他所の家に上がって、飲み物を出してもらうのって 何だか嬉しい気分になります。 それが手ずから淹れてくれた珈琲ならなおの事。 「いただきます。」 いつもよりちょっと少なめに砂糖を入れて、そっと啜ると ただ苦いだけではないしゃんとした味わいが体に染み込みます。 ────ゴトッ たまにはインスタントじゃないのもいいかなって思えますね。 「…先日のハロウィンの折は…お菓子の用意が無く失礼しました。」 「あ、いえ、全然大丈夫なんです。むしろ今日は手ぶらで  お邪魔しちゃってごめんなさいというか。」 マグカップを片手に席に着いた彼女は何というか 珈琲が様になって見えました。 ……………ドッ…ガタ…………………………バサッ………………… 「実はちょっと御相談したいことがあったんです。…家はその、この通りで  色々と賑やかな者を連れていまして…心霊現象の風評が立たないかと。」 バタン!────────ガチャガチャッ!……ウアア…… なるほど確かに色々と聞こえてきますね。まあ、でも。 「大丈夫です!ここの壁、実は元々薄くなってまして。みんな知ってるので"多少の正体不明の雑音” 程度なら気にする人はいないと思います!」 「……そうでしたか。そういうことなら、ひとまず安心、でしょうか。」 その後も、世間話で楽しい時間を過ごしました。────奇妙な音を聞きながら。 「ごちそうさまでした!今度はいい時に家に遊びに来てください!」 「もちろん、あなたも。」 髪色と同じ深紅の縄化粧のみを纏い名状しがたく蠢く機械を挿し込まれて拘束された 少女の顔を覗き込んで挨拶すると、轡から苦悶と絶頂の入り混じった喘ぎと共に 飛び散った唾液が今しがた珈琲を拭ったばかりの唇を濡らしました。 「ほら、お客様にご挨拶しましょうね」─グリッ …………………………ングッ!?…ンッ…ン・ン・ンンッ…アウゥ!…… カップを片手に見下ろす彼女がつま先で軽くおへその下を圧すとスラリとした体を弓のように 反らせて噴水し床にぼたぼたと水溜りができました。 「ああ……この娘ったらお客様の前で粗相なんて。すみません、ちゃんと躾けておきますので……」 「ふふ、かわいいですよねえ」 機械も案外面白いかも。そう思いながら私は舌で軽く唇を拭き取って別れを告げました。