なんか違うかもしれんけど、バリオンモードでの消滅からナルトへの封印直後に逆行って設定で、AIと相談しながら小説書いてみた。 ---------------- 木の葉の里の夜は、ひどく冷える。 まだ自分の体よりも大きなジャージに身を包んだ幼いナルトは、布団の中で小さく丸まっていた。昼間、里の大人たちから向けられた冷たい視線と、ひそひそ話。それらが棘のように胸に刺さって、どうしても眠れなかった。 「……なんで、オレばっかり」 ぽつりと溢れた涙が枕に染み込む。 その瞬間、ナルトの意識は急速に足元から引きずり込まれるように、深い闇へと落ちていった。 気がつくと、そこは薄暗く、冷たい水が足首まで浸かる奇妙な空間だった。目の前には、巨大な格子状の檻。その奥から、闇よりも深い二つの紅い眼光が、じっとナルトを見下ろしていた。 「……ここは、どこだってばよ? お前、誰だ?」 怯えながらも、負けじと声を張り上げる幼いナルト。 檻の奥に鎮座する巨躯――九尾の妖狐、九喇嘛は、その姿を凝視したまま絶句していた。 (……本当に、戻ってきたのか) 九喇嘛の記憶にある最後の景色は、強大な敵・イッシキとの死闘の果て。ナルトの命を繋ぐため、自らの命を燃やし尽くした「重粒子(バリオン)モード」の終着点だった。相棒の泣き顔を見ながら消滅したはずの自分が、いま、すべての始まりの場所にいる。 目の前にいるのは、まだ「火影になる」という夢の重さも、世界の理不尽さも知らない、ただ孤独に震える小さなナルトだ。 「おい、聞いてんのかってばよ!」 ふん、と九喇嘛は鼻を鳴らした。かつての初対面のような、世界を呪う憎悪のチャクラは意識して抑え込む。ここで自分が暴れれば、外の封印式が反応してミナトやクシナの残した精神体が顕現してしまうかもしれない。 それはまだ早い。また、過保護に接したとしても、里の上層部に「人柱力を兵器として制御している」と目をつけられ、この小さなガキがさらに窮地に立たされる。 「騒ぐな、小僧。ワシは九喇嘛。お前の腹の中にいる、ただの居候だ」 「クラマ……? 居候って、オレの腹の中に誰かいるのか?」 「そうだ。お前が泣き言を並べるから、うるさくて目が覚めたわ」 ぶっきらぼうに言い放つ九喇嘛の言葉に、ナルトは顔を真っ赤にした。 「な、泣いてなんかねーってばよ! オレは……オレは、ただ……」 言いかけて、ナルトは俯いた。里の誰も自分を見てくれない。誰も話を聞いてくれない。その孤独を、目の前の巨大な化け物にぶつけていいものか迷ったのだ。 しかし、九喇嘛はそんなナルトのすべてを知っていた。これからこの少年が歩む、血と涙に塗れた、それでも眩しいほどにまっすぐな道のりを。イルカに出会い、サスケとぶつかり、自来也に導かれ、やがて世界を救う英雄になる未来を。 「……小僧」 九喇嘛の声は、地響きのように低いままだったが、どこか酷く穏やかだった。 「誰も見ないなら、見せつけてやればいい。お前は、いつかこの里の誰もが無視できないほど、大きな存在になる」 「え……?」 「お前が信じた道を、そのまま進め。ワシはここで、お前が歴代で一番の火影になるのを、ただ見ていてやる」 ナルトは目を見開いた。アカデミーで、いや大人たちの中で一番信頼していると言えるイルカ先生さえまだ本気で信じていない時代。 世界中で、自分という存在を肯定し、「お前ならなれる」と言ってくれたのは、他でもない腹の中の化け物だった。 「お前……オレが火影になれるって、信じてくれるのか?」 「なれると知って…いやいい。ワシはお前が火影になると、信じている」 九喇嘛はふいと顔を背け、大きな尾で自らの身体を包むように丸くなった。二周目の世界。大筋の歴史を変えるつもりはない。 カグヤの同類が来る未来に向けて、やるべきことは山積みだ。だが、まずはこの目の前の、世界で一番大切な相棒の心を救う。それが、二度目の命を得た自分の役目だと、九喇嘛は決めていた。 「もう戻れ。そしてさっさと寝ろ。明日もアカデミーがあるのだろう」 「……うん!」 ナルトの顔から、さっきまでの陰鬱さは消え去っていた。満面の笑みを浮かべ、胸を張る。 「オレ、絶対に諦めないってばよ! ありがとな、クラマ!」 弾けるような声と共に、ナルトの意識が精神世界から消えていく。 静かになった檻の中で、九喇嘛はそっと目を開け、自らの前足を見つめた。 (今度こそ……バリオンなど使わずに、二人で最後まで生き残ってやるからな、ナルト) 孤独だったはずの少年の部屋に、心強い相棒の静かな息吹が満ちていた。