着せ替えと言えば女児の遊びの定番、その最たるものだ。
思い思いの衣装を形にしていく楽しみは子供を夢中にさせる。
では、女児というには少々年を重ねた私たちはどうか。

リボンタイを結びジャケットに袖を通して。少し凛々しく作った表情は
どこか少年の趣を帯びていて。模擬店で給仕役でも宛がえばさぞ
好評を博すことだろうと私は確信する。
「私服を着てみたい」そう聞いた瞬間目の前で脱衣に及んだ自分の
反応を誇らしく思う。そしてどうやら勝負服を携えて後ろに控えている
彼女においてもそれは同じようだ。

ブラウンでシックにまとめた上に赤と黄の差し色がよく映える。
ともすれば厳めしい指輪と手袋の組み合わせも見事に調和する。
ステージで光を浴びて踊るには相応しいという他に言葉が見つからない。
にっこり微笑んで己を指さすあざとい仕草を受け止めるには
このぐらいの力が服にも要ると言った所だろう。
こうなっては私も勝負服を持ち出すほかあるまい。

瀟洒な白と赤・緑・紺。鏡で確かめる自分の姿とはまた毛色
が違う。同じステージでも演劇の舞台により似つかわしい衣装を、
しかし自分ではない人が着ているこの感覚は奇妙な興奮を伴っていた。
等身大の人形で豪華な着せ替えに興じるのもなかなか悪くない。

ひとしきり遊んだ後。未だ袖を通していない衣装が３着残った。
大きく開いた胸元と背中。股から腰に向けて高く切れ上がった下肢。
兎の仮装というには耳飾りがないのはいささか片手落ちではあるが、
自前の耳で私たちには十分だろう。

股間を締め付けるよう布の細さと露わになった２人の鼠径部に自然と視線が
吸い寄せられる。２人の視線もまた同じように私に注がれている。
これは隠すための衣装ではなく「隠されているものが何か」を強調して
想像させるためのものだと理解する。
今の貌は給仕でもアイドルでも俳優でもなく。私たち２人の腰に手を回す動作は
ごく自然なものだった。
今日はもっと遊ぼう。女児のそれとは似ても似つかないものだとしても。









