あれから。 二つ三つ程の季節が過ぎた。 だけれども、時間は彼等の関係の進展には寄与しなかった。 互いに意識はするけれど、そこから一歩踏み出す程ではない。 そんな微妙な関係。 心地が良い関係から一歩踏み出すのは、互いに余り積極的ではなく。 しかし、意識してしまった事で性的な衝動は募るばかり。 互いに、一人でする事が多くなってしまった。 二人とも、互いにしっかり隠して行うせいで、互いにそうとは気づかない。 もどかしく、そして幸せな関係。 温かな陽気が野山に差す春になり、雪解けの時期が来た。 山菜、木の実、果物。 色々と採れる時期になり、二人で山に採集に向かう。 「ドロール君、今日は頑張ろっか」 「うん。今日はたくさん集めようね」 二人は笑顔で会話を交わしながら、山道を登っていく。 特に獣が居るような気配もない、そんな野山だから、二人は離れて作業をしていた。 ロックバードが周囲を見渡しているから、何か危険があれば知らせてくれるという信頼がある。 そのお陰もあって、二人はのんびりと作業していた。 昼過ぎになり、流石に疲れを感じてきた。 ドロールは休憩の為、川を見下ろす斜面にある岩に腰を掛けて荷物を下ろす。 木陰になっているし、川の流れを見ていると涼やかに感じ、心も落ち着く。 川辺に行って水浴びしようかとも思ったけれど、ここから降りるには少し斜面が急だし、 安全な道を通るのなら、割と遠回りする必要もある。 わざわざ苦労をして行くほどでもない、と思っていた時に。 川辺にうさぎが居るのが見えた。 声をかけようと思ったけれど、彼女が服を脱いだのを見て慌てて止める。 何をしているのだろうか?できる限り音を立てないようにしながら覗き込む。 「ふう、疲れた‥‥」 うさぎは、ドロールには聞こえない程のつぶやきの後、川の水に浸かり、身体を洗い始めた。 そんな姿を見ていると、むくむくと、ドロールの下半身は膨らんでしまう。 いけないと思いつつも、その場を動けずにいる。 明るい川辺からなら、ここは木陰になっていて何も見えない筈。 自分もこの山はある程度知ってるし、川の側に実際に行ったから、ここは向こうから見えないのは分かる。 そう自分に言い聞かせながら、それでもバレるスリルを感じながら、ドロールは自分の物をズボンからそっと取り出して握る。 この行為に対する罪悪感からか、ドロールの理性は簡単に崩壊していく。 本来なら、自分の部屋でこっそりとすべき行為を、今、外で行っているのだ。 あの夏の日から、意識し続けていたうさぎの裸体。 意識していたのに、秋、そして冬だと、その肌すら厚着で殆ど見えなかった。 それでも想像だけで、何度も自らを慰める程に思い続けていた。 その実物が、見える位置にある。 我慢が出来ないのも当然と言えば当然であった。 川の水を掬い、身体の汚れを落としていくうさぎ。 ドロールはその姿を眺めながら、自分のモノを激しく扱いた。 先端から根元まで上下させると、鈴口から透明な汁が溢れてくる。 どんどん快感が強くなっていき、やがて限界が近付いてくる。 しかし、ここで果ててしまうと勿体ない。 そう思ったけれど、手の動きは緩まらず、結局我慢は長くは続かなかった。 ドロールは声にならない叫びを噛み殺しながら絶頂を迎える。 勢いよく飛び出した白濁色の液体が岩肌に落ちていく。 ドロールは肩で呼吸をしながら荒い息を繰り返していたが、直ぐにまた興奮し始めてしまった。 一度出した事で冷静になるどころか余計に興奮してしまい、再び固くなる。 うさぎはそんなことも気付かずに、穏やかな表情で水遊びをしていた。 ドロールの目には、それがとても魅力的に映った。 透き通るように柔らかそうな真っ白な肌と、薄桜色の乳首。 まだ彼女は、こちらに気づいた様子はない。 その光景を目に焼き付けながら、再び下半身に手を伸ばす。 さっきよりも強く握り締めて激しく擦り上げると、すぐにまた射精感が高まってくる。 「‥‥うっ‥‥ふっ‥‥!」 声を殺し切れずに僅かに漏らす。 二度目の射精を迎えると同時に、勢いよく飛び出た白濁液が再び岩肌に降り注いだ。 我慢出来ずに、何度も果てた。 うさぎはこちらに気づかないまま、川辺で水遊びをしている。 何度目か分からない射精を迎え、ドロールの頭は茹っていた。 白濁は岩のくぼみに溜まっていく。 どれだけ吐き出したかもう覚えていない。 陰茎は芯が無いように柔らかくなりながらも、緩やかに勃って痙攣していた。 先端からは僅かに残った白濁液がとぷとぷと少しづつ垂れている。 うさぎが川からあがり、服をまた着始める。 先程の行為がバレるかもしれないという緊張感が、一気にドロールの身体に纏わりつく。 幸いな事に、彼女は此方に全く気付いていそうにない。 だけど、急いで処理して場所を変えなければならない。 ここに来るまで遠回りとはいえ、股間丸出しの状態で会うなんてことになればおしまいだ。 慌ててパンツとズボンを上げ、衣服を整える。 亀頭の先端のぬめりは、パンツの裏地で拭う。 何度も吐き出した精液の跡は、拭こうにもそうすれば精液の染みた布という証拠を持ち歩くことになるし、どうにも出来ない。 仕方なしに、そのままにするしかない。 多少遠回りして、川の方へと向かう。 自分も何度も射精したせいで、手がヌメヌメしていた。 このまま合流すると、正直あんまり良くない。 そう思って、一番近い道を通らないようにして、うさぎと逢わないようにしようとしたのに、 水浴びを終えたうさぎと鉢合わせする形となってしまった。 「あれ?ドロール君‥‥これから水遊びするの?」 「う、うん」 なるべく平静を装って返事をする。 手は後ろに回して、誤魔化す。 そんなドロールの葛藤を知ってか知らずか、うさぎは微笑みながら言う。 「冷たくて気持ちよかったよ。じゃあ私、先に帰ってるね」 「う、うん。じゃあね」 そう言って二人は別れる。 なんとか、誤魔化せた筈だ。 「良かった‥‥」 ドロールは安堵した。 しかし、直後に恐怖が襲ってきた。 「バレて、ないよ‥‥ね?」 もし万が一バレてしまっていたらと思うと不安になる。 とにもかくにも、川へ向かう。 まずは手を水に浸し、擦って精液のヌメリを落とす。 股間のぬめりも落としたいし、汗だってかいている。 折角だからと服を全部脱ぎ、川に足を入れる。 冷ややかな川の水に浸かると、落ち着いた感覚になる。 そう。 落ち着いて、気持ちもすっきりとしたドロールは気が付かない。 気付かなかった。 先程まで自分が居た場所から、視線が向けられている事に。 ドロールが水浴びをすると聞いて、うさぎは何となく、その様子を眺めたいと思った。 だから、川の近くにある斜面の上にある木陰に足を運んだ。 ドロールの姿が見えるような位置。 そこに、ちょうど腰を降ろすのに丁度いい大きな岩がある事は知っていた。 だから、そこに向かうのは当然だった。 そして、岩のくぼみに溜まった白濁液。 それを見つけてしまうのも、また当然の事だった。 精液を吐き出すような男の子は、今この山に一人しかいない。 何を見てそうしたのか、それだって、一つしか答えはない。 ぞくり、とうさぎの背筋を興奮が走る。 確かに、正直に言えばこういう事はあんまり良くない事なのだと分かる。 覗かれて、それにオナニーの為に使われて、嬉しい気持ちなんてものは普通は抱かないだろう。 けれど、自分だって今、ドロールの水浴びを覗こうとしている。 同じことをしているし、お互い様だと。 なんなら、これから自分のする事を正当化するような気分にすらなる。 ドロールが自分に夢中だと、両想いだと自分だけが知っている。 それを知らないドロールが、必死に性欲や好意を隠して、 自分に色々な態度を取るのだと思うと、可愛らしく、愛おしささえ覚える。 もし、私がこれを指摘してしまえば、どうなるだろう? 泣き出してしまうかもしれない、 顔を真っ赤にして、取り乱してしまうかもしれない。 慌てふためいて、無意味に弁明しようと、言葉を重ねようとするかもしれない。 妄想の中で、あらゆるパターンのドロールが頭の中に出てくる。 うさぎは股間に手を伸ばし、くちゅりと音をたてて刺激を与える。 その全てを、ロックバードは見ていた。 その上で、こいつら早い所くっつかねぇかな、とあきれ果てていた。