蚕の亜人のいる世界観 絹人(キヌビト) 分類: 亜人種 / 家畜化人種(カイコ亜科) 概要:  絹人とは、古来より人間の厳格な管理下で『養蚕』および『愛玩』の目的で飼育されてきた亜人種である。  野生種は存在せず、原種とされる生物も特定されていない。人間の庇護なしでは数日と生存できないほどに家畜化が進んだ、極めて脆弱な種族である。 形態的特徴:  透けるように白い肌と光沢のある白銀、あるいは淡い金色の髪を持つ。瞳は大きく色素が薄く、常に潤んでいるように見える。  体つきは全体的に華奢で、筋肉の発達はほとんど見られない。  成体になると、頭部に櫛状の触覚と背中に一対の翅が生じる。これは白く、美しい鱗粉に覆われているが、飛翔能力は完全に退化しており、感情に応じて動く装飾的な意味合いしか持たない。愛玩用個体は性行為の際に邪魔になりがちなため飼い主の判断で切除する場合もある。 成長過程: * 卵:  透けた乳白色でラグビーボールくらいの大きさをしている。卵生であるが、乳房や乳首はある。 * 幼体:  真っ白な体に黒く潤んだ目が特徴。身体には半月紋や星状紋と呼ばれる模様が生まれつき長い髪にあらわれる。短く柔らかい尻尾のような突起が尾てい骨あたりにある。孵化直後は人間の乳児よりも小さいが、極めて旺盛な食欲を持つ。飼い主から与えられる桑をベースにした専用の流動食やペーストのみを摂取し、急速に成長する。この時期は、ほぼ食事と睡眠のみで過ごす。 * 蛹化(変態):  幼体として一定の大きさに達すると、食事を一切取らなくなる。自ら口から少量の糸を吐き出し、身体を固定するための簡素な『繭』、あるいは『寝床』と呼ばれるものを作り、その中で数日間の蛹期間に入る。 * 成体:  蛹化を終えると、自ら繭を破って『羽化』する。この際、人間の中学生に相当する体格(身長140〜150cm程度)へと劇的に変化して頭部や背中には前述の触覚や翅が現れ、生殖能力も獲得する。ふわふわの体毛が 生態と能力: * 絹糸生成:  絹人の最大の特徴は、口内の特殊な器官から高純度の絹糸を吐き出す能力にある。特に成体は、飼い主の指示によって糸を提供する。この糸は空気に触れると瞬時にしなやかで強靭な繊維となり、最高級の織物原料として利用される。ただし、売り物になる程の質や量を確保するにはそれにみあった十分な質と量の給餌を継続的に行う必要があるため、愛玩飼育しているだけの家庭では基本的に採算が取れるようなものではない。 * 食事と環境:  幼体期と同様、成体も専用の加工食しか受け付けない。消化器官が極度に退化しているため、人間と同じ食事を与えることは禁忌とされる。  極端な高温や低温には弱いが、一般的な人間の住居における室内温度であれば問題なく生存可能であり、飼育難易度は比較的低い。 * 性質:  知能は人間の幼児程度とされるが、個体差が大きい。総じて極めて従順かつ臆病であり、飼い主に対して絶対的な依存を見せる。動きは緩慢で、自ら積極的に行動することは少ない。  遺伝子レベルで人間への依存が刷り込まれているため、優しく身体に触れられるだけでエンドルフィンを分泌する。 人間との関係: * 産業利用(養蚕):  主たる飼育目的。成体から定期的に絹糸を採取し、高価な絹製品へと加工される。繭を作らせるのではなく、専用の器具や容器に直接吐き出させる形で採取が行われる。 * 愛玩利用(ペット):  その儚げな容姿、触れれば壊れそうな脆さ、そして絶対的な従順さから、富裕層を中心にペットとしての人気も非常に高い。  愛玩用途の中には、その無垢で抵抗しない性質を利用した、性的な側面も含まれている。絹人自体に羞恥心や抵抗の概念が希薄であるため、飼い主のあらゆる要求に応える愛玩道具としての一面も持つ。  たとえ無理矢理犯されたとしても絹人はじっと耐えるのみであり、その後も飼い主への拒否感なども見せない。  飼い主を拒むことは自身の生存に関わることだと遺伝子レベルで本能に刻まれているからだ。