散乱した部屋をぐるりと見渡す。飲みかけのペットボトル。
お弁当の空箱。床に落ちた掛布団。よれよれのシーツ。
淀んだ空気に包まれたそれらはおよそ整った生活とは
かけ離れた住人の態度を物言わず主張している。
…体を丸めて眠っている寝顔はとてもそのようには
見えないほど愛くるしいというのに。
ふと口の中に不快感を覚える。こみ上げた息は
酷い精臭だった。当然だ。

─ゴムを4つ指の股にかけて目の前に突きつける。全てが
どろりとした白濁で風船のように膨らんでいる。己が吐き出した
モノに怯えた視線がダプダプと揺れるそれに刺さる。
私は徐に握りを反転させて天井を仰いだ顔の上に持ち上げて風船を
握りしめた。ペンキのような濁流が開いた口にまた鼻に流れ込む。
残りは顎を伝い乳房を伝い私の体を開渠にして流れ落ちた。

汚れた顔を目の前に近づけこれ見よがしに咀嚼してから
大げさに嚥下する。口を開けて舌を突き出し曖気を吐き出す。
目の前の顔は両耳をぺったりと倒し今にも泣き出しそうに見えた。
しかし。その視線の奥には確かに満たされた肉欲の光があるのを
私は見逃さなかった。

その後の数時間は特に思い起こすまでもないことだ。