【ケオサキ・ディストリクト:キルカタナ】 「「「ザッケンナコラー!」」」BLAMBLAMBLAMBLAM!クローンヤクザ軍団がチャカ・ガンを斉射!その大量の弾丸は弾幕めいて広範囲に散らばっており、明らかに対ニンジャ戦用のデータをインプットされている。並のニンジャなれば致命傷とは行かずとも多少の被弾を覚悟せねばならぬ。だが、彼女…キルカタナにとって密度の薄い弾幕はむしろ好機!「イヤーッ!」飛来した銃弾を多色エンハンスメントされたカタナが弾く!否、それだけではない! 「グワーッ!」チャカ・ガンを連射していたクローンヤクザ軍団の一人が眉間から血を吹き出し即死!無論これはキルカタナの仕業に他ならぬ!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」キルカタナはカタナを巧みにコントロールし、生じた跳弾をクローンヤクザ軍団の頭部に命中させていく!彼女の背後のビル壁に人型をくり抜いたような弾痕が刻まれる頃にはチャカ・ガンを構えたクローンヤクザ部隊は全滅!タツジン! 「イヤーッ!」その時である!「レインボーおっぱい」の猥雑看板をトライアングル・リープしキルカタナに迫る影あり!その手には黄金発光するドス・ダガーが二刀!「イヤーッ!」キルカタナはイアイ迎撃!ダガーを弾かれた襲撃者、ハカイシャと名乗っていた大柄のヤクザニンジャはすかさず、キルカタナの手首をケジメせんともう片方のドス・ダガーを振り下ろす!キルカタナはこれを最小限の動きでステップし回避する! 「チィーッ!しぶとい!」ハカイシャが悪態をつく。然り、2人のイクサは実際長引いていた。周囲に広がるカタナ傷や弾痕、破砕痕。そして築かれたクローンヤクザの屍の山がそれを物語る。ハカイシャの肉体は実際強靭であり、生半なイアイでは皮一枚すら削れぬ。一方彼の苛烈ながらも急所を的確に狙う無慈悲なドス・ダガー捌きは、キルカタナの精密なイアイ迎撃により全て弾かれワザアリさえ取れぬ。彼が使役した数ダースにも及ぶクローンヤクザ軍団も、もはや壊滅寸前!「イヤーッ!」「イヤーッ!」斬撃が再びぶつかり合い、黄金と虹色の火花を散らす!チョーチョー・ハッシ! 「…クローンヤクザをこれだけ使って有効打の一つも無しとはな、資源の無駄遣いだ。アノヨのラオモト=サンに合わせる顔がねぇぜ」「アンタ、ラオモティストって奴?」「ケッ、あんな連中と一緒にするんじゃねぇ。俺ァラオモト=サンに惚れ込んだだけのヤクザよ!イヤーッ!」脚の腱を狙う情け容赦ない低姿勢攻撃!「イヤーッ!」キルカタナはこれを連続バック転で回避しタタミ数枚分の距離を取る! ハカイシャの眼光が鋭くなり、そしてキルカタナはアトモスフィアの変化を肌で感じ取る。イクサを決めにくる、そう判断したキルカタナはその場で油断なきイアイ姿勢。ハカイシャは中腰姿勢を取り…それに合わせ周囲の残存クローンヤクザがキルカタナを包囲した!「カカレーッ!」「「「ザッケンナコラー!」」」ハカイシャの号令と共にクローンヤクザ包囲網がドスダガーを構え突撃! キルカタナは状況判断した。この包囲網の一部をキリステ、もしくは跳躍し脱出することはベイビー・サブミッション。だがそこをハカイシャが攻め立ててくるはず。故にキルカタナはクローンヤクザ包囲網がワン・インチ距離まで迫るのを待ち…「イイヤアァーッ!」「「「グワーッ!」」」虹色の軌跡が円を描き、クローンヤクザ包囲網の首が全て飛ぶ!クローンヤクザ軍団全滅!そしてすぐさまハカイシャに向き直る!…彼はその場から動いていない。何故。 キルカタナは訝しみ…次の瞬間。彼女のニンジャ第六感が警鐘をどよもす。その原因は眼前で不敵に笑うハカイシャの存在…ではない!下だ!KRAAACK!「ンアーッ!?」キルカタナの全身を地中から噴き出した黄金色のエネルギーが包み、彼女を真上へ打ち上げた! ナムサン、なんたる狡猾!ハカイシャはクローンヤクザ包囲網によりキルカタナの視野を遮ったコンマ数秒の隙に、彼の操る黄金色のエンハンスメントの正体…ディバイン・カラテのエネルギーを地中に叩き込んだ。そしてそれをキルカタナの足元で炸裂させたのである!「タマトッタル!」そしてハカイシャは恐るべきヤクザスラングと共に落下中のキルカタナ目掛けて跳躍!更にはドス・ダガーを構えエンハンスメント光を全身に纏い高速回転!その身を黄金殺戮ネギトログラインダーと化し、キルカタナの目前に迫る!キルカタナ危うし! ドクン。ニンジャアドレナリンが過剰分泌され、キルカタナのニューロンが異常加速する。ソーマト・リコールにも似て泥めいて鈍化する時間の中、この時ばかりはあの謎めいた列車の記憶も、僅かに形を取り戻していた。あの時の経験は、確かに己の中にある。それは何も、セイシンテキに限った話ではない。 自分より格上のニンジャ達との奇妙な道行きは、キルカタナのカラテの血肉としても活きている。ジツとカラテを高水準で両立し、凄まじい破壊力を生み出す友の災害めいたイクサ。同じようにイアイを修めているからこそ分かる、番人を自称した男の比類なきワザマエ。…そして! 「…イヤーッ!」彼女は蹴った!空中を!「な…!」ハカイシャは瞠目!そして…おお…ゴウランガ!落下速度を速めたキルカタナのワン・インチ上を黄金殺戮ネギトログラインダーが通過!カラテを極めたニンジャのイクサは物理法則さえもねじ曲げる!列車の中で暴竜が示したその事実を、キルカタナは僅かばかりながらも再現してみせたのである!「バカナー!?」 そしてキルカタナの思考は続く。この状況、あのユミハリであればノロイ・カタナを伸ばし情け容赦ない反撃を見舞っていただろう。だが、当然自らのカタナが伸びるはずも無し。…ならば! キルカタナは落下姿勢から腰を捻り右腕を後ろに下げた!その手に握るカタナの多色エンハンスメントが極限発光!「…!」ハカイシャはキルカタナのその姿から即座に狙いを理解する。だが…おお、ナムサン!身体は動かせぬ!キルカタナを屠らんとして放った全身全霊のヒサツ・ワザの反動が己に牙を剥いたのだ!インガオホー!「ィィイ…」そしてキルカタナは!カタナを!「イイイイヤアァーッ!」投げた!「アバーッ!?」 ブルズアイ!虹色に煌めくカタナが飛翔し、高速回転するハカイシャの心臓を過たず…貫いた!なんたる類稀なるニンジャ動体視力に経験が培った状況判断力が合わさったイクサを決する渾身の一撃か!「サヨナラ!」ハカイシャは爆発四散!散らばった爆発四散パーティクルに、黄金と虹色の残り火が重なり、ケオサキの空をハナビめいて染め上げた…!