ニャアン人妻概念前史。ニャアンとアンキー姉さんのおはなしするね。 先日、ご要望がありましたのでエグザべくんと結ばれる前のおはなしするね。 ※今回エグザべくん出てきません注意。 これは、ニャアンがエグザべくんという旦那さんに出会い、『愛の住処』へたどりつくまでの、まだ助走のおはなし――― 原作だと4~5話が終わった頃。ちょっと気まずいマチュとニャアンがいます。 ニャアンはマチュやシュウちゃんと言う「ともだち」の為に命を賭けた!命を投げ出したのです! たぶん、友情のため―――榎戸のおじさんが書いた最強脚本少女革命ウテナ第13話が呼び起こされます。 けどニャアンの身体が心配だったマチュがいます。そうだ…ニャアン難民じゃん!病院どうするの!? マチュはニャアンを気遣います 「病院怖いから行った事ない」 衝撃の事実にマチュはぶっとびます 「僕も病院なんて行ってないよ」 シュウジは黙ってて!とマチュ 「えっ!?虫歯とかになったらどうするの!?」 「IDカードないから病院行けない」ニャアンは淡々と語ります。事実ですからとても冷静です 「虫歯なった事ない、なったら変な所で歯を抜いてもらえって近所の人が言ってた」 「変な所?」「うん、病院じゃないけど病気や怪我を直してくれる所…「おしゃさん」みたいな人がいる」 イリーガル(非合法)もしくは民間療法の域を出ていない謎の医療施設にマチュ困惑する 「ちょっと…ちゃんとした病院一回行って置こうよ…昨日の事もあったし」 「大丈夫、痣は直るから―――」 話は先日のクランバトルへ戻る。対「黒い三連星」戦。ニャアンは熱病にうなされるシュウジを盾に、ワケワカになりながらも勝利を勝ち取ったのです。 代償も大きかった。ドムのウミヘビによる電気をモロにうけて、末端部が赤く腫れていた。症状をマチュはスマホで調べ始める 「落雷 痣」検索。 『リヒテンベルク図形』という画像が出てきた、恐ろしくなった。あのナンパ野郎(エグザべ)くん殺してでもジークアクスに乗るべきだった。 「病院いかないと」「そんなお金ない…」「クラバで稼いだお金がある!400万リントはあるだよ!?なんだってできるよ」 「病院いったら難民だってバレちゃう…やめて」とニャアンは涙目だった 「難民だってバレたらイズマコロニーから追い出される。軍警にはいつも見逃してもらってたの…お金渡したりして…あと」 「あと」 「言えない…」ニャアンの後ろ髪を引くような言葉にマチュの心はは引っかかったが触れちゃいけないと野生の勘で察した。さすがニュータイプ 「とりあえず、お医者さんいこう!アンキーが手配してくれるよ」 「いやだ…」泣き出すニャアン 「診てもらっても…いいんじゃないかな?」とシュウジ。ニャアンはコクりと頷く。 ―――後日、(有)カネバン公司本社。雑居ビルの一室であるクラバの事務所とは違い、本社だ。ジャンクヤードの山の中、事務所がポツンと経つ。ポメラニアンズのアジト。、ガレージにはジークアクスも眠る。 「100万ハイト。持ってきた!ちゃんと全部5000ハイト札!ピン札じゃないけど…」 マチュは札束をアンキー姉さんに叩きつけます。1万ハイト札ではダメです。なぜなら偽札の可能性があるからです。 替え玉作戦とニャアンが傷ついた事。アンキーは全部知っています。 「素人の金は受け取れないよ―――」アンキーは電子タバコを2口程吸った後、答える 「健康管理もこっち持ちかい…いいよ、健康診断できる程度の医者を手配してあげる。…というかもう医者いるけどね。」 「やったー!」マチュ大喜び。ニャアンはおどおどしていた。 「とりあえずその痣はすぐ消えるよ」アンキーはニャアンを見て、宥める。 「なんでわかるの!?」 「伊達に女を40年近くをやっているとね。ウミヘビくらい一度や二度食らうんだよッ!」 マチュは素直に納得した。アンキー姉さんにはそういう『凄み』があった! 「とりあえず血液検査だねぇ、お嬢ちゃん。おいで。奥の部屋に医者がいる。ヤブじゃないよ」 「イヤ…おいしゃさんイヤ…」ニャアンは震えています。 「大丈夫だよニャアン!さっさと済ませよう!」マチュは後ろから支えます 「血液は覚えていると、ガンダムが言っている」シュウジが悲しい目をしています。 ―――いやだあああぁぁぁ!!!!!! ニャアンの絶叫がカネバン公司に響き渡ります。 構成員ジェジー。後に口述す。 「そりゃあ、土砂降りの雨みたいな絶叫だったよ。ガキの叫びってのはアレだ、本気だからイヤなんだよ。マジ、マジで泣くの。でも、その気持ちわかるぜ」 注射器を見た瞬間!ニャアンが絶叫しはじめたのです。 「ごめんなさい!ごめんなさい!なんでもするから!がんばるから!だから!だからやめて!いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 傍にいたマチュは動揺します。注射を嫌がる子供とはまた違う『叫び』。そう魂の拒絶が目の前に降り掛かっているのです。 ペロペロする?なんなの?何を言っているのニャアン…赤髪の少女は困惑するしかなかった? 「ニャアン!?痛くないよ大丈夫だよ!?」 「いやだ!『おちゅうしゃ』やだ!!!わたしがっ!!!わたしがわたしじゃなくなる!!!」 ―――わたしがわたしじゃなくなる。 その叫びにアンキーは強く反応した。 シュウジは、マチュの手を強く握りしめ。そして倒れそうな背中を支えていた。順風満帆に生きる一少女には悲しすぎる過去がそびえ立っていた。 「ニャアン…あンたの名前。ニャアンだったかい?」アンキー動くッ!診察台で暴れるニャアンの両肩を抱く。 「ニャアン!ニャアン!とりあえず落ち着きな!」ニャアンは泣きじゃくっている、アンキーの腕すら振りほどこうとする アンキー。ニャアンに語りかける。 『アンキー』本名かどうかさえ解らぬその通り名。名字を名乗らないその女。37歳と3ヶ月。謂れなき男に身体を許した事もあるし結婚までした。離婚もした。 37歳と3ヶ月の夏だった――― 「ニャアン、とりあえず落ち着きな!注射はやめだ!」医者はイソイソと引っ込む アンキー。目線で医者に何か指示する。 「ジェジー!『水ッ』もってきなッ!!!」 構成員ジェジー慌てて事務所にある小さな給湯室で水を汲む。 「『うまい』水だよ!」ジェジー、アンキーから預かった『錠剤』を水へ注ぐ。シュワシュワと泡を立てて錠剤が溶けてく。 「ニャアン。ニャアン。落ち着きな!ニャアン」 ニャアンの歯はガタガタ震えていた。何かに怯える少女の姿は尋常ではなかった。しかし見覚えはあった。そういう修羅の道をアンキーは歩んでいた。 強く。強く。アンキーはニャアンを抱きしめた。 「ニャアン。ニャアン。安心しな。ここは「ペロペロ」とかするような場所じゃない」 アンキー。ニャアンを抱きとめる。泣きじゃくるニャアン!壊れた蛇口のように叫びは流れ続けるッ! アンキーの口から優しい調べが聞こえてくる。歌だッ!どこか郷里を思い出すような『子守唄』だった。 アンキー37歳と3ヶ月。本来なら3歳児の母親シイコ同様5歳の子を持つ母親になるはずだった。戦禍がそれを許さなかった ニャアンが落ち着きをとりもどす。「おかあさん…おかあさん」とうわ言のようにニャアンの口から溢れる 「おちついたかい?」アンキーの瞳に優しさが宿る 「うん、おかあさん」ニャアンは母親の名を呼んでいた。 「とりあえず、水を飲みな」透明ではないコップに溢れない程度の水が注がれている。少し紫色をした水であるとニャアンには悟られないように 「うん…おかあさん」ニャアンコップの水をそのまま飲み干す 「とりあえず、ちょっと寝な」とアンキーはニャアンを診療台へ寝かせる。 トロンと意識が薄れていくのをニャアンは感じる。起きることも許されずそのまま夢の世界へ誘われる。 夢なんて見る余裕がない、ノンレム睡眠だった。 錠剤の中身は向精神剤―――睡眠薬であった。 あの時ニャアンを穢した大人たちが注射した製剤「覚醒剤」とは真逆の存在であった。 「あンたら!病院に行くよ!『医療チーム』手配しなッ!支度しなッ!」 待機していたナブとケーンが動く。ジェジーは全てを察し。先に『死神医療チーム』へ連絡を入れていた。 「死体の名前は…ニャアン。ニャアンね。褐色(ASIAN)難民―――」 電話口の死神医療チームがメモを取りながら電話口で答える。 「そこまで30分だが、10分で行く」電話が切れる 9分30秒後。医療チーム到着。普段は臓器を人から抜いたり人へ移植したりする。命のやりとりを専門に扱う信頼できる医療チームだった。 「ガキモツじゃないだ!丁重にあつかっておくれ」アンキー キャッチャーへ移され赤ランプのない救急車でニャアンは送られていく。救急救命士が二人同伴していた。シュウジとマチュが乗る隙間はない! 「追うよ!乗りな!」 シュウマチュはアンキーのイカツイ車「シボレー・ノヴァ72年式」を模したエレカに乗って医療現場へ行く ケーンは電話番で待機。ナブとジェジーがかわいいジェジーの車(ホンダ・シビック74年式)で同行する! ケーンは心細かった。密かに恋心を抱いているマチュの傍にいてやれない事が悲しかった。 「なになに!?ニャアンそんなに悪いの!?」車内。マチュは後部座席で困惑している 「今から理解(わか)るヨッ!運転荒いから舌噛むよ!シートベルトしなッ!」 アンキーはタイヤを鳴らしながら死神医療チームの車を追う。病人を乗せているとは思えないスピードで医療チームの救急車は走る シュウジは何も言わずにマチュの掌を握っていた。 カネバン公司があるジャンクヤードから少し離れた閑散とした荒野にその施設はあった。再開発が進むイズマコロニー。なぜかこの施設だけ手を入れられていなかった。 ニャアンが謎の扉の奥へ運ばれていく。 「これからどうなるの!?」 「なンて事はないッ!ニャアンが起きるまでそばにいてやんなッ!」 午後10時、ニャアンいっこうに起きる気配がない 「薬の量多すぎたね」とアンキー心の中で口を開く。 「ジェジー!ナブ!帰りな!アタシらは今日はここで泊まるよッ!」「「へいッ!」」 「ポメを置いて泊まる訳にはいかないからねぇ」「スイマセン姐さん」ジェジー ジェジーの家には生き物であるポメラニアンがいた。粗末に扱う事はできない。 「お前ら、ちゃんと姐さんに感謝するんだぞ!」ジェジーは二人の若き男女へ一喝する。 「わかってるよ!」「本当に助けられていると思っているよ、ガンダムも」 「いくぞジェジー」ナブが玄関で待っている。 ジェジーの愛車車内 「なぁジェジー」「なんだよ」「なんでアンキーはあんな運び屋の女に肩入れするんだ?」ナブは問う 「あの黒い三連星を片付けたからだよ、ナブは知らねぇかも知れないがかなり鳴らした腕だぜ」 「そうなのか」 カネバン公司構成員。『調達屋』ことジェジーはクラバ業界を隅々まで言っている。赤いガンダムとマチュが登場するまではアンキー姉さんと共にクラバを戦うMS乗りだった オデッサの荒野、ジャブローのジャングルで黒い三連星の活躍は軍籍時代広報と轟かされていた。戦場でも士気高揚に頼もしい存在だった。 ジェジーは近藤漫画で言う所の「ブラウン」のポジションにいる奴だと思ってください。 「今じゃ落ちぶれて宇宙でゴミ拾いだけどな。それを打ち破ったあの運び屋のアジア女(ニャアンの意)はすげぇんだよ」 「ああ、絶対勝てないと思っていた」ナブも告白する 「そこまでしてくれた女に何か施してやらねぇと…義理というものに反するだろう。俺達は野良犬じゃねぇ」 「たしかにな」 「だけど…姐さんのかける情(なさけ)はちょっと違うな、マチュに対するそれじゃねぇ」 「というと?」ナブ訝しむ 「あのアジア女、運び屋やってるけど軍警やら輩(やから)の間では『玩具』扱いだって風の噂で聞いた」 『玩具(おもちゃ)』その意味を知るのはナブもジェジーも理解していた。 「抵抗できないし、されてもたかが難民の一人。殺してもかまわないだろう、そういう悲しい現場に生きているだあのアジア女」 「だから、姐さんは肩入れするんだよ…」 二人の男の話しは与太話に過ぎません。ニャアンに辛い現実なんてありません。ないよ。ないんだよ あったけど… ―――アンキーとはじめて夜を過ごすマチュとシュウジの姿があった。 シュウジとアンキーとマチュと言う謎の三人組が一夜を過ごす夜は仔細を話すと長くなるので省略。 一晩、明ける。 早朝6時半。医療チームと何を話すアンキー姉さんの姿。 「ニャアンが起きたよ」 「マジで!?」ねぼけたマチュ飛び起きる 「ちょっと弱ってただけだよ!なんともない」 「けどちょっと大人の話があるから、アタシとニャアン。まずは二人で話してもいいかい?」 「何?オトナの話って」「うら若きアンタにはわからない事だよ」 「マチュ、アンキーさんにお話させよう。」とシュウジはマチュの手を引っ張る。 「おねがいします」とシュウジがアンキーへ一礼する。 「ハラヘリム。あんたはマチュの面倒をみてな。あとこれでコーヒーでも飲みな!」 20ハイト硬貨(五千円相当)が投げられる。二人、自販機でお茶を買って待合室で一時を過ごす。 アンキーはニャアンのいる病室へ向かった。アンキーの計らいで、個室だった。 ―――今、生命とは何か?『生命を問う』べき深い瞬間が始まる。コロニーの反射板は陽の光をかすかに取り込む、外は黎明を迎えようとしていた。 「ニャアン、おきたかい?」 「はい…ごめんあさい…私またワケワカになったんじゃ」 「暴れてあのままぶっ倒れたよ、ここは病室だよ」 自分の腕を見ると注射が刺さり、点滴が打たれている。なのになぜかニャアンの心は穏やかであった 点滴に記された「生理用食塩水」の六文字がニャアンには読めたからだ。悪いオトナ達ではない。 「えっ…病院…おかね」ニャアンはまだお金の心配をしていた。 「安心しな、正規の病院だけど。移民監査局にもバレていない。ビビることはないよ、裏口さね」 「あっ…ありがとう…ございます」 ニャアンはこの「おねえさん」の好意にどう返せばいいかわからなかった。こんな好意を受けたのは難民になってから初めてだった 対価のない愛が―――自分は注がれていいのか?ニャアンは問い正したかった 「金はクラバの払いからキッチリ取るよ!それより…あンたは自分の身を案じな!」 「わたしの身体はどこも悪くないッ!マチュとあわせて」 「そうだ…あンたの身体はどこも悪くない…疲れていただけだよ。けど」 「いいかい、アタシの話をよく聞くんだよ」 ―――神聖な瞬間がここに訪れる。 「あんた…ヒドい事をされたね」 ニャアンは沈黙を保ったままだった 「男どもに。」アンキーの声色は真剣だった。 不気味な静寂が四半刻(数分程度)続いた後、コクリと頷いた 「今でも…されている」 ニャアンは静かに答えた。1話2話で軍警に顔面をぶん殴られているので今でも暴行を受けています。 「がんばったね…あンた頑張ったよ」 アンキーはニャアンの身体をお越し、ニャアンを抱きしめた 「エライ!エライよあンた!アンタ『生きて』いるんだよ!今ッ!ここに!」 「生きてて…えらい」 「生きてりゃ儲けもんだよ…ナニされたって、踏み潰されたって…生きてりゃね!儲けものなんだよ!」 アンキーは強く語る。濃いアイシャドーから、涙がにじみ出てきそうだった。 「いきてるだけで…えらい…えらいんですか?いつもいのちをおびやかされているに?」 ニャアンは問う。生きているだけでエライなんて言われた事がなかった。 「軍警とか移民局とか関係ないよ!あんたはツラい事があっても今日を生きている!そこは誇りな!」 「誇っていいんですか?」「いいよ」アンキーは赦(ゆる)した。神が民に与えるような赦しをニャアンに授けたのだ。 「辛い事はあっただろう」「わたし辛い事なんかありません!自分が辛いなんて思った事…」 「あるだろう?アタシにゃわかるんだよ!」ニャアンいままでの人生を振り返ろうとしますが、きっと自分が「普通」なんだなって思っていたので ただ、戦禍で家族と離散した時と、暴漢達に謂れなき性暴力を振るわれる。その瞬間だけは辛かった。さすがに飄々と生きるニャアンにも堪えるものがあった。 「エライよ、エライよアンタ。見ず知らずのおばちゃんが、こんな事を言うのもアレだけど…本当に『つよいこ』だね」 アンキー姉さんはニャアンを抱きしめて離さない。心地よく香るコロンの匂いがニャアンを包み込む。 あの時、暴力に屈するしかなかったあの時、男達からする「いやなにおい」ではなかった。 ニャアンは静かに涙を流した。 静かにニャアンが涙を流しているのはアンキーにもわかった。抱き染めるそのまだ幼きつむじの裏からはスンスンという聲が聞こえたからだ! 「いいかい、ニャアン。泣くんじゃない…これからアタシの話をよくお聞き」 アンキー、静かに語りだす。ニャアンはその姿に死別した母親の姿を重ねる 「アンタの身体はナニも悪くない。検査という検査は全部したよ。」 「よかった…」 「でもマチュと地球へ降りるんだろ?地球に行くには予防注射が足りないから打たないとねぇ…この澄み切ったコロニーと違って地球は病気で溢れている…病気の塊なんだよあの惑星は」 ニャアンがコクコクと頷いている。 「なにもかも正常だよ。ア◯コが痒くなったりした事はない?」 「ない…」 「あたりまえさね。性病は患ってないよ。これからも気をつけな!絶対ナマなんて許すんじゃないよ」 「うん…"もう"したくない…許されるのであれば絶対しない…ペロペロなんか」「あンたは悪くない、望んでやった訳じゃないだろ?」「はい」ニャアンは頷いた。 ニャアン。ここでついに自分の悲しき行為をアンキーに告白する。はじめての告白だった。自身の不可抗力について、ここに語る。 相手は、シュウちゃんにでもなかった。マチュにでもなかった。自らの恥じるべき行為を告白したのは、アンキーと言う知らないおばちゃん相手だった。 「軍警はビョーキをビビって口しか許さないんだね」「たぶん…そう」軍警が口淫しか強制しない事実をアンキーとニャアンは再確認する。 「ペロペロも許しちゃダメだよ」「でも軍警がッ」「もう軍警にビビる必要はないよ…あんたの市民権。どうにしかしてやるさ」 「えっ!?」ニャアンは突拍子もない言葉にビックリしています。 「あんた…あのリックドム相手に頑張ってくれたじゃないか…それくらいの事はしないアタシらとしてもシメシがつかないヨッ!」 「そのかわり―――」 「はい…」 アンキー、再び歌い出す。子守唄だった。サイド2で聞いた子守唄と同じ調べだった。アンキーもサイド2で家庭を持っていた。 一年戦争の前哨戦。連邦によるいくさの業火で家族ごと焼かれた。故にジオンに志願しMSを駆り、殺戮を繰り返した。 己は毒針だった。毒にうめいて毒に泣く自分の姿がアンキーには存在した。 「この歌を、よぉくお聞き」アンキーは子守唄を歌い終える。 「おぼえています…おかあさんが歌ってくれた」 「この唄を、この子にもしっかり聞かせてやるんだ」 アンキーは静かにニャアンを抱きしめる手をほどいた。そしてその手を、ニャアンの下腹部に置いた。静かに置いた。 朝の病院、慌ただしいナーススーてションとは別にこの病室には静寂な時間が流れた。 生まれる前の生命体が宿っていた。「生きたい」そう願うしかないニャアンのお腹に宿る命の胎動が、聞こえてきそうであった。ニャアンが事実を受け入れる為にその胎動は止まる事はない。 「産むかどうかはアンタが決めなッ!けど…産むんだったら…この唄を聞かせてあげな…あげて欲しいんだよニャアン」 アンキーの願いをニャアンは受け止めた。きっと「使命」だった。 母と子の使命がここに成立したッ! 朝を迎える。コロニーの反射光じゃない!『太陽』という神が施してくれた人類!いや生命体への救済措置!神聖な光だけがニャアンの身体にそそがれるッ! いつも いつも 僕が君を 見ててあげるから 安心しておやすみ 傷つけ合うことに 慣れてしまったこの世界 そこで僕らは出会い 育った ※旧世紀に流行ったフォークシンガー小室等の名曲「無題」が病院を包み込みます。収録されているアルバム名は「東京」です。この曲は「子守唄」と改題され、様々なアーティストによって歌い継がれています。 「きずつけあうことに なれてしまった このせかい」ニャアン 「そこで ぼくらは 生まれ 育った」アンキー ニャアンの歌声とアンキー姉さんの歌声が重なります。このシンフォニーを妨げる物はこの世界には存在しませんッ! 「アンタはもうMSなんかに乗るンじゃない!その身体、安生しな。」 「はい…」ニャアンの声色が薄いものがあった。まだ事実を受け入れられていなくて混乱しているんだろう。 「重たい命、大事にしな。今は眠るんだよニャアン」 アンキーはカツカツとヒールの音を立てて病室を後にする。『知らないおばさん』であるはずのアンキーにニャアンはただ、手を振るしかなかった。 病室の待合室でシュウジは寝息を立てて眠るマチュを膝枕しながらじっと座っていた。シュウジの口元からも「子守唄」が聞こえてた。 「起きな!マチュ!」 マチュビクっとした後、覚醒 「ニャアンは!?」「また寝ちまったよ、寝かせてやりな―――それよりアンタ達に大事な話しがあるヨッ!」 「もったいぶらないで言って!」 「とりあえず車で話すよここじゃ誰かに聞かれちまう!」 「隠す事ではない―――」シュウジが呟く 「ハラヘリムシは黙ってな!」 車内へ移動。即電子タバコに火を付け病院内は禁煙だったので、半日ぶりの紫煙をアンキーは口にする 「いいかい!こんな事二度とヤルんじゃないよ!違約金払った方がマシだったよ!」 「でも…勝ったじゃん…ニャアンが」マチュはいじらしく言う 「そいいう問題じゃないんだよ!わからない子だね」アンキー 「あの子にはね。もう命が宿っているんだよ!粗野に扱うんじゃないよ!」 「―――えっ!?」 マチュ、頭が真っ白になる。アンキーが何を言っているのかよくわからない様子だった 「ニャアンはもう身籠っているんだよマチュ、おかあさんなんだ」シュウジ 「えっ!?ニャアンがなんで!?」 「―――こっちが聞きたいよ。けどね、アンタみたいなウブなネンネがわかる世界じゃないんだよ」 「ニャアンにはねぇもうガキがいるんだよ!妊娠してるんだよッ!」 「アンタら、これから辛い事や悲しい事がいっぱいあると思うけど、絶対ニャアンを大切にしな!わかったかい!マチュ」 「う…うん…」 「みんななかよくしようね、ガンダムも言っている」 シュウジが場を締める。不安に震えるマチュの掌をしっかり握っていた。 「きずつけあうことに、なれてしまった。このせかい」  病室のカーテンが静かに揺らめく。朝を迎え、コロニーという超金属製の筒に雑踏が聞こえ始めようといていた。 「そこでボクらはうまれ、そだった―――」  子宮の辺りを撫でながら。ニャアンは歌う。歌うんだ。 新しい命がここに受理された!ニャアンはただ母親と、そしてアンキーから聞いた子守唄を唄うだけだった。 まだ覚悟も何もない。ただ暴力という嵐に飲まれた『結果』がそこに宿っていた。 「いつもいつも君が僕を見ていてあげるから、安心しておやすみ」 とまではまだ言い切れないのがニャアンは悲しかった。まだ悲しいことかすらどうかもわからなかった。 産むかどうかすらわからない命を抱えた少女が一人 ニャアンはいいおかあさんになれるよ。 以上がニャアン人妻概念前史。ニャアンとアンキー姉さん概念です。 このアンキーはやさしいアンキーなので多分シュウジの隠れ家を売ったりしません。売るかも 長くなりましたが。この本文に今後のニャアン母子概念の根底が宿っているので。ここに記します。 この「ニャアンとアンキー」概念は今後も出てきますから。一読していただけると幸いです。 次回の人妻概念前史はちょっと休んでからの投稿になります。明日から平常通りのニャアン人妻概念だよ続きはまた後日。 小室等「無題」改め「子守唄」は声優さんによってカバーされています。安原麗子さんが歌っています。「今、そこにいる僕」のエンディングです。 「今、そこにいる僕」エンディングテーマです。