「ユキちゃん、ご飯だよ」 「ありがとうございます、エマ」 寒空の冬、橋の下にダンボールとビニールシートで作られた小さな家の中で二人の少女が寄り添いながらスーパーで買った冷たい菓子パンを頬張っていた。 「今日も冷えるねぇ……」 「はい……でも、エマといるので心は暖かいですよ」 そう言って笑うユキにエマも笑顔を浮かべて体を寄り添いあう。 「いつまでこうしていられるかな」 「きっと長くは続かないでしょうね……でも、私はエマが私の手を取って逃げ出してくれたこと……絶対忘れません」 「もう……大袈裟だよ。ボクがしたかったんだから」 エマの手を取って微笑むユキにエマはなんでもないように告げる。 この寒さの中、少女二人がホームレスのように生活しているのには理由があった。ユキは学校で虐められている。エマはそんなユキの友達であり、彼女への虐めを止められずにいた。だけども、優しいエマは見過ごせなかった。ユキへの苛烈ないじめ、それをただ見ていることに耐えられなかったエマはユキを学校から連れ出し、電車に揺られ遠く離れた地へとたどり着いたのだった。 「でもこんなのヒロちゃんに知られたら『なんて正しくないことをしたんだ』って怒られちゃいそう」 「私を助けるためですからきっと分かってくれますよ」 二人は今はいないもう一人の友達である少女を思い浮かべる。空の上へと旅立った彼女ならもっと上手くやれたんだろうなとエマは思う。 「ねぇエマ?」 「なあに?」 「私が一緒に死んで欲しいって言ったら死んでくれますか?」 真剣な表情で問いかけるユキにエマも表情を硬くする。死んでくれるか、そんな重い問いにエマはすぐに口を開けない。そうして暫くの時間が経った頃だった。 「ボクは……死ねない、かな。でもユキちゃんを死なせはしないよ」 「私がどうしようもなく生きるのが辛いことだとしてもですか?」 「うん。それがユキちゃんにとって辛いことだとしても……ボクはユキちゃんと生きていたいな。それに……死んじゃったらこんなこともできないし」 そう言ってユキの唇に自分の唇を重ねるエマ。僅かに目を開いて驚きの表情を見せるもすぐに受け入れる。 「ふふ……そうですね。エマとイチャイチャするためにも生きないといけませんね」 「そうだよ、だから今はのんびりお昼寝でもしよう?」 「あら……続きはしてくれないのですか?」 クス、と笑いを浮かべて自分の唇をなぞるユキの姿にエマは我慢できずに押し倒した。