まだ少し、身体がダルい。 木曜に体調が何か変だと思ったけど、案の定金曜日には熱が出た。 土日にがっつり休んで、今日の朝にはすっかり回復したかに見えたけれど、やっぱりまだ完治とまではいかないようだ。 「体調もある程度は戻ったし、今日は学校行かないとな‥‥」 幸い、火曜は祝日だ。 今日をどうにか乗り切れば、またゆっくり休める。 家を出ようとして、目の前に突然現れた柔らかい物に顔が埋もれる。 「もう!駄目ですよマスター!まだ体調あんまり良くなってないんですから!」 イレーヌ。 私の持つカードから現れた、カードの精霊。 心配する彼女に、私は苦笑して応える。 「大丈夫よ。熱だってすっかり下がってるし」 「本当ですか~?」 ジトっとした目付きで私を見ながら、イレーヌは不意にグイッと顔を近づけてくる。 急に近付く距離に、思わず心臓が跳ね上がる。 「まだちょっと熱っぽいですよ!今日はお休みしましょう!」 とはいえ、こちらももうある程度は回復している。 明日は休みなのだから、少し無理したところで大丈夫だろう。 「そうは言っても、明日はまた祝日だし、今日ぐらいは頑張らないと」 「だーめーでーすー!」 ぐっと手首を掴まれ、引き寄せられる。 相変わらず柔らかい感触が私を受け止めて、更にはギュッと抱きしめられてしまった。 「ちょっとイレーヌ‥‥」 それはまるで子供のような意思の通しようで、けれどしっかりと伝わってくる体温が、私が彼女に対して感じている“年上”というイメージに拍車をかける。 とはいえ、このまま素直に甘えてしまうのも少し癪だ。 どうにか振り払‥‥あっ駄目だ力強いこれ無理な奴だ。 「イレーヌさんや?そろそろ行かないと遅刻してしまうのですが‥‥」 「今日はお休みするんですー!」 ギュゥゥッとさらに強く抱きしめられ、若干苦しい。 そして、ぐっと持ち上げられ、じたばたする私をお姫様抱っこで軽々と運ぶ。 ベッドの上に置かれ、布団を掛けられて、まるで逃がさないと言わんばかりに、馬乗りで座られた。 「無理矢理にでも休んで貰いますからね!」 さっきから何故か動けない。 押し返そうとしても、まるでビクともしない。 「なんで‥‥」 「私攻撃力800ですよ?病み上がりのマスターが科学特殊兵以上の力があると思ってるんですか?」 なんだっけ、科学特殊兵。 何か最新の化学兵器を装備した兵士とかだった気がする。 重武装した人間の攻撃力の例でちょいちょい出て来るから名前だけは知ってる。 私多分50もないよ?いやデコピンと同じ位ならワンチャン‥‥ 「という訳で、今日はしっかり休んで下さい」 「うぅ‥‥」 イレーヌはニコッと微笑む。 これは逃がしてくれない奴だ。 「小学生の時、熱あるのに隠して学校行って、通学路で倒れたのは誰ですか?」 「‥‥いやあれは昔の話だし」 そんな事もあったな。 当時は体力なかったから‥‥今なら余裕よ! 「中学生の時、無理して登校したのは良いけど保健室行きになって寝たままだったのは誰ですか?」 「‥‥うぅ」 いやあれはそもそもちょっと家出る時は頭痛いなぁくらいだったから‥‥ 「高校1年の時、文化祭の準備で張り切り過ぎてぶっ倒れて迷惑かけたのは誰ですか?」 「‥‥」 やめてよその時の事思い出すの。 あれはマジでやらかしたって反省してるし変なあだ名も付いたんだから‥‥ 社畜予備軍とかほんとマジ意味分からんし‥‥ 「それで、今もこうして無理しようとしてるのは誰ですか~?」 ぐっと抑えつけられて、イレーヌの人差し指が私の眉間をグリグリしてくる。 「う゛ぅ‥‥」 確かに今思い返せば、過去にも何度か無理して倒れたことがある。 別に体が弱いわけではない。むしろ丈夫だと思う。 けれど、どうしても無理をしてしまう癖があるらしい。 とはいえ、こんなにポンポンと過去の失敗を持ち出されると、さすがに分が悪い。 「はぁ、分かったわよ。今日は学校休みます‥‥」 大学生だから、自主休講OKですから。 仕方がない、私の精霊が過保護なのだから。 「ふふ、そうですそうです。えらいですねマスター」 そう言うと、イレーヌはにこやかに微笑み、私の頭を優しく撫でてくれた。 それじゃあ、休むことにしたし早速‥‥ 「マ・ス・タ・ァ?」 ぐっと、イレーヌに引き寄せられてベッドにイン。 ついでにスマホ没収。 「どうせ休む事決めたからってゲーム始めようとしましたよね?」 「ちぇ、バレてたか」 「当たり前です。マスターのこと、よく分かってますから」 そう言って笑う彼女の表情が、どこか誇らしげだった。 毛布をかけてくれた後、がっちりと掴まれて、身動き出来ない。 イレーヌの体温と、程よい柔らかさ。 ずっと一緒だった彼女に包まれていると、安心はする。 不満が無い訳でも無いけれど。 「分かった、分かりましたから。とりあえずイレーヌ離して‥‥」 「駄目です」 イレーヌは断固として譲らない。 仕方がないから、彼女の言う通り眠る事にした。 朝から二度寝。 ぐっすり、うとうと。 がっちり掴まれてるから、抱き着き返してイレーヌを抱き枕にしている感覚。 お昼ごろ、ぼんやりと目を覚ます。 横を見ると、イレーヌもすやすやと眠っていた。 だけど、がっちりと抱きしめている腕は緩まないままで、私を離してくれる気は無いらしい。 「ちょ、ちょっとイレーヌ‥‥!」 おもいっきり力を入れても、身動き一つできやしない。  これは本当に逃げられない‥‥。 「お、起きてぇ!イレーヌ!」 「むにゃ‥‥マスター‥‥もう無理しないでくださいねぇ‥‥」 「わかった、わかったから!起きてぇ!」 どうにかイレーヌを揺すって起こそうにも、全然びくともしない。 むしろ余計に強く抱きしめられて、完全に動けなくなった。 「イレーヌ~!ね~ぇ~!」 必死に呼びかけるけど、イレーヌは微動だにしない。 完全に熟睡モードに入っているみたいで、目覚める気配がない。 「‥‥困った」 なんとか抜け出したいけれど、イレーヌの腕はピクリとも動かない。 そして、ふと、気が付いてしまう。 気付いてしまったら、我慢出来なくて。 「ちょ、待って‥‥! イレーヌ、お願い、起き‥‥!」 「ふぇ‥‥?マスター?どうしました?」 やっと、イレーヌの腕が緩んだ。 「トイレ!漏れる!!!」 「あ、すいません!」 イレーヌが慌てて飛びのいて、私を解放してくれた。 解放された瞬間、そのままトイレに駆け込む。 「‥‥危なかったぁ‥‥」 一気に冷や汗が引いていく。 危うく漏らすところだった。 ちょっと、あと一分でも脱出が遅かったら終わってた。 部屋に戻ると、イレーヌが申し訳なさそうな顔をしている。 「マスター、あの、さっきはごめんなさい‥‥」 「いいよ。イレーヌのおかげでしっかり休めたし、元気になれたから」 まぁ、お陰様でだいぶ体調は回復した。 今なら普通に走れそうだ。 「マスター?何か変な事考えてませんか?」 「うん、完全に治ったー!って感じ、元気元気」 体もすっきりしたし、気が付けば頭も軽い。 「これなら午後の授業だけでも‥‥」 再び後ろからガッチリと抱きしめられる。 さっきよりも締め付けが強くて、ほとんど身動きできない。 「ぜったいにダメです!ちゃんと一日ゆっくり休んでください!」 「いや、もうほんとに大丈夫、平気だから!」 イレーヌは更に力を込めてギュウウウと締め付ける。 ぐえ、苦しい。 攻撃力800つよい。 「マスターの大丈夫は私をいきなり通常召喚してる位の信頼度なんですよ!?」 それは‥‥何とも言えない。 多分バディスかカルペディベルしか無くて、イレーヌで戻して何か引くのに賭けないといけない奴だ。 「‥‥何か自分で言って少し悲しくなったのでちょっとさっきの無しで」 しゅんとするイレーヌ。 だけど、私の事は離さずそのままずるずるとベッドへと連行される。 「それはそれとして問答無用です」 そのままベッドの上に押し倒され、布団を掛けられてしまう。 「はい、大人しく寝ましょうね?」 身動きが取れない以上、従わざるを得ない。 言葉に甘える事にして、私は諦めて目を閉じた。 結局、イレーヌのお陰でしっかりと休まったお陰か、体調はすっかり良くなった。 あのまま無理矢理学校に行ってたら、悪化してたかもしれない。 そういう意味では、イレーヌには感謝しないと。 「そういう訳でイレーヌ、お礼に何かして欲しい事とか欲しい物とかある?」 「え?良いんですか?」 それだけに、普段から何かお礼をしてあげたいとは思っていた。 「ふっふっふ、それじゃあ遠慮なく言わせて頂きますよ?」 「うんうん、どうぞどうぞ、もう子供じゃないし、何でもできるからね」 イレーヌは少し考え込むような仕草を見せた後、ニコッと笑って言った。 ‥‥なんだか、嫌な予感がする。 「それじゃ、マスターを貰おうかなーって」 「へ?」 がっちりと、手首を掴まれる。 「ちょっ‥‥イレーヌ?」 あまりにも自然に放たれた台詞に反応が遅れる。次の瞬間にはもう両手首を彼女の細い指に絡め取られていた。 微笑んでいるはずなのに、瞳の奥が怖い。 そのままゆっくりと、ベッドまで追い詰められて行く。 看病の時とは違う、こう‥‥狩場に連れて行く様な感覚。 「ちょ、ちょっと待って!?」 「いえ?マスターはもう大人ですし、こういう事しちゃっても問題ないですよね?」 ぐるぐると世界が回る。 これは、アレだ。ヤられる。 「いや、さすがにこう、色々心の準備とかあるし!」 必死に抵抗するけれど、イレーヌの手が解ける気配は全く無い。 駄目だ、私が健康でも全然勝てない。 ベッドに押し倒されて、イレーヌが馬乗りになる。 顔が近付いてきて、される事を予期して目を瞑る。 柔らかな唇が、そっと触れた。 舌が入ってくるのを受け止め、こちらも応えるように絡ませる。 唾液が混じり合い、口内を味わい合う。 互いの吐息で呼吸するから、甘ったるくて息苦しい。 体は熱を帯び、頭はぼんやりしてきた。 どれくらいキスしていたんだろう。 気が付けば、すっかり力が抜けていて、ようやく口づけから解放された時には、肩で大きく息をすることしか出来なかった。 「‥‥マスター、可愛い顔してますね♡」 耳元で囁かれて、びくりとする。 そのまま、するすると服を脱がされる。 恥ずかしさのあまり手で体を隠そうとしたけど、力が抜けてうまく行かない。 「だーめ、ほら、手をどけて下さい」 優しい声色なのに、逆らえない圧が籠っている気がして、抗う気すら起きなかった。 少しずつ露わになっていく肌が恥ずかしい。 全てを取り払われ、胸が露出した時にはあまりの羞恥心に顔から火が出そうになった。 「マスターの身体、綺麗ですね♡」 「うぅ‥‥あんまり見ないで‥‥」 手で隠そうとしても、優しく阻まれてしまう。 どうにもならないまま、ただ視線から逃げるように縮こまることしか出来なかった。 そして、下も‥‥全部脱がされた。 もう何もかも隠せない。せめてもの抵抗に足を閉じるけれど、あっさり開かれる。 足と手なのに、全然力の差が埋まらない。 「可愛いマスター♪」 「ま、まって‥‥」 イレーヌの顔が、股間にどんどん近付いてくる。 ぺちゃ、と湿った感触。 おもわずイレーヌの頭を押しのけようと手が伸びたけれど、全く歯が立たなかった。 舐められると、思った以上に体が反応して、敏感になっている。 舌が這うたびに、体がびくんと震えて、小さく声が漏れてしまった。 「あっ‥‥やっ‥‥」 自分でも驚くほど甘ったるい声が出て、頬が熱くなる。 恥ずかしさでいっぱいになりながらも、イレーヌはそんな私の反応を見て楽しそうに笑っていた。 「マスター、可愛い声」 「そ、そんなこと、言わないで‥‥んぅっ!」 イレーヌの唇が吸い付いてきた。 そこを舌で転がされ、甘噛みされると、全身にぞくぞくと気持ちいいのが走る。 反射的に腰が浮いてしまい、太ももをぎゅっと締めてしまうけど、イレーヌの腕がしっかりと押さえ込んでいるため逃げられない。 「やだぁっ‥‥♡駄目、だめだめだめっ‥‥っ~~♡」 頭が真っ白になるほどの快楽に襲われる。 ギューッと全身に力が入って、全身が痙攣する。 波が引いて、落ち着こうとする身体に、舌が追い打ちをかけてくる。 「イッた!イッたからぁ!イレーヌゥ♡ちょっとぉ♡」 止めてくれないイレーヌ。 抵抗しようにも、力で叶わないからもう無理。 お腹の中からくるような、ぐるぐると回って脳に突き刺さる様な気持ちよさ。 もう何も分からない。 それでも、イレーヌは舌を止めてくれなくて、私の身体は絶頂を迎える。 「ひああぁぁっ!?」 凄まじい快感が体を襲い、意識が飛びそうになる。 頭の中が真っ白に塗りつぶされる様な感覚。 「ハァ‥‥♡ハァ‥‥♡」 「ふふ、ごめんなさい♡泣かせるつもりは無かったです♡」 「イ、イレーヌ‥‥の、ばかぁ‥‥♡」 ようやく解放されて、半泣きの私を見つめながら、イレーヌが微笑む。 イレーヌは濡れた自分の口元を指で拭って見せる。 それが妙に色っぽくて、ドキリとした。 悔しいから、イレーヌの胸元に飛び込む。 ぐりぐりと顔を押し付けて甘える。 「マスター?」 「‥‥お返し」 そのまま、イレーヌにおねだりする。 「イレーヌ、脱いで」 「ふふ、お安い御用です♡」 イレーヌは素直に従ってくれた。 「マスター、どうぞ♡」 その言葉と共に私はイレーヌの胸に飛び込み、私にはない柔らかな弾力に顔を埋める。 ふかふかで、すべすべで、落ち着く。 そして、すんごい幸せ。 「ふふ、甘えん坊さんですねぇ、マスターは♡」 勝てないのだから仕方がない。 だから、精一杯甘えてやる事にする。 柔らかな胸を堪能しながら、もう片方の胸を手で揉んでみる。 ふにゅっと沈む感触と、弾力のある反発。 やっぱり柔らかくて気持ちがいい。 気が付くとイレーヌが抱きしめてきていて、髪を梳くように撫でてくる。 幸せを感じながら胸の谷間に埋もれていたけれど、ちょっとこれぎゅっとしすぎな気もする。 そのまま胸に顔を埋めたまま深呼吸すると、イレーヌの匂いに包まれて頭がクラクラしてきた。 というか少し息が苦しくなってきたというかこのままではちょっと乳に溺れかねないというか助けてイレーヌちょっと強いというかもう苦し‥‥ じたばたとする私の動きで気付いてくれたようで、やっと拘束が解かれる。 「ふー‥‥、ふー‥‥」 「マスター、大丈夫ですか?」 心配そうなイレーヌ。 「大丈夫じゃない、乳で溺死する所だった」 「あはは‥‥」 苦笑しているイレーヌ。 くそう、私の胸が小さくなければ仕返ししてやったのに。 「それじゃ、今度は擦り合いしよっか?」 イレーヌのそこと、私のそこ。 ぴったりと合わせると、ぬるぬるとした感触。 しっかりと生えそろった陰毛がこすれて、くすぐったい。 動いてこすれ合うたびに、やらしい音が鳴る。 互いに言葉も無く、ただひたすらに腰を動かす。 二人で一緒に高みを目指すように、リズムを合わせながら激しく擦り合わせた。 イレーヌの吐息が、首筋にかかる。 背筋がゾクゾクする感覚と同時に、下半身にジワリと熱が広がっていく。 「んっ♡マスター♡」 イレーヌの声が耳元で響く。それだけで興奮してしまう自分が情けなかった。 ぐりぐりと擦り付け合い、何度も体を震わせる。 途中で私が限界を迎えても、脚で挟んで逃がしてくれない。 そのまま、気が付けば二人でベッドの上で絡み合ったまま、意識を失っていた。 目が覚めたのは、二人とも大体同じ位だった。 「マスターの事、大分疲れさせてしまいましたかね‥‥」 「うん、へとへと」 喉が渇いて、冷蔵庫で冷やしておいた水を二人で飲み干す。 「ねーイレーヌ?」 「なんでしょうか、マスター」 気だるい身体で、そのまま床に寝そべって天井を見上げる。 「責任取ってね、大人になったからって居なくなったりしたらヤだからね」 「ふふ、任せて下さい。最後までついて行きますよ、マスター」 まあ、その言葉が聞けたなら、それでいいや。