● 女人、大蛇に婚はれ、薬の力に頼りて命を全くすることを得る縁 {女が大蛇に強姦されるが、薬師(内科系の医師)の処方で一時的に命を取り留めるという奇譚} 河内国(大阪東部)更荒群(讃良郡)、馬甘ノ里(所在不明)に裕福な家があった。 この家には年頃の娘が居た。 大炊の天皇(淳仁天皇)が在位のころ、天平宝字3年4月夏(759年5月、初夏の時期)、 娘は桑の木に登って葉を集める仕事(おそらく養蚕用のエサとなる桑葉の収穫)をしていた際に、木の根本に大蛇が突如として出現した。 大蛇は樹上で作業中の娘目指して木に巻きついて登ってゆき、その異様な状況を目撃した通行人は娘に注意を促した。 大蛇を目の当たりにした娘は驚いて落下する。 すると大蛇は娘に飛びついて娘と共に落下し、その場で絡みつき婚クナガった(これは強姦したという意味)。 いきなりバケモノにレイプされた娘は慌て迷い(パニック状態になり)起き上がらなかった。 しばらくして、未だ大蛇に拘束強姦されているままの娘を目撃した彼女の父母は薬師を急いで呼びつけて対処を依頼すると、 薬師はへばりついてまさに蛇の交尾そのものな有様の娘を床(タンカ)に載せて庭に置かれた娘を診察し キビ藁の灰を溶かし濃縮した煮汁2斗(36リットル)と猪の毛を大量に細かく刻んだ(10把とある)特製の呪法的な処方の薬品を調合し、 娘の手足を縛ってひっくり返して縛った縄を杭に引っ掛け性器が上向きのままになるように姿勢を調整して この薬品を大蛇が陰茎を突っ込んだまま離れない娘の女性器へと一気に1斗(18リットル)注ぎ込んだ。 すると、たちまち薬品が効き大蛇がようやく娘の拘束を解き挿入解除して離れた為、逃げ行こうとした大蛇を殺害して棄てた。 娘の性器からボトボトと大蛇の子が出る、子は白濁して皆死んでおり猪の毛が刺さっていた。 追加で薬を注ぐと全部で5升(9リットルほど)もの 大量の死んだ蛇の子が出てきた(量から単純計算して、人間の三つ子を孕んだ臨月の妊婦のような凄まじい外観だったであろう) 凄惨な死産が終わってしばらくすると、恍惚とも迷い惑うともつかない状態だった娘が正気を取り戻し、傍らに居た両親へ「私の意識は夢の中にいるようでした、今は目が醒めてもとに戻れたようです」と言った。 薬師の調薬の賜物であろうか? だがこの話には続きがある。 なんとこの娘、3年後に再び大蛇と交尾し、さらには死んでしまったのだ。 3年後の娘は積極的に大蛇との交尾に耽り大蛇を心底愛し恋し、出産した大蛇の子を愛し、父母子夫婦の情を一心一身に注ぎ込み、淫蕩に体力尽きて死に際には「生まれ変わって来世に至っても再び蛇と結ばれる」とまで言った。 前世の因縁で蛇だの犬だの牛馬だの鳥だのといった畜生と交わる、あるいは畜生そのものに転生する運命にある者もあると聞くがこの奇譚はその適応例なのだろうか?それとも初めの強姦で運命が狂った形で固定されてしまったのだろうか? 少なくとも犯された娘は来世を穢す因果を歪まされた愛を根拠に自ら宣誓した。 自分の産んだ子に欲情して陰茎をしゃぶる母が亡くなる前にこの子を来世でも愛すと告げるとなんとその子の隣家の娘として転生し今度は正真正銘の夫婦になり前世の自分の墓参りをするなどというような話もある。 (となると、「3年後の大蛇」は別個体ではなく娘を孕ませ…は失敗したが、執着し殺された最初の大蛇の転生体ではないだろうか?一度目で因果を刻み二度目はまんまと大蛇は目論みを果たし三度目は娘も共に転生すると自発的に宣誓させている。 大蛇にとって好都合な事態しか起きていない) またこのような話もある。 ある男が我が子の身体能力を(親バカで)褒めちぎり「よいぞ、疾走する様はまるで狐のようだ」と喩えたが、 その子が亡くなるとなんと狐に転生してしまったという。 宣誓や願いは重大な呪法である。 良い事を誓い願う方がいいだろう。 悪い事を誓い願た彼らのようにならぬために。