排影師 デラーシュとの繋がりを断ち、糸影術の呪いを排し、糸影術の本来の力を取り戻した眷属の事。 眷属は己の魔力とそれを得る手段を捧げている為、デラーシュや親眷属(眷属を持つ眷属の事)から供給される魔力が無ければ動く事が出来ないが、鍛錬の末に魔力の生成法を再び学び直せば繋がりを断ったとしても動く事が出来る。 その魔力は練り直し故に純粋性が非常に高く、本来の魔力よりも高い力を出す事が可能。 しかしそこまでに至るには非常に困難が多く、黒衣僧の大半は排影師の眷属としてデラーシュからの繋がりを断っている。 デラーシュ程と行かない物の、多くの眷属に魔力を供給できる為黒衣僧内の排影師はリアリストとイデアリストの二人のみでありながら多くの眷属を率いるが、眷属は純粋性の高い魔力との相性が悪く本来より力は弱まる。 ## リアリスト/柊 和正(ヒイラギ カズマサ) 男 使用デッキ【クシャトリラ】 争奪戦争の初期、科学者側として参加していたM.S.T.設立メンバーの一人。 妻であるイデアリストと共に”排影師”として黒衣僧を率い多くの眷属を持つ。 前世は若き天才科学者だったが、志半ばの非業の死は彼を急進的な科学者グループへと導いた。 そこは反魔術師思想が強くそこでの経験は彼を歪ませ、反魔術師思想へと傾倒させた。 争奪戦争の発端はとある技師の複数の納期遅れが原因だった。 それは単に受注の多さに圧迫されただけであり、彼自身に非は無かった。 だが受注者であった科学者と魔術師は非を技師に押し付け、専属となる様に迫る。 技師は逃げ出したが、それを互いに拉致とみなし小競り合いが発生。 それは一瞬にして広がり、技術者と技師という資源を巡る争奪戦争が始まった。 和正はその戦いの中で先鋒を務め、多くの魔術師を屠った。 そして幾多の魔術師と争う中で一人の女性と相対する。 レイラ・アナスタージア・スプリングフィールド。 それこそが彼を思想を変える出会いだった。 M.S.T.においては技術統合部門の長として多数の貢献をする。 特に辿西や先道とは気が合い、三人でよくつるむ仲。 崩壊後は二人に協力し”黒衣僧”を率いて制御不能の暴走炉であるデラーシュのカウンターとして鍛錬を続けている。 魔術師としての才覚もあるが、科学者としての戦い方を好む。 リンク→パイオニア(柊優華)、ヘドニスト(柊玲華) 二人娘。 天は二物も三物も与えるが、父としての素養は与えなかった。 今の二人の言動は当然ながら父親として非常に恥だと感じている。 特にデラーシュ、先道に対してはその娘たちを押し付けたような物であり頭が上がらない。 黒衣僧を率いるのも娘の行動に対する責任と、先道に対する負い目による物。 ## イデアリスト/柊 A レイラ(レイラ・アナスタージア・ヒイラギ) 女 使用デッキ【魅惑の女王】 争奪戦争の初期、魔術師側として参加していたM.S.T.設立メンバーの一人。 夫であるリアリストと共に”排影師”として黒衣僧を率い多くの眷属を持つ。 前世は将来有望とされた魔術師。生まれ持った魅了の魔と溢れ出る魔力を科学者に狙われ実験の末に命を落とす。 それは科学者という存在に復讐するには十分な理由だった。 争奪戦争は彼女にとっては好都合であり、むしろそれを望んですらいた。 魅了の魔を使い、暗殺者として科学者を処理し続ける。 宿る恨みつらみを己を殺した科学者とは無関係な者にぶつける事は、傍から見れば愚かしい事でしかない。 その先に何があるのか、彼女には何も無くても良かったのだろう。 ある日、一人の科学者の暗殺指令を受ける。名は柊 和正、多くの魔術師が彼の犠牲となって来た。 同胞の仇を、己の恨みを、自分を苦しめた同類を一人残らず殺す。彼女の頭はそれで溢れかえっていた。 いつも通り標的に接近し、魅了の魔でおびき出し、不意を突きデュエルで殺す、筈だった。 彼を殺す為に観察していると頭の中に不思議な感情が芽生えた、彼を殺す為に近づくと何故か魅了の魔が使えない、彼と二人きりにだと言うのに何故かカードを引くことが出来ない。 そして何度も戦って何度も止めを刺そうとして何度も止めを刺されそうになった末に、二人は一緒に逃げ出した。 それこそが彼女が夢を取り戻す出会いだった。 M.S.T.においては技術統合部門の副長として夫を補佐する立場にある。 彼女と先西とセーマの三女傑は口にするのも憚れるM.S.T.の最も恐ろしいトリオとして知られている。 崩壊後は夫の眷属となり排影師へと至る。デラーシュとの直接的な繋がりが一度もない為、デラーシュやその眷属の存在を探知できないが、その逆も然りな為に黒衣僧の指令的立場にある。 魔術師らしい魔術の札を使ったデュエルを好む。魅了の魔を使ったかつての不意打ちはあまり使わない。 リンク→パイオニア(柊優華)、ヘドニスト(柊玲華) 二人娘。 夫とは違い母親としての才覚はあったが、彼女たちの本質を見極められる程ではなかった。 二人の"狂気”を自らの遺伝と考え強い自責の念を覚えている。 デラーシュ、先道に対しては二人をそのまま嫁にとって欲しいと、少し無責任な考えをしているが、三人の関係が今のままである限りそれは叶わないだろうとも思っている。 ───────────────────────────────────────────────────── 「やはり…あの件…先道さんには…伝えないので…?」 「あァ、保険としてはいい案だと思ってる。言わなくても、先道も別に気にはしねェだろう」 ツェン・コハヴィンの廊下を歩く二人の影。 「それでは…彼女は…解放…すると…?」 一人は柊レイラ。 「まァ、そういう事になる」 もう一人は柊和正。 「それに先道にとっちゃァ、あの案が方が…」 「先道さんの…罪を負う…意思は…硬く…強いです…」 レイラが和正の言葉を遮る。 「気を遣う事は…彼の為に…ならないかも…知れません…」 その言葉に和正は立ち止まると、言った。 「俺はァ、先道にこれ以上罪を負わせたくはねェ。そして何より、古い時代の人間として今の世代を信じてェのさ」 「でしたら…マンダマスター達には…私から伝えておきます…」 そう言って影に沈もうとするレイラを、和正は止める。 「いや、少なくとも伝えるのは結晶を手に入れてからだ。サブプランの為に、実現性が高いメインプランにわざわざリスクを積みたくはねェ」 「そうですか…。ですが…彼女をあのままに…しておくのも…」 「俺が相手をしておく、君は暫くここで休んでてくれ」 和正は、レイラの頭を撫でそう言った。 「…貴方が…そう…仰るのでしたら…」 「あァ、これが終わったら二人でゆっくりしよう」 そういうと和正は影に消えた。 「お気をつけて…」 「しかし…」 レイラは廊下を一人歩きながらつぶやく。 「こうして…和正さんと離れて…一人で仕事もなく…過ごすのも…久しぶりで…どう過ごせば…」 ふと、一つの絵画の前でレイラは立ち止まる。 乱雑にペンキをまき散らした大きな絵。豪勢な城にはまるで似合わない絵だが、レイラはこの絵を知っていた。 昔、沙紀が失敗作の設計図に憂さ晴らしでペンキをまき散らし、それを見た皆が面白がってペンキまみれになりながら好き勝手に塗りたくって出来た絵。 たち込めるペンキ臭に早々にダウンした先道を思い出す。 東行兄妹にペンキを缶ごとぶちまけられて、ペンキ塗れのまま転げまわったエルマーを思い出す。 何故かペンキを撒く順番で事細かく言い争っていた、グルーぺとカッサーノを思い出す。 その背中に落書きをしていたフラワーズを思い出す。 私は、無くなったペンキを補充していたっけ。 ふと記憶の中で隣を見れば、皆にペンキを飛ばす和正さんの笑顔が…。 「…懐かしい…ですね」 無責任に楽しんだあの時は、もう帰っては来ない。 あの、深く重い責任に心が沈む。 「割れた…心は…休まりません…か…」