数日間の外泊から戻った時、帰宅を告げた声に返事はなかった。

シャツ1枚でソファに座り。その息は荒々しく。
ミトンのような何かを両手で抱えて覆いかぶさるように
体の前で激しく上下させる。
「う…んぐっ…ぐうぅぅっ…！」
ぎゅっと背中が丸まる。筋肉に力が籠って彫像のように盛り上がり、
しばらくそのままになって、やがて弛緩する。

「はぁっ……ふーーーっ　あ。」
だらりと背もたれに身を預けた時、初めて私に気が付いたようだった。
「おかえりなさい。外は暑かったでしょう？シャワー浴びますか？」
たっぷりと水気を含んだそれが机に投げ出され、べちゃり、と音を立てた。

「はい。少し片づけたら汗を流そうかと思います。西瓜を買ってきたので
　後で食べましょう。お夕飯の頃には冷えていると思います。」
帰り道で買った西瓜を掲げる。
「わあ！立派なスイカですね！私いくらでも食べられちゃいます！」
尻に敷かれて湿気た尻尾を振って楽しそうに西瓜を見る。

ぱっくりと開いた赤い口から嘔吐のように粘液を垂れ流し、掌とは別の肉を
包んでいた穴からたった今注がれた白濁を溢れさせて机上に横たわる人形の姿が
自分自身であったと私が悟ったのは翌朝の事だった。