「…ダメです。最短でも週明けになります、ですって。」
厳かに絶望的な見通しを伝えると私達は3人揃って
壊れたエアコンを仰ぎ見ました。その様子はさながら祈りの
それにも近かったことでしょうが依然、室内機は沈黙の内にありました。
「7月、猛暑日予想、冷房無しで最低3日間…」
「これは…もしかしなくてもマズいですねえ」
これが昨日のハイライトです。

土曜日の夜。外で涼める施設も軒並み閉じて、蒸し風呂のような部屋で
私達は居並んでいます。放熱面積を稼ぐべく極端に布地の小さないわゆる
マイクロビキニを着てみましたがこの暑さではほぼ関係ありませんでした。
「あぁ…暑いですね……」
アイスを咥えて後ろから抱き着くと湿った肌とシャツがぎゅむっと不快な
摩擦を奏で、なんとも無残な気分です。
（とてもお布団で寝る気になれないなあ）
縋りついた背中から籠った熱気と若干の苛立ちを感じながら
しくしくと泣きたい気分で目を閉じていた時でした。

「ひゃあっ！？」
思わぬ衝撃が走りました。…どうしたことか私の腋の下にアイスをぐりぐりと
塗ったくり始めたのです。
脇腹にかけて冷たいしずくが流れ、涼しさよりもくすぐったさが体を駆けます。
そしておもむろに腕を持ち上げると、ちるちると舌先で溶けたアイスを舐ぶるのです。
「うっ…くふふふっ」
突然始まったおかしな遊びにいささか困惑しつつも、身をよじらずにはいられません。
「うん、汗のしょっぱさと混ざって結構おいしいですね」
いよいよ茹だったようなお言葉と共に、残りのアイスを掌に取りました。
それを私の頭上に掲げるとぐしゃりと握り潰します。
砂絵を描く砂のように不規則に降り注ぐ液体。
「はい、目を閉じてくださいね」
最後に拳を開くと顔面を鷲掴み、べとべとの手形が顔面に捺されました。
何だか自分が大きなアイスキャンデーになった気分です。

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全身を嘗め取られて笑い転げた後、どうやら少しぼうっとしていたみたいです。
気づけば、食べ終わったアイスの棒に用はないとばかりに背を向けて
2本目を食べているところでした。
足指の股を執拗にしゃぶられて身悶えするブルーハワイ味のアイスを
眺めながら、少し自分の指を口に含んでみると、
申し訳程度のバニラと汗、それらを嘗め取った唾液が混ざったいい香りがしました。
たまにはこういうのも悪くないかな、とぼんやり思いながら
次の1本を取り出しにキッチンに向かいます。
明日の配達は少し多めにアイスを注文することにしましょう。








