「いただきます。」
便利なもので、今時はあれこれと細かい調理をせずとも
軽く買い出しに行くだけで年末年始のごちそうが用意できる。
私達の胃袋を想定したおせちのセットに年取りのシャケ、いささか
時分外れの鰻をいっぱいと大皿のオードブルにお餅を山ほど。
祝い酒…は流石にダメなので特製にんじんシロップに屠蘇散を漬けて。
更にはお汁粉にケーキにお蕎麦にジュースにお茶に…
こうして子供が好きに選んだような秩序のない祝い膳が完成した。

「ごちそうさまでした。」
意外にも、食事中の会話は弾まない。普段と違うごちそうを前に
3人共黙々とバ食するばかりだった。
つけっぱなしのテレビから流れるお正月特有の気怠い番組が
ちょうどいいBGMとなった。

「………………」
向かいの席ではなにやら腰回りをもぞもぞとさせながら
落ち着かない様子。まるでお手洗いを我慢するみたいに。
何故そのまま座っているのか？
答えは簡単。「立てば体の変化が一目で分かってしまうから」

さっき呑み干したお屠蘇には私達2人分の蜜と2人で搾った因子とを精製したフェロモン剤を
忍ばせておいた。口当たりよいシロップは好評だったようでずいぶん杯も進んでくれた。
(なお、"原液"を大量に詰めた瓶を理科室に持ち込んだ時の反応はとても愉快なものだったらしい)
つまり。まもなくこの部屋の3人は体のみ一足早く春のサカりを迎える。
隣ではどっしりと腰掛けつつ目を細めにやける口元を隠すように舌なめずりをしている。
かくいう私もいつの間か鼓動は早く下着はべっとりと重くなっていた。

さあ、初夢を見よう。