時の表情」
スン……
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「うるせー。天才のオレが言うんだから間違いないの。」
[main] スカーレット : 「私の表情は私が一番付き合ってるんだから私が正しい」
[main] センツォ=カヅラーヴァ : 「ぐぬぬ…」
[main] スカーレット : 悔しそうな顔をしながら彼は帰っていった。なんだか不思議な兎だった。怒ったと思ったら親身になって、あれが義憤とやらだろうか
[main] スカーレット : 彼が使った食器を篭に置いておく、夜はまだまだ長い
[main] スカーレット : 火元から、鍋を離した。用意してあった椅子に腰かける
[main] スカーレット : 「随分冷え込んで来たなあ……」
[main] スカーレット : ほう、と重ねた手に息を吹きかけて、焚火にかざした
[main]
セレスティン・バライト :
もぞもぞとテントから出てくる影が一つ。あくびをして、眠気眼を擦りながら、ふらふらと。
「……あれ。今お客さん居ないの」
人影がないことに驚きつつ、スカーレットさんに近付く。
[main] スカーレット : 「狭間の時間は結構あるよ。昼勤の人はもう寝ちゃって……あとは夜勤の交代組が帰ってくるまで誰も来ないと思う」
[main] スカーレット : その証拠に鍋は火から離されていて、スカーレットも椅子に座って休憩中だった
[main]
セレスティン・バライト :
「そっか。……じゃあ、寂しいだろうスカーレットの話し相手に、なる」
[main] セレスティン・バライト : 横に座った。
[main] スカーレット : 「ふふ、ありがと。セレス」
[main] セレスティン・バライト : 「スカーレットは、いつも遅くまでお鍋を用意しているけど、眠くないの?」
[main] スカーレット : 「眠いけど……その分午前は寝てるから」
[main] セレスティン・バライト : セレスティンは先程まで寝ていた。今は目が覚めたから出てきただけで、まだまだ眠い。そのうちすぐにまた寝るつもりである。
[main]
スカーレット :
「折角一緒にいるのにここだと活動時間ズレてるもんね」
少し寂し気に。だからこそ今セレスが起きてきてくれたのは嬉しかった
[main]
セレスティン・バライト :
「暗くても見えると、夜に回されやすい。眠る時間が変わる生活は身体に良くないらしい。……体調を崩さないか、心配」
セレスティンも暗視持ちだが、幼いのもあって昼間に配属されていた。
[main]
スカーレット :
「大丈夫。慣れてるから」
安心させようと頭を撫でようとして──まずゆらゆらと揺れているポニーテールに触れた
[main]
セレスティン・バライト :
また、彼女のキャラバンでの仕事は、主に冒険者の持つ指輪や腕輪の修復──すなわち、付与術師としてだ。
まだまだ未熟とはいえ、ギルドに囲われていない付与術師は珍しい上に、本人に戦闘能力があるのもあって、地味に重宝されていた。
[main]
セレスティン・バライト :
「……♪」
髪を触られて、わざと頭をさらにふらふらとさせて、ポニーテールの揺れを大きくする。
[main] スカーレット : それは、2人の暗黙の了解のようなもので。触れる前には、触れたい箇所の近くをまず触るようにしていた。スカーレットが、触れられることにまだ慣れていないからでもあった。
[main] スカーレット : しばらくポニーテールの感触を楽しんだあと、手を頭に移動させた
[main] セレスティン・バライト : 「……スカーレットの手、好き。今日はちょっと冷えてる」
[main] スカーレット : 「もう、すっかり寒くなって来たもんね……ここももうすぐ雪が降り始めるのかな」
[main]
セレスティン・バライト :
「……雪は嫌い。寒いのも嫌い」
これまでの独り旅を思い出す。狭いテントで耐えるように縮こまるしかなかった日々。身に染みる空気の冷たさが、より孤独感を煽るのだ。
[main]
スカーレット :
「そうなの?」
まだまだ出会ったばかりの2人は、お互いについて知らないことばかりだ
[main] スカーレット : 「じゃあ、雪国に行くのは夏の時季にしないとね」
[main] セレスティン・バライト : 「それがいい。遭難すると、死ぬ」死にかけた
[main] セレスティン・バライト : 「レプラカーンとエルフのシャーベットになっちゃう」
[main] スカーレット : 「聞くところによるとスノウエルフっていうエルフもいるみたいだけど……」
[main] スカーレット : 「私の出す霧、出した傍から凍っちゃいそうだもんね」
[main] スカーレット : 真面目に考えると結構な死活問題な気がする
[main] セレスティン・バライト : 「金属鎧も冷たくなる。武器を握る握力もなくなる。寒さは……敵」
[main] セレスティン・バライト : 「……暑いのも、敵」
[main]
スカーレット :
「私、暑い方が嫌いだなあ……」
かく汗の量が尋常じゃなくなるのだ
[main] セレスティン・バライト : 「日差しで熱くなった金属鎧は、もはや武器」
[main] スカーレット : 「セルフ〈ヒート・メタル〉だね……」
[main] セレスティン・バライト : 「卵も焼ける」
[main] スカーレット : 「汚いからしないよ?」
[main] セレスティン・バライト : 「それはそう。大事な鎧に変なものは付けたくないよね」私は鎧着ないけど。
[main] スカーレット : 「そっちじゃなくて。変なところで焼いたものセレスに食べさせたくないよ、私は」
[main] スカーレット : 「ちゃんと作ってあげるから、毎食」
[main] セレスティン・バライト : 「……スカーレットのごはん美味しい。好き」
[main] セレスティン・バライト : 「代わりに、武器のメンテは任せて」
[main] スカーレット : 「セレス、いつも美味しいって言って食べてくれるから、好きだよ」
[main] スカーレット : 「うん、頼りにしてる」
[main] セレスティン・バライト : 「私、前は保存食を齧るだけだった。味気なかった。今は幸せ」
[main] スカーレット : 「食事事情聞いた時はびっくりしたよ……」
[main] スカーレット : 「勇気出して良かった……」
[main] セレスティン・バライト : 「ひまわりの種をポリポリしてたら凄い顔されたよね」
[main] スカーレット : 「いいとこおやつだよ……」
[main]
セレスティン・バライト :
「だって干し肉は硬くて噛み千切れないししょっぱいし、黒パンも鈍器なんだもの」
水で戻すということすらしていなかった。
[main] スカーレット : セレスがまだ両親と過ごしていた時の食事がどうであったかも、透けて見えるというものだ
[main] セレスティン・バライト : 親とご飯食べたことないよ。自給自足してたよ
[main] スカーレット : レプラカーンが小柄な種族とはいえ──セレスがそれに輪をかけて小さいのも、そういう所のせいだろう。……一部に栄養が吸い取られたような気もする
[main] セレスティン・バライト : 食べられる野草には詳しいよ
[main] スカーレット : そういうところには、素直に感謝している
[main]
スカーレット :
「ずっとずっと美味しい料理を作ってあげるからね……」
言いながら頭を撫でる手に力が入る
[main] セレスティン・バライト : 「……たまに見かけるギルドの冒険者が、帰ってご飯食べに行こう、って楽しみそうに話しているのが、ずっと不思議だった」
[main] セレスティン・バライト : 「スカーレットのおかげで、ご飯はお腹を満たすための義務じゃないって知れた」
[main] セレスティン・バライト : 「また世界が広がった。嬉しかった」
[main]
スカーレット :
「セレス……」
くぅ。健気すぎる。この子の両親はこんなにいい子をああも歪ませて。許せない。せめて私が守っていかないと。
[main] スカーレット : こういう時──抱きしめてあげられない自分が疎ましい。今は鎧を着てるから、そもそも嫌かもしれないけれど。
[main] セレスティン・バライト : 「……スカーレット。ご飯食べさせるの、好き?」
[main] セレスティン・バライト : 「今も、皆に振る舞ってるし」
[main] スカーレット : 「うん、好きだよ。美味しいって喜んでもらえるの、私は好き」
[main] セレスティン・バライト : 「そっか。じゃあたくさん言うね。スカーレットのご飯は美味しい。好き。スカーレット大好き」
[main]
スカーレット :
「えへ」
好きの波状攻撃は流石にちょっと恥ずかしかった。けれどとても嬉しくて、少し頬が紅潮した。
[main] セレスティン・バライト : 「……こういうこと、思ったことなかったから。今は、言いたい気持ちが溢れてきて、我慢出来ない」
[main]
スカーレット :
「い、いいよ。全部……受け止める」
こんなに好き好き言われるから、心臓がやけにうるさい音を立て始めている。それは自分にとっても初めての感覚だったから奇妙だったけれど、セレスにとっても自分にとっても、悪い変化ではないはずと信じられた
[main]
セレスティン・バライト :
「うん、受け止めてね。……ふわぁ」
大きくあくびをする。元々、少し目が覚めただけなのだ。
……他人の前で眠いことを、油断しているということを見せるのも、珍しいことだった。一人で生きるヴァグランツにとって、隙とは見せてはいけないものだから。
[main]
セレスティン・バライト :
「……私、寝るね。また明日」
挨拶する相手が居るのには、まだ慣れてなかった。
[main]
スカーレット :
「もう、寝る?」
頭を撫でながら、顔色をうかがう
[main] スカーレット : 「うん、お休み。セレス」
[main] スカーレット : 名残惜しそうに手を離した
[main]
セレスティン・バライト :
「ホントは、もう少し話していたいけど。このままだと、寝ちゃって、スカーレットに寄りかかっちゃうから」
まだ触れられたくはないんでしょ、と。
[main]
スカーレット :
「あ、う」
それを言われるととても弱い
[main] スカーレット : 「ごめんね……」
[main] セレスティン・バライト : 「いいの。謝られるのが一番悲しい」
[main] セレスティン・バライト : 「……おやすみ」小さく微笑んで、テントの中へと戻っていった。
[main]
スカーレット :
「う」
自分に確実に非があることだから、すぐに謝罪の言葉は喉から出てこようとしてしまう
[main]
スカーレット :
セレスが入っていったテントを見つめながら
「頑張らないと……」
[main] スカーレット : セレスのことは好きだ。大好き。彼女が私にくれる好意に、私も一刻もはやく返したい。
[main] スカーレット : けれど逸る気持ちとは裏腹に、身体は待ったを掛けて来る
[main] スカーレット : 全てはたった一つの事象に繋がっている
[main] スカーレット : はやく。はやく。私の恐怖の根源を排したい
[main] スカーレット : けれど──タビットの彼にも言ったことだが、雲を掴むような話だ
[main] スカーレット : それまで、私はセレスを受け入れられないのだろうか
[main] スカーレット : それは、嫌だった。とても
[main] スカーレット : とても