微かな機械の駆動音が、常にどこかで鳴り続けている。漂白された地球において、人類最後の砦たるカルデアの環境は、決して自然のそれに近いとは言えない。無機質な壁、一定の温度に保たれた冷たい空気、人工的な照明。それでも、この場所には確かな熱があった。 共有スペースの片隅に置かれた、少しばかり年季の入ったソファ。そこに座る私の隣には、いつも彼がいる。 「……ん」 私は無意識のうちに、彼の肩に自分の頭を預けていた。透き通るような銀髪が、彼の袖口にさらさらとこぼれ落ちる。私の体躯は、一般的な人間の女性と比べても遥かに小さく、華奢だ。こうして寄り添うと、彼の腕の中にすっぽりと収まってしまう。 彼が手に持っているタブレット端末の画面から、青白い光が漏れている。指先が画面を滑るたびに、微かな摩擦音が私の耳に届く。その一定のリズムが、酷く心地よかった。 (……温かい) 私の身体は、時折ひどく冷たくなることがある。人間とは異なる構造、規格外の出力を誇るがゆえの反動のようなものだ。しかし、彼に触れている部分から、じわじわと体温が伝わってくる。彼の血の巡り、心臓の鼓動、柔らかな皮膚の感触。そのすべてが、私という存在をこの世界に繋ぎ止めてくれるような錯覚すら覚える。 「……ねえ」 私は、彼の袖を指先で軽くつまんだ。ほんのわずかな力。彼を傷つけないように、細心の注意を払って。 「ん? どうした、メリュジーヌ」 タブレットから視線を外し、彼が私を見下ろす。その瞳に映る私の姿を確認するだけで、胸の奥がきゅっと締め付けられるような感覚に陥る。 「……なんでもないわ。ただ、あなたが隣にいることを確認したかっただけ」 「そうか。……寒い? 肩、冷えてるみたいだけど」 彼はそう言って、空いている方の手を私の肩にそっと乗せた。彼の手のひらの熱が、薄い衣服を隔てて私の肌へと浸透してくる。 「っ……」 微かに身体が震えた。彼の無防備な優しさが、私の内側にある強い独占欲を刺激する。このまま彼を抱きしめ、誰にも触れさせない場所に閉じ込めてしまいたい。私だけを見て、私だけの声を聞いて、私のためだけに呼吸をしてほしい。 けれど、それは許されない。彼はカルデアのマスターであり、世界を救うために戦わなければならない存在だから。 「……大丈夫。あなたの熱があるから、全然寒くないわ。むしろ、少し暑いくらい」 私はわざと余裕のある笑みを浮かべ、彼の肩に顔をすり寄せた。彼の匂いが鼻腔をくすぐる。どこにでもあるような洗剤の匂いと、彼自身の少し汗ばんだような、でも決して不快ではない香り。 「そう? ならいいんだけど。あ、ごめん、ちょっとダ・ヴィンチちゃんから通信が入った。管制室に行ってくるよ」 彼がタブレットを閉じ、立ち上がる。私に寄りかかられていた部分から、彼の体温が急速に失われていく。その喪失感に、思わず舌打ちをしたくなる衝動をぐっと堪えた。 「そう。……早く戻ってきてね。あなたの隣が空いていると、なんだか落ち着かないの」 「うん、なるべく早く終わらせるよ。それじゃ、また後で」 彼は申し訳なさそうに微笑み、足早に共有スペースを後にしていく。その後ろ姿を、私はじっと見送った。彼の足音が完全に聞こえなくなるまで、私は微動だにせずソファに座り続けていた。 静寂が戻る。先程までの温もりが嘘のように、周囲の空気がひんやりと肌を撫でる。 (……行ってしまったわね) 誰もいなくなった空間で、私はゆっくりと立ち上がった。自身の細い指先を見つめる。彼に触れていた感触が、まだ微かに残っている。 本当なら、彼について行きたかった。彼の視界に入る場所に常に陣取り、彼に群がる有象無象を威嚇し、排除したい。それが私の本能に近い願望だ。 しかし、今の私には、彼から離れなければならない理由があった。 (……今なら、誰も見ていないわね) 私は周囲に視線を走らせる。気配を探る。サーヴァントたちの魔力反応、スタッフたちの足音。すべてを計算し、完全に孤立した空間と時間を割り出す。 足音を立てずに歩き出す。カルデアの無機質な廊下を、私は滑るように移動する。その歩みは、獲物を狙う捕食者のように静かで、それでいて一切の迷いがない。 向かう先は、レイシフトの制御区画だ。 本来、サーヴァントが単独で特異点へ向かうことは固く禁じられている。カルデアのシステムを無断で使用することも、重大な規律違反だ。彼が知れば、きっと悲しむだろう。あるいは、私を叱るかもしれない。 それでも、私は行かなければならない。どうしても、彼に知られるわけにはいかない「密かな趣味」のために。 (……彼には、絶対に言えないわ。私がこんなことのために、カルデアのシステムを誤魔化して単独行動を取るなんて) 胸の奥で、微かな罪悪感がチクチクと痛む。しかし、それ以上に、目的を達成したいという欲求が私を突き動かしていた。 制御室の扉の前に立つ。生体認証のパネルがあるが、そんなものは私にとって何の障害にもならない。指先から微小な魔力を流し込み、システムの回路を直接操作する。警報が鳴ることはない。私はただの妖精ではない。あらゆる障害を力でねじ伏せ、最適解を導き出す存在だ。 扉が音もなくスライドする。薄暗い制御室の内部。計器類のランプだけが、私の透き通るような肌を青白く照らし出している。 コンソールに触れる。冷たい金属の感触。指先を走らせ、座標を入力していく。目的の場所は、歴史の表舞台には決して現れない、ごく小規模な特異点。世界を脅かすような危険なものではない。だからこそ、カルデアのメインシステムもこの微小な歪みを優先度低と判断し、放置しているのだ。 (……設定完了。あとは、私自身を転送させるだけ) 座標の固定を確認し、私はレイシフトのポッドへと向かう。円筒形の空間。そこに足を踏み入れると、ひんやりとした空気が私の華奢な身体を包み込んだ。 「……私のマスター。少しだけ、待っていてね。すぐに戻るから」 誰に聞かせるわけでもなく、私はポッドの中で呟いた。彼の温もりを思い出しながら、自身の両腕を抱きしめる。 視界の端で、レイシフト開始のカウントダウンが始まる。赤い光が点滅し、機械の唸り音が徐々に大きくなっていく。足元から、空間が歪むような感覚が這い上がってくる。 (彼には、絶対に秘密。私だけの、特別な……) 眩い光がポッド内を満たす。視界が真っ白に染まり、身体が素粒子レベルに分解され、再構築されていくような浮遊感。 そして、私の意識はカルデアから切り離され、名もなき小規模特異点へと転送されていった。 木々の隙間を縫うようにして差し込む光は、鬱蒼とした青葉の天蓋に遮られ、深い緑の濁り水のような薄暗がりとなって足元に落ちていた。 湿り気を帯びた大気が、肌にまとわりつく。鼻腔をくすぐるのは、腐植土の饐えた匂いと、過剰に水分を含んだ苔が放つ重苦しい青臭さだった。 「……ここなら、誰にも邪魔されないわね」 唇から零れた呟きは、誰の耳にも届くことなく、湿った森の静寂に吸い込まれて消えた。 私という存在は、本来であればこの場に相応しくない。純白の髪は淡い光を帯びて発光し、汚れ一つない衣服は泥濘に触れることすら拒絶するように仕立てられている。何より、胸の奥で規則正しく刻まれている竜の心臓が、周囲の軟弱な生態系を容易に圧迫するほどの質量と魔力を静かに湛えていた。 妖精國で最強と呼ばれ、汎人類史の偉大なる騎士の名を冠し、果ては太古に堕ちた原初の白き竜の残滓たる私。私を害しうる存在など、この広大な世界、あるいは無数に分岐した歴史の残滓をどれほど探したところで、片手で数えるほどしか存在しない。 指先を微かに動かすだけで大気は爆縮し、視線を向けるだけで下等な生命など灰燼へと帰す。それが私の日常であり、揺るぎない絶対の前提だった。 (……だからこそ、ね) 胸の奥底で、ドロリとした重たい熱が小さく疼く。 誰にも言えない。絶対に、愛しい彼――カルデアのマスターにだけは、知られるわけにはいかない。 いつも彼を守り、彼の唯一無二の騎士として振る舞い、頭を撫でられれば無邪気な恋人のように微笑む私。その完璧な仮面の裏側で、私はずっと、救いようのない渇きを飼い慣らし続けていた。 勝つことは呼吸と同じだ。当然すぎて、もはや何の感情も揺さぶられない。敵を粉砕し、圧倒的な優位の座に君臨し続けることは、私にとって義務であり、退屈な日常の延長に過ぎなかった。 私が本当に求めてしまうもの。私の理性をじわじわと侵食し、夜の静寂の中で背筋を甘く痺れさせる禁忌の欲求。 それは――完全なる敗北。 それも、同格の強者による華々しい討ち死になどではない。私という絶対的な存在が、足元にも及ばないはずの無力で醜悪な有象無象に無残に踏みにじられ、抵抗の術を奪われ、文字通り泥の底へと屈服させられるという、倒錯しきった悪夢の情景だった。 (強い私が、どうしようもなく弱いものに負ける……。考えただけで、身体の奥がこんなにも熱くなってしまうなんて) 吐息が微かに熱を帯びる。華奢な自身の両肩を抱きしめるように指を沈めると、薄い布越しに肌が小刻みに震えているのが分かった。恐怖ではない。紛れもない、下卑た期待の震えだった。 その時、前方の茂みがガサリと不穏な音を立てて揺れた。 びちゃ、と水分を多分に含んだ重たい泥が跳ねるような水音が響く。続いて、草木が何かの重みで無理やりに押し潰され、繊維が擦れ合う鈍い摩擦音が大気を震わせた。 私は息を潜め、青空を宿した瞳をゆっくりとそちらへ向けた。 茂みを割り、ぬらぬらとした光沢を放ちながら姿を現したのは、およそ知性など微塵も感じさせない、異形の群体だった。 私の腰の高さほどもある、巨大な肉の塊。 その輪郭は極めて曖昧で、陸生のナメクジをそのまま巨大化させたような、ぶよぶよとした不定形の体躯をしていた。体表は泥と腐肉が混ざり合ったような濁った褐色で、そこから絶え間なく分泌される透明で粘度の高い粘液が、地面に垂れ落ちるたびに「じゅるり」と重たく粘り気のある音を立てている。 頭部とおぼしき先端には、眼球の代わりに退化した二本の触角が頼りなく揺れており、その下部には円形に開閉する筋肉の裂け目――ヤツの口器が、獲物を探すようにペチャペチャと開閉を繰り返していた。 (……いた) 私の心臓が、トクンと普段とは違うリズムで跳ね上がった。 魔力測定など行うまでもない。ヤツの生命力は、一般的な野獣や低級の魔獣と大差ない。私が指先を軽く薙ぎ払い、魔力の余波をほんの一筋ぶつけるだけで、跡形もなく破裂して消し飛ぶ程度の存在だ。 圧倒的な弱者。 私という竜の足元に転がる小石よりも無価値で、何の脅威にもなり得ない、取るに足らない肉の塊。 (ああ……素晴らしいわ) 喉が乾く。口内に溜まった唾液を、小さく音を立てて飲み干した。 ヤツが地面を這う速度は、驚くほどに鈍重だった。ぶよぶよとした腹足が腐葉土を擦り、粘液で濡れた地面をじわじわと滑りながら、私の足元へと向かって前進してくる。 びちゃ、じゅる……びしゃり。 粘液が引きずられる音が、静まり返った森の中に生々しく反響する。 私は魔力の出力を、極限まで絞り込んだ。 普段の戦闘であれば無意識に展開している防護結界を完全に解除し、肉体の強度を司る竜の加護を、精神の底へと沈めて眠らせる。肌の硬度は一般的な人間の少女と同等、あるいはそれ以下にまで意図的に引き下げられ、筋肉の緊張もすべて解き放った。 今の私は、ただの無力な肉塊だ。魔力を持たず、抗う術を持たない、ただの小柄な少女の器。 (さあ、来なさい……。私を、あなたの思い通りにしなさい……) ヤツの触角が、空気中の微かな揺らぎを感知したのか、ピクリと私の方へ向けられた。 敵意すら判別できない。単なる捕食本能、あるいは未知の有機物に対する無機質な接触欲求。ヤツは私の足元、わずか数歩の距離にまでその巨大で醜悪な体躯を滑り込ませてきた。 腐った果実と生温かい湿気が混ざり合ったような、特有の饐えた臭気が鼻腔を直撃する。その不快さに顔を顰めそうになりながらも、私の背筋にはゾクゾクとした歓喜の痺れが走っていた。 「……ふふ」 唇の端から、思わず艶めいた吐息が漏れる。 ヤツの先頭部が、私のブーツの爪先に接触した。 ぐにゅり、と柔らかく重たい感触が靴底を伝って足首へと伝わってくる。粘液が革を濡らし、冷たくねっとりとした膜を張っていくのが分かった。 ヤツは私の足を足場と認識したのか、あるいは獲物として取り込もうとしているのか、その軟体の塊を私のすねへと擦り付けるようにして這い上がらせようとし始めた。 ずぶり、と重たい肉の感触が、私の脚に巻き付く。 「ん……っ」 思わず喉の奥から小さな声が零れ落ちる。 払いのける力はある。蹴り飛ばすことも、魔力で蒸発させることも、いつでもできる。私の指先一つで、この醜悪な怪物は塵へと変わるはずなのだ。 けれど、私は動かない。 膝の力を完全に抜き、足元に絡みつく不快で生々しい異物の重みを、ただじっと、全身の皮膚感覚で受け止めていた。 ヤツの体表から溢れ出る大量の粘液が、私の衣服の裾をじわじわと侵食していく。繊維が湿り、皮膚にぴたりと張り付く感触。冷たいはずの粘液が、ヤツの体内から放たれる微かな腐敗熱によって、どこか生温かく感じられた。 (あぁ……這い上がってくる……。私の足に、こんなにも汚らわしいものが……) 頭の芯が、じわりと痺れていくような錯覚。 最強の私が、汚されている。 カルデアで誰よりも誇り高く、気高くあるはずの私が、名もなき特異点の森の底で、腰ほどの大きさしかない醜悪なナメクジに好き放題にされている。 その背徳感と自己否定の快感が、胸の奥底に眠っていた黒い歓びを猛烈に燃え上がらせていた。 ヤツの開閉する口器が、私の足首のあたりをペチャペチャとまさぐるように蠢く。湿った筋肉の収縮が、薄い布越しに直接皮膚へと圧迫感を伝えてくる。 「ぁ……あ……っ」 抵抗しようとしない私の身体は、ヤツの重みに耐えかねるように、微かにぐらりと揺れた。 踏ん張ることを意図的に放棄した足元が、泥と粘液で滑る。 びしゃん、と鈍い音を立てて、私はその場に膝をついた。 濡れた腐葉土の冷たさが膝頭を打ち、同時に、目の前にあった巨大な肉塊の側面へと、私の華奢な上半身が倒れ込むようにして重なった。 ぐちゅり、と肉と肉が押し潰されるような湿った音が耳元で鳴り響く。 「ひっ……!」 私の胸元が、ヤツのねっとりとした体表に深く沈み込んだ。 冷たくて、生温かくて、途方もなく重い。 衣服の隙間から、ドロドロとした粘液が容赦なく侵入し、私の鎖骨や腹部の柔らかな皮膚を撫で回していく。肌にまとわりつく異物の感触に、全身の産毛が総立ちになるほどの悪寒が走り、それと同時に、下腹部の奥がきゅんと甘く締め付けられた。 (だめ……こんなの、負けちゃう……。あっさりと、こんな無様な怪物に……私、屈服させられちゃうわ……っ) 心の中で奏でられる敗北の宣告が、どんな甘美な賛辞よりも私の魂を激しく揺さぶる。 ヤツは倒れ込んだ私の身体を逃すまいとするかのように、その不定形の肉体をさらに広げ、私の小さな背中へと覆い被さるようにして圧力を強めてきた。 ずしり、と肋骨を押し潰すような質量が背に乗しかかる。 「ぐ……っ、ぁ……重、い……っ」 息が苦しい。肺が圧迫され、酸素を求める吐息が小刻みに漏れる。 力を使えば跳ね除けられる。ほんの少し、魔力の針を一本立てるだけで、ヤツの肉体など風船のように弾け飛ぶのだ。 だが、私の四肢は泥の中に沈んだまま、ピクリとも持ち上がらない。 力を入れようとすればするほど、私の脳が「負けろ」と甘い命令を下し、身体中の筋力を完全に弛緩させてしまう。 ヤツの触角が、私の耳元をぬらりと撫でた。 ひやりとした粘液が首筋を伝い、鎖骨の窪みへと溜まっていく。 じゅる、じゅるり、とヤツの肉体が蠢くたびに、私の全身が泥濘と粘液の中へと深く埋もれていく。 (私のマスター……ごめんなさい……。あなたの最強の騎士は……こんな、こんなところで……っ) 届くはずのない謝罪を頭の中で繰り返しながら、私の唇は、歓喜に震えて微かに吊り上がっていた。 ヤツの口器が、私の背中の薄い衣服を食み、じくじくと濡らしながら皮膚へと直接吸い付くように圧力をかけてくる。 ちゅぷ、ちゅるりと、肉が擦れ合う淫靡な音が、深い森の静寂を塗り潰していった。 私は泥の中に顔を埋めるようにして、ただ荒い息を繰り返す。 全身を覆い尽くす圧倒的な重みと、逃れられない汚濁の感触。 最強の妖精騎士が、最も無力な獲物へと成り果てるこの瞬間こそが、私にとって何物にも代えがたい、唯一の至福の時間だった。 ヤツの蠢きは止まらない。むしろ、私の小さな体躯を完全に呑み込もうとするかのように、その粘液にまみれた肉体をさらに密着させ、じっくりと、確実に私を押し潰しにかかっていた。 泥の冷たさと、怪物の放つ生温かい粘液の熱。 二つの相反する感触に挟まれながら、私は自ら差し出した無抵抗の身体を、ただただその醜悪な怪物へと明け渡し続けていた。 背中にのしかかる不定形の重みは、呼吸のたびに私の胸郭を容赦なく締め上げていた。 じゅぶ、じゅるりと鈍い水音が耳のすぐ横で鳴り響く。腐葉土の冷え切った湿り気と、怪物の腹足からとめどなく湧き出る生温かい粘液が混ざり合い、私の首筋から胸元、さらには露出した肌の隅々にまで浸透していく。 「あ……っ、重……っ、く……」 肺腑から空気を絞り出すような喘ぎが、湿った土の表面へと漏れ出た。 普段の私であれば、大気中に満ちる魔力をわずかに収縮させるだけで、この程度の質量など小石を弾き飛ばすように吹き飛ばせる。星の内海に届くはずだった強大な竜の残滓。山を穿ち、空を裂く力を持つ私が、いまや湿った地面に這いつくばり、腰ほどしかない大きさのナメクジの怪異に上から押し潰されていた。 (動けない……ううん、身体が……動くのを拒んでる……っ) 泥の中に沈んだ指先を微かに動かそうとする。けれど、指先には力が全く入らない。それどころか、怪物の重みが背骨を軋ませるたびに、背筋の奥を甘い痺れが駆け抜けていく。 最強である私が、名もなき特異点の片隅で、こんな下等な這い虫に無様に屈服している。 その事実が、脳の芯を焼き焦がすような暗い歓喜となって私の全身を満たしていた。 ずるり、と怪物の肉塊がわずかに位置をずらした。 私の小さな背中全体を覆い尽くしていた重みが、じわじわと腰、そして太腿の裏側へと這い降りていく。それに伴い、ヤツの体表から分泌される大量の粘液が、衣服の繊維を完全に飽和させ、肌へとぴったりと張り付いた。 「んっ……ぁ……っ」 冷たい泥の感触と、ヤツの肉体が放つ饐えた微熱。 相反するふたつの温度が、交互に私の皮膚を撫で回す。怪物の先端にある開閉部――湿った筋肉の裂け目が、私の衣服の裾をじくじくと巻き込みながら、太腿の柔らかな肉へと吸い付くように圧力をかけてきた。 ちゅぷ、じゅるり。 生々しい肉の擦れ合う音が、静まり返った森の中に不気味に響く。 「ふ、ぁ……っ、そんな……噛みつくの……? 私の足を……っ」 声が震える。抗議の形を取りながらも、声のトーンはどこまでも熱を帯び、甘く蕩けていた。 怪物は私の言葉など理解するはずもない。ただ本能の命ずるまま、足元の獲物を確実に拘束し、消化器官へと引きずり込もうとするかのように、その粘り気のある肉体を伸縮させている。 ぶよぶよとした腹足が、私のふくらはぎから膝の裏、そして太腿の内側へと割り込むようにしてめり込んでくる。 (すごい……力、全然ないのに……。ただ重くて、ぬめぬめしてるだけなのに……っ) 私の足の筋肉は、完全に弛緩しきっていた。普段なら鋼よりも強靭な肉体が、いまや指先で突けば跡が残るほどに柔らかく、無抵抗に怪物の侵入を許している。 怪物の頭部とおぼしき部分が、私の腰のくびれへとぐにりと押し付けられた。 「ひぁっ……!」 背中が小さく弓なりに反る。 その瞬間を見逃さず、怪物は自身の体躯をさらに広げ、私の下半身全体を包み込むようにして覆い被さってきた。 ずしり、と下腹部を押し潰すような圧迫感。 「あ、ぐ……っ、んん……っ♥️」 思わず口から漏れた吐息の末尾が、自身でも驚くほど甘く跳ね上がった。 泥の中に埋もれた両手が、爪を立てるようにして湿った土を掻きむしる。爪の間に黒い土が入り込み、透き通るような白い肌が泥濘にまみれていく。 汚されている。 カルデアで誰よりも凛々しく、彼の隣で誇り高く微笑んでいたはずの私が、見知らぬ森の底で、こんな無様な姿で泥に塗れている。 (マスター……見て……。あなたの最強の騎士は、いま……こんな、ちっぽけな怪物に……組み伏せられて、何もできなくなってるの……っ♥️) 心の中で呟くたび、下腹部の奥がきゅんと鋭く収縮した。 彼への背徳感。絶対的な強者から最底辺の獲物へと転落する快楽。そのふたつが絡み合い、私の理性をじわじわと溶かしていく。 怪物の先端にある二本の触角が、私の脇腹のあたりをぺたぺたと叩くように蠢いた。 ひやりとした粘液の塊が、皮膚の上を滑る。 「くすぐった、い……っ。ねえ、そこ……っ、やぁ……っ」 身を捩ろうとするが、上に乗る重量がそれを許さない。私が身悶えするたびに、怪物の肉体と私の肌の間で空気が押し出され、くちゅ、ぐちゅりと卑猥な水音が周囲に飛び散る。 ヤツの開閉する口器が、今度は私の脇腹の薄い皮膚を直接吸い上げた。 「あっ……! んんっ、ちゅ、吸わないで……っ、跡が、残っちゃう……っ♥️」 衣服の隙間から露わになった白い脇腹に、丸い吸盤のような圧力が吸い付く。じわじわと鬱血していくような鋭い刺激と、粘液がもたらす冷湿な感触が同時に押し寄せる。 痛覚すらも、今の私にとっては甘美な敗北の証拠でしかなかった。 怪物は獲物が抵抗を止めたと判断したのか、さらに深く、私の身体を取り込もうと蠢きを加速させる。ぶよぶよとした肉の波が、私の背中から肩、そして首元へと再び這い上がってきた。 じゅる、じゅるり、べちゃり。 私の視界のすぐ横に、怪物の濁った褐色の体表が迫る。腐敗した果実のような饐えた匂いが、濃厚に鼻腔を満たした。 「息、が……っ。重い……本当に、潰されちゃう……っ」 頬を泥に押し付けられたまま、私は細い首を精一杯伸ばして空気を求めた。 けれど、怪物の肉塊は容赦なく私の頭部近くにまで覆い被さり、私の呼吸を塞ぐようにしてのしかかってくる。 首筋に触れる、冷たくてぬめるような肉の弾力。 ヤツの体重すべてが、私の華奢な上半身へと集約されていた。 肋骨がきしりと音を立てる。内臓が押し潰されるような物理的な苦痛。それなのに、私の心臓は早鐘を打ち、全身の血液が熱く沸騰していた。 (もっと……もっと私を押し潰して……。あなたが私より強いって……私を完全に屈服させたんだって……証明してみてよ……っ♥️) 無抵抗のまま、私は全身の力を完全に明け渡していた。 指先ひとつ動かせば終わる遊戯。その絶対的な主導権をあえて怪物に委ねることで得られる、底なしの自己否定の恍惚。 怪物の口器が、私の首筋の柔らかな皮膚へと再び吸い付く。 じゅぷり、と湿った音が響き、私の細い首に新たな圧迫感が刻み込まれた。 「んぁぁ……っ♥️ は……っ、あ……っ」 声が掠れ、甘い吐息となって泥の上へと散る。 怪物の蠢きは止まらない。獲物を完全に呑み込み、自らの一部へと同化させようとするかのように、その粘液にまみれた肉体は、なおも私の小さな身体を深く、深く、泥の底へと押し沈め続けていた。 背骨を軋ませるような怪物の重量が、私の細い身体を容赦なく泥濘の奥へと沈め込んでいく。 湿った腐葉土の冷たさが頬を撫で、同時に、背中に広がる怪物の体表からじっとりと滲み出る生温かい粘液が、衣服の繊維を完全に浸食していた。泥と粘液が混ざり合い、私の肌と怪物の肉塊との間で逃げ場を失った空気が、微かな身じろぎのたびに鈍い音を立てて弾け飛ぶ。 「んっ……ぁ……っ」 喉の奥から絞り出された声は、掠れて湿った大気に溶けていく。 普段であれば、指先を一薙ぎするだけで大気を切り裂き、いかなる軍勢をも灰燼に帰すはずの私の身体。星の内海へと至るはずだった強靭な竜の骨格、山をも砕く魔力を生み出す心臓。そのすべてを自らの意思で眠らせ、ただの壊れやすい肉の器として無防備に晒している。 怪物の腹足が、私の背中から腰にかけてのラインを這いずり、じわじわと位置を変えていく。 ぐにゅり、じゅるり、と重たい肉の塊が波打ち、私の肩甲骨の間を圧迫した。 (あぁ……息が……っ。苦しい……のに、どうしてこんなに……っ) 肺を押し潰され、酸素を求めて胸が浅く上下する。しかし、その呼吸の運動すらも、上に乗る巨大な肉塊にとっては都合の良い足場にしかならない。私が息を吸うたびに、怪物はさらにその重みを私の胸郭へと集約させ、逃げ場を奪うようにして自らの体躯を広げていく。 怪物の先端にある二本の触角が、私の首筋から耳の裏にかけてを、ぬめりと濡れた感触で撫で回した。 ひやりとした粘液の筋が肌に引かれ、その冷たさに全身の産毛が逆立つ。 「ひゃ……っ、ん……くすぐった、い……っ」 身を捩ろうとしても、上にのしかかる重量はびくともしない。むしろ、私の華奢な腰や太腿が泥の中で無駄に掻き乱れるたびに、怪物の下腹部にあたる柔らかい肉が私の臀部や背中に深くめり込み、隙間を埋めるように密着度を増していく。 じゅぶ、じゅる……ぐちゅり。 肉と肉が擦れ合い、粘液が泡立つような水音が、耳元で絶え間なく響いていた。 怪物の円形に開閉する口器が、私の肩口の衣服をじくじくと食み、湿った布地ごと皮膚を吸い上げる。 ちゅぷ、ちゅるり。 「あ……っ、噛まないで……っ。そこ……柔らかいんだから……っ♥️」 抗議の言葉を紡ごうとしても、唇から漏れるのは甘く熱を帯びた吐息ばかりだった。 痛覚と、圧迫感と、全身を包み込む汚濁の感触。 それらすべてが、私の内側にある倒錯した渇望を激しく刺激する。 (私……いま、完全に負けてる。こんな……名前もない、何の力もない下等な怪物に……組み敷かれて、ただ踏み荒らされてる……っ) その認識が脳裏を満たすたび、背筋の芯を甘い痺れが駆け抜けた。 いつもは最強の騎士として、何者にも屈しない絶対者として君臨している私。誰からも恐れられ、敬われ、そして愛しいマスターを守るための鋭い刃として存在している私。 その私が、いまや人知れぬ森の底で、泥にまみれ、ただの弱々しい獲物として無力に転がされている。 力を行使する側から、一方的に力を奪われ、蹂躙される側への転落。 (まるで……ただの、無力な……雌じゃない……っ♥️) その言葉が胸の奥に浮かんだ瞬間、下腹部がきゅんと鋭く締め付けられ、全身の筋肉が快感の余波で小刻みに打ち震えた。 泥の中に沈んでいた指先が、無意識に湿った土を強く掻きむしる。爪の間に黒い土が入り込み、白く透き通るような指先が黒ずんでいく。その汚れすらも、自分が無残に敗北していることの確かな証拠のように思えて、たまらなく愛おしかった。 怪物は私の震えをどう受け取ったのか、さらに貪欲にその肉体を伸縮させ、私の腰のくびれを両側から挟み込むようにして圧力を強めた。 ずしり、と腰骨を軋ませる重み。 「んんっ……! 重……っ、あ……っ、潰れちゃう……っ♥️」 声のトーンが、さらに一段高く、甘く乱れる。 怪物の体表からとめどなく溢れ出る粘液は、すでに私の衣服の胸元や腹部を完全に濡らし尽くし、布越しに私の体温を奪い去りながら、代わりに怪物の放つ饐えた微熱を肌へと直接擦り付けていた。 冷たくて、生温かい。 二つの矛盾した温度が皮膚の上で混ざり合い、私の知覚を狂わせていく。 怪物の口器が肩口を離れ、今度は私の細い首筋へとじわりと移動した。 湿った筋肉の輪が、私の脈打つ頸動脈の真上にぴたりと押し当てられる。 ちゅぷ……じゅるり。 「あっ……! んぁ……っ♥️ そ、そこ……だめ……っ、息が……っ」 首を圧迫され、喉が小さく鳴る。 怪物の吸い付きは決して強くはない。だが、私の抵抗力を奪うには十分すぎるほどに執拗で、逃れられない重圧となって私の頭部を泥の地面へと縫い留めていた。 視界の端に映るのは、鬱蒼と茂る木々の暗がりと、私の銀髪を汚す濁った泥の飛沫。 そして、私の身体の上に山のように覆いかさなる、ぶよぶよとした醜悪な肉塊。 (マスター……見て……。あなたの最強の騎士は……こんなにも無様で、弱くて……ただ押し潰されて喘ぐだけの……無力な生き物になってるのよ……っ♥️) 決して届くことのない背徳の報告を心の中で繰り返す。 彼を裏切っているという罪悪感と、絶対的な敗北者として扱われる快楽。その二つが濁流のように混ざり合い、私の理性を完全に押し流していく。 怪物の腹足が、今度は私の太腿の裏側をずぶりと押し広げるようにして、脚の間にそのぬめりけのある体躯を割り込ませてきた。 「ひぁっ……!?」 思わず足の指先までピンと伸びる。 ぶよぶよとした肉の塊が、太腿の内側の柔らかな皮膚を押し分け、容赦なく侵入してくる感触。 衣服の布地が擦れ、濡れた皮膚同士が密着する音が、暗い森の中にぐちゅりと響き渡った。 怪物は知性など持たない。ただ、自らの身体を安定させ、獲物を完全に拘束するための機械的な動作を繰り返しているだけだ。 だが、その無機質で本能的な執拗さこそが、私にとって何よりも恐ろしく、そして何よりも甘美な暴力として作用していた。 「あ……っ、そこ……っ、やぁ……っ、入ってこないで……っ♥️」 口では拒絶の言葉を紡ぎながらも、私の身体は怪物の侵入を拒むどころか、その重みを受け入れるようにだらしなく弛緩しきっていた。 怪物の先端が、私の下腹部にぐにりと押し付けられる。 ずしりとした重みが下腹を圧迫し、内臓が持ち上げられるような鈍い刺激が走る。 「んんぅっ……! は……っ、あぁ……っ♥️」 口端から細い唾液の糸が零れ落ち、泥の上に落ちた。 私の華奢な身体は、完全に怪物の巨躯の下に埋没していた。上から見れば、巨大なナメクジの肉塊が地面に這いつくばる小柄な少女を丸呑みにしようとしているようにしか見えないだろう。 最強の竜の残滓が、名もなき特異点の路傍で、一匹の害虫の重みに屈服し、泥水の中で喘ぎ続けている。 その光景の惨めさに、そして自分自身が感じている耐え難いほどの悦楽に、私の心臓は狂ったような早鐘を打ち鳴らしていた。 怪物の蠢きは止まる気配を見せない。 むしろ、獲物の力が完全に抜けたことを察知したのか、その粘液にまみれた肉体をさらに波打たせ、私の全身をじっくりと、確実に、泥の深淵へと押し沈め続けていた。 「ふーっ……、ふーっ……、ん……っ」 荒い息を吐き出すたび、泥の混じった湿った空気が肺腑を満たす。 怪物の体表が、私の背中で波打つように収縮した。 ずじゅ、ずじゅり、と筋肉の塊が擦れ合う鈍い音が、私の背骨を通して直接頭蓋へと響いてくる。 怪物は私の小さな背中全体を押し潰したまま、その先端部――ぬらぬらと濡れそぼった頭部とおぼしき部分を、私の首元から肩口、さらには露出した鎖骨のあたりへと執拗に擦り付けていた。 「あ……っ、冷た……い……のに、熱い……っ」 皮膚の表面を滑る粘液はひやりと冷たいのに、怪物の中心部から伝わってくる鈍い体温が、私の肌をじくじくと蒸気のように温めていく。 二つの相反する感触に弄ばれ、私の思考は泥水のように混濁していた。 怪物の開閉する口器が、私の鎖骨の窪みへと落ち窪むように吸い付いた。 ちゅぷ、じゅるり、と生々しい音が立つ。 「ひぁっ……! んんっ……、吸っちゃ、だめ……っ♥️」 細い首を精一杯竦めようとするが、上に乗る重量がそれを許さない。怪物の肉塊が私の顎の下にまでめり込み、私の視界を濁った褐色の体表で塞ぎ込んでしまう。 鼻腔を満たすのは、過剰な湿気と腐植土、そして怪物が分泌する特有の青臭い粘液の匂い。 カルデアの清潔な空気とは程遠い、淀んだ異界の臭気。 その息苦しさすらも、今の私にとっては自らの敗北を実感させるための甘美な香水のように感じられた。 (もっと……もっと私を汚して……。あなたの泥と、あなたの粘液で……私の身体を全部、塗り潰して……っ) 内なる声が、歓喜に震えながら叫んでいた。 怪物は私の懇願など知る由もなく、ただ機械的に、自らの捕食行動あるいは同化行動を推し進めていく。 私の太腿の間に割り込んだ腹足が、さらに深く、私の腰の根元へと圧力をかけてきた。 ぐちゅり、と湿った布が擦れ合う音が足元で鳴り響く。 「んっ……、あ……っ! そこ……重い……っ、押さないで……っ♥️」 下半身にかかる強烈な圧迫感に、腰がびくりと跳ねる。 しかし、私の華奢な力では、その巨躯を押し戻すことなど到底できない。意図的に力を抜いているとはいえ、一度手放した主導権を取り戻すことは、今の私の蕩けた精神には不可能だった。 怪物の肉が、私の柔らかな太腿の内側をじわじわと押し広げていく。 冷たい粘液が、薄い布地を透過して私の皮膚へと直接浸透し、脚の付け根の熱を持った部分へとじっとりとまとわりついていく。 「は……っ、あ……っ、冷た……ぁ……っ♥️」 背筋を突き抜けるような刺激に、思わず足の指が泥をぎゅっと掴んだ。 爪の間に泥が食い込む痛みが走る。だが、その痛みすらも、身体の奥底から湧き上がる熱い痺れによって、瞬く間に快感へと変換されてしまう。 怪物の頭部が、今度は私の耳元へと擦り寄ってきた。 ぶよぶよとした肉の感触が頬を押し潰し、二本の頼りない触角が、私の耳たぶや首筋をぺたぺたと撫で回す。 じゅる、じゅるり。 耳元で響く粘液の破裂音が、私の聴覚を直接犯していく。 「あぁ……っ、耳元で……そんな音、立てないで……っ。頭が……おかしくなっちゃう……っ♥️」 掠れた声で喘ぎながら、私は泥の中に埋もれた両手をわずかに動かした。 怪物の側面に触れる。 ぶよぶよとしていて、驚くほどに柔らかく、それでいて途方もない質量を持った肉の壁。 指先を少し立てれば、魔力の光刃がヤツの体表を容易に切り裂くだろう。竜の息吹をほんの一筋通すだけで、この醜悪な肉塊など瞬時に蒸発して消え去るはずなのだ。 だが、私の指先は、ただそのぬめりけのある体表を弱々しく撫でることしかできない。 抵抗するためではない。 自分を押し潰し、屈服させている怪物の感触を、自らの手のひらで確かめるために。 (柔らかい……。こんなに柔らかくて、脆い生き物なのに……。どうして、こんなにも私を動けなくさせちゃうの……っ) 手のひらに伝わる、怪物の体表の微細な痙攣。 怪物は私の手など意に介さず、さらにその体躯を沈み込ませ、私の胸元を完全に自らの肉体で覆い隠してしまった。 ずしん、と肺を圧迫する決定的な重量。 「ぐ……っ、ぁ……っ!」 息が完全に止まる。 胸郭が押し潰され、心臓の鼓動が耳の奥でドクドクと激しく脈打つ。 苦しい。本当に死んでしまうのではないかという錯覚すら覚えるほどの物理的な重圧。 だが、その苦痛こそが、私が求めていた極限の敗北だった。 最強である私が、最も無力な状態で、泥の底で息絶えようとしている。 その圧倒的な無力感に包まれながら、私の心は、かつてないほどの充足感で満たされていた。 怪物の口器が、私の鎖骨から胸元へと滑り落ち、衣服の上から私の柔らかな膨らみをじくじくと押し潰す。 ちゅぷ、じゅるり、べちゃり。 汚濁の音が、静まり返った森の深淵に、どこまでも重たく、淫靡に響き渡り続けていた。 怪物の体表が波打つたび、私の背中から腰にかけてのラインに、ぬめりけを帯びた強烈な摩擦が加わる。 ずじゅり、ぐちゅ、と泥と粘液が混ざり合う音が、私の身体の下から、そして上から、絶え間なく響き渡っていた。 私はすでに、自分がどこにいるのかすら定かではなくなりつつあった。 視界は暗く、目の前には怪物の濁った褐色の肉壁が広がるのみ。吸い込む空気はすべて怪物の放つ饐えた湿気と泥の匂いに染まり、肌に触れるものはすべて、冷たくて生温かい粘液の膜に覆われている。 (私……全部、奪われちゃってる……っ) 誇りも、強さも、騎士としての威厳も。 この名もなき特異点の湿った土の上で、腰ほどの大きさしかない醜悪なナメクジによって、ひとつ残らず剥ぎ取られ、泥の中に踏みにじられている。 その完全なる喪失感が、私の魂を底知れぬ快楽の淵へと突き落としていた。 怪物の先端部が、私の首筋の窪みに深く沈み込み、再びじわりと吸盤のような圧力をかけてくる。 ちゅぷ……じゅる、ちゅるり。 「んぁ……っ、あ……っ♥️ もう……そんなに吸われたら……跡が……消えなくなっちゃう……っ」 かすれ切った声で懇願するが、怪物に容赦などあるはずもない。 むしろ、私の弱々しい抵抗をあざ笑うかのように、怪物の肉体はさらに重みを増し、私の細い身体を押し潰すようにして全身を波打たせた。 ぐにゅり、ずしり。 私の胸が、腹が、太腿が、怪物の巨大な質量の下で完全に平らに押し広げられていく。 骨がきしむ音。筋肉が悲鳴を上げる感触。 それらすべてが、私という存在が今まさに「征服されている」という動かしがたい事実を証明していた。 「は……っ、あぁ……っ♥️ マスター……ごめんなさい……っ。私、もう……動けない……っ、この怪物に……負けちゃったの……っ♥️」 泥の中に顔を埋めたまま、私は誰にも聞こえない声で甘く喘ぎ続けた。 怪物の蠢きは止まらない。 獲物を自らの肉体の一部として同化せんとばかりに、その粘液にまみれた巨躯は、なおも無抵抗の私を包み込み、より深く、より暗い泥の深淵へと引きずり込み続けていた。 背中に圧し掛かる巨大な肉塊の重みは、呼吸を刻むたびに私の肋骨をきしみ鳴らし、湿った腐葉土の底へと華奢な骨格を深く押し沈めていた。 泥の冷たさと、怪物の腹足からとめどなく湧き出る生温かい粘液。二つの異なる温度が混ざり合い、すでに衣服の繊維を完全に透過して、私の胸元から腹部、さらには露出した首筋の皮膚へとじっとりと張り付いている。 (あぁ……息が、詰まる……っ。重い……本当に、ただの重たい塊なのに……っ) 肺腑から空気を絞り出すような喘ぎが、湿った土の表面へと漏れ出た。 普段であれば、指先を一薙ぎするだけで大気を切り裂き、いかなる軍勢をも灰燼に帰すはずの私の身体。星の内海へと至るはずだった強靭な骨格、山をも砕く魔力を生み出す心臓。そのすべてを自らの意思で眠らせ、ただの壊れやすい肉の器として無防備に晒している。 怪物の腹足が、私の背中から腰にかけてのラインを這いずり、じわじわと位置を変えていく。 ぐにゅり、じゅるり、と重たい肉の塊が波打ち、私の肩甲骨の間を圧迫した。 ヤツには知性など微塵もない。人の言葉を理解する器官など最初から持ち合わせておらず、目の前に転がる獲物がかつていかなる栄光を誇った存在であるかも知る由がない。ただ目の前にある有機物を捕食し、あるいは己の肉体の下敷きにして消化しようとするだけの、無機質な本能。 それなのに、私の唇は止まらなかった。 意味を成さないと分かっていながら、通じるはずがないと知っていながら、私は泥の中に顔を半分埋めたまま、自らの口から敗北の言葉を次々と紡ぎ出してしまう。 「……私の、負けよ……っ。あなたの勝ち……。こんな、力もない下等な怪物に……私、完全に負けちゃった……っ」 声が震える。掠れた吐息が、ヤツのぬらぬらとした褐色の体表に吹きかかる。 言葉の意味など理解できるはずもない怪物は、ただ私の吐息に含まれる水分と熱に反応したのか、二本の触角を頼りなく揺らし、先端の開閉する口器を私の首筋へとさらに強く押し当ててきた。 ちゅぷ、じゅるり。 湿った筋肉の裂け目が、私の脈打つ頸動脈の上を無遠慮に吸い上げる。 「ひぁっ……! んんっ……、そうよ、吸いなさい……。好きなだけ、私を汚せばいいわ……っ♥️」 首を圧迫され、喉が小さく鳴る。 言葉を紡ぐたび、胸の奥底でドロリとした背徳の熱が湧き上がり、私の理性をじわじわと侵食していく。 (私……自分から言ってる。こんな無様なこと、自分の口で……っ) 通じない相手だからこそ、誰にも聞かれない森の底だからこそ、私の内側にあった倒錯した欲望が歯止めを失っていた。 最強の騎士という仮面を脱ぎ捨て、誇り高い存在としての矜持を自ら泥の中に投げ捨てる。その行為そのものが、私の背筋を甘く痺れさせていた。 怪物のぶよぶよとした肉塊が、さらに私の腰のくびれへと深く沈み込む。 ずしり、と下腹部を押し潰すような圧迫感。 「あ……っ、重……っ、く……っ。ねえ、苦しいの……。私の身体、潰れて壊れちゃいそうなのに……どうして、そんなにぐちゃぐちゃに押し付けてくるの……っ?」 怪物は私の問いかけに答える代わりに、体表からさらに大量の透明な粘液を分泌させた。 じゅぶ、じゅる、べちゃり。 粘液が私の衣服の隙間から滑り込み、下腹部の柔らかな皮膚を冷たく撫で回す。その冷湿な刺激に、私の背中が小さく弓なりに反った。 「んぁっ……! ひゃ……っ、冷た……い……っ♥️」 身を捩ると、怪物の肉体と私の肌の間で逃げ場を失った空気が、くちゅりと淫靡な音を立てて弾け飛んだ。 怪物の腹足が、私の太腿の裏側をずぶりと押し広げるようにして、脚の間にそのぬめりけのある体躯を割り込ませてくる。 「だめ……っ、足……入ってこないで……っ。そんな、乱暴に押し分けられたら……っ」 口では拒絶の言葉を紡ぎながらも、私の足の筋肉はだらしなく弛緩し、怪物の侵入を一切拒もうとしなかった。 太腿の内側の柔らかな皮膚が、怪物の冷たくて生温かい肉の塊に直接擦り合わされる。 ぐちゅり、じゅるりと、肉と肉が擦れ合う音が湿った森の静寂に響き渡る。 「あぁ……っ、入ってきた……っ。私の足の間に……こんな、汚い肉塊が……っ♥️」 泥の中に沈んだ私の指先が、無意識に湿った土を強く掻きむしった。爪の間に黒い土が入り込み、透き通るような白い肌が黒ずんでいく。 その汚れを目にするだけで、頭の芯が蕩けるような快感が押し寄せる。 「見て……私の身体……。もう、あなたの粘液でドロドロよ……。最強の妖精騎士が……ただの、無力な雌になってる……っ♥️」 言葉が勝手に口から溢れ出る。 一度口にしてしまえば、もう止まらない。自分を貶め、自分を弱者として定義する言葉の数々が、私の喉を焼くように甘く震わせていく。 「そうよ……私は、ただの弱い雌……。あなたの重みに耐えられなくて、泥の中で喘ぐことしかできない……無力な生き物よ……っ♥️」 怪物の先端部が、私の下腹部にぐにりと押し付けられた。 ずしりとした重みが下腹を圧迫し、内臓が持ち上げられるような鈍い刺激が走る。 「んんぅっ……! は……っ、あぁ……っ♥️」 口端から細い唾液の糸が零れ落ち、泥の上に落ちた。 怪物は私の言葉など一言も理解していない。ただ機械的に、自らの身体を安定させるために伸縮を繰り返しているだけだ。 だが、その無機質な蠢きこそが、私にとっては何よりも雄弁な「征服の証」に感じられた。 相手が私の言葉を理解しないからこそ、私はどれほど無様な敗北宣言を口にしても、何一つ咎められることはない。ただ一方的に、自らを最底辺の獲物として差し出し続けることができる。 「あ……っ、ねえ……もっと押し潰して……っ。私の背骨が、折れちゃうくらい……強く……っ♥️」 掠れた声で懇願しながら、私は背中にのしかかる怪物の感触を、全身の神経を研ぎ澄まして受け止めていた。 怪物の口器が、今度は私の鎖骨の窪みへと落ち窪むように吸い付いた。 ちゅぷ、じゅるり、と生々しい音が立つ。 「ひぁっ……! んんっ……、そこ……っ、跡が、残っちゃう……っ。マスターに見られたら……私、なんて言い訳すればいいの……っ♥️」 心の中で、そして口の端から、愛しい彼の名前が零れ落ちる。 カルデアで誰よりも誇り高く、彼の隣で微笑んでいたはずの私。その私が、いまや人知れぬ特異点の泥濘の中で、腰ほどしかないナメクジの怪物に組み敷かれ、無様な言葉を吐き散らしている。 彼への裏切り。背徳の悦楽。 「マスター……ごめんなさい……っ。私、こんな……下等な生き物に、負けちゃったの……っ。もう……あなたの騎士には、戻れないかもしれないわ……っ♥️」 届くはずのない懺悔を口にしながら、私の唇は歓喜に震えて甘く吊り上がっていた。 怪物の蠢きは止まらない。 ぶよぶよとした肉の塊が、私の小さな背中全体を押し包み、なおもじっくりと、確実に、泥の深淵へと私を沈め続けていた。 泥の冷気と、怪物の放つ生温かい粘液の熱。 二つの矛盾した感触に挟まれながら、私は自ら紡ぎ出す敗北の言葉の波に溺れ、ただただ無抵抗に、その醜悪な怪物へと全身を明け渡し続けていた。 泥濘の冷気と、背中を覆う怪物の生温かい熱量が、私の肌の上でじっとりと混ざり合っていた。 言葉を理解する知性など持ち合わせていないはずの這い虫。しかし、私が自らの口で無様な敗北を宣言し、抗う意思を完全に放棄した瞬間、ヤツの蠢きに明らかな変化が生じた。 獲物としての抵抗が失われたからではない。背中にのしかかる肉塊の律動が、それまでの無機質な捕食行動から、明確に私の体躯を組み敷き、己の所有物として扱うような粘り気のある重圧へと変質したのだ。 ずじゅり、ぐちゅりと、私の背骨を軋ませるように肉が波打つ。 「あ……っ、ぐ……っ、重……っ」 私の小さな背中全体を押し潰していた怪物の腹足が、じわじわと形を変えながら、私の身体の輪郭に沿うようにして広がり、隙間なく密着していく。 二本の触角が、私の耳元から首筋、そして肩口へと、ねっとりとした粘液を引きずりながら激しく擦り付けられた。それは単なる感覚器官の接触ではなく、自らの匂いと分泌物で私を塗り潰し、完全に支配下に置いたことを誇示するような執拗さだった。 (……伝わったの? 私が、あなたに屈服したってことが……) 怪物の先端にある口器が、私の首筋の柔らかい皮膚を強く吸い上げた。 ちゅぷ、じゅるり、と生々しい音が立つ。 「ひぁっ……! んんっ……、吸わ……ないで……っ♥️」 抗議の声は甘く掠れ、吐息となって泥の上へ落ちる。 怪物は私のその反応を確かめるかのように、さらに吸い付く力を強めた。首筋の皮膚が丸く引き絞られ、じわじわと鬱血していく感覚。痛覚とともに広がる熱い痺れが、私の背筋を甘美に貫く。 ヤツは知っているのだ。目の前にいるこの華奢な生き物が、もはや暴れることも、牙を剥くこともない、ただ自分の下で喘ぐだけの無力な雌であることを。 怪物の肉塊が、私の腰のくびれを両脇から締め付けるようにして、さらに下半身へと沈み込んできた。 ずしりと重たい質量が、私の臀部から太腿の裏側へと圧し掛かる。 「あ……っ、重い……っ。そんな、腰の上に……乗っかったら……っ♥️」 身を捩ろうとしても、私の手足は泥の中に深く沈み、指先ひとつ満足に持ち上がらない。私が身悶えすればするほど、怪物の体表から溢れ出る大量の粘液が衣服の繊維を溶かすように浸透し、私の肌とヤツの肉壁を隙間なく貼り付けてしまう。 じゅぶ、じゅるり、くちゅ。 肉と肉が擦れ合う音が、湿った森の静寂に響き渡る。 怪物の腹足が、私の太腿の間にぐにりと割り込んできた。 「やぁっ……! そこ……入ってきちゃ……っ♥️」 意図的に力を抜いている私の脚は、その侵入を拒むことができない。怪物の柔らかくも重たい肉が、私の太腿の内側の皮膚を左右へと押し広げていく。 冷たい粘液が、薄い布地を透過して私の肌へと直接浸透し、熱を持った皮膚の表面をじっとりと撫で回す。 「は……っ、あ……っ、冷た……ぁ……っ♥️」 思わず背中が小さく跳ねる。 怪物はその震えに反応し、さらに体躯を前進させ、下腹部を私の腰の根元へと強く押し当ててきた。 ずぶり、と下腹が圧迫される鈍い衝撃。 「んんぅっ……! は……っ、あぁ……っ♥️」 私の口端から、細い唾液の糸が泥の上へと垂れ落ちた。 言葉など解さないはずの怪物が、私の喘ぎ声や身体の震えを感じ取り、より深く、より執拗に私を組み敷こうとしている。 その無機質で本能的な支配欲が、私という存在を根底から狂わせていく。 (あぁ……本当に、私……この怪物の思い通りにされてる……っ♥️) 最強である私が、泥にまみれ、ただの獲物として、ただの雌として、この名もなき特異点の地面に縫い留められている。 怪物の口器が、首筋から鎖骨へと移動し、再び衣服の上から皮膚を吸い上げた。 ちゅぷ、じゅるり。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ ねえ……もっと、強く……っ。あなたが私より強いんだって……もっと、教えて……っ♥️」 私の唇から、さらなる屈服の言葉が零れ落ちる。 怪物はその声に応じるかのように、全身の筋肉を大きく収縮させ、私の小さな身体を完全に押し包むようにして、その巨大な重量のすべてを私の上へと預けてきた。 ぐにゅり、ずしん。 息が詰まるほどの圧倒的な重圧。 泥と粘液の混ざり合う音とともに、私は自ら差し出した肉体のすべてを、なおも貪欲に蠢く怪物へと明け渡し続けていた。 背中に圧し掛かる巨大な肉塊の重みは、呼吸を刻むたびに私の肋骨をきしみ鳴らし、湿った腐葉土の底へと華奢な骨格を深く押し沈めていた。 泥の冷たさと、怪物の腹足からとめどなく湧き出る生温かい粘液。二つの異なる温度が混ざり合い、すでに衣服の繊維を完全に透過して、私の胸元から腹部、さらには露出した首筋の皮膚へとじっとりと張り付いている。 (あぁ……息が、詰まる……っ。重い……本当に、ただの重たい塊なのに……っ) 肺腑から空気を絞り出すような喘ぎが、湿った土の表面へと漏れ出た。 普段であれば、指先を一薙ぎするだけで大気を切り裂き、いかなる軍勢をも灰燼に帰すはずの私の身体。星の内海へと至るはずだった強靭な骨格、山をも砕く魔力を生み出す心臓。そのすべてを自らの意思で眠らせ、ただの壊れやすい肉の器として無防備に晒している。 怪物の腹足が、私の背中から腰にかけてのラインを這いずり、じわじわと位置を変えていく。 ぐにゅり、じゅるり、と重たい肉の塊が波打ち、私の肩甲骨の間を圧迫した。 ヤツには知性など微塵もない。人の言葉を理解する器官など最初から持ち合わせておらず、目の前に転がる獲物がかつていかなる栄光を誇った存在であるかも知る由がない。ただ目の前にある有機物を捕食し、あるいは己の肉体の下敷きにして消化しようとするだけの、無機質な本能。 それなのに、私の唇は止まらなかった。 意味を成さないと分かっていながら、通じるはずがないと知っていながら、私は泥の中に顔を半分埋めたまま、自らの口から敗北の言葉を次々と紡ぎ出してしまう。 「……私の、負けよ……っ。あなたの勝ち……。こんな、力もない下等な怪物に……私、完全に負けちゃった……っ」 声が震える。掠れた吐息が、ヤツのぬらぬらとした褐色の体表に吹きかかる。 言葉の意味など理解できるはずもない怪物は、ただ私の吐息に含まれる水分と熱に反応したのか、二本の触角を頼りなく揺らし、先端の開閉する口器を私の首筋へとさらに強く押し当ててきた。 ちゅぷ、じゅるり。 湿った筋肉の裂け目が、私の脈打つ頸動脈の上を無遠慮に吸い上げる。 「ひぁっ……! んんっ……、そうよ、吸いなさい……。好きなだけ、私を汚せばいいわ……っ♥️」 首を圧迫され、喉が小さく鳴る。 言葉を紡ぐたび、胸の奥底でドロリとした背徳の熱が湧き上がり、私の理性をじわじわと侵食していく。 (私……自分から言ってる。こんな無様なこと、自分の口で……っ) 通じない相手だからこそ、誰にも聞かれない森の底だからこそ、私の内側にあった倒錯した欲望が歯止めを失っていた。 最強の騎士という仮面を脱ぎ捨て、誇り高い存在としての矜持を自ら泥の中に投げ捨てる。その行為そのものが、私の背筋を甘く痺れさせていた。 怪物のぶよぶよとした肉塊が、さらに私の腰のくびれへと深く沈み込む。 ずしり、と下腹部を押し潰すような圧迫感。 「あ……っ、重……っ、く……っ。ねえ、苦しいの……。私の身体、潰れて壊れちゃいそうなのに……どうして、そんなにぐちゃぐちゃに押し付けてくるの……っ?」 怪物は私の問いかけに答える代わりに、体表からさらに大量の透明な粘液を分泌させた。 じゅぶ、じゅる、べちゃり。 粘液が私の衣服の隙間から滑り込み、下腹部の柔らかな皮膚を冷たく撫で回す。その冷湿な刺激に、私の背中が小さく弓なりに反った。 「んぁっ……! ひゃ……っ、冷た……い……っ♥️」 身を捩ると、怪物の肉体と私の肌の間で逃げ場を失った空気が、くちゅりと淫靡な音を立てて弾け飛んだ。 怪物の腹足が、私の太腿の裏側をずぶりと押し広げるようにして、脚の間にそのぬめりけのある体躯を割り込ませてくる。 「だめ……っ、足……入ってこないで……っ。そんな、乱暴に押し分けられたら……っ」 口では拒絶の言葉を紡ぎながらも、私の足の筋肉はだらしなく弛緩し、怪物の侵入を一切拒もうとしなかった。 太腿の内側の柔らかな皮膚が、怪物の冷たくて生温かい肉の塊に直接擦り合わされる。 ぐちゅり、じゅるりと、肉と肉が擦れ合う音が湿った森の静寂に響き渡る。 「あぁ……っ、入ってきた……っ。私の足の間に……こんな、汚い肉塊が……っ♥️」 泥の中に沈んだ私の指先が、無意識に湿った土を強く掻きむしった。爪の間に黒い土が入り込み、透き通るような白い肌が黒ずんでいく。 その汚れを目にするだけで、頭の芯が蕩けるような快感が押し寄せる。 「見て……私の身体……。もう、あなたの粘液でドロドロよ……。最強の妖精騎士が……ただの、無力な雌になってる……っ♥️」 言葉が勝手に口から溢れ出る。 一度口にしてしまえば、もう止まらない。自分を貶め、自分を弱者として定義する言葉の数々が、私の喉を焼くように甘く震わせていく。 「そうよ……私は、ただの弱い雌……。あなたの重みに耐えられなくて、泥の中で喘ぐことしかできない……無力な生き物よ……っ♥️」 怪物の先端部が、私の下腹部にぐにりと押し付けられた。 ずしりとした重みが下腹を圧迫し、内臓が持ち上げられるような鈍い刺激が走る。 「んんぅっ……! は……っ、あぁ……っ♥️」 口端から細い唾液の糸が零れ落ち、泥の上に落ちた。 怪物は私の言葉など一言も理解していない。ただ機械的に、自らの身体を安定させるために伸縮を繰り返しているだけだ。 だが、その無機質な蠢きこそが、私にとっては何よりも雄弁な「征服の証」に感じられた。 相手が私の言葉を理解しないからこそ、私はどれほど無様な敗北宣言を口にしても、何一つ咎められることはない。ただ一方的に、自らを最底辺の獲物として差し出し続けることができる。 「あ……っ、ねえ……もっと押し潰して……っ。私の背骨が、折れちゃうくらい……強く……っ♥️」 掠れた声で懇願しながら、私は背中にのしかかる怪物の感触を、全身の神経を研ぎ澄まして受け止めていた。 怪物の口器が、今度は私の鎖骨の窪みへと落ち窪むように吸い付いた。 ちゅぷ、じゅるり、と生々しい音が立つ。 「ひぁっ……! んんっ……、そこ……っ、跡が、残っちゃう……っ。マスターに見られたら……私、なんて言い訳すればいいの……っ♥️」 心の中で、そして口の端から、愛しい彼の名前が零れ落ちる。 カルデアで誰よりも誇り高く、彼の隣で微笑んでいたはずの私。その私が、いまや人知れぬ特異点の泥濘の中で、腰ほどしかないナメクジの怪物に組み敷かれ、無様な言葉を吐き散らしている。 彼への裏切り。背徳の悦楽。 「マスター……ごめんなさい……っ。私、こんな……下等な生き物に、負けちゃったの……っ。もう……あなたの騎士には、戻れないかもしれないわ……っ♥️」 届くはずのない懺悔を口にしながら、私の唇は歓喜に震えて甘く吊り上がっていた。 怪物の蠢きは止まらない。 ぶよぶよとした肉の塊が、私の小さな背中全体を押し包み、なおもじっくりと、確実に、泥の深淵へと私を沈め続けていた。 泥の冷気と、怪物の放つ生温かい粘液の熱。 二つの矛盾した感触に挟まれながら、私は自ら紡ぎ出す敗北の言葉の波に溺れ、ただただ無抵抗に、その醜悪な怪物へと全身を明け渡し続けていた。 その瞬間、背中に乗る肉塊の動きが、わずかに、だが決定的に変化した。 それまでの無機質で機械的な捕食動作ではない。私の声の震え、肌から発せられる微細な熱、弛緩しきった四肢の脱力感。それらすべてをその原始的な皮膚感覚で感じ取ったかのように、怪物の体躯全体が歓喜に震えるように細かく波打ち始めたのだ。 目の前にいるこの小さな存在は、抵抗する獲物などではない。 自らの重みに屈し、泥にまみれ、すべてを差し出して喘ぐだけの、完全に敗北した極上の雌なのだと。 言葉を持たぬ這い虫が、その本能の深淵で、私の無様な正体を確かに見定めた。 「ぁ……っ? なに……急に、身体を震わせて……っ」 怪物の腹足が、私の背中から腰にかけてのラインを激しく擦り上げる。 じゅぶ、じゅるるっ、と粘液の泡立つ音が一段と高く響いた。 怪物は私の華奢な肩口に二本の触角を強く押し当て、まるで己の縄張りをマーキングするかのように、首筋から耳の後ろへと執拗にぬめりけを塗りたくっていく。 ひやりとした冷たさと、怪物の体内から染み出す饐えた微熱が、首筋の皮膚を幾重にもコーティングしていく。 「んんっ……! くすぐった……っ、そんな……擦り付けないで……っ♥️」 声が甘く跳ね上がる。 怪物の先端にある口器が、私のうなじの柔らかな皮膚へと深々と吸い付いた。 ちゅぷぅ、と強い陰圧がかかり、細い首の皮膚が丸く引き上げられる。 「ひゃぁっ……! あ……っ、痛……っ、ううん、吸われ……てる……っ♥️」 痛覚と鬱血の熱が首筋に広がり、私の背筋を激しい痺れが貫いた。 怪物は私の反応を確かめるように、一度吸い付いた口器を離さず、じくじくと筋肉を収縮させて皮膚を吸い上げ続ける。 ヤツは知っているのだ。私がどれほど無力で、どれほど自分の下で従順に喘いでいるかを。 怪物の肉塊が、私の腰の上にドスンと決定的な重量を落とし込んだ。 「ぐ……っ、あぁっ……!」 腰骨がきしむ。泥の中に埋もれていた私の腹部が、さらに深く湿った土の中へと押し込まれた。 息が詰まり、視界が明滅する。 怪物の腹足が、私の太腿の間にさらに深く割り込み、私の脚を大きく左右へと押し広げていく。 ぐちゅり、ぐじゅ……と、粘液に濡れた布と肉が擦れ合う音が、静まり返った森の底にどこまでも淫靡に木霊した。 「あぁ……っ、そんなに……広げられたら……っ。私、もう……隠せない……っ♥️」 私の太腿の内側の柔らかい皮膚に、怪物のぶよぶよとした肉壁が隙間なく密着する。 冷たくて、重くて、どこまでも不快なはずの感触。 それなのに、私の身体はそのすべてを歓喜をもって受け入れ、怪物の蠢きに合わせてだらしなく震え続けていた。 怪物は獲物が完全に自らの支配下にあることを誇示するように、全身の筋肉を大きく波打たせ、私の小さな体躯を覆い尽くすようにしてのしかかってくる。 「見て……私の身体……全部、あなたのものよ……っ♥️」 泥に顔を押し付けられたまま、私は誰にともなく、だが確実に背中の怪物へと向けて、甘く蕩けた敗北の言葉を囁き続けた。 「私は……あなたに負けたの……。あなたの下でしか生きられない……ただの、無力な雌よ……っ♥️」 怪物の蠢きは止まらない。 自らの完全な勝利を確信した這い虫は、なおも貪欲に、その粘液にまみれた肉体を私の背中へと擦り付け、私を泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 背骨を押し軋ませる怪物の重量が、さらにじっとりと沈み込んできた。 私の華奢な背中全体を押し包む褐色の肉塊は、もはや単なる獲物を押さえつける動きではない。私が漏らす喘ぎや、力を失って泥の中に投げ出された手足の震えを確かめるように、ぶよぶよとした体表を細かく波打たせている。 じゅぶ、じゅるり、と重たい粘液が皮膚と衣服の隙間を満たしていく。 「あ……っ、ぐ……っ、重……っ。息が、詰まっちゃう……っ」 湿った腐葉土に顔の右半分を押し付けられたまま、私は浅い呼吸を繰り返した。泥の冷たい湿気と、怪物の腹足から湧き出る生温かい粘液の匂いが、混ざり合って鼻腔を塞ぐ。 私の胸郭は、上からのしかかる圧倒的な質量によって限界まで押し広げられていた。本来であれば、指先を一筋振るうだけでこの森ごと消し飛ばせるはずの魔力。星の内海を目指した原初の竜の残滓たる私の力は、いまや完全に私の内側の深い暗がりへと押し込められ、眠らされている。 怪物の先端にある二本の触角が、私の首筋をぺたぺたと叩くように撫で回した。 ひやりとした粘液が、頸動脈の脈打つ場所に冷たい膜を張る。 「ひゃ……っ、ん……っ。くすぐった……い……っ」 身を捩ろうとしても、背中に乗る肉の塊はびくともしない。むしろ、私が身悶えして腰を揺らすたびに、怪物の下腹部にあたる柔らかい肉が私の腰のくびれや臀部に深くめり込み、隙間を埋めるように密着度を増していく。 怪物は私の反応を楽しんでいるかのようだった。 言葉を話す知性などないはずなのに、その無機質な触覚の動き、体表を震わせるリズムには、明確に私を支配下に置いたという確信が滲み出ている。 ヤツの開閉する口器が、私のうなじの柔らかな皮膚へと深々と吸い付いた。 ちゅぷ、じゅるり。 強い陰圧が首筋を襲い、皮膚が丸く引き絞られる。 「ひぁっ……! んんっ……、吸わ……ないで……っ。そこ……柔らかいんだから……っ♥️」 抗議の言葉を紡ごうとしても、唇から漏れる声は甘く蕩け、熱を帯びて震えていた。 首筋に広がる鬱血の鈍い痛みと、じわじわと皮膚を侵食する冷たい粘液。その二つの刺激が交錯するたび、私の背筋の芯を甘い痺れが駆け抜ける。 (あぁ……本当に、私を雌として扱ってる……。こんな、力もない這い虫が……っ) その認識が脳裏を満たすたび、胸の奥底に眠る倒錯した悦楽が、熱い血潮となって全身を巡る。 いつもはカルデアで誰よりも凛々しく、誰よりも強い騎士として振る舞っている私。愛しいマスターを守るための絶対的な矛として、誇り高く微笑んでいる私。 その私が、いまや人知れぬ特異点の湿った土の上で、泥にまみれ、腰ほどの大きさしかないナメクジの怪物に組み敷かれている。 力を行使する側から、一方的に力を奪われ、無力な肉の塊として蹂躙される側への転落。 怪物は首筋を吸い上げたまま、さらに自身の体躯を私の身体に擦り付けるようにして前進させた。 ずじゅり、ぐちゅりと、粘液に濡れた布と肉が擦れ合う音が耳元で跳ねる。 怪物の巨大な腹足が、私の太腿の裏側をずぶりと押し広げるようにして、脚の間にそのぬめりけのある体躯を割り込ませてきた。 「やぁっ……! そこ……入ってきちゃ……だめ……っ♥️」 意図的に脱力させている私の脚は、その侵入を拒むことができない。怪物の柔らかくも重たい肉が、私の太腿の内側の皮膚を左右へと強引に押し分けていく。 冷たい粘液が、薄い布地を透過して私の肌へと直接浸透し、脚の付け根の熱を持った皮膚へとじっとりとまとわりついていく。 「は……っ、あ……っ、冷た……ぁ……っ♥️」 背筋を突き抜けるような刺激に、思わず足の指が泥をぎゅっと掴んだ。 爪の間に泥が食い込む痛みが走る。だが、その痛みすらも、身体の奥底から湧き上がる熱い痺れによって、瞬く間に快感へと変換されてしまう。 怪物は私の足の震えを感じ取ると、さらに深く、私の腰の根元へとその肉体をめり込ませてきた。 ずしり、と下腹部を押し潰すような圧迫感。 「んんぅっ……! は……っ、あぁ……っ♥️」 口端から細い唾液の糸が零れ落ち、泥の上に落ちた。 私の華奢な身体は、完全に怪物の巨躯の下に埋没していた。上から見れば、巨大なナメクジの肉塊が地面に這いつくばる小柄な少女を丸呑みにしようとしているようにしか見えないだろう。 最強の竜の残滓が、名もなき特異点の路傍で、一匹の害虫の重みに屈服し、泥水の中で喘ぎ続けている。 その光景の惨めさに、そして自分自身が感じている耐え難いほどの悦楽に、私の心臓は狂ったような早鐘を打ち鳴らしていた。 「ねえ……もっと押し潰して……。あなたの重みで……私を、ぺしゃんこにして……っ♥️」 泥に顔を押し付けたまま、私は誰にともなく、だが確実に背中の怪物へと向けて、甘く蕩けた敗北の言葉を囁き続けた。 「私は……あなたに負けたの……。あなたの下でしか生きられない……ただの、無力な雌よ……っ♥️」 怪物の蠢きは止まらない。 自らの完全な勝利を確信した這い虫は、なおも貪欲に、その粘液にまみれた肉体を私の背中へと擦り付け、私を泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 怪物の先端にある口器が、私の首筋から離れ、じわりと肩口へと移動した。 ちゅぷ、じゅるり。 湿った布地の上から、再び強い吸着力が皮膚を吸い上げる。 「あっ……! んぁ……っ♥️ そ、そこも……吸うの……っ? 跡だらけに……なっちゃう……っ」 声が掠れ、湿った大気の中に溶けていく。 怪物は私の懇願など意に介さず、ただ本能の命ずるままに、己の体液を塗りたくり、私という獲物を自らの色で染め上げていく。 怪物の二本の触角が、私の耳の後ろから顎のラインへと這い降りてきた。 ぬめりけを帯びた先端が、私の頬の皮膚を撫で回す。 「ひゃ……っ、頬まで……っ、やぁ……っ♥️」 顔を背けようとしても、首の上には怪物の重たい肉塊が乗っかっており、左右に数センチ動かすのが精一杯だった。私が小さく頭を振るたびに、怪物の体表と私の頬の間で粘液が泡立ち、くちゅ、くちゅりと淫らな水音が耳奥を直接震わせる。 怪物の腹足が、私の太腿の間に挟まったまま、さらに大きく波打った。 ぐにゅり、ずしり。 太腿の内側にかかる圧力が一段と強まり、私の腰が泥の中で小さく浮き上がる。 「あ……っ、んんっ……! なに……中で、暴れないで……っ♥️」 怪物の肉の塊が、私の下半身を押し広げたまま、じくじくと伸縮を繰り返している。その動きは、まるで私の肉体を自らの体内へと取り込もうとしているかのようであり、同時に、動けない雌を好き放題に弄び、己の力を見せつけているかのようでもあった。 私の下腹部に、怪物の放つ饐えた微熱がじんわりと伝わってくる。 冷たい泥と、生温かい怪物。 二つの矛盾した感触が、私の肌の表面で混ざり合い、私の感覚を完全に麻痺させていく。 (あぁ……マスター……見て……。あなたの最強のランスロットが……こんな、こんなところで……っ♥️) 胸の奥で、届くはずのない懺悔が繰り返される。 カルデアの白い部屋で、彼の手のひらに頭を預けていた時の記憶が、泥の冷たさの中で不意に蘇る。あの時の穏やかな温もりと、いま背中にのしかかっている醜悪な怪物の生々しい重圧。 そのあまりにも巨大な落差が、私の背徳感をさらに煽り立て、理性の残滓を焼き尽くしていく。 「マスター……ごめんなさい……っ。私……この怪物の重みに、逆らえないの……っ。身体が……動かないの……っ♥️」 口から零れる言葉は、謝罪の形を取りながらも、その実、自らが完全な敗北者であることを確認するための甘い呪文だった。 怪物は私の声を聞き届けるかのように、全身の筋肉をさらに大きく収縮させた。 ずじゅるり、べちゃり。 怪物の肉塊が、私の小さな背中全体を完全に押し潰すようにして、その全体重を預けてくる。 「ぐ……っ、ぁ……っ! 重……っ、息が……っ♥️」 胸が泥に深く埋まり、肺から空気が押し出される。 苦しい。本当に身体が潰れてしまうのではないかという恐怖。 だが、その恐怖の裏側に、どうしようもないほどの安心感が広がっていた。 もう、強くある必要はない。 最強の妖精騎士として、誰かを守るために剣を振るう必要もない。 ただこうして泥の中に這いつくばり、圧倒的な重みに身を任せ、下等な這い虫の雌として喘いでいればいい。 その完全な責任の放棄と、絶対的な服従の甘美さが、私の心をどこまでも深く満たしていく。 怪物の口器が、肩口から鎖骨へと滑り落ち、衣服の隙間から露出した白い肌へと直接吸い付いた。 ちゅぷぅ……じゅるり。 「ひぁっ……! んんぅ……っ♥️ 直に……吸われ……てる……っ」 湿った筋肉の輪が、私の鎖骨の窪みを強く締め付ける。 皮膚が引き絞られ、血が滲むような鋭い刺激が走る。 「あぁ……っ、痛……っ、ううん……熱い……っ♥️ もっと……もっと強く吸って……っ。私の身体に……あなたの印を……いっぱいつけて……っ♥️」 私は泥に埋もれた手を伸ばし、自ら怪物の側面の肉に触れた。 ぶよぶよとした、冷たくてぬめるような肉の感触。 指先を少し立てれば、魔力の刃でこの怪物を両断することなど容易い。 けれど、私の指先は、ただそのぬめりけのある体表を愛撫するように、弱々しく撫で回すことしかできなかった。 怪物は私の手に反応するように、その体表を震わせ、さらに大量の粘液を分泌させた。 じゅぶ、じゅるる……ぐちゅ。 私の全身が、怪物の粘液で完全にコーティングされていく。 銀色の髪は泥と粘液で濡れそぼり、白く透き通るような肌は濁った褐色に汚れ、誇り高い衣服は無残に湿りきって肌に張り付いている。 最強の妖精の面影は、どこにもない。 そこにいるのは、ただ森の底で怪物の重みに屈服し、快楽に喘ぎ続ける、一匹の無力な雌だった。 怪物の腹足が、私の腰を両側から挟み込むようにして、さらに強く締め上げてくる。 ぐにゅり、ずしり。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ 腰が……折れちゃう……っ。ねえ……本当に、壊れちゃうよ……っ♥️」 私の甘い悲鳴が、静まり返った森の深淵へと吸い込まれていく。 怪物の蠢きは、なおも止まらない。 獲物を自らの肉体の一部として同化せんとばかりに、その粘液にまみれた巨躯は、なおも無抵抗の私を包み込み、より深く、より暗い泥の深淵へと引きずり込み続けていた。 怪物の先端が、私のうなじから背中の中央へと這い降りてくる。 ぶよぶよとした肉の塊が、背骨の突起を一つひとつ押し潰すようにして移動していく。 「あ……っ、そこ……っ、背中……ぐちゃぐちゃに……なっちゃう……っ」 私の背骨がきしりと鈍い音を立てる。 怪物の体表から溢れ出る粘液は、すでに私の衣服の布地を完全に溶かし崩すかのように浸透し、繊維と肌の境界線を曖昧にしていた。背中に触れる感触は、布越しではなく、まるで怪物の生々しい内臓を直接押し付けられているかのようだった。 怪物は私の背中の中央で一度静止すると、その場で肉体を大きく膨張させ、次いで一気に収縮させた。 ずじゅん、と重たい衝撃が背中を駆け抜ける。 「ひぁっ……!?」 思わず肺の中の空気がすべて吐き出された。 泥の中に埋もれていた私の胸が、さらに深く土の中へとめり込む。 「は……っ、ぁ……っ! なに……いまの……っ♥️」 驚愕と快感が混ざり合った声が零れる。 怪物は獲物がさらに脱力したことを確かめるように、今度は自らの先端部――あの円形に開閉する湿った口器を、私の背中の薄い衣服を押し分けながら、背骨のくびれのあたりへと押し当ててきた。 ちゅぷ、じゅるり。 「あ……っ、背中……吸わないで……っ♥️ そこ、敏感なんだから……っ」 背骨の窪みに吸い付く強い陰圧。 皮膚が引っ張り上げられ、背筋全体に電撃のような痺れが走る。 私の手足が、快感のあまりビクビクと小さく痙攣した。 怪物はその痙攣を感じ取ると、吸い付いた口器を離さず、そのまま背中を這うようにして下腹部の方へとじわじわと移動し始めた。 ちゅる、じゅる、ちゅぷ。 皮膚を吸い上げながら滑る音が、背中から腰へと連続して響き渡る。 「んぁぁ……っ♥️ やぁ……っ、そんな……跡を引くように……吸われたら……っ♥️」 私の身体は、怪物の蠢きに合わせて完全に弓なりに反り上がっていた。 泥の中に埋もれていた腰が浮き上がり、怪物の腹足がその隙間を見逃さずに滑り込んでくる。 ぐちゅり、と重たい肉の波が私の下腹部の下へと入り込み、私の身体を地面からわずかに持ち上げた。 「あ……っ、浮い……ちゃう……っ」 泥の冷たさから切り離され、私の身体は上下を怪物のぶよぶよとした肉塊によって完全に挟み込まれる形となった。 下からは私の腹部を持ち上げる生温かい腹足の圧力。 上からは私の背中を押し潰す巨大な肉の重量。 「んんっ……! 挟まれ……てる……っ。全部、あなたの肉の中に……埋もれちゃう……っ♥️」 怪物の体内へと飲み込まれていくような錯覚。 全身を包み込む湿った熱気と、絶え間なく分泌される粘液のぬめり。 私は完全に、この怪物の胎内のような暗がりへと囚われていた。 怪物の二本の触角が、今度は私の胸元の衣服の隙間から潜り込んできた。 ひやりとした細い肉の先端が、私の鎖骨の下、柔らかな胸の膨らみの表面を這い回る。 「ひゃぁっ……! 入って……きた……っ、胸に……触らないで……っ♥️」 細い触角が、皮膚の上をくすぐるように滑る。 その頼りない、けれど確実な異物の侵入に、私の胸の先端がツンと硬く尖っていくのが分かった。 怪物はその変化を察知したのか、触角の先端を私の胸の頂点へと執拗に絡め、ぺたぺたと叩くように刺激を与えてきた。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ そこ……だめ……っ、擦っちゃ……いやぁ……っ♥️」 声が裏返る。 最強の妖精騎士として、戦場で敵を睨みつけていた瞳が、いまや快楽の涙で潤み、虚ろに森の暗がりを彷徨っていた。 怪物は私の喘ぎ声に煽られるように、胸元の触角をさらに奥へと潜り込ませ、同時に背中に乗る肉塊を激しく波打たせた。 ずじゅ、ずじゅり、ぐちゅる。 私の全身を押し潰し、弄び、汚し尽くす、無機質な暴力の嵐。 私はもう、自分が誰であるのかすら忘れてしまいそうだった。 ただこの怪物の下で喘ぎ、その重みを受け止め、粘液にまみれて泥の底へと沈んでいくこと。 それだけが、私の世界のすべてだった。 「マスター……見て……。あなたのメリュジーヌは……こんなにも、汚らわしい怪物に……犯されちゃってるの……っ♥️」 泥水と粘液に濡れた唇から、背徳の言葉がとめどなく溢れ出る。 「もう……戻れないよ……。こんな風に、ぐちゃぐちゃにされちゃったら……私……もう、あなたの前で……気高くなんて……いられないわ……っ♥️」 怪物の蠢きは、さらに熱を帯びていく。 私の小さな身体を完全に自らの一部として取り込もうとするかのように、その粘液にまみれた巨躯は、なおも貪欲に、無抵抗の私を締め上げ、押し潰し、泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 怪物の体表が、私の背中で波打つように収縮を繰り返す。 ずじゅ、ずじゅり、と筋肉の塊が擦れ合う鈍い音が、私の背骨を通して直接頭蓋へと響いてくる。 怪物は私の小さな背中全体を押し潰したまま、その先端部――ぬらぬらと濡れそぼった頭部とおぼしき部分を、私の首元から肩口、さらには露出した鎖骨のあたりへと執拗に擦り付けていた。 「あ……っ、冷た……い……のに、熱い……っ」 皮膚の表面を滑る粘液はひやりと冷たいのに、怪物の中心部から伝わってくる鈍い体温が、私の肌をじくじくと蒸気のように温めていく。 二つの相反する感触に弄ばれ、私の思考は泥水のように混濁していた。 怪物の開閉する口器が、私の鎖骨の窪みへと落ち窪むように吸い付いた。 ちゅぷ、じゅるり、と生々しい音が立つ。 「ひぁっ……! んんっ……、吸っちゃ、だめ……っ♥️」 細い首を精一杯竦めようとするが、上に乗る重量がそれを許さない。怪物の肉塊が私の顎の下にまでめり込み、私の視界を濁った褐色の体表で塞ぎ込んでしまう。 鼻腔を満たすのは、過剰な湿気と腐植土、そして怪物が分泌する特有の青臭い粘液の匂い。 カルデアの清潔な空気とは程遠い、淀んだ異界の臭気。 その息苦しさすらも、今の私にとっては自らの敗北を実感させるための甘美な香水のように感じられた。 (もっと……もっと私を汚して……。あなたの泥と、あなたの粘液で……私の身体を全部、塗り潰して……っ) 内なる声が、歓喜に震えながら叫んでいた。 怪物は私の懇願など知る由もなく、ただ機械的に、自らの捕食行動あるいは同化行動を推し進めていく。 私の太腿の間に割り込んだ腹足が、さらに深く、私の腰の根元へと圧力をかけてきた。 ぐちゅり、と湿った布が擦れ合う音が足元で鳴り響く。 「んっ……、あ……っ! そこ……重い……っ、押さないで……っ♥️」 下半身にかかる強烈な圧迫感に、腰がびくりと跳ねる。 しかし、私の華奢な力では、その巨躯を押し戻すことなど到底できない。意図的に力を抜いているとはいえ、一度手放した主導権を取り戻すことは、今の私の蕩けた精神には不可能だった。 怪物の肉が、私の柔らかな太腿の内側をじわじわと押し広げていく。 冷たい粘液が、薄い布地を透過して私の皮膚へと直接浸透し、脚の付け根の熱を持った部分へとじっとりとまとわりついていく。 「は……っ、あ……っ、冷た……ぁ……っ♥️」 背筋を突き抜けるような刺激に、思わず足の指が泥をぎゅっと掴んだ。 爪の間に泥が食い込む痛みが走る。だが、その痛みすらも、身体の奥底から湧き上がる熱い痺れによって、瞬く間に快感へと変換されてしまう。 怪物の頭部が、今度は私の耳元へと擦り寄ってきた。 ぶよぶよとした肉の感触が頬を押し潰し、二本の頼りない触角が、私の耳たぶや首筋をぺたぺたと撫で回す。 じゅる、じゅるり。 耳元で響く粘液の破裂音が、私の聴覚を直接犯していく。 「あぁ……っ、耳元で……そんな音、立てないで……っ。頭が……おかしくなっちゃう……っ♥️」 掠れた声で喘ぎながら、私は泥の中に埋もれた両手をわずかに動かした。 怪物の側面に触れる。 ぶよぶよとしていて、驚くほどに柔らかく、それでいて途方もない質量を持った肉の壁。 指先を少し立てれば、魔力の光刃がヤツの体表を容易に切り裂くだろう。竜の息吹をほんの一筋通すだけで、この醜悪な肉塊など瞬時に蒸発して消え去るはずなのだ。 だが、私の指先は、ただそのぬめりけのある体表を弱々しく撫でることしかできない。 抵抗するためではない。 自分を押し潰し、屈服させている怪物の感触を、自らの手のひらで確かめるために。 (柔らかい……。こんなに柔らかくて、脆い生き物なのに……。どうして、こんなにも私を動けなくさせちゃうの……っ) 手のひらに伝わる、怪物の体表の微細な痙攣。 怪物は私の手など意に介さず、さらにその体躯を沈み込ませ、私の胸元を完全に自らの肉体で覆い隠してしまった。 ずしん、と肺を圧迫する決定的な重量。 「ぐ……っ、ぁ……っ!」 息が完全に止まる。 胸郭が押し潰され、心臓の鼓動が耳の奥でドクドクと激しく脈打つ。 苦しい。本当に死んでしまうのではないかという錯覚すら覚えるほどの物理的な重圧。 だが、その苦痛こそが、私が求めていた極限の敗北だった。 最強である私が、最も無力な状態で、泥の底で息絶えようとしている。 その圧倒的な無力感に包まれながら、私の心は、かつてないほどの充足感で満たされていた。 怪物の口器が、私の鎖骨から胸元へと滑り落ち、衣服の上から私の柔らかな膨らみをじくじくと押し潰す。 ちゅぷ、じゅるり、べちゃり。 汚濁の音が、静まり返った森の深淵に、どこまでも重たく、淫靡に響き渡り続けていた。 怪物の体表が波打つたび、私の背中から腰にかけてのラインに、ぬめりけを帯びた強烈な摩擦が加わる。 ずじゅり、ぐちゅ、と泥と粘液が混ざり合う音が、私の身体の下から、そして上から、絶え間なく響き渡っていた。 私はすでに、自分がどこにいるのかすら定かではなくなりつつあった。 視界は暗く、目の前には怪物の濁った褐色の肉壁が広がるのみ。吸い込む空気はすべて怪物の放つ饐えた湿気と泥の匂いに染まり、肌に触れるものはすべて、冷たくて生温かい粘液の膜に覆われている。 (私……全部、奪われちゃってる……っ) 誇りも、強さも、騎士としての威厳も。 この名もなき特異点の湿った土の上で、腰ほどの大きさしかない醜悪なナメクジによって、ひとつ残らず剥ぎ取られ、泥の中に踏みにじられている。 その完全なる喪失感が、私の魂を底知れぬ快楽の淵へと突き落としていた。 怪物の先端部が、私の首筋の窪みに深く沈み込み、再びじわりと吸盤のような圧力をかけてくる。 ちゅぷ……じゅる、ちゅるり。 「んぁ……っ、あ……っ♥️ もう……そんなに吸われたら……跡が……消えなくなっちゃう……っ」 かすれ切った声で懇願するが、怪物に容赦などあるはずもない。 むしろ、私の弱々しい抵抗をあざ笑うかのように、怪物の肉体はさらに重みを増し、私の細い身体を押し潰すようにして全身を波打たせた。 ぐにゅり、ずしり。 私の胸が、腹が、太腿が、怪物の巨大な質量の下で完全に平らに押し広げられていく。 骨がきしむ音。筋肉が悲鳴を上げる感触。 それらすべてが、私という存在が今まさに「征服されている」という動かしがたい事実を証明していた。 「は……っ、あぁ……っ♥️ マスター……ごめんなさい……っ。私、もう……動けない……っ、この怪物に……負けちゃったの……っ♥️」 泥の中に顔を埋めたまま、私は誰にともなく、だが確実に背中の怪物へと向けて、甘く喘ぎ続けた。 怪物の蠢きは止まらない。 獲物を自らの肉体の一部として同化せんとばかりに、その粘液にまみれた巨躯は、なおも無抵抗の私を包み込み、より深く、より暗い泥の深淵へと引きずり込み続けていた。 怪物の腹足が、私の背中から腰にかけてのラインをさらに激しく擦り上げる。 じゅぶ、じゅるるっ、と粘液の泡立つ音が一段と高く響いた。 怪物は私の華奢な肩口に二本の触角を強く押し当て、首筋から耳の後ろへと執拗にぬめりけを塗りたくっていく。 ひやりとした冷たさと、怪物の体内から染み出す饐えた微熱が、首筋の皮膚を幾重にもコーティングしていく。 「んんっ……! くすぐった……っ、そんな……擦り付けないで……っ♥️」 声が甘く跳ね上がる。 怪物の先端にある口器が、私のうなじの柔らかな皮膚へと深々と吸い付いた。 ちゅぷぅ、と強い陰圧がかかり、細い首の皮膚が丸く引き上げられる。 「ひゃぁっ……! あ……っ、痛……っ、ううん、吸われ……てる……っ♥️」 痛覚と鬱血の熱が首筋に広がり、私の背筋を激しい痺れが貫いた。 怪物は私の反応を確かめるように、一度吸い付いた口器を離さず、じくじくと筋肉を収縮させて皮膚を吸い上げ続ける。 ヤツは知っているのだ。私がどれほど無力で、どれほど自分の下で従順に喘いでいるかを。 怪物の肉塊が、私の腰の上にドスンと決定的な重量を落とし込んだ。 「ぐ……っ、あぁっ……!」 腰骨がきしむ。泥の中に埋もれていた私の腹部が、さらに深く湿った土の中へと押し込まれた。 息が詰まり、視界が明滅する。 怪物の腹足が、私の太腿の間にさらに深く割り込み、私の脚を大きく左右へと押し広げていく。 ぐちゅり、ぐじゅ……と、粘液に濡れた布と肉が擦れ合う音が、静まり返った森の底にどこまでも淫靡に木霊した。 「あぁ……っ、そんなに……広げられたら……っ。私、もう……隠せない……っ♥️」 私の太腿の内側の柔らかい皮膚に、怪物のぶよぶよとした肉壁が隙間なく密着する。 冷たくて、重くて、どこまでも不快なはずの感触。 それなのに、私の身体はそのすべてを歓喜をもって受け入れ、怪物の蠢きに合わせてだらしなく震え続けていた。 怪物は獲物が完全に自らの支配下にあることを誇示するように、全身の筋肉を大きく波打たせ、私の小さな体躯を覆い尽くすようにしてのしかかってくる。 「見て……私の身体……全部、あなたのものよ……っ♥️」 泥に顔を押し付けられたまま、私は誰にともなく、だが確実に背中の怪物へと向けて、甘く蕩けた敗北の言葉を囁き続けた。 「私は……あなたに負けたの……。あなたの下でしか生きられない……ただの、無力な雌よ……っ♥️」 怪物の蠢きは止まらない。 自らの完全な勝利を確信した這い虫は、なおも貪欲に、その粘液にまみれた肉体を私の背中へと擦り付け、私を泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 怪物の巨躯がわずかに後退し、私の腰から太腿にかけてのラインをじっくりと擦り上げた。 びちゃり、じゅるり、と泥濘を掻き回す重たい音が鳴る。 怪物は私の身体をただ押し潰すだけでは飽き足らず、その開閉する口器を私の太腿の裏側へと這わせてきた。 ちゅぷ、ちゅるる。 薄い衣服の布地を湿らせながら、丸い吸盤のような圧力が、私の柔らかな肉をじくじくと吸い上げる。 「ひぁっ……! あ……っ、足の裏まで……吸うの……っ? やぁ……っ♥️」 敏感な皮膚を直接刺激され、足の指先がピクンと跳ねる。 怪物はその反応を確かめると、一度吸い付いた口器を離し、今度はさらに内側、私の太腿の付け根のきわどい部分へとそのぬめりけのある頭部を潜り込ませてきた。 ぐにゅり、と重たい肉の感触が、私の脚の付け根を左右へと押し広げる。 「あっ……! そこ……だめ……っ、入ってこないで……っ♥️」 拒絶の言葉とは裏腹に、私の腰は怪物の侵入を受け入れるように、だらしなく泥の中で開かれていた。 冷たい粘液が、私の最も熱を持った部分へと直接流れ込んでくる。 ひやりとした冷感と、怪物の放つ饐えた微熱。 その二つの刺激が交錯し、私の頭の芯を真っ白に染め上げていく。 怪物の触角が、私の下腹部の上をぺたぺたと叩くように蠢いた。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ お腹……触らないで……っ。くすぐったい……っ、ううん……熱い……っ♥️」 声が掠れ、泥の上へと甘い吐息が零れ落ちる。 怪物は私の下半身を完全に己の肉体で包み込みながら、再びその巨大な上半身を私の背中へと覆い被せてきた。 ずしん、と背骨を軋ませる圧倒的な重圧。 「ぐ……っ、ぁ……っ! また……重……っ♥️」 息が止まる。 胸が押し潰され、肺の中の空気が強制的に絞り出される。 けれど、その苦痛こそが、私が求めていた極限の敗北だった。 最強である私が、最も無力な状態で、泥の底で息絶えようとしている。 その圧倒的な無力感に包まれながら、私の心は、かつてないほどの充足感で満たされていた。 怪物の口器が、私の背中から首筋へと再び這い上がり、私の耳たぶのすぐ後ろの柔らかな皮膚へと深々と吸い付いた。 ちゅぷぅ……じゅるり。 「んぁぁ……っ♥️ あ……っ、そこ……っ、一番……だめなところ……っ♥️」 耳元で響く粘液の破裂音と、首筋を襲う強烈な吸着感。 私の全身の筋肉が快感のあまり硬直し、次いで、完全に力を失って泥の中へと崩れ落ちた。 怪物の蠢きは止まらない。 獲物を自らの肉体の一部として同化せんとばかりに、その粘液にまみれた巨躯は、なおも貪欲に、無抵抗の私を締め上げ、押し潰し、泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 泥の冷気と、怪物の放つ生温かい粘液の熱。 二つの矛盾した感触に挟まれながら、私は自ら紡ぎ出す敗北の言葉の波に溺れ、ただただ無抵抗に、その醜悪な怪物へと全身を明け渡し続けていた。 怪物の肉塊が、私の小さな背中全体を押し包み、なおもじっくりと、確実に、泥の深淵へと私を沈め続けていた。 泥の冷気と、怪物の放つ生温かい粘液の熱。 二つの矛盾した感触に挟まれながら、私は自ら紡ぎ出す敗北の言葉の波に溺れ、ただただ無抵抗に、その醜悪な怪物へと全身を明け渡し続けていた。 怪物の蠢きは、どこまでも深く、重たく、暗い森の底へと響き渡り続けていた。 ぐちゅり、と背中の上で重たい肉塊が波打つたび、衣服と皮膚の隙間に溜まった粘液が鈍い泡立ちの音を立てていた。 泥濘の中に顔を埋め、息を吸うたびに湿った腐植土の匂いと怪物の放つ饐えた生温かい蒸気が喉の奥へと滑り込んでくる。 「ん……っ、ふぅ……っ、はぁ……っ♥️」 荒い吐息を泥の上に吐き出す。 全身を覆い尽くしていた圧倒的な重量感、骨を軋ませるほどの圧迫、そして皮膚を隙間なく侵食していた冷湿な粘液の膜。それらすべてが、私の身体の奥深くに沈んでいた渇きを完全に潤していた。 胸の奥がじんわりと熱い。 最強の騎士として張り詰めていた神経が、無力な獲物として組み敷かれ、泥の中に踏みにじられたことによって、心地よい疲労感とともに完全に弛緩している。 (……あぁ、満たされたわ) 泥の中で強張っていた指先から、すっと微かな緊張が抜けていく。 これ以上は、もういい。 私の内側にあった暗い飢えは、この腰ほどの大きさしかない這い虫の重みによって、十分に、余すところなく満たされた。 これ以上長引かせれば、ただ無駄に身体を冷やし、カルデアへの帰還時間が遅れてしまうだけだ。何より、私の愛しいマスターが私の不在に気づき、不審に思ってしまうかもしれない。 「……ふふ。ごちそうさま、名もなき怪物さん」 泥に汚れた唇の端をわずかに持ち上げ、私は誰にも聞こえないほど小さな声で囁いた。 その瞬間、私の体内で眠らせていた力が、静かに目を覚ます。 精神の奥底へと押し込めていた竜の炉心が、微かな火花を散らした。ドクン、と胸の奥で力強い脈動が一つ打たれる。それだけで、周囲の重苦しい大気がビリリと微細な震動を帯びて緊張した。 怪物の腹足が、何かの異変を察知したのか、私の背中でピクリと動きを止める。 二本の頼りない触角が、空気中の急激な魔力密度の変化に怯えるように、激しく左右へと揺れ動いた。 だが、もう遅い。 「――終わりよ」 私の瞳に、青空のような澄んだ光が宿る。 魔力の励起に、詠唱も、身振りも必要ない。ただ私が「強者」へと戻ることを選ぶだけで、世界はその理を書き換える。 私の華奢な背中から、極小の光の針が無数に放射された。 パキィン、と硬質な空間の割れる音が響く。 直後、背中に乗っていた巨大な肉塊が、一切の音を立てることなく純白の閃光の中に呑み込まれた。 断末魔の叫びすら存在しない。 私の肉体から放たれた極小の魔力奔流が、怪物の細胞の一つひとつを分子レベルで瞬時に分解し、消滅させていく。 ぶよぶよとした濁った肉も、私の衣服を濡らしていた大量の粘液も、鬱陶しい触角も、すべてが光の粒子となって大気の中へと霧散していった。 ぼうっ、と微かな熱風が吹き抜け、湿りきっていた周囲の空気を一瞬で乾燥させる。 背中にかかっていた数百キロにも及ぶ重圧が完全に消失し、私の身体はふわりと軽くなった。 「……んっ」 泥の中に沈んでいた両手を地面につき、ゆっくりと上半身を起こす。 肘や膝にまとわりついていた湿った腐葉土が、パラパラと剥がれ落ちていく。 立ち上がり、自らの掌を見つめた。 爪の間に食い込んでいた黒い泥も、手の甲を汚していた濁った飛沫も、全身から立ち上る淡い銀色の燐光によって、みるみるうちに浄化されていく。 (……あぁ、すっきりした) 胸の奥の澱みが綺麗さっぱりと洗い流されたような、極上の爽快感。 吐き出した息は驚くほどに軽く、澄んでいた。 瞳を細め、湿った森の木々の隙間から差し込む木漏れ日を見上げる。 さっきまであれほど重く、息苦しく感じられていた湿地帯の空気が、今はただの心地よい微風となって私の銀髪を揺らしていた。 「さて……カルデアに戻る前に、身なりを整えないとね」 独り言を呟きながら、私は衣服の裾を指先でつまんだ。 泥と粘液でぐしゃぐちゃに濡れそぼり、肌に張り付いていた布地。 私は指先を軽く鳴らした。 パチン、と澄んだ音が森の静寂に響く。 私の身体を包むようにして、純白の魔力光が幾重にも螺旋を描いて立ち上った。 光が布地を撫でるたび、泥の汚れは蒸発し、裂けかけた繊維は瞬時に再構成され、元の汚れなき純白の装束へと戻っていく。 銀色の髪も、毛先の一筋に至るまで魔力の風によって梳き直され、元の絹のような滑らかな艶を取り戻した。 泥水で汚れていた肌は、何事もなかったかのように透き通るような白さを放ち、陽光を反射して仄かに煌めいている。 完璧な身繕い。 どこからどう見ても、誇り高き最強の妖精騎士ランスロットそのものの姿だった。 (首筋や背中の鬱血も……綺麗に消えたわね) 指先で首筋をそっと撫でてみる。 さっきまであの怪物の口器に強く吸い上げられ、熱を持っていた皮膚は、すでに滑らかで冷たい陶器のような感触に戻っていた。 痕跡は一切残っていない。 私がこの人知れぬ特異点の泥濘の中で、無様に組み敷かれて喘いでいたことなど、世界中の誰も証明することはできない。 「ふふ……」 唇から、満足げな笑みがこぼれ落ちる。 誰にも知られていない。 カルデアのスタッフも、他のサーヴァントたちも、そして何より私の最愛のマスターすらも、私が今ここで何をしていたのかを知らない。 その絶対的な秘匿性が、私の胸の奥に残る甘い余韻をさらに濃密なものにしていた。 私は空間の一角へと視線を向け、細い指先を虚空へと走らせた。 レイシフトの逆転送シークエンスを起動する。 空間が微かに歪み、私の足元に青白い幾何学模様の魔法陣が展開された。 キィン、と高い電子音のような周波数が大気を震わせ、光の柱が私の小さな身体を包み込んでいく。 身体が素粒子へと分解され、次元の狭間へと溶け出していく浮遊感。 視界が光で満たされる直前、私は森の地面――先ほどまで私が這いつくばっていた、小さく窪んだ泥の跡をもう一度だけ見下ろした。 (今回は、ただの大きなナメクジだったけれど……) 思考が、自然と次の機会へと飛んでいく。 (次は、どんな相手に負けてみようかしら) 光の中で、私の胸の奥がトクンと小さく跳ねた。 (例えば……洞窟の奥に潜む、知性のない巨大な蜘蛛の魔獣とか。硬い殻と何本もの節足で私の四肢を無理やりに押さえつけられて、糸でぐるぐる巻きにされて……冷たい岩肌に吊るされたまま、無力にピクピクと震えるのも楽しそうね) 想像するだけで、背筋の芯がゾクゾクと甘く痺れる。 (あるいは……湿地帯に棲む、無数の触手を持った泥の怪物。私の身体の隅々までぬめぬめした触手で絡め取られて、小さな口の中にまで泥を流し込まれて、息もできずに腹這いで屈服させられるのも悪くないわ) (……それとも、もっと下等な……ただの群れをなす小鬼たちかしら? 棍棒を持った醜い生き物たちに囲まれて、数の暴力で押し倒されて、私の華奢な身体を泥だらけの手でペタペタと触られながら、無様に踏み躙られるのも……ふふ、すごく唆るわね) 次から次へと溢れ出る、倒錯した妄想の数々。 最強であるという絶対の自負があるからこそ、その足元に転がる無力な弱者たちに無残に踏み躙られる情景が、たまらなく魅力的に思えてしまう。 光の奔流が臨界に達し、私の意識は特異点の森から完全に切り離された。 次元の狭間を滑り落ちていく感覚の中で、私は口元を緩ませたまま、甘やかな期待に胸を躍らせていた。 (待っていてね、私のマスター。あなたの前では、私はいつだって完璧で、無敵の騎士でいてあげる) (でも……また少しだけ、隙を見て抜け出させてもらうわ) (次はどんな醜い怪物に、この身体を明け渡してあげようかしら――) 眩い閃光が視界を埋め尽くし、私の身体は、愛しい彼の待つカルデアの冷たい空気の中へと静かに再構築されていった。 幾何学的な光の柱が完全に霧散すると、肌を刺すような冷気と、澱んだ湿気が一気に押し寄せてきた。 カルデアの無機質な通路から一転して広がるのは、自然の浸食によって穿たれた天然の洞窟だった。足元は崩れた岩片と湿った砂利に覆われており、踏みしめるたびにジャリ、と微かな摩擦音が靴底から響く。頭上からは不規則な間隔で水滴が落ち、どこか遠くの水たまりを叩くペチョンという硬質な反響音が、暗がりの中へ吸い込まれていく。 (……うん、座標のズレはないわね) 私は息を潜め、周囲の空間へ意識を巡らせた。カルデアの観測網からはほぼ無視されている、極小規模の歪み。歴史の大きなうねりにも関与しない、泡沫のような特異点。誰の目にも留まらないこの場所こそが、私にとって最も都合の良い舞台だった。 外からの光は、洞窟の入り口からわずか数歩の地点で途絶えている。その先は、どこまでも続く暗黒だ。普通の人間の視界であれば一歩進むことすら躊躇うような漆黒だが、私の視覚は岩肌の湿り気や、空気のわずかな揺らぎすら鮮明に捉えていた。 胸の奥にある炉心が、トクンと静かに脈打つ。 全身を巡る強大な力は、いつでもこの山ごと吹き飛ばせるだけの密度を保っている。だが、私はあらかじめその出力を極限まで絞り込んでいた。肌の硬度を保つ加護を解き、筋力の出力も、ただの華奢な少女のそれと同等にまで落とし込む。 (ふふ……前回のナメクジも悪くなかったけれど、今回はどんな相手かしら) 喉の奥が小さく鳴る。 歩みを進めるごとに、洞窟内の湿度は目に見えて上がっていった。壁面を覆う苔は指先で触れれば崩れそうなほど水分を含んでおり、そこから立ち上る生温かい青臭さが、鼻腔の奥にじっとりと絡みつく。足元も砂利から次第に泥混じりの粘土質へと変わり、一歩踏み出すたびに靴がぬちりと鈍い音を立てて沈み込んだ。 通路は緩やかな傾斜を描きながら、さらに地下深くへと続いている。 滴る水滴の音が、次第に別の音へと混ざり合い始めた。 じゅる……じゅぷ、ぐちゅり。 肉塊が擦れ合い、粘液が泡立つような、低く湿った不穏な反響音。それは洞窟の最奥、天井がドーム状に大きく広がった空間から漂ってきていた。 私は速度を落とし、気配を殺しながらその広間へと足を踏み入れた。 広間の天井は高く、湿った鍾乳石が無数に垂れ下がっている。その中央、淀んだ地下水が溜まる浅い泥濘の真ん中に、巨大な影が蠢いていた。 (……いたわ) 私の視線が、その異形の塊へと注がれる。 それは、およそ生物としての明確な骨格を持たない、無数の触手が複雑に絡み合った肉塊の集合体だった。 大人の背丈を優に超えるほどの体躯。中心部には脈打つ黒紫色の核のような肉の塊があり、そこから太さも長さもまちまちな無数の触手が、四方八方に蔦のように伸びていた。体表は濡れた油のようにぬらぬらとした光沢を放ち、至る所から透明で粘り気のある分泌液が絶え間なく滴り落ちている。 じゅる、じゅるり、と触手が互いに擦れ合うたびに、空気が生温かく震えた。 触手の表面には、無数の小さな吸盤と、微細な肉の突起がびっしりと並んでいる。それらがうごめくたび、地下水と泥が跳ね、ドロリとした汚濁の匂いが洞窟内に充満していく。 (……素晴らしいわ) 私の胸の奥で、ドロリとした背徳の熱が小さく跳ね上がった。 魔力測定を行うまでもなく、その生命力は低級の魔獣と同等だ。私が指先を軽く薙ぎ払い、ほんの一筋の魔力光をぶつけるだけで、跡形もなく蒸発して消し飛ぶ程度の存在。 圧倒的な弱者。 私という竜の足元に転がる小石よりも脆く、何の脅威にもなり得ない、醜悪な肉の塊。 (あの無数の触手で……全身を絡め取られて、泥の中に引きずり倒されたら……) 想像しただけで、吐息が微かに熱を帯びる。 私は意図的に、自分の足音を立てた。 ジャリ、と湿った泥を踏みしめる音をわざと響かせる。 その瞬間、広間の中央で蠢いていた触手の塊が、ピクリと動きを止めた。 中心の肉塊がギュルリと収縮し、先端の触手たちが一斉に鎌首をもたげる。視覚器官など存在しないはずなのに、獲物の接近を察知した怪物は、その無数の触手を洞窟の岩肌や泥濘へと叩きつけ、激しい水音を立てながら威嚇するように蠢き始めた。 バシャ、ビシャリ、と泥水が跳ね飛ぶ。 「……ふふ。見つかっちゃったわね」 私は防御の術式を完全に放棄し、無防備な身体のまま、その触手の塊へと向かってゆっくりと歩み寄っていった。 怪物の先端から、大人の腕ほどの太さがある一本の触手が、空気を切り裂くような勢いでまっすぐに伸びてくる。 びゅん、と湿った風が私の前髪を揺らした。 避けることは容易い。ただ首を数センチ傾けるだけで、その軌道から外れることができる。あるいは、手を伸ばしてその触手を掴み、怪物の巨躯ごと岩壁に叩きつけることだってできる。 だが、私は動かない。 膝の力を抜き、ただ無防備にその攻撃を待った。 ばちん、と湿った重たい衝撃が、私の右肩を鋭く打った。 「っ……あ……!」 意図的に肉体の強度を落としていたため、衝撃はそのまま私の華奢な身体を揺さぶり、足元の泥濘へとよろめかせた。 靴が泥に足を取られ、体勢が崩れる。 触手は私の肩を打った勢いのまま、瞬時に私の胸元から胴体へと巻き付いてきた。 ぬめりとした冷たい感触が、薄い衣服の上から直接皮膚へと伝わってくる。触手の内側に並ぶ小さな吸盤が、じゅぶ、と音を立てて布地に吸い付き、私の身体を逃すまいと強烈な力で締め上げてきた。 「ん……っ、く……っ」 息が止まる。 触手が一本、胴体に絡みついただけでも、その重みと締め付けは私の華奢な肋骨を軋ませるには十分だった。 怪物は獲物の捕縛に成功したと認識したのか、さらに二本、三本と、周囲の触手を一斉に繰り出してきた。 ずじゅるり、と泥水を跳ね上げながら、太い触手が私の両足へと巻き付く。 「ひゃ……っ!?」 足首からふくらはぎ、そして太腿へと、冷たくてぬめりけのある肉の帯が幾重にも巻き付き、私の下半身の自由を瞬時に奪い去った。 びちゃり、と泥が跳ねる音とともに、私の身体はたまらず前へと倒れ込んだ。 浅い地下水と泥濘が混ざり合う地面に、両膝から崩れ落ちる。冷たい泥水が衣服の裾を濡らし、膝頭からじわじわと体温を奪っていく。 怪物は倒れ込んだ私を引きずり込むように、絡みついた触手を一気に収縮させた。 ずざざ、と私の身体が泥の上を滑り、怪物の巨大な中心核の足元へと強制的に引き寄せられていく。 「あ……っ、待って……引っ張ら……ないで……っ」 抗議の声は弱々しく、洞窟の湿った大気の中に消えていく。 怪物の本体へと近づくにつれ、立ち込める生温かい粘液の臭気が濃厚さを増していった。目の前に迫る、脈打つ黒紫色の肉の塊。そこから伸びる無数の触手が、まるで獲物を完全に呑み込もうとする檻のように、私の頭上を覆い尽くすようにして広がっていく。 私の背中、肩、腕、そして首筋へと、次々に新たな触手が這い上がってきた。 じゅぶ、じゅるり、べちゃ。 無数の吸盤が、私の衣服を押し潰し、露出した肌へと直接吸い付いていく。 「んぁ……っ! つ、冷た……っ、あ……っ」 首筋に触れた触手が、私の細い首を締め上げるように巻き付き、脈打つ頸動脈の上をじくじくと吸い上げた。 ちゅぷ、ちゅるりと、肉と肉が擦れ合う音が耳元で鳴り響く。 痛覚と、息苦しさと、全身を覆い尽くす冷湿な粘液の感触。 それらすべてが、私の内側に眠る暗い渇望を激しく刺激していた。 (あぁ……絡みついてくる……。こんなにも、たくさんの触手が……私を……っ) 泥の中に沈んだ指先を動かそうとするが、両腕にはすでに二本ずつの太い触手が巻き付き、岩肌へと縫い留めるように地面へと押し付けられている。 力を込めれば引きちぎれる。魔力を一瞬通すだけで、この触手など細切れになって飛び散るはずなのだ。 けれど、私の身体は完全に弛緩し、ただその不快で生々しい拘束の感触に震えていた。 怪物の中心核が、グチュリと大きく波打った。 獲物が完全に抵抗力を失ったことを察知したのか、怪物はさらに無数の細い触手を繰り出し、私の衣服の隙間、首元や裾のあたりへと、這い込ませるようにして侵入させ始めた。 「や……っ、そこ……入ってこないで……っ♥️」 掠れた声が、洞窟の暗がりへと甘く響き渡る。 怪物の蠢きは止まらない。 泥水の中に這いつくばる私を完全に自らの肉体の一部へと取り込もうとするかのように、無数の触手はなおも貪欲に、私の身体の隅々へと絡みつき、締め上げ続けていた。 首筋に巻き付いた触手が、じわりと収縮を強める。 細い頸部を圧迫され、喉の奥から小さく掠れた呼気が漏れ出た。 「ふ……っ、く……っ、あ……」 声にならない喘ぎが、湿った大気の中に溶けていく。 怪物の触手からとめどなく分泌される粘液は、体温を奪うような冷たさを持っているにもかかわらず、皮膚に吸着した吸盤の奥からは、じっとりと饐えた微熱が伝わってくる。その相反する感触が、私の感覚をじわじわと麻痺させていた。 私の両腕を泥の中に縫い留めている触手が、さらに太さを増すように筋肉を隆起させた。 じゅぶ、じゅるりと、粘液が泡立つ音が耳元で絶え間なく鳴り響く。 手首から肘、二の腕にかけて何重にも巻き付いた肉の帯は、私の華奢な腕を地面に押し付けたまま、皮膚の表面を削り取るようにじくじくと蠢いている。吸盤が布地を透過し、皮膚を強く吸い上げるたびに、ちゅぷ、ちゅぷと湿った音が洞窟の岩壁に反響した。 (あぁ……動けない……本当に、一本も指が持ち上がらないわ……っ) 泥の中に沈んだ指先が、無力に痙攣する。 普段の私であれば、大気中に満ちる魔力をほんのわずかに励起させるだけで、この程度の締め付けなど紙屑のように引き裂くことができる。星の内海へと至るはずだった強大な力、天を裂く光の槍。そのすべてを自らの手で固く封じ込め、ただの壊れやすい肉の器として、この泥濘の中に投げ出している。 怪物の中心核が、ドロリと重たい音を立てて前進してきた。 脈打つ黒紫色の巨大な肉塊が、泥水を押し分けながら私の目の前へと迫る。腐敗した海藻と生温かい泥が混ざり合ったような特有の臭気が、私の鼻腔を容赦なく満たした。 怪物は私の両足を開かせるように、太腿に巻き付いた触手を左右へと強引に引き絞った。 ぐちゅり、と泥が激しく跳ねる。 「ひゃぁっ……!? あ……っ、そんな……脚を、引っ張らないで……っ♥️」 私の細い下半身が、泥水の中で無様に広げられる。 怪物はその隙間を見逃さず、地面を這う無数の細い触手を、私の太腿の内側へと滑り込ませてきた。 ぬらぬらとした細い触手の先端が、衣服の裾を押し分け、直接私の柔らかな肌へと触れる。 「んっ……! つめ……た……ぁ……っ♥️」 冷たい粘液の筋が、太腿の内側から付け根へと向かって這い上がっていく。その冷湿な刺激に、私の背筋がゾクゾクと甘く震えた。 触手の表面にある微細な肉の突起が、柔らかな皮膚を撫で回すたび、まるで細い針で優しく撫でられているような、くすぐったい刺激が下腹部へと突き抜けていく。 怪物は私の身体の震えを感じ取ったのか、さらに侵入の速度を速めた。 何本もの細い触手が、私の衣服の隙間から胸元や腹部へと潜り込んでいく。 布地の下で、冷たくぬめる異物が皮膚の上を這いずり回る生々しい感触。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ お腹……触らないで……っ、そんな……中で、蠢かれたら……っ」 身を捩ろうとしても、首と両腕、両足を完全に拘束されている私には、泥の中で腰を小さく揺らすことしかできない。 私が身悶えするたびに、泥水と粘液が混ざり合い、ぐちゃ、ぐちゅりと淫靡な水音が広間に響き渡る。 怪物の触手は、私の抵抗をあざ笑うかのように、胸元の薄い布地を押し上げ、私の小さな胸の膨らみへと巻き付いてきた。 ちゅぷ、と吸盤が胸の頂点に吸い付く。 「ひぁっ……!?」 思わず顎が跳ね上がり、背中が小さく反り返った。 敏感な先端を直接吸い上げられ、じわじわと鬱血していくような熱い刺激が走る。 触手は吸い付いたまま、じくじくと筋肉を伸縮させ、私の胸を押し潰すようにして揉み療治を始めた。 「あ……っ、んんぅ……っ♥️ 吸われ……てる……っ、胸、そんな……強く……っ♥️」 声が掠れ、甘い吐息となって洞窟の暗がりへ散っていく。 怪物は知性など持たない。目の前にいる獲物がカルデアの最強のサーヴァントであることも、かつて妖精國を揺るがした竜の残滓であることも知る由がない。 ただ、自らの触手に絡め取られた獲物が、一切の抵抗をやめ、自らの下で無力に震えているという事実だけを、その無機質な触覚で受け止めている。 怪物の中心部から、ひときわ太い触手がぬるりと持ち上がった。 その先端は二股に分かれており、私の顔の真上へと影を落とすように垂れ下がってくる。 ぼた、ぼたと、重たい粘液の雫が私の額や頬へと落ちてきた。 冷たい飛沫が顔を汚し、唇の端へと伝っていく。 「ふ……っ、ぁ……っ。ねえ……私の顔まで、汚すつもり……?」 見上げる私の瞳には、恐怖など微塵もなかった。 濁った青空のような瞳は、快楽の熱に潤み、目の前の醜悪な怪物を甘く見つめている。 怪物の触手が、私の頬をぺたぺたと叩くように撫で回した。 次いで、その先端が私の唇へと割り込むように押し当てられる。 「んむっ……!?」 口内に滑り込んでくる、冷たくてぬめる異物の感触。 生温かい粘液の味が舌の上に広がり、呼吸が塞がれる。 「ん……っ、んんぅ……っ! ふーっ……、ん……っ♥️」 鼻から荒い息を吐き出しながら、私は自らの口内を犯す触手の感触を、ただじっと受け止めていた。 太い触手が口腔を満たし、顎が無理やりに押し広げられる。口端から溢れ出た唾液と怪物の粘液が混ざり合い、顎から首筋へと一筋の濡れた筋を作って垂れ落ちていく。 頭の芯が、じわじわと白く染まっていく。 (あぁ……口の中まで……こんな、汚らわしいものに……っ♥️) 絶対的な強者としての尊厳が、泥と粘液の中に完全に溶け崩れていく感覚。 その完全なる屈服の悦楽が、私の魂を底知れぬ暗がりへと引きずり込んでいく。 怪物は私の口を塞いだまま、全身に巻き付いた触手をさらに激しく蠢かせ始めた。 ずじゅ、ずじゅり、ぐちゅる。 両足の間に入り込んだ触手が、さらに奥へ、私の最も敏感な部分へとそのぬめりけのある先端を押し当ててくる。 薄い下着の布地越しに、丸い吸盤がじくじくと吸い付く感覚。 「んんーっ……! んーっ……!♥️」 声にならない悲鳴が口の中から漏れる。 下腹部の奥がきゅんと鋭く締め付けられ、足の指先が泥を掴むように強く丸まった。 怪物の無数の触手が、私の全身を隙間なく覆い尽くしていく。 上から見れば、泥濘の中に沈んだ小さな少女が、巨大な触手の塊に完全に飲み込まれ、消化されようとしているようにしか見えないだろう。 最強の騎士が、人知れぬ洞窟の底で、一匹の魔獣の触手に弄ばれ、泥水の中で無様に痙攣し続けている。 その背徳的な光景と、全身を貫く甘美な敗北の感覚に、私の心臓は狂ったような早鐘を打ち鳴らし続けていた。 怪物の蠢きは止まらない。 獲物を自らの肉体の一部として同化せんとばかりに、その無数の触手は、なおも貪欲に、無抵抗の私を締め上げ、泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 口内を塞ぐ触手が、じくりと粘液を吐き出しながら奥へとわずかに蠢いた。 「んん……っ、ふーっ……、んぅ……っ」 舌の上に広がる泥と腐敗の混ざり合った生々しい味覚に、喉が勝手に小さく収縮する。呼吸が苦しい。鼻腔から出入りする空気は湿り気と冷気に満ち、肺を冷たく圧迫していた。 口端から溢れ出る液体が、私の顎を伝い、首筋に巻き付く触手との隙間へと流れ落ちていく。 私の首を絞めるように巻き付いた肉の帯は、呼吸のたびに脈打つ私の頸動脈を、吸盤の陰圧で執拗に吸い上げ続けていた。 ちゅぷ、じゅるり、と皮膚が引き絞られる鈍い痛覚。 その痛みすらも、今の私にとっては自らが無力な獲物として扱われていることの動かしがたい証拠だった。 (あぁ……息が……っ。でも、もっと……もっと私を苦しめて……っ) 泥の中に沈む両腕は、二本ずつの太い触手によって地面に完全に縫い留められている。手首に食い込む吸盤が、皮膚の表面を強く引き剥がすように蠢くたび、私の指先が無意識に泥を掻きむしった。 爪の間に黒い泥が食い込み、白く透き通るような肌が汚れに染まっていく。 怪物の中心核が、グチュリと大きく波打った。 私の身体を覆い尽くす無数の触手が、一斉にその締め付けのテンポを速める。 胸元の薄い布地を押し分けて侵入した触手が、私の小さな胸の膨らみを左右から挟み込むようにして、ぐにぐにと形を変えさせながら揉み潰してくる。 「んんっ……! んーっ……!♥️」 布の下で擦れ合う皮膚と肉の突起。 吸盤が胸の頂点に吸い付いたまま、じくじくと引っ張られる刺激に、私の腰が泥の中で小さく跳ね上がった。 怪物はその反応を見逃さない。 私の太腿の間に割り込んでいた何本もの細い触手が、さらに深く、私の脚の根元へとそのぬめりけのある先端を潜り込ませてきた。 薄い下着の布地が、怪物の分泌する大量の粘液によって完全に濡れそぼり、肌にぴったりと張り付いている。 その濡れた布地の上から、触手の丸い吸盤が、私の最も熱を持った割れ目の部分へと直接押し当てられた。 ちゅぷぅ、と強い吸着音が下腹部から響く。 「んんぅーっ……!? ふーっ、ん……っ♥️」 口を塞がれたまま、私の喉から甘く裏返った悲鳴が漏れ出た。 下腹部の芯を直接貫くような強烈な刺激。 冷たい粘液が布地を透過して私の秘所へとじっとりと浸透し、皮膚の熱を奪いながら、代わりに怪物の放つ饐えた微熱を擦り付けていく。 ひやりとして、生温かい。 矛盾した温度の濁流が、私の下腹部を麻痺させるように侵食していく。 触手は吸い付いたまま、先端を小刻みに震わせ、私の割れ目をなぞるようにしてじわじわと上下に動き始めた。 ぐちゅ、じゅるり、くちゅ。 粘液と布地、そして私の肌が擦れ合う音が、洞窟の湿った静寂にどこまでも淫靡に響き渡る。 怪物の触覚器官が、私の下腹部から発せられる熱と湿り気を感じ取ったのか、さらに周囲の細い触手までもが私の脚の付け根へと群がるように集まってきた。 二本、三本と、太腿の内側に新たな触手が潜り込み、私の柔らかな肉を押し分けながら、次々に吸盤を吸い付かせていく。 「ん……っ、んんぅーっ……!♥️」 私の両足は、怪物の触手によって無理やりに大きく開かれたまま、泥水の中で小刻みに震えていた。 太腿の内側、付け根、そして下腹部。 あらゆる敏感な場所に無数の吸盤が吸い付き、一斉に筋肉を収縮させて皮膚を吸い上げる。 無数の小さな口に、全身の柔らかな肉を貪り食われているような錯覚。 (すごい……こんなに、いっぱいの触手が……私の身体を……っ♥️) 背筋を駆け抜ける快感の電撃に、私のつま先がピント伸び、泥水を跳ね上げた。 怪物は獲物が完全に自らの意のままになっていることを確信したのか、私の口を塞いでいた触手を、じゅるりと音を立ててゆっくりと引き抜いた。 「ぷはっ……! ぁ……っ、はーっ……、はーっ……っ!」 解放された口から、濁った呼気と唾液の糸が一気に吐き出される。 顎を泥水で濡らしながら、私は荒い息を繰り返した。 冷たい空気が肺腑を満たし、喉がヒリヒリと痛む。 けれど、私の唇は、休むことなく自ら敗北の言葉を紡ぎ始めた。 「……はぁ……っ、ふふ……っ。私の……負けよ……っ。こんな……名前もない、ただの触手の魔物に……私、完全に捕まっちゃった……っ♥️」 声は甘く掠れ、洞窟の岩壁に反響して怪物の中心核へと届く。 怪物は私の言葉など理解しない。 ただ、獲物が再び呼吸を始め、身体を震わせていることだけを感じ取り、中心核をギュルリと蠢かせた。 怪物の頭上から、さらに太い別の触手が、私の胸元へと容赦なく振り下ろされた。 ずしん、と重たい衝撃が私の胸郭を押し潰す。 「ぐ……っ、ぁ……っ! 重……っ♥️」 息が止まる。 泥の中に埋もれていた私の背中が、さらに深く冷たい土の中へと沈み込んだ。 胸の上に乗った太い触手は、私の華奢な身体を押し潰したまま、その重量のすべてを預けてくる。 肋骨がきしむ音。 息ができないほどの圧倒的な圧迫感。 (あぁ……苦しい……。潰されちゃう……っ♥️) その苦痛こそが、私が求めていた極限の快楽だった。 最強の妖精騎士ランスロットが、誰にも知られない特異点の底で、魔獣の触手に押し潰され、泥水に塗れて息絶えようとしている。 その圧倒的な無力感と自己否定の恍惚が、私の脳を甘く痺れさせていく。 「マスター……見て……。あなたの最強の騎士は……こんな、無様な姿で……魔物の玩具にされてるのよ……っ♥️」 泥に顔を半分埋めたまま、私は誰にともなく甘い懺悔を囁き続けた。 「もう……戻れないわ……。こんな風に、全身を触手で犯されちゃったら……私……もう、あなたの誇らしい騎士になんて……戻れない……っ♥️」 怪物の蠢きは、さらに激しさを増していく。 胸の上に乗る太い触手が波打ち、太腿の間に群がる細い触手たちが、私の下腹部をじくじくと吸い上げながら、なおも深く、深く、私を泥の深淵へと引きずり込み続けていた。 太腿の付け根に密集した細い触手たちが、じゅるりと音を立ててさらに奥へと潜り込んできた。 薄い下着の布地はすでに限界まで押し広げられ、怪物の分泌する大量の粘液によって繊維の隙間まで完全に浸食されている。 冷たくて生温かい肉の先端が、布地を押し除けるようにして、私の最も敏感な粘膜の入り口へと直接擦り付けられた。 ぬちり、と濡れた肉同士が密着する重たい音が立つ。 「ひゃぁっ……!? あ……っ、そこ……直に……触っちゃ……だめ……っ♥️」 私の腰が、泥水の中で大きく跳ね上がった。 けれど、胸の上に乗る太い触手と、両腕を縫い留める拘束が、私の身体を無慈悲に地面へと押し戻す。 逃げ場のない衝撃が下腹部を直撃し、背筋の芯を電撃のような痺れが駆け抜けた。 触手の先端にある小さな吸盤が、私の濡れそぼった割れ目の中心を、ちゅぷ、と音を立てて直接吸い上げた。 「んぁぁっ……! あ……っ、痛……っ、ううん……吸われ……てる……っ♥️」 声が裏返り、洞窟の暗がりへと高く響き渡る。 敏感な粘膜を引き絞られるような鋭い刺激。 怪物は私の反応を確かめるかのように、一度吸い付いた先端を離さず、じくじくと細かく筋肉を伸縮させながら、私の秘所を吸い上げ続けた。 同時に、周囲の別の触手たちが、私の太腿の内側の柔らかい皮膚をペタペタと叩くように蠢き、粘液を擦り付けていく。 じゅぶ、じゅるる……ぐちゅり。 私の下半身から響く水音は、もはや洞窟を滴る水滴の音を完全に掻き消していた。 怪物の中心核が、歓喜に震えるように大きく脈打った。 獲物が完全に抵抗の意思を失い、自らの触手の下でただ快楽に喘いでいることを、その原始的な本能で感じ取っているのだ。 怪物は私の首筋に巻き付いていた触手をわずかに緩めると、今度はその先端を私の鎖骨から胸元へと滑り落としてきた。 衣服の襟ぐりを押し広げ、露わになった白い胸の谷間へと、太い触手がずぶりと割り込んでくる。 「あ……っ、胸の間に……入って……っ♥️」 冷たい粘液が谷間を満たし、皮膚と皮膚の間に生温かい膜を張る。 触手は私の両胸を左右へと押し広げるようにして、その太い体躯を擦り付け、じくじくと前後に動き始めた。 ちゅぷ、じゅるり、べちゃり。 私の胸元で、肉と触手が擦れ合う生々しい音が跳ねる。 「んんっ……! は……っ、あぁ……っ♥️ そんな……胸で、扱かないで……っ。私……壊れちゃう……っ♥️」 口から零れる言葉は、もはや制止のためではなく、怪物の暴虐をさらに煽り立てるための甘い燃料でしかなかった。 怪物は私の喘ぎ声に応じるように、胸元の触手をさらに激しく蠢かせ、同時に下腹部に吸い付いた触手を、私の秘所の奥へとわずかに押し込んできた。 ぐにゅり、と湿った異物が入り口を押し広げる感触。 「ひあっ……!? 入……っ、入って……きちゃう……っ♥️」 私の瞳から、快楽の涙がポロポロと零れ落ち、泥の中に吸い込まれていく。 最強の竜の残滓たる私の身体が、一匹の魔獣の触手によって、完全に暴かれ、弄ばれ、汚し尽くされている。 その圧倒的な屈辱と、全身を焼き尽くすような悦楽。 (あぁ……マスター……ごめんなさい……っ。私……こんな、こんなところで……っ♥️) 心の中で繰り返される懺悔は、もはや何の抑止力も持たなかった。 彼を裏切っているという強烈な罪悪感こそが、今の私にとって最も甘美なスパイスだった。 怪物の全身が、大きく波打った。 無数の触手が一斉に収縮し、私の身体を地面からわずかに持ち上げるようにして、宙へと浮かせた。 「あ……っ、浮い……ちゃう……っ」 泥水から引き離された私の身体は、いまや無数の触手の網によって完全に宙吊りにされていた。 首、両腕、両足、胸、そして下腹部。 全身のあらゆる場所に絡みついた触手が、私の体重を支えながら、じくじくと蠢き、私の肌を擦り上げている。 宙に浮いたまま、私は無力に手足を垂らし、怪物の蠢きに合わせて小さく揺れていた。 怪物の中心核から、さらに何本もの細い触手が伸びてきて、私の背中や腰、太腿の裏側へと巻き付いていく。 全身が、完全に触手の塊の中に埋没していく。 「あぁ……っ、全部……あなたの肉の中に……呑まれちゃう……っ♥️」 私の掠れた声が、洞窟の奥深くへと吸い込まれていく。 怪物の蠢きは止まらない。 自らの完全な勝利を誇示するかのように、無数の触手はなおも貪欲に、宙吊りにした私の身体を締め上げ、弄び、泥と粘液の深淵へと引きずり込み続けていた。 宙吊りにされた私の華奢な身体を、無数の触手がまるで繭のように幾重にも包み込んでいく。 背中から腰、そして太腿の裏側へと回り込んだ太い触手たちが、私の背骨のラインを押し軋ませるようにして収縮を繰り返した。 ずじゅ、ずじゅり、と筋肉の塊が擦れ合う鈍い音が、私の骨を通して直接頭蓋へと響いてくる。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ 背中……そんなに、締めないで……っ」 首筋に巻き付く触手がじわりと引っ張られ、私の細い首が強制的に後ろへと反らされた。 喉仏が露わになり、浅い呼吸に合わせて胸元が激しく上下する。 頭上には、湿った鍾乳石から滴る水滴と、怪物の中心核から垂れ落ちる黒紫色の粘液の雨。 冷たい飛沫が私の顔や鎖骨に降り注ぎ、肌の上で体温と混ざり合って生温かい雫となって流れ落ちていく。 私の下腹部に吸い付いていた触手の先端が、さらに深く、私の秘所の入り口を押し広げるようにして圧力を強めた。 ぐちゅり、と湿った粘膜が擦れ合う音が、静まり返った洞窟内にひときわ高く響く。 「ひぁっ……! んんっ……、だめ……っ、それ以上……入っちゃ……いやぁ……っ♥️」 抗議の声は甘く掠れ、もはや哀願のような響きを帯びていた。 怪物は私の懇願など意に介さず、ただ本能の命ずるままに、己の触手を私の身体の奥深くまで侵入させようと蠢きを加速させる。 触手の表面にある微細な突起が、私の柔らかな粘膜をじくじくと擦り上げるたび、下腹部の奥がきゅんと鋭く締め付けられ、全身の筋肉が快感のあまり硬直した。 「あ……っ、んんぅーっ……!♥️」 両足が宙で小さく痙攣する。 足首に巻き付いた触手が、私の脚をさらに大きく左右へと引き絞り、無防備に晒された私の最奥を、怪物の中心核へと見せつけるように固定した。 怪物の中心核が、グチュリと大きく脈打った。 核の表面にある裂け目から、ひときわ濃厚な透明の粘液がドロリと溢れ出し、私の胸元から腹部へと一気に流れ落ちてくる。 「つ、冷た……っ、あ……っ♥️ なに……そんなに、いっぱい……っ」 皮膚を滑り落ちる粘液の重みが、私の全身を冷湿な膜で覆い尽くしていく。 私の純白の衣服は、もはや原形を留めないほどに泥と粘液で汚れきり、肌にぴったりと張り付いて半透明に透けていた。 銀色の髪も、毛先までぐしゃぐしゃに濡れそぼり、私の肩や背中に無造作に張り付いている。 かつてカルデアで誰よりも凛々しく、誰よりも気高く微笑んでいた妖精騎士ランスロットの姿は、どこにもない。 そこにいるのは、名もなき特異点の洞窟の底で、醜悪な魔獣の触手に宙吊りにされ、快楽に喘ぎ続ける、一匹の無力な雌だった。 (あぁ……私、本当に……全部、奪われちゃった……っ) 誇りも、強さも、騎士としての矜持も。 この腰ほどの大きさもないはずの魔獣によって、ひとつ残らず踏みにじられ、泥の中に沈められている。 その完全なる敗北の感覚が、私の心を底知れぬ安心感で満たしていた。 もう、戦わなくていい。 誰かの期待に応えるために、最強の刃として立ち続ける必要もない。 ただこうして触手に絡め取られ、圧倒的な暴力に身を任せ、無力な獲物として弄ばれていればいい。 「マスター……見て……。あなたのメリュジーヌは……こんなにも、弱くて……無様なのよ……っ♥️」 宙を見つめたまま、私は誰にともなく甘く蕩けた敗北の言葉を紡ぎ続けた。 「私は……この怪物に負けたの……。もう、あなたの騎士には……戻れないかもしれないわ……っ♥️」 怪物は私の言葉に応えるかのように、全身の触手を一斉に波打たせた。 ずじゅるり、ぐちゅ、べちゃり。 私の全身を締め上げ、擦り上げ、弄び尽くす、無機質な暴力の嵐。 私はただその快楽の濁流に身を委ね、洞窟の暗がりの中で、甘い喘ぎ声をどこまでも響かせ続けていた。 宙吊りにされた私の細い四肢を支える触手たちが、じくじくと筋肉を波打たせるたび、濁った水滴が洞窟の底へと落ちて跳ねた。 首筋と両手首、そして左右に大きく引き絞られた太腿の付け根。全身の急所という急所に食い込んだ吸盤が、皮膚を丸く引き絞るように陰圧をかけ続けている。呼吸を吸うたびに、胸の上に乗る太い肉塊が肋骨を圧迫し、肺から吐き出される吐息は自然と熱を帯びた掠れ声へと変わっていった。 「ん……っ、ふぅ……っ、ぁ……っ♥️」 視界は湿り気で白く霞み、鼻腔は怪物の放つ饐えた粘液の臭気で満たされている。 本来の私であれば、大気中に漂う極小の魔力をわずかに収縮させるだけで、この程度の軟体生物など一瞬で塵芥へと変えられる。星の内海へと届くはずだった強大な力、天を裂く光の槍。そのすべてを自らの手で深奥へと沈め、ただの脆い肉の器として無防備に晒すことで得られる、底知れぬ安らぎ。 (……このまま、この一匹に全部飲み込まれて終わるのかしら) 頭の芯を痺れさせるような弛緩と、微かな物足りなさ。 その感覚が脳裏をかすめた、まさにその瞬間だった。 ――ずち、じゅるり。 洞窟の奥、濡れそぼった岩壁の亀裂から、乾いた石が擦れ合うのとは異なる、酷く生々しい肉の擦過音が響いた。 一つではない。 二つ、三つ、十、二十。 暗がりを隔てた壁面のあちこちから、水気を過剰に含んだ泥が爆ぜるような、重たく粘りつく水音が連鎖的に湧き起こる。 「……っ?」 私は塞がれかけた瞼をわずかに持ち上げ、首を縛る触手の隙間から、薄暗い洞窟の壁面へと視線を向けた。 鍾乳石が垂れ下がる湿った岩肌。その無数に走る亀裂の裂け目が、内側から押し広げられるようにして盛り上がっていた。 ぼたぼたと大量の透明な粘液が岩肌を滑り落ち、地下水が溜まる泥濘を激しく叩く。 裂け目の奥から這い出してきたのは、今まさに私を宙吊りにしている個体と同種、あるいはそれ以上に肥大化した無数の触手型の魔物たちだった。 ぬらぬらとした油のような光沢を放つ褐色の肉塊が、壁の隙間から次から次へと溢れ出してくる。 あるものは大人の胴回りほどもある太い触手を何本も蠢かせ、あるものは無数の細い触手を百足のように波打たせながら、湿った岩肌を滑り降りてくる。 じゅぶ、じゅるる、ぐちゅり、べちゃり。 洞窟全体を揺るがすような湿潤な蠢きの音。 滴り落ちる粘液の雨が、地下水の水面を無数に波打たせ、生温かい蒸気と腐敗した果実のような濃厚な異臭が、一瞬にして広間の空気を塗り替えていく。 (……あ) 私の胸の奥で、眠らせていたはずの炉心がトクンと鋭く跳ね上がった。 一匹だけではなかった。 ここは、この異形の魔物たちが無数に群れを成して蠢く、本拠地の最深部だったのだ。 私が今まで感じていた重圧、私の全身を貪るように弄んでいた目の前の個体。それは、この巣窟に巣食う無数の群れの中の、ほんの端緒――たった一体による、前座の戯れに過ぎなかった。 (嘘……こんなに……こんなにたくさん、いたの……?) 見上げる視界のすべてが、蠢く触手の肉壁で埋め尽くされていく。 壁から、天井から、足元の泥濘から。四方八方のあらゆる暗がりから、新たな触手の魔物たちが、泥水の中に吊るされた唯一の獲物――私を見つめるようにして、無数の触手を鎌首のように持ち上げていた。 知性などない。会話など通じない。 ただ飢えと捕食の本能、そして目の前にある無力な雌の肉体を完全に自らの体液で染め上げようとする、原始的な衝動の群れ。 これから私の身に何が起こるのか。 一匹にすら抗えず、無様に喘ぎながら宙吊りにされている私の華奢な身体が、この無数に群がる怪異たちによってどのように解体され、どのように蹂躙され尽くすのか。 その光景が、現実の質感を持って脳裏に焼き付いた瞬間――。 私の全身の皮膚という皮膚が、耐え難いほどの戦慄によって粟立った。 「あ……っ、あぁ……っ」 恐怖ではない。 背筋の芯を焼き焦がすような、狂おしいまでの歓喜と背徳の震え。 泥の中に沈んだ指先が、首筋が、左右に開かれた太腿の柔らかな肉が、これから訪れる絶対的な暴力の予感に、小刻みに、だらしなく打ち震えていた。 (まだ……序の口だったのね……っ。私、まだ……何も奪われていなかったんだわ……っ♥️) 群がる無数の魔物たちが、一斉に濡れた触手を伸ばし、私の身体へと殺到してくる。 空気を切り裂く湿った風が、私の乱れた銀髪を激しく吹き散らした。 最初に到達したのは、天井の亀裂から垂れ下がってきた、ひときわ長い三本の触手だった。 びしゃん、と重たい粘液の塊が私の無防備な鎖骨へと叩きつけられる。 「ひゃぁっ……!?」 冷たい飛沫が喉元を濡らし、次いで、その先端にある巨大な吸盤が、私の右肩から鎖骨の窪みにかけてを、肉ごと引き絞るようにして深々と吸着した。 ちゅぷぅ、じゅるるり。 強い陰圧が皮膚を引っ張り上げ、一瞬で毛細血管が鬱血していく熱い痛みが走る。 間髪を入れず、残る二本の触手が私の無防備な脇腹へと巻き付いた。 薄い衣服の布地を押し潰し、肋骨の隙間へと肉の帯がめり込んでくる。 「ぐ……っ、あ……っ! 横から……そんな……締められたら……っ♥️」 内臓が押し潰されるような物理的な圧迫感。 だが、それは始まりの合図に過ぎなかった。 壁面から滑り降りてきた別の個体が、私の宙吊りにされた両足へと群がり、無数の細い触手を蔦のように絡めつけていく。 ふくらはぎ、膝の裏、太腿の内側。 一本の触手に対して、さらに三本、四本と新たな肉の帯が重なり合い、何重もの強固な層となって私の脚を締め上げていく。 じゅぶ、じゅるり、ぐちゅ、べちゃ。 触手同士が擦れ合い、互いの分泌する粘液が泡立って、私の皮膚の上でドロドロの膜を形成していく。 「あぁ……っ、重い……っ、足が……何本も……絡みついて……っ♥️」 私の両足は、増大していく重量によってさらに大きく左右へと押し広げられ、股関節がきしりと音を立てた。 抵抗など微塵もできない。 意図的に力を抜いているとはいえ、これほど無数に群がる怪物の物理的な質量を前にしては、私の華奢な肉体はただの頼りない小枝と同等だった。 太腿の根元に群がった細い触手たちが、先ほどの一匹によって濡れそぼっていた下着の布地を、容赦なく押し分け、引き裂くようにして奥へと潜り込んでくる。 「やぁっ……! そこ、いっぱい……入ってきちゃ……だめぇ……っ♥️」 私の悲鳴など、怪物たちにとってはただの空気の振動でしかない。 先端の尖った触手、丸い吸盤を持つ触手、微細な肉の突起が無数に生えた触手。 形状の異なる無数の異物が、私の最も熱を持った割れ目の粘膜へと、我先にと直接擦り付けられていく。 ぬちり、じゅる、くちゅり。 濡れた肉同士が隙間なく擦れ合い、粘液が激しく泡立つ音が下腹部から絶え間なく跳ね上がった。 「ひぁっ……! んんぅ……っ、吸われ……てる……っ、一匹じゃない……全部が、吸い付いて……っ♥️」 割れ目の中心、敏感な突起、そして入り口の粘膜。 あらゆる場所に異なる吸盤が吸着し、それぞれが勝手なリズムで筋肉を収縮させて皮膚を吸い上げる。 無数の口に、私の最も秘められた部分を同時に貪り食われているような、過剰なまでの刺激。 背筋を電撃のような痺れが駆け抜け、私の腰が宙でビクンと大きく跳ね上がった。 けれど、跳ね上がった腰は、すぐさま上から覆い被さってきた別の太い触手によって、無慈悲に泥濘の方向へと押し戻される。 ずしん、と重たい衝撃が下腹部を直撃した。 「ぐ……っ、ぁ……っ♥️」 息が止まり、口端から透明な唾液がツゥと一筋垂れ落ちる。 怪物の群れは、私の反応を確かめるかのように、さらにその包囲網を狭めていった。 天井から、壁から、地面から。 無数に伸びる触手の先端が、私の純白の衣服の隙間を見つけ出し、容赦なく侵入していく。 胸元の襟ぐりを押し広げ、両胸の膨らみへと何本もの触手が同時に巻き付く。 ちゅぷ、ちゅるる、じゅぶ。 左の胸を二本の触手が揉み潰し、右の胸の頂点を別の触手が吸盤で深々と吸い上げる。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ 胸……そんな、四方八方から……引っ張られたら……ちぎれちゃう……っ♥️」 乳房の皮膚が限界まで引き絞られ、じくじくと熱い痛覚が広がる。 痛いのに、苦しいのに、身体の奥底からはとめどなく甘い蜜が湧き出し、太腿の内側を濡らしていく。 私の身体は、いまや完全に触手の塊によって埋没しかけていた。 銀色の髪は大量の粘液で完全に濡れそぼり、額や頬に無造作に張り付いている。 白く透き通るような肌は、至る所に吸盤の跡を刻まれ、赤紫色の鬱血の斑点で埋め尽くされていく。 (あぁ……見渡す限り、全部……触手……っ) 虚ろに開かれた青い瞳に映るのは、蠢く肉の天井と、滴り落ちる粘液のカーテン。 最強の妖精騎士ランスロット。 汎人類史の英霊の名を冠し、妖精國で誰よりも気高く、誰よりも恐れられた白き竜。 その私が、いまや人知れぬ洞窟の底で、数十匹にも及ぶ下等な魔獣の群れに組み敷かれ、無力な雌として泥と粘液の海に沈められている。 (マスター……見て……。これが、あなたの騎士の……本当の姿よ……っ♥️) 心の中で、届くはずのない懺悔を呟く。 彼を裏切り、彼の与えてくれた誇りを泥の中に投げ捨てる背徳感。 そして、絶対的な強者から最底辺の獲物へと転落し、無数の暴力にただ身を任せることの圧倒的な快楽。 その二つが濁流となって私の理性を完全に押し流していく。 洞窟の奥から、ひときわ巨大な中心核を持つ主とおぼしき魔物が、ドロリと重たい音を立てて泥濘を滑り寄ってきた。 大人の身体を優に数倍は包み込めるほどの、黒紫色の肉の山。 その中心に穿たれた巨大な裂け目が、獲物を丸呑みにせんとばかりに、ペチャペチャと粘液を撒き散らしながら開閉を繰り返している。 「あ……っ、一番……大きいの、が……っ」 私の掠れた声が、湿った洞窟の暗がりへと甘く溶けていく。 無数の触手に宙吊りにされ、全身を弄ばれながら、私はその巨大な肉塊が迫り来るのを、ただただ熱く潤んだ瞳で見つめ続けていた。 群れを統べる巨大な中心核が、泥濘を割りながら私の眼前へと迫る。 ずざざ、じゅるり、と地下水を押し分ける重厚な水音が、洞窟の岩肌を低く震わせていた。 私の四肢と胴体を縛る無数の触手たちは、その主の接近を歓迎するかのように、より一層激しく筋肉を収縮させ、宙吊りにした私の華奢な身体を、巨大な肉塊の裂け目へと差し出すように位置を低く下げた。 泥水の水面からわずか数寸の高さ。 私の背中や腰は、すでに地面に溜まった冷たい泥水に半分浸かり、上からは無数の触手が山のように覆い被さっている。 冷気と生温かい粘液の熱が、私の肌の上で狂おしいほどに混ざり合っていた。 「ふ……っ、ぁ……っ、ん……っ」 荒い息を吐き出すたび、口元に垂れ下がる触手がペタペタと私の唇を叩く。 巨大な魔物の中心部――あの湿った筋肉の裂け目から、湯気のような生温かい蒸気とともに、強烈な腐植の臭気が吹き付けてきた。 裂け目の内側には、幾重にも重なる無数の肉の襞と、細かな突起がびっしりと蠢いている。 (あそこに入れられたら……私の身体なんて、ひとたまりもないわ……っ) 骨が軋むほどの圧迫、全身を余すところなく包み込む生々しい肉の壁。 想像しただけで、下腹部の奥がきゅんと鋭く収縮し、太腿の内側を伝う蜜の量が増していく。 巨大な魔物は、獲物が完全に無力化されていることを確かめるように、その裂け目の周囲から伸びる太い触手を、私の下半身へと一斉に伸ばしてきた。 びちゃ、ぐちゅりと、私の両足を拘束していた触手たちの上から、さらに太い肉の帯が何重にも巻き付いていく。 「ひゃぁっ……! 重……っ、あ……っ、そんなに乗せないで……っ♥️」 足首から太腿の付け根にかけて、何十本もの触手が幾重にも折り重なり、私の脚はもはや一本の巨大な肉の柱のように固められてしまった。 左右に限界まで引き広げられたまま、私の最も敏感な秘所が、無防備にその巨大な裂け目の前へと晒される。 魔物の裂け目から、ひときわ太く、ぬらぬらと濡れた先端部が、じゅるりと音を立ててせり出してきた。 大人の腕ほどもある太さ。 その先端には円形に開閉する口器があり、絶え間なく粘液を吐き出しながら、私の濡れそぼった割れ目へと真っ直ぐに狙いを定めていた。 「嘘……そんな……大きいの……っ、入るわけ……っ♥️」 抗議の声は、もはや言葉の形を保てず、甘い喘ぎとなって漏れ出る。 怪物は私の懇願など聞き入れるはずもなく、その太い先端を、私の割れ目の中心へと強引に押し当ててきた。 ぐにゅり、と重たい圧力が粘膜を押し潰す。 「んぁぁーっ……!?」 背中が弓なりに反り、泥水が激しく跳ね上がった。 冷たくて、生温かい巨大な異物が、私の狭い入り口を無理やりに押し広げようと圧力を強めていく。 薄い皮膚が限界まで引き伸ばされ、裂けるような鋭い刺激が走る。 けれど、私の肉体は、自らその侵入を拒むどころか、怪物の放つ圧倒的な暴力に屈するように、奥から溢れ出る蜜でその侵入を迎え入れてしまっていた。 ぬちり、ぐちゅ……じゅるるり。 太い触手の先端が、じわじわと、私の最も奥深い肉の襞へとめり込んでいく。 「あ……っ、入っ……て……っ、太……っ、壊れちゃう……っ♥️」 声が裏返り、私の瞳から快楽の涙がポロポロと零れ落ちて泥水の中に消えていく。 体内を満たす、異様な質量と冷湿なぬめり。 触手の表面にある微細な突起が、私の膣壁を余すところなく削り取るように擦り上げながら、ゆっくりと奥へ奥へと侵入を深めていく。 ちゅぷ、ちゅるり、ぐちゅる。 下腹部から響く生々しい水音が、洞窟の静寂を完全に支配していた。 魔物は私の体内へと触手を半分ほど埋め込むと、そこで一度動きを止め、内部で筋肉を大きく膨張させた。 ずじゅん、と下腹部の内側から押し広げられるような強烈な衝撃。 「ひゃぅっ……! んんーっ……!♥️」 息が完全に止まる。 お腹がポコリと外側から分かるほどに盛り上がり、内臓が持ち上げられるような圧迫感が走る。 動けない。 全身を無数の触手に縫い留められ、体内を巨大な魔物の触手で完全に占有されたまま、私はただ泥水の上で小さく痙攣することしかできなかった。 周囲の触手たちが、私の身体をさらに弄ぶように蠢きを加速させる。 両胸を揉み潰す触手が、吸盤で乳首を強く引き絞りながら前後に擦れ動く。 首筋を絞める触手が、頸動脈を吸い上げながら私の顎を無理やりに上へと押し上げる。 両腕を縛る触手が、私の指先を一本ずつ泥の中に押し込み、自由を完全に奪い去る。 「ん……っ、ふーっ……、んんぅ……っ♥️」 全身のあらゆる感覚器官が、異なる怪物たちの暴力によって同時に蹂躙されていく。 最強の騎士という矜持。 誇り高き竜の誇り。 そんなものは、この暗い洞窟の泥濘の中で、何十匹もの魔獣たちの粘液と肉塊の下に、完全に埋没していた。 (あぁ……私、本当に……ただの、無力な雌……っ) 心の中で、その言葉を何度も何度も反芻する。 誰にも助けを呼べない。 誰にもこの無様な姿を見られることはない。 ただこの魔物たちの巣窟で、自ら差し出した身体を好きなように犯され、泥の中で喘ぎ続けること。 その完全なる敗北の悦楽に、私の魂はどこまでも深く、甘く、沈み込んでいく。 魔物の太い触手が、私の胎内深くで、ゆっくりとピストン運動を始めた。 ぐちゅ、じゅるり、ずち、ずじゅる。 引き抜かれるたびに粘膜が擦れ、押し込まれるたびに下腹部の奥が鋭く疼く。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ 動い……ちゃ……っ、やぁ……っ、そんな……奥まで……突かないで……っ♥️」 掠れた悲鳴が、洞窟の天井に反響する。 怪物の蠢きは止まらない。 むしろ、獲物が完全に自らの支配下で蕩けきっていることを確信した群れ全体が、歓喜に震えるように一斉に触手を波打たせ、私という極上の生贄を、より深く、より暗い汚濁の深淵へと引きずり込み続けていた。 胎内を擦り上げる太い触手のリズムが、泥水の中で小刻みに跳ねる私の腰の動きを完全に支配していた。 ずち、ぐちゅり、じゅるる。 押し込まれるたびに下腹部が内側から異様に膨らみ、引き抜かれるたびに濡れそぼった粘膜が吸盤の陰圧で引っ張られ、ちゅぷりと淫靡な音を立てて空気を孕む。 「あ……っ、んんぅ……っ♥️ お腹……変になっちゃう……っ、そんな……太いので……掻き回されたら……っ」 首筋を拘束する触手に顎を押し上げられたまま、私は視界を白濁させた瞳で虚空を見上げていた。 頭上から降り注ぐ粘液の雨が、私の顔や胸元を絶え間なく濡らし、肌の上に冷湿な膜を幾重にも重ねていく。 私の純白の衣服は、もはや繊維の原型を失い、泥と怪物の分泌液によって半透明の薄皮のように肌に張り付いていた。 引き裂かれた布地の隙間から露出した白い肌には、無数に群がる触手たちの吸盤によって、赤や紫の生々しい鬱血痕が無数に刻み込まれている。 それはまるで、この洞窟に巣食う魔物たち全員によって、私という獲物の全身に刻印された、完全な所有の証のようだった。 (あぁ……身体中、全部……跡だらけ……っ) 首筋、鎖骨、胸の谷間、脇腹、下腹部、そして太腿の内側。 指の先からつま先に至るまで、私の身体の隅々が怪物の体液で汚され、吸い上げられ、蹂躙されている。 その事実を皮膚の至る所で感じるたび、私の胸の奥に眠る炉心が、甘い熱を放ってドクドクと脈打った。 巨大な魔物の中心核が、グチュリと大きく波打つ。 胎内を犯す触手がさらに奥深くへと押し込まれ、子宮の入り口を直接小突くような鈍い衝撃が走った。 「ひゃぅっ……!? あ……っ、そこ……だめ……っ、奥……突いちゃ……いやぁ……っ♥️」 思わず背中が跳ね上がり、両手の指先が泥を激しく掻きむしった。 爪の間に黒い土が深く食い込む。 けれど、胸の上に乗る何本もの触手が、私の身体を容赦なく泥水の中へと押し潰す。 ずしん、と重たい衝撃が胸郭を軋ませ、肺の中の空気が強制的に絞り出された。 「ぐ……っ、ぁ……っ! 重……っ、潰れ……ちゃう……っ♥️」 苦しい。本当に死んでしまうのではないかというほどの重圧。 だが、その圧倒的な暴力に晒されながら、私の口端からは、だらしなく甘い笑みが零れ落ちていた。 最強である私が、最も無力な状態で、何十匹もの魔物の下敷きになって喘いでいる。 この倒錯した構図こそが、私の魂を底知れぬ快楽で満たしていた。 周囲を取り囲む無数の細い触手たちが、私の下腹部に密集し、太い触手が侵入している結合部の周囲をペタペタと叩くように蠢き始めた。 じゅぶ、じゅるる、ぐちゅり。 溢れ出る私の蜜と、怪物の粘液が混ざり合い、真っ白な泡となって太腿の間に広がっていく。 「あぁ……っ、見て……私の下半身……ドロドロよ……っ♥️」 泥水の中に顔を半分埋めたまま、私は誰にともなく甘く蕩けた敗北の言葉を紡ぎ続けた。 「私は……あなたたちのものよ……。こんな……下等な触手の群れに負けて……ただ犯されるだけの……無力な雌なの……っ♥️」 怪物の群れは、私の言葉に応じるように、全身の触手を一斉に波打たせた。 天井から垂れ下がる触手が、私の銀髪を絡め取って後ろへと引っ張り、私の無防備な喉元を露わにさせる。 壁から伸びる触手が、私の両胸を左右から挟み込み、さらに強く揉み潰す。 足元を這う触手たちが、私の太腿をさらに大きく押し広げ、無防備な最奥を魔物の巨躯へと見せつけさせる。 そして、胎内を犯す太い触手が、そのピストンの速度を一気に加速させた。 ずじゅ、ずじゅり、ぐちゅ、べちゃり。 洞窟全体を満たす、圧倒的な汚濁と快楽の嵐。 私はもう、自分がカルデアのサーヴァントであることすら忘れ、ただその快楽の泥濘の中へと、どこまでも深く、深く、沈み続けていた。 胎内を突き上げる太い肉の感触が、限界まで張り詰めた私の粘膜を容赦なく擦り上げていく。 ずち、ずち、ぐちゅるるり。 下腹部の奥深くを抉るような鋭い刺激が繰り返されるたび、私の背筋を電撃のような痺れが駆け抜け、つま先が泥水の中でピント伸びきった。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ もう……だめ……っ、頭……おかしくなっちゃう……っ♥️」 声が裏返り、洞窟の暗がりへと高く響き渡る。 魔物の触手は、獲物が絶頂の淵に立たされていることをその皮膚感覚で察知したのか、胎内での蠢きをさらに激化させ、先端の吸盤で子宮口を強く吸い上げながら、筋肉を小刻みに痙攣させ始めた。 じゅぷぅ、ちゅるる、ぐちゅ。 「ひゃぁぁっ……! あ……っ、吸われ……てる……っ、奥……吸われちゃ……っ♥️」 私の身体が、激しい快感の波に呑まれて大きく弓なりに反り上がった。 泥水が激しく跳ね、周囲の触手たちが私の震える肌を抑えつけるように一斉に圧力を強める。 胸を揉み潰す触手、首筋を絞める触手、両手足を縫い留める触手。 そのすべてが私の身体へと深く食い込み、逃げ場を完全に塞ぎ込んだ。 「んんーっ……! は……っ、あぁぁ……っ♥️」 喉の奥から絞り出された甘い絶叫とともに、私の下腹部の奥がキュウと激しく収縮した。 視界が真っ白に染まり、頭の中の思考が完全に吹き飛ぶ。 最強の竜の炉心が、快楽の熱に焼かれてドクンと激しく脈打った。 私の身体から溢れ出た大量の蜜が、結合部から泥水の中へとドロリと流れ落ちていく。 絶頂の余波で小刻みに痙攣する私の肉体を、魔物の群れはなおも逃そうとはしなかった。 巨大な触手は胎内深くに留まったまま、じくじくと脈打ち、周囲の無数の触手たちは、私の全身を包み込むようにしてさらに密集度を増していく。 じゅぶ、じゅるり、べちゃり。 洞窟の底で、泥と粘液に塗れた私の華奢な身体は、完全に魔物たちの巨大な肉の繭の中に呑み込まれていた。 「ふーっ……、ふーっ……、ん……っ♥️」 荒い息を吐き出しながら、私は泥水の中に顔を沈めた。 全身を包む圧倒的な重圧と、皮膚を侵食する冷湿な粘液の感触。 満たされた。 私の内側にあった暗い飢えは、この無数の魔物たちの暴力によって、完全に、余すところなく潤されていた。 けれど、魔物たちの蠢きは止まらない。 最初の一撃を終えた巨大な触手が、再び胎内でゆっくりと蠢き始め、周囲の触手たちもまた、新たな捕食と蹂躙のサイクルを始めるかのように、私の肌をじくじくと擦り上げ始めた。 終わらない。 この暗い洞窟の底で、無数の怪異たちによる快楽の蹂躙は、なおも果てしなく続き、私を泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 胎内を奥深くまで満たしていた太い触手が、じくりと粘液を吐き出しながら、さらにその先端の筋肉を硬く隆起させた。 「あ……っ、んん……っ! なに……奥で、膨らんで……っ」 湿った泥水が浅く溜まる洞窟の底。四肢を無数の肉の帯に縛り上げられ、全身を宙吊りにされた私の口から、熱を帯びた息が漏れ出る。 首筋と両腕、そして大きく左右に割られた太腿の付け根。皮膚という皮膚に食い込んだ吸盤が、ちゅぷ、ちゅるりと音を立てて陰圧をかけ続けていた。 下腹部の奥深く、子宮の入り口を直接押し広げるようにして鎮座する太い肉塊の脈動が、徐々にその質を変えていく。 ただ獲物を蹂躙し、己の欲望のままに粘膜を擦り上げるだけの動きではない。 触手の先端にある円形の開閉部が、私の最も深奥にある子宮口へとぴったりと密着し、逃げ場を塞ぐようにして周囲の粘膜を強く吸い上げた。 じゅぷぅ、と重たい吸着音が、私の下腹部の内側から直接響く。 「ひぁっ……! あ……っ、吸われ……てる……っ! 子宮を……直に……っ♥️」 背中が小さく跳ね上がり、泥水の中に垂れ下がっていた銀髪の毛先が激しく揺れた。 その時、触手の内部を通って、何かが急速にせり上がってくる物理的な圧迫感が私の下腹部を貫いた。 どく、どくん、と太い触手の体表が外側から見て分かるほどに大きく波打つ。 一つではない。 無数の硬い球体のような塊が、触手の体内を押し広げながら、私の胎内へと向かって一気に滑り降りてきていた。 (……あ) 私の全身の皮膚が、粟立つように小さく震えた。 これは、ただの捕食行動ではない。 この触手の魔物は、私という獲物の体内に、自らの種を、無数の卵を直接産み付けようとしているのだ。 「うそ……っ、産みつける気……? 私の、お腹の中に……っ」 声が震える。 本来であれば、これほど巨大な魔物、それも洞窟を埋め尽くすほどの無数の触手たちに同時に種を注ぎ込まれれば、人間の肉体などひとたまりもない。内臓は破裂し、腹部は異物の圧力に耐えきれず裂け、精神ごと完全に破壊されて死に至るはずだ。 けれど、私の肉体は人間のものではない。 星の内海へ還れず息絶えた、原初の白き竜の残滓。 どれほど小さく華奢に見えようとも、その骨格は神代の竜そのものであり、内包する炉心が生み出す生命力は、この世界のあらゆる生態系を遥かに超越している。 (耐えきれないどころか……余裕で、受け止めきれちゃう……っ) その事実を、私の本能が瞬時に理解してしまった。 私の頑丈すぎる竜の肉体は、このおびただしい数の魔物たちの種を受け止めてなお、傷一つ負うことなく、むしろその過剰な生殖能力を余すところなく育んでしまう、完璧で優秀な母体として機能してしまうのだ。 「あ……っ、だめ……そんなの、だめよ……っ♥️ 私を、あなたたちの苗床にするつもり……っ?」 言葉とは裏腹に、下腹部の奥がきゅんと甘く収縮した。 最強の存在であるはずの私が、下等な這い虫たちの種を宿すための器として最適であるという、あまりにも歪んだ事実。 その倒錯した真実が、私の背筋の芯を焼き焦がすような快感となって駆け抜けていく。 魔物の触手が、大きく一度脈打った。 ずちゅん、と子宮口を突き破るような衝撃とともに、最初の卵が私の胎内へと直接押し出された。 「んんーっ……!?」 拳ほどの大きさがある、ぬらぬらとした硬い球体。 それが子宮口を無理やりに押し広げ、私の最も奥深い領域へと滑り込んでくる。 ぐにゅり、と内壁を擦り広げながら収まる感触。 冷たい異物が、私の熱い子宮の粘膜に触れた瞬間、私の竜の肉体が持つ強大な受容力が無意識に働き、その卵を優しく包み込むようにして自らの血肉の熱を与えてしまった。 (あぁ……お腹の中で……卵が、落ち着いちゃった……っ♥️) 続いて、二個目、三個目の卵が、触手を通して次々に送り込まれてくる。 どく、どくん、と触手が激しく伸縮するたび、下腹部が内側からポコリ、ポコリと不気味に盛り上がっていく。 「ひぁっ……! あ……っ、入って……くる……っ! いっぱい……産み落とされてる……っ♥️」 息が止まり、口端から透明な唾液がツゥと泥水の上へ垂れ落ちた。 子宮が瞬く間に異物で満たされていく。 本来なら激痛で失神するはずの拡張感。しかし、私の竜の肉体はそれを破壊ではなく、極上の刺激として処理し、皮膚の下で子宮の壁を柔軟に広げ、無数の卵を隙間なく受け入れていく。 胎内を犯す触手は、獲物の母胎が底なしの容量を持っていることを察知したのか、さらに卵を送り込む速度を加速させた。 じゅぶ、じゅるる、ぐちゅ、ずちん。 連続して押し込まれる球体の感触が、私の内臓をじわじわと押し上げ、下腹部を丸く膨らませていく。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ もう……お腹、パンパンになっちゃう……っ! なのに……まだ、入ってくるの……っ?」 私の掠れた喘ぎ声に呼応するように、周囲を取り囲む別の触手の魔物たちもまた、一斉にその先端を私の身体へと伸ばしてきた。 壁の亀裂から、天井から、地面の泥濘から。 何本もの太い触手が、私の太腿の間に密集し、最初の一本が結合している割れ目の隙間へと、我先にと割り込もうとしてくる。 ぬちり、ぐちゅりと、粘液に濡れた肉塊同士が擦れ合う音が、洞窟の暗がりを完全に支配していた。 (一匹だけじゃない……この洞窟にいる魔物たち全部が……私に、子を産み付けようとしてる……っ♥️) 見上げる視界のすべてを埋め尽くす、蠢く触手の群れ。 最強の妖精騎士ランスロットの身体が、名もなき特異点の底で、魔獣たちの種をすべて受け止めるための苗床として、完全に開発され尽くそうとしていた。 「マスター……見て……。あなたの最強の騎士は……魔物たちの子を孕むための……ただの雌の身体になっちゃったのよ……っ♥️」 泥水の中に顔を半分沈めたまま、私は誰にともなく甘く蕩けた敗北の言葉を呟き続けた。 触手たちの蠢きは止まらない。 胎内へとなだれ込む無数の卵の重みを受け止めながら、私の身体は、どこまでも深く、甘美な汚濁の深淵へと沈み続けていた。 子宮の内壁を押し広げる異物の感触が、下腹部の奥でずしりと重たい熱の塊へと変わっていく。 「あ……っ、んんぅ……っ♥️ お腹……重……っ、こんなに……いっぱ、い……っ」 視界の端に映る私のお腹は、何個もの球体が内側から押し出されるたびに、薄い皮膚を押し上げて不規則に波打っていた。 本来であれば裂け散るはずの皮膚。しかし、神代の竜の残滓たる私の肉体は、どれほど胎内を拡張されようともびくともせず、むしろ侵入してきた卵の数々を優しく包み込み、自らの強大な生命エネルギーを惜しみなく注ぎ込んでしまっている。 卵の殻を通して伝わってくる、胎児たちの微細な胎動。 私の炉心が放つ莫大な魔力を吸い取って、魔物の卵たちは通常ではあり得ないほどの速度で細胞分裂を繰り返し、殻の内側でじくじくと成長を始めていた。 (私の魔力を吸って……卵が、育ってる……っ。私、本当に……この怪物たちの母親になっちゃうんだわ……っ♥️) 背筋を突き抜けるような戦慄と、甘い痺れ。 最強の戦士として命を奪うことだけに特化していた私の身体が、最も醜悪で下等な魔獣たちの命を育むための揺り籠として機能しているという、耐え難いほどの背徳感。 胎内を塞ぐ太い触手が、最後の大粒の卵をズチュンと子宮の最奥へと押し込み、その役目を終えたかのように、じゅるりと音を立ててゆっくりと引き抜かれていった。 「ぷはっ……! ぁ……っ、抜けた……っ」 解放された子宮口がきゅうと収縮し、胎内に詰め込まれた無数の卵を外へ逃すまいと固く閉ざされる。 結合部から、溢れ出た大量の粘液と私の愛液が混ざり合い、真っ白な泡となって太腿の間から泥水の中へとドロリと流れ落ちた。 だが、安息の時間は一秒たりとも与えられなかった。 最初の一本が抜け落ちたその瞬間、太腿の間に群がっていた別の魔物の触手が、待ってましたとばかりに私の濡れそぼった割れ目へと先端を押し当ててきたのだ。 ぬちり、と湿った肉同士が擦れ合う音が響く。 「ひゃぁっ……!? ま、待って……もう、お腹の中に……入る隙間なんて……っ♥️」 私の哀願など、知性のない怪物たちに通じるはずもない。 二本目の触手は、先ほどの一本よりもさらに太く、その表面には無数の細かい突起がびっしりと生え揃っていた。 それが、卵でパンパンに膨れ上がった私の秘所へと、容赦なく強引にねじ込まれていく。 ぐにゅり、ずち、ずじゅるるり。 「んぁぁーっ……! あ……っ、入っ……てくる……っ! 突起が……中を、擦って……っ♥️」 声が裏返り、洞窟の天井へと甘い悲鳴が反響する。 突起の一つひとつが、卵の圧力で限界まで張り詰めた私の粘膜を削り取るように刺激し、激しい摩擦熱を生み出していく。 二本目の触手は、子宮の入り口に到達すると、先ほど閉ざされたばかりの子宮口を力任せに押し広げ、再びその先端を私の胎内へと潜り込ませた。 ずぶり、と子宮の中に新たな異物が侵入する鈍い衝撃。 「ひゃぅっ……! 子宮……また、開かれちゃった……っ♥️」 すでに無数の卵で満たされていた私の胎内に、二匹目の魔物が自らの種を注ぎ込もうと、触手の筋肉を激しく脈打たせ始めた。 どく、どくん、と触手の体表を滑り降りてくる新たな卵の群れ。 今度は先ほどのものよりも小粒だが、その数は倍近くある。 ジャラジャラと音を立てるようにして、無数の小さな球体が私の胎内へと雪崩れ込んできた。 「あ……っ、んんぅ……っ! 小さいの、がいっぱい……っ! 隙間を……全部、埋められちゃう……っ♥️」 既存の卵と卵の隙間に、新たな卵が無数に潜り込んでいく。 子宮の内圧がさらに一段階跳ね上がり、私のお腹はさらに丸く、臨月の妊婦のように大きくせり出していった。 苦しい。重い。 内臓が完全に押し退けられ、肺が圧迫されて呼吸がさらに浅くなる。 けれど、私の心臓は狂ったように熱い血潮を全身へと送り出し、胎内の卵たちすべてを余すことなく受容し、生かそうと脈打っていた。 (すごい……まだ、入る……。私の身体……どれだけ種を注ぎ込まれても……全部、飲み干しちゃう……っ♥️) 無敵の竜の器がもたらす、底知れぬ受容力。 怪物の群れは、私の身体がどれほど乱暴に扱っても壊れない極上の苗床であることを完全に理解していた。 洞窟の壁面から、さらに三匹、四匹と新たな魔物たちが這い降りてくる。 私の胸を揉み潰す触手たちも、首筋を絞める触手たちも、すべてが私の身体をその場に縫い留め、次なる受精のための準備を整えるようにして、私の肌をじくじくと吸い上げ続けていた。 「あぁ……っ、見て……私のお腹……こんなに、大きくなっちゃった……っ♥️」 宙吊りにされたまま、私は泥水に濡れた自らの掌を、膨れ上がった下腹部へとそっと這わせた。 皮膚の下で、無数の卵が蠢き、私の魔力を吸って熱を発している。 「私は……あなたたち魔物の母親よ……。好きなだけ……私のお腹に、あなたたちの子を……産み落としなさい……っ♥️」 泥濘の中で、最強の妖精騎士は完全に屈服し、自らの肉体を無数の魔物たちの繁殖の器として、ただただ無抵抗に捧げ続けていた。 洞窟の暗がりを満たす水音と、甘く乱れた喘ぎ声は、途絶えることなくどこまでも響き渡り続けていた。 下腹部の奥底で、硬い殻を持つ無数の球体が蠢く感触が、途切れることなく私の知覚を灼き続けていた。 「ん……っ、ふぅ……っ、ぁ……っ♥️」 吐き出した息が、目の前に垂れ下がる無数の触手の粘液を白く曇らせる。 洞窟の湿った冷気が肌を刺す一方で、私の身体の中心には、竜の炉心が無意識に放ち続ける莫大な熱量が滞留していた。侵入してきた異物の群れを拒絶するのではなく、その強靭すぎる生命維持の働きによって、無理やりに自らの肉体の一部として同化させ、育もうとしてしまう。 (お腹の奥が……こんなに熱い……。まだ、蠢いてる……っ) 皮膚の内側で、幾重にも重なり合った卵たちが細かく擦れ合う。その微細な振動が、下腹部の薄い皮膚を押し上げ、外側からも目視できるほど不規則に波打たせていた。 大人の腕ほどもある太い触手が、私の狭い入り口を限界まで押し広げたまま、さらに奥深くの子宮口へと自らの先端を強く押し当てている。 ずじゅるり、と重たい粘液が皮膚の隙間から溢れ出し、私の太腿を伝って、泥水が浅く溜まる地面へとボタボタと落ちていく。 私の四肢は、壁の亀裂から伸びる何十本もの触手によって完全に宙へと吊り上げられていた。 両手首に食い込む吸盤が、皮膚の表面を強く引き絞り、細い腕を左右へと引き伸ばす。足首と膝の裏に巻き付いた太い肉の帯は、私の華奢な脚を無慈悲に左右へと大きく割り開き、無防備に晒された最奥を、洞窟の暗がりに蠢く魔物たちの群れへと見せつけるように固定していた。 「あ……っ、引っ張ら……ないで……っ。足、もう……これ以上、開かない……っ♥️」 抗議の言葉を紡ごうとしても、唇の端から零れるのは、甘く熱を帯びた吐息ばかりだった。 私の声に反応したのか、あるいは私の胎内から漏れ出る濃密な魔力の匂いに狂わされたのか。 洞窟の壁面、天井、そして足元の泥濘に蠢く無数の触手たちが、一斉にその先端を激しく震わせ始めた。 じゅぶ、じゅるる、ぐちゅり、べちゃり。 洞窟全体が、湿った肉の擦れ合う音で満たされていく。 壁の亀裂から這い出してきた新たな魔物が、私の右太腿へとその太い体躯を擦り付けてきた。 冷たくて、生温かい。 泥と怪物の分泌液が混ざり合った特有の青臭い臭気が、鼻腔の奥深くにまでこびりつく。 怪物の先端にある二本の触角が、私の右太腿の内側の柔らかな皮膚を、ペタペタと叩くように撫で回した。 「ひゃぅっ……! そこ……っ、くすぐった……い……っ」 身を捩ろうとしても、宙吊りにされた身体は小さく揺れることしかできない。 私が身悶えするたびに、首筋や胸元に巻き付いた触手たちが一斉に筋肉を収縮させ、逃げ場を奪うようにして私の身体を締め上げた。 ちゅぷ、ちゅるりと、首筋の皮膚が吸盤の陰圧で強く引き絞られる。 「んんっ……! 首……絞めないで……っ、息が……っ♥️」 喉の奥が小さく鳴る。 痛覚と、圧迫感と、全身を覆い尽くす冷湿な粘液の感触。 それらすべてが、私の内側に眠る暗い歓喜を、より一層激しく燃え上がらせていた。 (強い私が……こんなにも無力に、吊るされてる……っ) 指先をほんのわずかに動かし、体内の炉心を一瞬だけ励起させるだけで、この洞窟を満たす魔物の群れなど一瞬で灰燼へと帰すことができる。星の内海へ還るはずだった白き竜の残滓たる私の力は、山をも穿ち、空をも切り裂くのだから。 けれど、私の意思は、その力を決して解放しようとはしなかった。 自らの手で力を封じ、ただの壊れやすい肉の器として無防備に晒されること。 その絶対的な敗北の感覚こそが、私にとって何物にも代えがたい至福だった。 太腿の内側を撫で回していた触手が、じわりと位置を変え、私の下腹部に結合している最初の一本のすぐ隣へと、自らの先端を割り込ませてきた。 ぐにゅり、と湿った肉同士が押し合わされる重たい感触。 「うそ……っ、もう一本……入ってくるの……っ? 待って……裂けちゃう……っ♥️」 私の哀願など、知性のない魔物たちに通じるはずもない。 二本目の触手は、最初の一本によって限界まで押し広げられていた私の入り口へと、自らの太い先端を容赦なくねじ込んできた。 ぬちり、ぐちゅ……ずじゅるるり。 「んぁぁーっ……!?」 声が裏返り、洞窟の天井へと高く響き渡った。 私の身体の中心が、左右に強引に引き裂かれるような強烈な拡張感。 一本だけでも私の華奢な身体には過剰な太さであるにもかかわらず、その隣に、同等以上の太さを持つ異物が強引に割り込んでくる。 粘膜が擦れ合い、生々しい摩擦熱が私の下腹部を灼く。 二本目の触手は、すでに卵でパンパンに膨れ上がっている私の膣内を押し分けながら、じわじわと奥深くへと侵入を深めていった。 ちゅぷ、じゅるり、べちゃり。 私の体内から、粘液と愛液が混ざり合った真っ白な泡が、結合部の隙間から溢れ出し、泥水の上へとボタボタと落ちていく。 「あ……っ、入っ……て……っ! 二本……同時に……入ってきちゃった……っ♥️」 息が止まり、私の瞳から快楽の涙がポロポロと零れ落ちた。 下腹部が、外側から見ても明らかに異常なほどに盛り上がっていく。 内臓が押し退けられ、胃や肺が下から強く圧迫される。 苦しい。本当に身体が壊れてしまうのではないかという恐怖。 けれど、私の頑丈すぎる竜の肉体は、その過酷な暴虐をやすやすと受け止め、皮膚の下で筋繊維を柔軟に引き伸ばして、二本の太い触手を完全に呑み込んでしまった。 (耐えられちゃう……。こんなに乱暴にされてるのに……私の身体、びくともしない……っ♥️) その事実が、私をさらに深い悦楽の底へと突き落とす。 壊れないからこそ、魔物たちは何の遠慮もなく、その暴虐の限りを尽くすことができるのだ。 二本目の触手の先端が、子宮の入り口へと到達した。 すでに最初の一本によって開かれていた子宮口へと、二本目の先端が力任せに潜り込んでくる。 ずぶり、と子宮の中に新たな異物が侵入する鈍い衝撃。 「ひゃぅっ……! 子宮の中……二本で、塞がれ……っ♥️」 その瞬間、二本目の触手が激しく筋肉を脈打たせ始めた。 どく、どくん、と触手の体表を滑り降りてくる新たな卵の群れ。 今度は、先ほどの一匹目のものよりもさらに一回り大きく、硬い殻を持った卵たちだった。 ずちゅん、ずちゅんと、重たい衝撃とともに、新たな卵が子宮の奥へと直接産み落とされていく。 「んんーっ……! は……っ、あぁぁ……っ♥️ 大きいのが……また、入って……くる……っ!」 子宮の内圧が、一気に限界値を超えて跳ね上がった。 すでに無数の卵で満たされていた私の胎内に、さらに巨大な卵たちが強引に割り込んでいく。 子宮の内壁が引き絞られ、卵と卵が擦れ合う鈍い音が、私の骨を通して直接耳の奥へと響いてくる。 お腹が、さらに丸く、臨月の妊婦のように大きくせり出していった。 薄い皮膚が限界まで張り詰め、青白い血管の筋が浮き彫りになる。 「あ……っ、見て……私のお腹……こんなに、膨らんじゃった……っ♥️」 宙吊りにされたまま、私は泥水に濡れた自らの指先を、丸く膨れ上がった下腹部へとそっと這わせた。 手のひらに伝わる、硬い卵たちの蠢き。 私の体内の炉心から漏れ出る莫大な魔力を吸い取って、卵たちは信じられないほどの速度で熱を帯び、殻の内側で胎動を始めている。 (あぁ……私の中で、命が育ってる……。この醜い怪物たちの子供が……っ♥️) 背筋を突き抜けるような戦慄と、甘い痺れ。 最強の妖精騎士として、戦場で敵を討ち滅ぼすことだけに存在意義を見出していた私が、いまや人知れぬ洞窟の底で、下等な魔獣たちの種を育むための苗床として、完全に機能してしまっている。 そのあまりにも歪んだ現実に、私の心は底知れぬ安心感で満たされていた。 洞窟の天井から、さらに三本、四本の触手が垂れ下がってきた。 それらは私の胸元へと狙いを定め、衣服の布地を押し破るようにして、露わになった白い胸の膨らみへと一斉に巻き付いてきた。 ちゅぷ、ちゅるる、じゅぶ。 左の胸を二本の触手が万力のように締め上げ、右の胸の頂点を別の触手が吸盤で深々と吸い上げる。 「あ……っ、胸……そんな、強く……っ♥️ 吸われ……てる……っ、ちぎれちゃう……っ!」 乳首が限界まで引き伸ばされ、じくじくと熱い痛覚が走る。 吸盤の奥から伝わってくる、怪物の生温かい粘液の熱。 痛いのに、苦しいのに、私の身体の奥底からはとめどなく甘い蜜が湧き出し、結合部をさらに濡らしていく。 私の身体は、いまや完全に触手の塊によって埋没していた。 銀色の髪は大量の粘液で完全に濡れそぼり、額や頬に無造作に張り付いている。 白く透き通るような肌は、至る所に吸盤の跡を刻まれ、赤紫色の鬱血痕で隙間なく埋め尽くされていた。 「マスター……見て……。あなたの最強の騎士は……こんな、無様な姿で……魔物たちの苗床にされてるのよ……っ♥️」 泥水の中に顔を半分埋めたまま、私は誰にともなく甘く蕩けた敗北の言葉を紡ぎ続けた。 「私は……この怪物たちに負けたの……。もう……あなたの前で……気高くなんて……いられないわ……っ♥️」 胎内を犯す二本の太い触手が、同時に激しいピストン運動を始めた。 ずじゅ、ずじゅり、ぐちゅ、べちゃり。 二本の肉の柱が、互いに擦れ合いながら、私の胎内を余すところなく掻き回していく。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ 二本で……動かされたら……私……壊れちゃう……っ♥️」 声が裏返り、洞窟の暗がりへと高く響き渡る。 怪物の群れは、私の言葉に応じるように、全身の触手を一斉に波打たせた。 終わらない。 この暗い洞窟の底で、無数の怪異たちによる快楽の蹂躙は、なおも果てしなく続き、私を泥と粘液の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 胎内を激しく往復する二本の肉塊が、私の下腹部の内壁を容赦なく擦り上げるたび、洞窟の岩肌に反響する水音は一段と湿り気を増していった。 ずちゅ、ぐちゅり、じゅるるる。 結合部から溢れ出る泡立った粘液が、私の太腿の内側を滑り落ち、泥水の水面を絶え間なく叩く。 私の下腹部は、すでに何十個もの硬い卵で満たされ、皮膚の表面が限界まで張り詰めていた。 それなのに、二本の触手はなおも奥へと先端を押し込み、子宮の最奥を小突くようにして蠢きを繰り返している。 「あ……っ、んんぅ……っ♥️ 奥……突いちゃ……だめ……っ! 卵が……割れちゃう……っ♥️」 口端から細い唾液の糸を垂らしながら、私は掠れた声で喘いだ。 割れるはずなどない。 私の竜の魔力を吸い取った卵たちは、鋼よりも強靭な殻を形成し、私の体内でじっとりと熱を放ちながら、貪欲に成長を続けているのだから。 怪物の中心核が、グチュリと大きく波打った。 胎内を満たしていた二本の触手が、最後の種を注ぎ終えたかのように、じゅるりと音を立てて同時に引き抜かれていく。 「ぷはっ……! ぁ……っ、あ……っ」 二本の太い肉塊が体内から滑り出た瞬間、私の狭い入り口から、溜まりに溜まった粘液と蜜が一気に泥水の中へとドロリと吐き出された。 解放された粘膜がきゅうと激しく収縮し、胎内の卵たちを外へ逃すまいと固く閉ざされる。 お腹は丸く膨らんだまま、皮膚の下で無数の命が蠢いているのがはっきりと分かった。 「ふーっ……、ふーっ……、ん……っ♥️」 荒い息を繰り返しながら、私は宙吊りにされた身体を泥水の上で小さく揺らした。 全身を包む圧倒的な疲労感と、皮膚を侵食する冷湿な粘液の感触。 満たされた。 私の内側にあった暗い飢えは、この無数の魔物たちの暴力によって、完全に、余すところなく潤されていた。 (……あぁ、本当に……素晴らしいわ) 胸の奥の澱みが綺麗さっぱりと洗い流されたような、極上の充足感。 これ以上は、もういい。 私の愛しいマスターが待つカルデアへと、そろそろ戻らなければならない時間だ。 「……ふふ。ごちそうさま、名もなき魔物たち」 泥に汚れた唇の端をわずかに持ち上げ、私は誰にも聞こえないほど小さな声で囁いた。 その瞬間、私の体内で眠らせていた力が、静かに目を覚ます。 精神の奥底へと押し込めていた竜の炉心が、微かな火花を散らした。ドクン、と胸の奥で力強い脈動が一つ打たれる。それだけで、周囲の重苦しい大気がビリリと微細な震動を帯びて緊張した。 私の全身を縛り上げていた無数の触手たちが、空気中の急激な魔力密度の変化に怯えるように、一斉に動きを止めた。 だが、もう遅い。 「――終わりよ」 私の瞳に、青空のような澄んだ光が宿る。 私の華奢な身体から、純白の魔力奔流が無数に放射された。 パキィン、と硬質な空間の割れる音が響く。 直後、洞窟を埋め尽くしていた無数の魔物たちが、一切の音を立てることなく純白の閃光の中に呑み込まれた。 断末魔の叫びすら存在しない。 私の肉体から放たれた極小の光の刃が、怪物の細胞の一つひとつを分子レベルで瞬時に分解し、消滅させていく。 同時に、私の胎内に産み付けられていた無数の卵たちもまた、竜の魔力の奔流によって一瞬で光の粒子へと還元され、跡形もなく消え去っていった。 ぼうっ、と微かな熱風が吹き抜け、湿りきっていた洞窟の空気を一瞬で乾燥させる。 全身を縛っていた重圧が完全に消失し、私の身体はふわりと地面へと降り立った。 「……んっ」 立ち上がり、自らの掌を見つめる。 爪の間に食い込んでいた黒い泥も、手の甲を汚していた濁った飛沫も、全身から立ち上る淡い銀色の燐光によって、みるみるうちに浄化されていく。 指先を軽く鳴らすと、純白の魔力光が布地を撫で、衣服の汚れを蒸発させ、元の汚れなき純白の装束へと戻していく。 銀色の髪も、毛先の一筋に至るまで魔力の風によって梳き直され、元の絹のような滑らかな艶を取り戻した。 膨らんでいたお腹も、元の平坦で引き締まったラインへと戻っている。 完璧な身繕い。 どこからどう見ても、誇り高き最強の妖精騎士ランスロットそのものの姿だった。 「ふふ……」 唇から、満足げな笑みがこぼれ落ちる。 私は空間の一角へと視線を向け、細い指先を虚空へと走らせた。 レイシフトの逆転送シークエンスを起動する。 青白い光の柱が私の小さな身体を包み込んでいく。 (待っていてね、私のマスター。あなたの前では、私はいつだって完璧で、無敵の騎士でいてあげる) (でも……また少しだけ、隙を見て抜け出させてもらうわ) (次はどんな相手に、この身体を明け渡してあげようかしら――) 眩い閃光が視界を埋め尽くし、私の身体は、愛しい彼の待つカルデアの冷たい空気の中へと静かに再構築されていった。 カルデアの居住区画に漂う空気は、外の世界の天候や季節の移ろいとは無縁に、常に一定の温度と湿度へと調整されている。吸気口から絶え間なく吐き出される無機質な機械音、足元を伝う微弱な振動、白く均一な照明の光。外界から切り離されたこの閉鎖環境において、感覚を麻痺させないための唯一の錨となるのは、他者の放つ体温と気配だった。 廊下の角を曲がり、共有の談話室へと足を踏み入れる。日中の訓練や任務の合間ということもあって、部屋の中に他のサーヴァントの姿は見当たらない。静まり返った空間の中央、低反発のクッションが敷き詰められた長椅子に、見慣れた銀髪の少女――メリュジーヌが腰掛けていた。 彼女は膝を抱えるような姿勢で、手元に置かれた電子端末の画面を無言で見つめている。その華奢な肩のラインは、常人の少女と比べても一回り以上小さく、ゆったりとした仕立ての私服の隙間から、陶器のように白い首筋が覗いていた。足音を立てずに近づいたつもりだったが、彼女の耳が微かにピクリと跳ね、すぐさまこちらへ視線が向けられる。 「……遅かったのね、マスター」 澄んだ、氷の結晶が触れ合うような声。しかし、その語尾には隠しきれない甘やかさと、僅かな不満が滲んでいた。 「ごめん、記録室で報告書の整理に手間取ってしまって」 「別に、謝る必要はないわ。あなたが人類最後のマスターとして、果たすべき務めがあるのは理解しているもの。……ただ、私がここで待っていた時間は、消えてなくなりはしないけれど」 そう言いながら、彼女は抱えていた膝を崩し、長椅子の上で身を滑らせて自分の隣のスペースを掌で軽く叩いた。ここへ座れ、という無言の催促。その動作には一切の遠慮がなく、当然の権利を行使するかのような堂々とした気品が宿っている。 促されるまま、彼女の隣へと腰を下ろす。クッションが沈み込むと同時に、彼女の身体から漂う独特の芳香が鼻腔をくすぐった。洗剤や香水の類ではない、どこか澄み切った高空の冷気と、内奥に秘められた莫大な熱量が混ざり合ったような、彼女特有の匂い。 「……ん」 腰を下ろした瞬間、メリュジーヌの小さな頭がこちらの左肩へと預けられた。さらりとした銀色の髪が首筋を撫で、柔らかな毛先が皮膚をくすぐる。彼女の頭の重みは驚くほど軽く、まるで羽毛を乗せられたかのようだった。だが、その華奢な身体の奥底には、星の内海に届くはずだった強大な竜の心臓が眠っている。その圧倒的な事実と、今まさに肌を寄せてきている少女の頼りなさの落差に、息を呑む。 「メリュジーヌ?」 「なに? 声をかけられたからって、離れるつもりはないわよ。……少し、冷えているの。あなたの熱を分けて」 彼女の言う通り、肩に触れている彼女の額や、服越しに伝わってくる体温は、一般的な人間よりも僅かに低かった。規格外の出力を誇る霊基ゆえの、アイドリング状態における熱の偏り。それを知っているからこそ、拒む理由などどこにもない。 「寒かったのか? ブランケットでも持ってくるよ」 立ち上がろうと腰を浮かせかけると、メリュジーヌの細い指先が、こちらの衣服の裾をキュッと掴んだ。力任せに引かれたわけではない。しかし、その指先に込められた確固たる意思が、こちらを引き留める。 「そんな無機質な布切れなんて要らないわ。私が欲しいのは、あなたの皮膚から伝わる、生きている熱よ。……勝手に動かないで」 不満げに窄められた唇から、小さな吐息が零れ落ち、こちらの鎖骨のあたりを温める。彼女は掴んでいた裾を離すと、今度は自らの両腕をこちらの左腕に絡め、身体ごと密着させてきた。 ぎゅっと引き寄せられる感触。彼女の胸元や脇腹の柔らかな肉の弾力が、薄い布地を隔てて直接腕へと伝わってくる。小柄な体躯でありながら、その骨格は驚くほどに均整が取れており、無駄な肉が一切ない。彼女の体温が、触れ合っている面積を通じて、じわじわとこちらの皮膚へと浸透していく。 「……ふふ。温かいわ、マスター。あなたの身体は、いつ触れても心地よい熱を持っているのね」 満足そうに目を細めるメリュジーヌ。彼女の長い睫毛が伏せられ、青空を宿したような瞳が隠れる。その無防備な横顔を見つめていると、彼女は視線に気づいたのか、伏せていた瞼をゆっくりと持ち上げ、下からこちらの顔を覗き込んできた。 「どこを見ているの? 私の顔に、何かついているかしら」 「いや……メリュジーヌは、こうしてじっとしていると、本当に普通の女の子に見えるなと思って」 「……馬鹿なことを言うのね。私が普通の人間であるはずがないでしょう。私は妖精騎士ランスロット。そして、アルビオンの竜の残滓。このカルデアの誰よりも速く、誰よりも強い、あなたの最強の刃よ」 凛とした声で、自身の存在定義を口にする。その瞳には、揺るぎない誇りと、絶対者としての矜持が宿っていた。しかし、その台詞とは裏腹に、彼女の細い身体はますますこちらへと擦り寄せられ、腕に絡みつく指先には微かな力が込められている。 「そうだな。君が最強なのは、誰よりもよく知っているよ」 「なら、いいの。……でも、あなたがそうやって、私のことを特別な戦闘機械としてではなく、ただの一人の存在として見てくれるのは……嫌いではないわ。むしろ、私の恋人として、極めて正しい態度よ」 さらりと「恋人」という言葉を紡ぐ彼女の頬は、僅かに桜色に染まっていた。強がりと素直さ、誇り高さと甘えが、絶妙な均衡を保ちながら同居している。それこそが、メリュジーヌという少女の魅力であり、同時に危うさでもあった。 彼女は絡めていた腕を少し緩めると、自らの掌を持ち上げ、こちらの右手を包み込むようにして指を絡ませてきた。彼女の指先は細く、爪は手入れの行き届いた貝殻のように滑らかだ。握り締められる力は優しく、それでいて決して解けない結び目のような確かさを持っていた。 「ねえ、マスター。最近のシミュレーター訓練、少し緩んでいるのではないかしら。あなたが指示を出す反応速度、先週よりもコンマ数秒遅れていたわよ」 「う……気づいてたのか。疲労が溜まってたのかもしれない」 「当然よ。私は戦場において、常にあなたの全てを観測しているのだから。呼吸の乱れも、視線の彷徨いも、心拍数の上昇も、何一つ私の目を逃れることはできないわ。……無理をしすぎるのは感心しないけれど、あなたの命を預かっているのは私なのだから、もう少し私を頼りなさい」 説教をするような口調でありながら、その指先はこちらの手の甲を優しく撫でている。親指の腹が、皮膚の表面を一定のリズムで往復する。その微細な摩擦熱と感触が、心地よい安らぎをもたらす。 「頼りにしてるよ、いつも。メリュジーヌが前衛にいてくれるだけで、どれだけ安心できるか」 「……そう。なら、もっと態度で示しなさい」 「態度?」 聞き返すと、彼女はこちらの手を引いて、自らの膝の上へと導いた。彼女の太腿の柔らかな感触が、手のひらを通して伝わってくる。彼女は自らの頭を再びこちらの肩へと預け、今度は首筋に顔を埋めるようにして、深く息を吸い込んだ。 「ん……すー……ふ……」 肺腑を満たすように、こちらの匂いを嗅ぐ動作。くすぐったさに首を竦めそうになるが、彼女の細い腕が首の後ろへと回され、固定されてしまう。 「あなたの匂い、少し変わったわね。さっきまで記録室にいたというのは本当のようね。紙のインクと、古い羊皮紙の乾燥した埃の匂いが混ざっているわ。……でも、その下にあるあなたの匂いは、ちゃんと私の知っているマスターのものだわ」 「犬みたいだな」 「竜よ。嗅覚だって、地上のいかなる獣よりも鋭敏なの。……ふふ、私の前で嘘をつこうなんて思わないことね。あなたが誰と会い、何をしていたのか、触れるだけで全て暴いてあげるから」 囁くような声が耳朶を打つ。吐息に含まれる水分が耳の裏側に触れ、微かな悪寒にも似た快感が背筋を走った。彼女はこちらの反応を楽しむように、小さく喉を鳴らして笑う。その小悪魔的な余裕の裏側に、強い独占欲が潜んでいることを、肌身で感じ取ることができた。 メリュジーヌは、こちらの首の後ろに回していた手を滑らせ、顎のラインを指先でなぞった。冷たい指先が皮膚を滑るたび、触れられた場所が熱を帯びていくような錯覚に陥る。 「……マスター。あなたは、私のことをどう思っているの?」 不意に、試すような、それでいて僅かに不安を孕んだ問いかけが投げかけられた。青い瞳が、至近距離からこちらの瞳の奥を射抜くように見つめてくる。 「どう、って……大切なサーヴァントであり、相棒で、……かけがえのない存在だよ」 「……相棒、ね。まあ、及第点といったところかしら。でも、一番最初に来るべき言葉が抜けているわ。『私の最愛の騎士』、あるいは『私の可愛い恋人』と付け加えるべきよ」 彼女は少しだけ唇を尖らせてみせた後、ふっと表情を和らげ、こちらの胸元へと額を押し当ててきた。 トクン、トクン、とこちらの胸の中で打たれる心音。彼女の耳が、その鼓動の真上に押し当てられている。 「……あなたの心臓の音、好きよ。とても規則正しくて、温かくて、脆い。私が少し指先に魔力を込めるだけで、簡単に止まってしまいそうなほど儚いのに……どうしてかしらね。この音を聞いていると、私の胸の奥にある炉心まで、静かに落ち着いていくのが分かるの」 彼女の呟きは、独白のようでありながら、深い情愛に満ちていた。彼女の内側に存在する、途方もない破壊力と、それに伴う孤独。それを癒すことができるのは、この脆弱な人間の心音だけなのだと、彼女自身の身体が訴えかけている。 こちらの左手を動かし、彼女の華奢な背中へとそっと手を回した。服の上からでも分かる、細い背骨の隆起と、肩甲骨の繊細なライン。壊れ物を扱うように、優しくその背中を撫でる。 「……んっ♥️」 背中を撫でられた瞬間、メリュジーヌの口から、甘く掠れた小さな吐息が漏れた。身体が微かにビクつき、こちらの胸元に押し当てられていた顔が、さらに深く埋め込まれる。 「……触り方が、ずるいわ。そんな風に優しく撫でられたら……私、動けなくなってしまうじゃない」 「嫌だったか?」 「……嫌なわけ、ないでしょう。馬鹿。もっと撫でなさい。背中も、頭も、全部。あなたが私を満足させるまで、ここから離してあげないんだから」 彼女は自らの両腕をこちらの胴体へと回し、ぎゅっと抱きしめる力を強めた。小柄な身体からは想像もつかないほどの密着感。互いの体温が混ざり合い、衣服の境界線すら曖昧になっていくような感覚に包まれる。 手のひらで彼女の銀髪を掬い上げるようにして撫でると、絹糸のような滑らかな感触が指の間を滑り落ちていく。頭頂部から後頭部へと優しく撫で下ろすたび、彼女の喉から「ん……ふぅ……♥️」と、猫が喉を鳴らすような甘い息が漏れ出た。 「マスター……手、止めないで……」 「ああ、止めないよ」 談話室の静寂の中、二人の衣擦れの音と、重なり合う呼吸の音だけが微かに響く。カルデアの無機質な白い壁も、冷たい空気も、今はこの小さな熱だまりの外側の出来事に過ぎなかった。 メリュジーヌは目を閉じたまま、こちらの胸元に顔をすり寄せ、その温もりを貪るように味わっている。彼女の指先がこちらの背中の服をキュッと握り締め、離すまいとする意思を示していた。 その完璧な安らぎの時間の中で、彼女の胸の奥底に、誰にも言えない密やかな渇望が眠っていることなど、この時の自分には知る由もなかった。彼女が時折見せる、この甘く従順な姿の裏側に、どのような倒錯した悦楽への衝動が隠されているのか。 ただ今は、肩に預けられた少女の重みと、手のひらに伝わる柔らかな髪の感触、そして部屋を満たす穏やかな空気だけが、二人の間に確かに流れていた。 「……マスター」 「ん?」 「……この後、少しだけ一人で訓練場を使ってきてもいいかしら。魔力の同調パターンを、少し微調整しておきたいの」 ふと、彼女がこちらの胸元から顔を上げ、澄んだ瞳でこちらを見つめてきた。その表情には、先ほどまでの甘えた気配は微塵もなく、完璧な騎士としての理知的で落ち着いた光が宿っている。 「ああ、もちろん構わないよ。あまり無理はしないでくれよ」 「ふふ、心配性ね。私の力を誰だと思っているの? 最強のランスロットよ。……でも、あなたのその心配そうな顔も、悪くないわ」 彼女はそう言うと、こちらの頬に自らの小さな手を添え、背伸びをするようにして額をコツンとこちらの額に当ててきた。触れ合う皮膚から、パチリと微弱な静電気が弾けるような魔力の残滓が伝わる。 「すぐ戻るわ。だから……戻ってきたら、またこうして、私を温めなさいね」 「分かった。約束するよ」 メリュジーヌは満足そうに微笑むと、名残惜しそうにこちらの身体から離れ、長椅子から立ち上がった。服の乱れを手早く整えるその所作は、無駄がなく洗練されている。 彼女は談話室の出口へと向かい、扉の前で一度だけ立ち止まってこちらを振り返った。その瞳に宿る光の深意を、読み解くことはできない。 扉が音もなく開き、彼女の小さな背中が廊下の向こうへと消えていく。残された長椅子の上には、彼女が座っていた場所の微かな温もりと、甘く冷たい香りの名残だけが、静かに漂い続けていた。 --- 談話室の自動扉が背後で閉じた瞬間、メリュジーヌの足取りは、先ほどまでの穏やかなリズムから一変して、音を一切立てない滑らかな歩行へと切り替わっていた。 無機質な白で統一されたカルデアの通路。一定間隔で配置された監視カメラと魔力センサーが、壁面の至る所で微小な光を明滅させている。彼女はそのすべての配置、死角、そして走査の周期を、歩みを止めることなく完璧に把握していた。 (……ふふ。少しだけ、嘘をついてしまったわね) 通路の角を曲がりながら、メリュジーヌは自らの手のひらを見つめた。先ほどまで彼の体温に触れていた指先が、空気に晒されて徐々に冷えていく。その冷たさが、胸の奥底に潜む暗い渇望を刺激し、ドロリとした重たい熱を呼び覚ましていた。 訓練場へ向かうというのは、完全な偽りだった。 向かう先は、カルデアの最下層に位置する、通常は立ち入りが制限されている予備の転送区画。過去のレイシフト実験で使用され、現在はメインシステムから切り離されて半休止状態にある旧型の管制室だ。 足音を完全に消し、空気の抵抗すら最小限に抑えながら、彼女は滑るように移動していく。すれ違うスタッフやサーヴァントの気配を魔力探知で事前に察知し、一切の接触を避けて通路を縫うように進む。その動きは、戦場における斥候のそれよりも遥かに精密で、完璧だった。 エレベーターを使わず、非常用の螺旋階段を一気に駆け降りる。金属製の段差を踏みしめる際にも、彼女の足元からは一切の打撃音が響かない。重力を完全に制御し、自らの質量を大気の中に溶け込ませているかのような身のこなし。 やがて、分厚い隔壁に閉ざされた区画へと到達した。 錆びついた金属の扉。操作パネルには「保守点検中・立ち入り禁止」のホログラムが点滅している。メリュジーヌは躊躇うことなく細い指先を伸ばし、パネルの表面へと触れた。 チチ、と微かな電子音が鳴る。彼女の指先から極小の魔力パルスが送り込まれ、セキュリティの認証プロトコルが内部から直接書き換えられていく。ダ・ヴィンチが構築した強固なシステムであっても、物理的な回路の挙動そのものを魔力で直接誘導する彼女の手法を検知することはできない。 プシュー、と重苦しい減圧音とともに、分厚い扉がゆっくりと左右にスライドした。 内部に広がるのは、埃っぽい空気と、薄暗い非常用照明だけが灯る静寂の空間。中央には、旧式のレイシフト・ポッドが巨大な棺のように鎮座している。コンソールのディスプレイ群はスリープモードに入っており、不気味な青白い光が時折点滅を繰り返していた。 メリュジーヌは部屋の中央へと歩み寄り、メインコンソールの前に立った。 指先を走らせ、休眠状態にあったシステムを強制的に起動する。カタカタと高速でキーが叩かれ、ディスプレイに無数の観測データが滝のように流れ落ちていく。 (……あったわ。極小規模の特異点。時間軸の歪みも、空間の規模も、カルデアのメイン観測網が『ノイズ』として切り捨てる程度の微小な泡) 画面に表示された座標データ。それは、人類史の大きな流れに何の影響も与えない、名もなき時代の、名もなき空間の歪みだった。調査の必要性すら認められず、いずれ自然消滅するのを待つだけの、見捨てられた泡沫の世界。 誰の目にも留まらない。 カルデアのスタッフも、他の英霊たちも、そして何より、彼女の愛するマスターすらも、この場所に足を踏み入れることはない。 (……私だけの、秘密の場所) 画面の青白い光が、メリュジーヌの横顔を妖しく照らし出す。その唇の端が、微かに吊り上がっていた。 胸の奥にある竜の炉心が、ドクンと小さく脈打つ。 彼に見せるための「完璧で無敵の騎士」という仮面。彼に甘える「可憐で従順な少女」という姿。そのどちらも偽りではない。しかし、その奥底には、強大すぎる力を持つがゆえに生じた、救いようのない歪みが確かに存在していた。 勝つことは当たり前。敵を粉砕することは退屈な義務。 絶対者としての座に君臨し続けることの倦怠が、彼女の魂を蝕み、真逆の衝動――圧倒的な敗北への渇望を育て上げていた。 無力な存在として踏みにじられたい。 強者としての矜持をすべて剥ぎ取られ、ただ泥の中で喘ぐだけの、脆く弱い生き物へと成り下がりたい。 その暗い悦楽を味わうためだけに、彼女はこの秘密の儀式を繰り返していた。 「……マスター。ごめんなさいね」 誰に聞かせるわけでもない呟きが、静まり返った旧管制室に小さく響く。 「あなたの前では、私はいつだって最高で、最強のランスロットでいてあげるわ。……だから、ほんの少しの間だけ、目を瞑っていて」 コンソールの転送シークエンスを確定させ、彼女は踵を返して中央のレイシフト・ポッドへと足を踏み入れた。 円筒形のガラス扉が音もなく閉ざされ、内部が密閉される。プシューという気密音とともに、足元から青白い魔力光が幾重にも立ち上り、彼女の華奢な身体を包み込んでいった。 システムのアナウンスが、無機質な合成音声でカウントダウンを告げる。 『アンカーポイント固定……レイシフト・シークエンス、スタート……』 足元から空間が歪み、重力が消失していくような浮遊感が這い上がってくる。視界が白い光の奔流で埋め尽くされていく中、メリュジーヌは自らの両腕を抱きしめるようにして、身体を小さく丸めた。 (今回は……どんな無様な姿を晒せるかしら) その瞳に宿っていたのは、戦場に向かう戦士の光ではない。自らを汚濁へと差し出すことを待ち望む、背徳の熱に浮かされた雌の光だった。 光が臨界に達し、彼女の肉体は素粒子へと分解され、名もなき特異点の暗がりへと転送されていった。 樹冠を幾重にも重ねた巨木が天を覆い尽くし、地上には昼なお暗い緑の黄昏が淀んでいた。 湿り気を帯びた空気はひやりと肌を撫で、腐葉土の甘く饐えた匂いがあたり一面に立ち込めている。足を踏み出すたびに、堆積した枯れ葉が沈み込み、かすかな擦過音を立てる。その微細な振動すら、この静まり返った森の中では異質なものとして空間に波紋を広げていた。 (……ここも、カルデアの観測からは完全に零れ落ちているわね) 私は歩みを止めることなく、胸の奥で静かに息づく感覚を確かめる。 人理の編纂において省かれ、いずれ泡沫のように消え去るだけの取るに足らない微小特異点。誰の目にも触れず、歴史の記録に一行たりとも刻まれることのないこの場所こそが、私にとって何物にも代えがたい舞台だった。 私の内奥に眠るものは、かつて星の内海へと至れなかった白き竜の残滓。星の息吹そのものとも言える莫大なエネルギーを湛えた炉心は、ひとたび解き放たれればこの広大な森など一瞬で光の灰へと変え、大地をマグマの海へと変貌させるだけの質量を秘めている。 けれど、今の私はその力のすべてを深海の底へ沈めるようにして封じていた。 皮膚の硬度を高める加護を解き、筋力を制御する魔力の循環を極限まで絞り込む。白く透き通るような肌は、触れれば容易に赤く染まり、少し強く握られれば跡が残るほどに柔らかく、壊れやすい器として維持されている。 (さて……今回は、どんな出会いがあるかしら) 喉の奥が小さく鳴り、吐息が微かに熱を帯びる。 前回の洞窟で味わった、無数の触手に全身を弄ばれ、母胎として種を刻み込まれた記憶が、脳裏を甘くかすめた。あの圧倒的な無力感。強者としての誇りを泥の中に投げ捨て、ただの雌として組み敷かれた瞬間の悦楽は、今思い出しても背筋の芯をゾクゾクと痺れさせる。 その時、前方の茂みがガサリと音を立てて大きく揺れた。 重たい足音が、湿った地面をドスン、ドスンと踏み鳴らしながら近づいてくる。枝がへし折れる乾いた破壊音とともに、生臭い獣の体臭と、未加工の獣皮が放つ強烈な脂の匂いが、風に乗って私の鼻腔を刺激した。 私は歩みを止め、青空を宿した瞳をゆっくりとその暗がりへと向けた。 茂みを乱暴に押し分け、ぬっと姿を現したのは、絵に描いたような一体の魔物だった。 私の身長の倍近くあろうかという、筋骨隆々の肥大化した巨躯。泥と脂で黒ずんだ緑褐色の皮膚には、無数の古傷が醜く刻まれている。豚のように潰れた鼻からは荒い鼻息がフシューと吐き出され、突き出た黄色い牙が湿った唇の間から覗いていた。腰には粗末な獣皮を巻き、筋張った太い腕には、錆びついた粗末な鉄の大鉈が握りしめられている。 オーク。 多くの神話や伝承において、暴力と略奪を司る下等な亜人種。 その豚のような顔についた濁った双眸が、森の小径に佇む私を捉えた瞬間、ギョロリと大きく見開かれた。 「グガァッ! グルルルァッ、ゴルァッ!」 耳障りな濁声が、静まり返った森の中に木霊した。 オークは持っていた大鉈の平を己の分厚い胸板に叩きつけ、ドスンドスンと足を踏み鳴らしながら、下品な叫び声を上げている。泡立つ唾液が汚らしい牙の隙間から四方へと飛び散り、湿った下草を濡らした。 (……何を騒ぎ立てているのかしら) 何を言っているのか、具体的な単語の意味など一つも分からない。 けれど、その下卑た笑みを浮かべた表情と、私の身体の隅々を舐め回すように見つめる品性のない視線を見れば、言わんとすることは容易に察しがついた。 『小さな獲物を見つけた』だの、『か弱い小娘が迷い込んできた』だのといった、自分を強いと勘違いしている弱者特有の、浅ましい威嚇と歓喜の叫びだろう。 私のような小柄で華奢な見た目をした相手を前にして、己の巨躯と暴力で容易に屈服させられると信じ込んでいるのだ。その思考の単純さは、滑稽ですらあった。 普段の私であれば、そのような下等な生物の視線など一瞥する価値もなく、指先を一筋振るうだけでその首を刎ね飛ばし、塵芥へと変えていただろう。 だが――。 私はオークのぎこちない身振りと、濁った瞳の奥にある微かな光をじっと観察した。 (……ふぅん) 前回のナメクジや触手のような、完全に本能だけで動く無機質な生物とは少し違う。 頭は見るからに悪そうで、原始的な本能に支配されてはいるものの、この魔物には間違いなく、最低限の「感情」と「知性」が存在している。獲物を前にして優越感を抱き、侮り、自らの力を誇示しようとする精神的なプライドのようなものが、その醜悪な肉体の内側に確かに宿っていた。 その事実に気づいた瞬間、私の胸の奥で、今までとは全く異なる種類の悪戯心が小さく疼いた。 (いつもみたいに、最初から無抵抗に組み敷かれるのもいいけれど……) 思考が、急速に別の筋書きを組み立て始める。 言葉が通じるかどうかは分からない。けれど、相手に多少の知性と感情があるのなら、ただ負けるだけではもったいないのではないか。 カルデアの共有スペースで、マスターや他のサーヴァントたちが話していた言葉の数々が、記憶の引き出しからふわりと蘇る。 ――『メスガキ』。 自らの優位を疑わず、弱者に対して生意気な態度で嘲笑を浴びせ、「ざぁこ、ざぁこ」と煽り立てる存在。 カルデアの端末でその概念を知った時、私は「くだらない人間の文化ね」と冷笑して切り捨てていたはずだった。けれど、今のこの状況において、その知識はあまりにも魅力的な道具として私の手の中に転がり込んできた。 (ふふ……あは♥️) 唇の端が、無意識のうちに甘く吊り上がる。 最初から弱々しく負けてあげるのではない。 まずは、圧倒的な実力差を見せつけてあげるのだ。この愚鈍な怪物の攻撃を羽虫でも払うように軽やかにあしらい、手も足も出ない絶望を味わわせる。「自分とこの少女の間には、埋めようのない絶対的な格の違いがある」と、その浅薄な脳味噌に骨の髄まで刻み込ませる。 そして、私が調子に乗って、生意気に、これ以上ないほど小憎たらしく煽り立てるのだ。 『こんな攻撃も当たらないの?』 『図体ばかり大きくて、中身はすっからかんの雑魚ね』 そうやって相手のプライドを徹底的に傷つけ、怒りと屈辱でその豚のような顔を真っ赤に染め上げさせて――。 その上で、私が油断しきって、無防備な背中や隙を晒した瞬間。 オークの捨て身の不意打ちが、私の身体を捉える。 『え……?』と驚愕に目を見開く私の生意気な顔。調子に乗っていた小娘が、一瞬の油断によって足元を掬われ、地面へと叩き伏せられる。 立場は完全に逆転し、さっきまで見下していた相手に、今度は泥水を舐めさせられながら、屈辱と絶望の中で好き放題に弄ばれるのだ。 (……っ、あぁ♥️) 想像しただけで、下腹部の奥がきゅんと鋭く締め付けられた。 背筋を突き抜けるような、狂おしいまでの背徳の痺れ。 最初から無力な獲物として負けるよりも、一度絶対的な優位に立ち、相手を極限まで煽り立ててから転落する方が、その落差は何倍にも跳ね上がる。相手の怒りと支配欲は頂点に達し、私に与えられる暴力と屈辱は、より一層苛烈で、生々しいものになるはずだ。 (決めたわ。今回は、その筋書きでいきましょう) 私は小さく息を吸い込み、表情をガラリと切り替えた。 騎士としての凛とした気品を完全に脱ぎ捨て、眉を吊り上げ、唇をこれ見よがしに歪めてみせる。 私は華奢な両手を腰のあたりに当て、胸を張り、片足を少し前に出して体重を預けた。そして、首を小馬鹿にするように少し傾け、豚鼻を鳴らしているオークへと、澄み切った、けれど酷く刺々しい声を投げかける。 「ねえ、そこの下品な豚さん。さっきからギャーギャーと何を騒いでいるのかしら?」 オークの声がピタリと止まる。 突然、目の前の小さな獲物が怯えるどころか、尊大な態度で声をかけてきたことに、その鈍い頭が混乱をきたしたようだった。 私はその隙を見逃さず、右手の人差し指をスッと持ち上げ、オークの鼻先へと向けた。 そして、カルデアで仕入れた知識をそのままなぞるように、わざとらしく小悪魔のように目を細めてみせる。 「言葉も喋れないような下等生物のくせに、私を見て涎を垂らすなんて、身の程知らずにもほどがあるんじゃない? ……ざぁこ♥️ ざぁこ♥️」 言葉の意味そのものが理解できているかは怪しい。 けれど、私の嘲るような視線、見下すような指先の動き、そしてあからさまに相手を侮辱するイントネーションは、その原始的な知性にも確実に「挑発」として伝わっていた。 オークの額に、ドロリとした青筋が太く浮き上がる。 「グルルルゥ……ッ!?」 濁った瞳が、驚愕から瞬時にどす黒い怒りへと染まっていく。潰れた鼻から激しい呼気が漏れ、握りしめた大鉈の柄がギリギリと音を立てて軋んだ。 「なにその顔? 怒っちゃったの? ふふ、図星を突かれて悔しいのかしら」 私はさらに畳み掛けるように、わざとらしく両手を口元に当ててクスリと笑ってみせた。 「こんなところで威張り散らして、自分を強いと勘違いしているなんて本当に哀れね。あなたのその無駄に大きなお肉、全部ただの脂身なんじゃないの? 鈍重で、醜くて、何の役にも立たない……ただの雑魚豚さん♥️」 「グガァァァァッ!!」 オークの喉から、森の木々を揺るがすほどの激昂の咆哮が爆発した。 知性を完全に怒りで塗り潰された魔物は、大地を蹴り、その巨大な質量を弾丸のようにして私へと突進させてきた。 ドスドスと地面が激しく揺れる。巻き上げられた土煙と枯れ葉が舞い散る中、オークは右腕の大鉈を頭上高くへと振り上げ、私の小さな身体を両断せんとばかりに、全力で振り下ろしてきた。 空気を切り裂く、ブォンという重苦しい風切り音。 常人の戦士であれば、その質量と速度の前に竦み上がり、回避することも叶わずに肉塊へと変えられていただろう。 だが――。 私の目には、その一撃は止まっているのと同義だった。 (遅いわね。あくびが出そうだわ) 大鉈の刃先が、私の額のわずか数寸の距離にまで迫った瞬間。 私は足首をほんの数ミリ捻り、身体を紙一重で左へと滑らせた。 空を切った大鉈が、私の銀髪の一筋をわずかに揺らしながら、足元の腐葉土へと深々と突き刺さる。 ズガァン、と湿った地面が爆破されたように弾け飛び、泥と木の根が四方へと飛び散った。 「グッ……!?」 空振りの衝撃に足を取られ、オークの巨躯が前へのめり込む。 私はその隙だらけの怪物のすぐ真横に立ち、汚らしい耳元へと、涼しげな吐息とともに言葉を滑り込ませた。 「どこを狙っているのかしら? 私はここよ、豚さん♥️」 「グルルァッ!」 オークは目を見開き、突き刺さった大鉈を力任せに引き抜きながら、横薙ぎに腕を振るってきた。 乱暴な、技術の欠片もない暴力の横振舞。 私はバックステップを刻むことすらなく、ただ上半身をわずかに後ろへと反らすだけで、その刃の下を軽やかに潜り抜けた。冷たい鉄の刃が、私の胸元の数センチ上を滑空していく。 さらに、追撃として放たれたオークの丸太のような左拳。 私はその拳の軌道を見切ると、自らの細い手のひらをそっと伸ばし、オークの手首の関節へと指先でトンと触れた。 魔力による強化など一切使っていない。ただの純粋な力のベクトル誘導。 それだけで、オークの全力の殴打は軌道を大きく狂わされ、何もない空間へと空しく突き出された。自分の腕の重みで体勢を崩した巨体が、みっともなく足をもつれさせ、泥濘の上を数歩よろめく。 「グガッ、ゴルァッ……!?」 オークは信じられないといった様子で己の拳を見つめ、次いで、背後で優雅に佇む私へと振り返った。 泥にまみれ、息を荒らげる大男と、衣服に埃一つつけず、微笑みを浮かべる小柄な少女。 その対比は、誰の目から見ても明らかな「格の違い」を雄弁に物語っていた。 「ふふ……本当に、当たらないわね」 私は指先で自らの顎を撫でながら、心底楽しそうに目を細めた。 「振るう大鉈も、振り回す拳も、全部大振りで隙だらけ。赤ん坊の方がまだマシな動きをするんじゃないかしら? ほらほら、どうしたの? 早く私を捕まえて、その汚い力を見せつけてごらんなさいよ」 私は両手を広げ、無防備な胸元を晒してみせた。 「当たれば私の勝ち、当たらなければあなたの負け……なんて簡単なルールでも、あなたには難しすぎたかしら? ざぁこ♥️ ざぁこ♥️」 「グ、ルルルルァァァッ……!!」 オークの喉の奥から、言葉にならない獣の呻きが漏れ出た。 全身の毛穴から吹き出すような汗と、怒りで真っ赤に充血した双眸。潰れた鼻から絶え間なく荒い息を吐き出しながら、魔物は自らの胸板を激しく叩き、今度こそ私を粉砕せんとばかりに、狂乱の連続攻撃を繰り出してきた。 大鉈の振り下ろし、横薙ぎ、突き、そして泥を蹴り上げるような足払い。 ビュン、ドス、ズバァンと、周囲の立ち木がへし折れ、岩が砕け散る破壊の嵐が巻き起こる。 けれど、そのどれ一つとして、私の服の裾をかすめることすら叶わない。 私は蝶が舞うように、風が抜けるように、最小限のフットワークだけでそのすべての暴虐を躱し続けた。時には大鉈の峰の上に爪先でふわりと乗り、時にはオークの伸ばした腕を足場にして頭上を飛び越え、背後へと軽やかに着地する。 「あははっ♥️ 遅い遅い! どこを見てるの?」 「こっちよ、豚さん! ほら、足元がお留守よ?」 「惜しいわねー、あと数十センチで当たったかもしれないのに♥️」 小気味よい罵倒の言葉を浴びせかけるたびに、オークの動きは怒りでさらに雑になり、隙が広がっていく。 オークのプライドは、いまや完全に粉々に打ち砕かれていた。 目の前にいるのは、力づくで容易にねじ伏せられるはずだった無力な小娘。それが、指一本触れられない神域の強者であり、自らを一方的に嘲笑い、弄んでいるのだ。その屈辱と無力感は、怪物の精神を限界まで追い詰めていた。 (……いいわ。最高の仕上がりね) 躱しながら、私はオークの表情の変化を冷徹に、そして熱狂を帯びた瞳で見つめていた。 オークの呼吸はすでに限界近くまで乱れ、肩が激しく上下している。だが、その瞳の奥にある怒りと殺意の炎は、消えるどころか真っ黒な執念となってドロドロと渦巻いていた。 『殺してやる』。 『組み伏せて、その生意気な口を塞いで、二度と笑えないようにしてやる』。 言葉にはならずとも、その全身から放たれる憎悪のオーラが、森の大気を肌が痛むほどに濃密に震わせている。 舞台は、完全に整った。 相手は己の無力を思い知らされ、プライドをズタズタに引き裂かれ、私に対する激しい怒りと支配欲で理性を焼き切られている。 今、この瞬間に――。 私が調子に乗って、致命的な隙を晒したら、どうなるか。 (……いくわよ) 胸の奥で、甘い鐘がカランと鳴り響いた。 私はオークの放った最後の大鉈の横薙ぎを、あえて少し大きめの動作で後ろへと飛び退いて躱した。 そして、わざとらしく大きく息を吐き出し、両手をだらりと下ろして、完全に攻撃の構えを解いてみせたのだ。 「ふぅ……なんだか、飽きちゃったわ」 私はオークから視線をプイと外し、自らの爪の手入れでも確認するかのように、右手の手の甲を見つめた。 背中は完全に無防備。足元も泥濘に無警戒に置かれ、踏ん張りすら利かない状態。 全身から「あなたなど、もう警戒する価値もない」という傲慢な油断を、これ見よがしに垂れ流してみせる。 「これ以上続けても時間の無駄ね。こんな雑魚豚さんのお相手なんて、カルデアの退屈しのぎにもなりやしないわ。……バイバイ、負け犬さん♥️」 背中を向け、森の奥へと立ち去ろうと一歩を踏み出す。 その瞬間――。 私の背後で、オークの足音が完全に消えた。 憎悪と屈辱の果てに、野生の狡猾さを極限まで研ぎ澄ませた怪物が、息を殺し、泥を跳ね上げることすらなく、背後から音もなく跳躍した気配。 頭上から覆い被さってくる、巨大で生温かい影。 大鉈ではなく、自らの巨大な肉体そのものを凶器として、生意気な小娘を地面へと圧殺せんと飛びかかってくる、捨て身の不意打ち。 (……来たわ♥️) 私の背筋を、耐え難いほどの歓喜の悪寒が駆け抜けた。 振り向くことも、避けることも、魔力を展開することも、私は一切しない。 ただ、自らが完璧に演じ切った「油断したメスガキ」の結末として、その圧倒的な暴力の直撃を、心からの甘い期待とともに待った。 ドガァンッ!! 背中に叩きつけられた、数百キロにも及ぶオークの巨躯の質量。 「きゃぁっ……!?」 悲鳴とともに、私の小さな身体は前方の泥濘へと無残に吹き飛ばされ、湿った地面へと激しく叩きつけられた。 腐葉土と冷たい泥水が顔にかかり、視界が激しく回転する。 肺から空気が強制的に絞り出され、喉の奥がヒリリと痛んだ。 「ぐ……っ、あ……っ!」 泥の中に突っ伏した私の背中へ、間髪を入れずに、巨大な影がドスンと覆い被さってきた。 逃げ場を完全に塞ぐ、圧倒的な重圧。 オークの太い膝が私の腰骨のあたりを強烈に圧迫し、丸太のような両腕が、私の華奢な両手首を泥の中に力任せに押さえつける。 ずしり、と肋骨がきしむほどの重量。 泥水の中に顔を半分埋められたまま、私は視界の端で、背後に跨がるオークの醜悪な顔を見上げた。 そこには、さっきまでの屈辱と焦燥は微塵もなかった。 一瞬の隙を突き、憎き小娘を完全に組み伏せたという、狂気じみた優越感と下卑た歓喜。 「グルルァァァ……ッ! ガハハハハッ!!」 オークの喉から、勝利を誇示する下品な大笑いが響き渡った。 私の耳元に吹きかかる、生温かく饐えた獣の息。 泥にまみれた私の純白の衣服の上から、怪物の脂ぎった太い指が、私の肩や背中を乱暴にまさぐり始める。 (あぁ……っ♥️) 痛覚と、圧迫感と、全身を包み込む汚濁の感触。 さっきまで見下し、嘲笑っていた相手に、一瞬の油断から完全に逆転され、泥の底へと屈服させられている。 私の身体の内側で、眠らせていた竜の炉心が、快楽の熱に焼かれてドクンと激しく跳ね上がった。 「あ……っ、うそ……っ、離し……なさいよ……っ!」 私は泥の中で顔を歪め、わざとらしく悔しげな、けれどどこまでも甘く震える声を絞り出した。 「卑怯よ……っ、後ろから不意打ちなんて……っ! 私は……最強の……っ、こんな雑魚豚に……負けるはずが……っ♥️」 私の無様な抵抗の言葉を聞いて、オークはさらに下卑た笑みを深め、私の腰を締め上げるようにその巨大な体重をさらに深く沈み込ませてきた。 ぐにゅり、と泥と肉が押し潰される重たい音が、森の静寂へと響き渡る。 計算通りの、完璧な敗北。 これから始まるであろう、怒り狂った怪物による容赦のない蹂躙の予感に、私の心と身体は、甘美な悦楽に震えながら、どこまでも深く蕩けていった。 オークの筋張った太い腕が、私の両手首を泥濘の奥深くまで力任せに押し込んでいた。 湿った腐葉土の冷たさが指先から手のひらへとじっとりと染み込んでくる。しかし、手首を締め上げる怪物の皮膚からは、煮え立つような生温かい脂の熱が、薄い皮膚を通して直接伝わってきていた。 「グルルゥ……ッ! ガァッ、ゴルァッ!」 背後から降り注ぐ濁った呼気。 オークの潰れた鼻が私のうなじのあたりへと擦り付けられ、荒い鼻息が直接皮膚を吹き抜けていく。未加工の獣皮が放つ饐えた獣臭と、跳ね上がった泥の匂いが混ざり合い、息を吸い込むたびに私の肺を満たしていった。 (……あぁ、すごく怒ってる。そして……すごく、喜んでるわ) 泥の中に顔を押し付けられながら、私は背中に乗る肉塊の細かな震えを全身で感じ取っていた。 さっきまで自分を散々小馬鹿にし、手も足も出ない絶望を味わわせてきた小娘を、いまや自らの腕力一つで泥の中に縫い留めている。その圧倒的な立場の逆転が、この下等な魔獣の原始的な自尊心を極限まで満たしているのだ。 怪物の太い指が、私の純白の衣服の襟ぐりへと乱暴に引っ掛けられた。 ビリリッ、と乾いた布擦れの音が響く。 「きゃっ……! な、何するのよ……っ!」 私の抗議をあざ笑うかのように、オークは力任せにその腕を引いた。 引き裂かれた布地の隙間から、泥一つついていなかった私の白い肩と、華奢な鎖骨のラインが湿った大気の中へと剥き出しにされる。 森の冷たい空気が露わになった肌を撫で、瞬時に鳥肌が立つ。 だが、次の瞬間には、オークの脂ぎった大きな手のひらが、その白い肩口を鷲掴みにするようにして覆い被さってきた。 ぐにゅり、と重たい圧力が骨を軋ませる。 「痛……っ! 乱暴に……触らないでよ……っ、この野蛮な豚……っ♥️」 口からは悔しげな罵倒を紡ぎながらも、その声の端々は、歓喜のあまり甘く震えていた。 怪物の爪は鋭く、私の柔らかい皮膚に食い込んで赤い鬱血の筋を刻み込んでいく。 普段の私であれば、竜の皮膚はいかなる宝具の刃すら通さない。だが、今の私の身体は、意図的に普通の少女と同等にまで柔らかく弛緩させられている。怪物の無骨な指先がめり込むたびに、皮膚の表面が熱を帯び、痛覚とともに甘い痺れが背筋を駆け抜けていく。 オークは私の罵倒を、ただの敗者の無力な負け惜しみとして受け取っていた。 むしろ、小娘が悔しげに喘げば喘ぐほど、その加虐心は煽られるらしい。 オークのもう一方の手が、私の腰から太腿にかけてのラインを、衣服の上から乱暴に撫で回し始めた。 泥と砂利の混ざった無骨な掌が、布越しに私の柔らかな肉を押し潰すようにして揉み療治を加えてくる。 じゅく、ぐちゅりと、泥水が泡立つ鈍い音が私の身体の下から響く。 「ひゃ……っ! どこ触って……っ、やぁ……っ♥️」 身を捩ろうとしても、背中に乗る数百キロの巨躯がそれを許さない。 私が身悶えすればするほど、オークの膝が私の腰骨へと深くめり込み、逃げ場を完全に奪い去ってしまう。 オークの太い指先が、私の衣服の裾をめくり上げ、露わになった太腿の内側の柔らかな皮膚へと直接触れた。 冷えた泥で汚れた指が、私の熱を持った皮膚の上を這いずり回る。 ざらりとした皮膚の摩擦。 「あ……っ、冷た……っ、指……擦り付けないで……っ♥️」 私の太腿の筋肉が、刺激のあまりビクンと小さく痙攣した。 オークはその反応を確かめると、濁った瞳を淫らに細め、喉の奥からグツグツと下品な笑い声を漏らした。 魔物は私の両足をさらに大きく左右へと押し広げるように、自らの太い脚を私の内股の間に割り込ませてきた。 泥水が激しく跳ね上がり、私の下半身が無防備に広げられる。 「あぁ……っ、そんな……脚、広げないで……っ! 見ないでよ……っ♥️」 顔を泥に埋めたまま、私は必死に足を閉じようと抵抗してみせる。 けれど、込められた力はあまりにも弱々しく、オークの太い脚を押し戻すことなど到底できなかった。 オークの顔が、私のうなじのすぐ真上へと迫る。 湿った唇が、私の細い首筋へと直接押し当てられた。 ぶちゅり、と生々しい音が響く。 「ひゃぅっ……!? な、舐め……っ、汚い舌で……っ♥️」 オークの長く分厚い舌が、私の首筋から肩口にかけてを、べっとりと塗りたくるように這い上がってきた。 生温かい唾液が肌の上で膜を張り、強烈な獣の臭気が首筋にこびりつく。 舐め回されるたびに、オークの黄色い牙が私の皮膚をチクチクと小突き、赤い跡を刻んでいく。 汚されている。 カルデアで誰よりも気高く、最強の騎士として愛しいマスターの隣に立っていた私が。 見知らぬ特異点の泥濘の中で、腰に布を巻いただけの醜悪なオークに組み敷かれ、唾液と泥でドロドロに汚されている。 (マスター……見て……。あなたのランスロットは……こんな、雑魚豚の玩具にされてるの……っ♥️) 心の中で呟くたび、下腹部の奥がきゅんと鋭く締め付けられ、太腿の間から熱い蜜がじわりと滲み出ていくのが分かった。 オークはその匂いを敏感に察知したのか、鼻をフガフガと鳴らしながら、私の腰を掴む力を一段と強めた。 「グルルァッ……!」 怪物は自らの腰に巻いていた粗末な獣皮を乱暴に引き剥がした。 ドロリとした重たい肉塊が、私の太腿の裏側へと生々しく触れる。 熱い。 怪物の体内から放たれる、野蛮で暴力的な熱量。 オークの太い剛直が、泥水に濡れた私の下腹部の隙間へと、擦り付けられるようにして押し当てられた。 ずしり、と重たい感触が私の割れ目を圧迫する。 「うそ……っ、そんな……汚いもの……っ、私に……押し付けないで……っ♥️」 私の掠れた声が、湿った森の木々の間へと溶けていく。 オークの蠢きは止まらない。 自らの完全な勝利を確信した魔物は、なおも貪欲に、その泥と脂にまみれた巨躯を私の華奢な身体へと擦り付け、私を泥の深淵へと深く、深く、沈め続けていた。 太腿の裏側に押し当てられた怪物の剛直は、脈打つたびにドロリとした生温かい熱を放ち、泥水で冷え切っていた私の下腹部の皮膚をじくじくと蒸気のように温めていた。 オークの太い指が、私の薄い下着の布地を無造作に掴み、力任せに引き裂いた。 ブツン、と繊維が千切れる音が森の静寂に響く。 「あぁっ……! な、何破いて……っ、私の服を……っ♥️」 抗議の声は甘く掠れ、泥の上へと零れ落ちた。 衣服の残骸が泥水の中へと沈み、私の白く滑らかな下半身が、完全に無防備な状態で湿った大気の中に晒される。 オークの濁った瞳が、獲物の秘所を捉えてギラリと淫らに光った。 怪物は私の腰を両手で鷲掴みにし、自らの太い太腿で私の脚をさらに大きく割り開いた。 泥水が激しく跳ね、私の股関節がきしりと鈍い音を立てる。 「ひゃぁっ……! 痛……っ、そんな……無理に開かないで……っ♥️」 怪物の硬く太い先端が、私の濡れそぼった割れ目の入り口へと、ぐにりと押し当てられた。 生々しい肉の感触。 オークの粗悪な体液と、私の身体から溢れ出た熱い愛液が混ざり合い、ぬちりと湿った音を立てる。 オークは獲物が完全に自らの手の中にあることを誇示するように、一度腰を引き、次いで全体重を預けるようにして一気に腰を突き出してきた。 ずちゅん、と重たい衝撃が下腹部を貫く。 「んぁぁーっ……!?」 背中が弓なりに反り上がり、泥の中に沈んでいた私の指先が土を強く掻きむしった。 爪の間に黒い土が食い込む。 オークの規格外に太い剛直が、私の狭い肉の襞を力任せに押し分けながら、容赦なく体内深奥へと侵入してくる。 ぐにゅり、ずじゅるるり。 粘膜が無理やりに引き伸ばされ、熱い摩擦熱が下腹部を灼く。 常人の身体であれば、その粗暴な侵入だけで裂け散り、失神してしまうほどの暴力的な質量。 けれど、私の肉体は、神代の竜の残滓。 どれほど乱暴に貫かれようとも壊れることはなく、むしろその強大な受容力によって、怪物の太い肉塊を隙間なく締め付け、奥深くまで飲み干してしまった。 ずぶり、と最奥の子宮口に怪物の先端が激突する。 「ひゃぅっ……! 奥……っ、突い……ちゃ……っ♥️」 息が止まり、私の瞳から快楽の涙がポロポロと零れ落ちて泥の中に吸い込まれていく。 オークの喉から、獲物の肉の締め付けの強さに驚愕し、歓喜するような唸り声が漏れた。 「グルルァァッ……! グッ、ゴルァッ!」 怪物は私の腰の骨を指がめり込むほど強く掴んだまま、狂ったような速度で腰を打ち付け始めた。 ドス、ドス、ずちゅ、ぐちゅり。 泥水が跳ね飛ぶ音と、肉と肉が激突する鈍い打撃音が、森の奥深くへと響き渡る。 オークが腰を打ち付けるたびに、私の小さな身体は泥濘の上を前後に激しく揺さぶられた。 「あ……っ、んぁ……っ♥️ 激し……っ、そんな……豚のくせに……激しく突かないで……っ♥️」 口からは悔しげな罵倒を紡ぎながらも、その声は完全に快楽の熱に浮かされていた。 体内の粘膜が、怪物の硬い肉壁によって削り取られるように擦り上げられる。 摩擦の熱と、体内を押し広げられる圧倒的な充足感。 (あぁ……っ、さっきまで……私が、見下していたのに……っ♥️) その事実が、何よりも甘い毒となって私の脳を溶かしていく。 『ざぁこ』と煽り立て、手も足も出ないと嘲笑っていたはずの相手に、いまや完全に組み伏せられ、泥の中で無様に腰を振らされている。 その圧倒的な敗北の落差が、私の背筋を狂おしいほどの快感で貫いていた。 オークの太い腕が私の胸元へと回り込み、露出した白い胸の膨らみを鷲掴みにした。 泥に汚れた掌が、私の柔らかな肉を押し潰すようにして激しく揉みしだく。 「ひゃぁっ……! 胸……っ、潰れ……ちゃう……っ♥️」 オークの体重が、胸と背中の双方から私の華奢な身体へと圧し掛かる。 骨がきしむほどの重圧。 呼吸が苦しく、肺から絞り出される空気はすべて甘い喘ぎ声となって霧散していく。 オークの腰の動きは、さらに熱を帯びて激しさを増していった。 ずじゅ、ずじゅり、ぐちゅるる。 結合部から溢れ出た愛液と体液が真っ白な泡となり、私の太腿の内側を伝って泥水の上へとドロリと垂れ落ちていく。 「あ……っ、もう……だめ……っ! 私……おかしくなっちゃう……っ♥️」 声が裏返り、私の下腹部の奥がきゅうと激しく収縮した。 最強の竜の炉心が、快楽の熱に焼かれてドクンと激しく脈打つ。 オークはその締め付けの強さに耐えかねたように、喉から獣の咆哮を上げ、私の腰を限界まで引き寄せて、最奥へと自らの肉塊を深々と突き刺した。 ドスゥン、と子宮口を穿つような決定的な衝撃。 「んんーっ……! は……っ、あぁぁ……っ♥️」 その瞬間、怪物の剛直から、煮えたぎるような大量の種が、私の胎内へと直接解き放たれた。 どく、どくん、と激しい脈動とともに、熱い液体が子宮の奥深くを満たしていく。 大量の種が子宮の内壁を叩き、下腹部がじっとりと重たい熱を帯びていく感覚。 私の竜の肉体は、その下等な魔物の種すらも拒絶することなく、すべてを余すところなく飲み干し、胎内の熱で優しく包み込んでしまった。 「あ……っ、出た……っ! お腹の中……いっぱい……出されちゃった……っ♥️」 泥水の中に顔を沈めたまま、私は全身の力を完全に失い、小さく痙攣した。 オークは私の体内にすべてを注ぎ終えてもなお、その太い肉塊を引き抜くことなく、私の背中に覆い被さったまま、荒い息をフシューと吐き出し続けている。 全身を包む圧倒的な重量感と、皮膚を侵食する泥と体液の感触。 満たされた。 私の内側にあった暗い飢えは、この傲慢からの転落という極上の筋書きによって、完全に、余すところなく潤されていた。 (……あぁ、本当に……最高だったわ) 胸の奥の澱みが綺麗さっぱりと洗い流されたような、極上の充足感。 泥に汚れた唇の端をわずかに持ち上げ、私は誰にも聞こえないほど小さな声で囁いた。 「……ふふ。ごちそうさま、雑魚豚さん♥️」 その瞬間、私の体内で眠らせていた力が、静かに目を覚ました。 ドクン、と胸の奥の炉心が力強く脈打つ。 背中に乗っていたオークが、空気中の急激な魔力の変化に怯えるように、ピクリと動きを止めた。 だが、もう遅い。 「――終わりよ」 私の瞳に、青空のような澄んだ光が宿る。 パキィン、と硬質な空間の割れる音が響き、私の身体から純白の魔力奔流が全方位へと放たれた。 背中に跨がっていたオークの巨躯は、断末魔の叫びを上げる間すらなく、純白の閃光の中に呑み込まれ、分子レベルで瞬時に分解されて消滅していった。 同時に、私の胎内に注ぎ込まれていた怪物の種も、衣服を汚していた泥や体液も、すべてが光の粒子となって大気の中へと霧散していく。 ぼうっ、と微かな熱風が吹き抜け、湿りきっていた森の空気を一瞬で乾燥させた。 「……んっ」 立ち上がり、自らの掌を見つめる。 指先を鳴らすと、純白の魔力光が身体を包み、引き裂かれていた衣服を瞬時に再構成し、元の汚れなき純白の装束へと戻していく。 銀髪も絹のような艶を取り戻し、肌は何事もなかったかのように透き通るような白さを放っていた。 完璧な身繕い。 どこからどう見ても、誇り高き最強の妖精騎士ランスロットの姿だった。 「ふふ……」 満足げな笑みを浮かべ、私は虚空へと指を走らせてレイシフトの逆転送シークエンスを起動した。 青白い光の柱が、私の身体を包み込んでいく。 (待っていてね、私のマスター) (次はどんな風に調子に乗って、どんな相手に無様に負けてあげようかしら――) 眩い閃光とともに、私の意識は、愛しい彼の待つカルデアの冷たい空気の中へと静かに再構築されていった。 カルデアの居住区画から少し外れた、普段は資材の搬入や予備機材の保管にしか使われない地下連絡通路。空調の風が微かに届くだけの冷え切った通路を、メリュジーヌは音を立てずに歩いていた。 床に敷かれた金属板を踏みしめる際にも、彼女の足元からは一切の振動が生じない。小柄な体躯に宿る絶大な質量と魔力を完全に統御し、ただの空気の揺らぎと同化させながら歩くのは、彼女にとって呼吸と同じくらい造作もないことだった。 (……マスターは今頃、管制室でブリーフィングかしら) 頭の中で愛しい少年の顔を思い浮かべる。彼の隣で過ごす穏やかな時間も愛おしいが、こうして誰の目にも留まらない通路を一人で気ままに巡回する時間も、彼女にとっては悪くない退屈しのぎだった。 通路の先、薄暗い照明が点滅を繰り返す予備倉庫の扉が、わずかに数センチほど開いていた。 普段なら完全に密閉されているはずの重たい金属扉。その隙間から、ひそひそとした、だが隠しきれない興奮を孕んだ男の独り言が漏れ聞こえてきた。 「……へへ、ついに手に入れたぞ。これが、噂の催眠アプリ……! これさえあれば、あの高嶺の花のサーヴァントたちだって、俺の言いなりに……好き放題にできるぞぉ……!」 静まり返った通路に響く、酷く俗っぽく、粘り気のある呟き。 メリュジーヌは足を止め、青空を宿した瞳を細めてその扉の隙間へと視線を向けた。 (……は?) 思わず、彼女の眉が微かに持ち上がった。 催眠アプリ。 耳慣れない、だがカルデアの電子端末を弄っていれば時折目にする、俗悪な創作物の中にしか存在しないはずの単語。 (本気で言っているのかしら、あれ。どこでそんな胡乱な物を拾ってきたのか知らないけれど……そんな路傍の石ころよりも胡散臭いオモチャで、英霊や神霊の霊基をどうにかできるとでも思っているの?) 当然すぎる疑問だった。 サーヴァントという存在は、過去の英雄や神話の残滓が魔力によって受肉した高次の生命体だ。特に彼女のように、神代の原初の竜の残滓たる霊基を持つ存在に至っては、精神への干渉はおろか、大魔術の直撃すら竜の炉心が生み出す魔力障壁によって瞬時に弾き飛ばしてしまう。 ただの機械仕掛けの端末から発せられる微弱な電波や視覚誘導などで、霊基の主導権を奪えるはずなど天地がひっくり返ってもあり得ない。 メリュジーヌは気配を完全に遮断したまま、扉の隙間から倉庫の内部をそっと覗き見た。 薄暗い倉庫の中、山積みにされたコンテナの陰で、一人の男がスマートフォンのような端末を両手で握りしめ、青白い光に照らされながら下卑た笑みを浮かべていた。 身につけているのは、見慣れたカルデアの一般職員用の制服。胸元のIDカードには、魔術協会からの派遣組でも、名門魔術師の家系でもない、ただの一般人枠として現地採用された技術スタッフのネームプレートが揺れている。 (……なるほどね) メリュジーヌは心の中で小さく息を吐いた。 魔術の世界の深淵など爪の先ほども知らない、ただの一般人。魔力回路の構造も、神秘の優劣も、霊基という器の絶対的な格の違いも理解していないからこそ、そんな絵空事のようなアイテムを本気で信じ込んでしまっているのだろう。無知ゆえの滑稽さであり、哀れですらあった。 普通なら、ここで「くだらない」と一蹴して立ち去るか、あるいは規律違反として警備部に突き出すところだ。 しかし――。 メリュジーヌの胸の奥で、ドロリとした甘い熱が小さく疼いた。 (……待って。これ、中々いいおもちゃになるんじゃないかしら?) 思考が、急速に別の方向へと舵を切り始める。 誰かがこの胡散臭いアプリの被害に遭うようなことがあっては困る。カルデアの治安と秩序を守ることは、マスターの最強の騎士たる私の務めでもある。 (そうよ。もし私以外のサーヴァント……例えば、気性の荒い誰かの前でこんな真似をしたら、この職員は一瞬で八つ裂きにされてしまうわ。そうなれば重大な規律違反で処罰が下って、カルデアの雰囲気だって最悪になっちゃう) 頭の中で、自分でも呆れるほど適当で雑な建前を次々と組み立てていく。 (だから、私が代わりに相手をしてあげて、その危険性を回収してあげるべきなのよ。……ええ、そうよ。これはカルデアの平和を守るための、極めて正当な防衛行動だわ) 実際のところは、ただ自分が楽しみたいだけだった。 あの哀れな男が、手に入れた特別なアイテムで最強のサーヴァントを意のままに操れていると信じ込み、優越感に浸りながら調子に乗る姿。そして、それに対して自分が「催眠にかかった無力な獲物」を演じてみせるという筋書き。 (……ふふ) 想像しただけで、口元がだらしなく緩みそうになるのを必死に堪える。 流石にカルデアの職員を殺してしまうような真似は、マスターに悲しまれてしまうから絶対にできない。けれど、殺さない範囲で、特別な力を得たと勘違いしている無力な一般人を末永く楽しめるオモチャとして飼い慣らすことなら、誰にも迷惑はかからないはずだ。 催眠なんて、欠片も効いていない。 私の強大な竜の炉心は、そんな子供騙しの電波など微塵も感知すらしていない。 それなのに、画面の光を向けられただけで「はい、私はあなたの言いなりです」と虚ろな目をしてみせたら、この男は一体どんな顔をするだろう。 『本当に効いた! 最強の妖精騎士ランスロットが俺の奴隷になったぞ!』と、鼻息を荒くして歓喜に震えるに違いない。 (……あはっ♥️ なにそれ、間抜けすぎるわ) 全く効いていないのに、効いていると思い込んで必死に命令を下してくる男の姿。 自分を絶対的な支配者だと信じ込み、鼻の下を伸ばして調子に乗るその滑稽な姿を想像するだけで、メリュジーヌの胸の奥から、もはや「可愛い」や「愛おしい」とすら思えるほどの歪んだ歓びが湧き上がってきた。 (いいわ。最高のお芝居を始めてあげましょう) メリュジーヌは表情を瞬時に引き締め、いつもの冷静で凛とした騎士の顔を作った。 そして、足音をわざと軽く響かせながら、金属扉をスッと押し開けて倉庫の中へと足を踏み入れた。 「――そこで、何をしているの?」 冷たく澄んだ声が、薄暗い倉庫の空間に響き渡った。 「ヒッ……!?」 コンテナの陰で端末を弄っていた職員の男が、短い悲鳴を上げて飛び上がった。 両手に持っていた端末を取り落としそうになりながら、慌てて背後に隠そうとする。その顔は恐怖と動揺で真っ青に引き攣り、額からは一瞬で大粒の脂汗が吹き出していた。 「な、ななな……ランスロット卿……!? な、なんでこんなところに……!」 声を上擦らせ、腰を抜かしかけながら後退る男。 メリュジーヌは腕を組み、小柄な体躯でありながらも圧倒的な威圧感を漂わせながら、ゆっくりと男の前へと歩み寄っていった。 「巡回よ。あなたがコソコソと怪しい独り言を呟きながら、薄暗い倉庫に隠れているのが見えたから声をかけたのだけれど。……手元に隠したその端末、何かしら? カルデアの備品ではなさそうね」 ジトリとした青い瞳で、男の手元を射抜くように見つめる。 男の喉仏が、ゴクリと激しく上下した。 「い、いや……これは、その……ただの、個人的な……通信端末で……!」 「嘘をつくのは感心しないわね。……出しなさい。怪しい通信ログや規律違反がないか、私が直接検閲してあげるわ」 メリュジーヌはわざと冷徹に、一歩、また一歩と距離を詰めていく。 追い詰められた男の顔に、恐怖と、そして先ほど抱いていた狂気じみた欲望が、綯い交ぜになって浮かび上がった。 男の震える指先が、背後に隠していた端末の画面を操作する。 (……来るわね) メリュジーヌの胸の奥で、甘い鐘がカランと鳴り響いた。 男は意を決したように、端末の画面をメリュジーヌの顔の正面へと突き出してきた。 「く、来るな……! これを見ろぉぉぉっ!!」 端末の画面から、サイケデリックな渦巻き模様の光が、怪しげな電子音とともにチカチカと明滅しながら放射された。 くだらない光。何の魔力も神秘も宿っていない、ただの液晶画面の点滅。 メリュジーヌの竜の網膜は、その光の周波数を冷静に分析し、ただの電気信号として完全に無視していた。 けれど――。 メリュジーヌは、その光を真正面から浴びた瞬間。 スッ……と、その青空のような瞳から全ての光彩を消し去り、表情を完全に抜け落ちさせた。 組んでいた腕をだらりと下ろし、顎をわずかに下げて、人形のように無機質な姿勢で直立する。 「…………」 完全な静寂が、倉庫の中に落ちた。 男は突き出した端末を持ったまま、目を見開き、息を呑んで目の前の少女を見つめている。 一秒、二秒、三秒。 メリュジーヌの身体は、指先一本、睫毛の一筋すら動かない。まるで世界から魂だけを抜き取られたかのような、完璧な虚脱状態。 男の喉から、恐る恐る、震える声が漏れ出た。 「……え? ま、マジか……? おい……ランスロット……卿?」 呼びかけられても、メリュジーヌはピクリとも反応しない。ただ虚ろな瞳で、何もない空間をじっと見つめ続けている。 (……ふふ♥️ どうかしら? 私の完璧な催眠演技は) 内側でドロリとした歓喜の笑みを浮かべながら、メリュジーヌは、男が次の一歩を踏み出すのを、息を殺して待ち構えていた。 男の足元が、おそるおそる一歩前へと踏み出された。 床の金属板が軋む微かな音が、静まり返った倉庫の中に響く。男は突き出した端末の画面を握り直しながら、信じられないといった様子でメリュジーヌの顔を覗き込んできた。 「おい……聞こえているか? ランスロット卿」 「…………」 メリュジーヌは微動だにしない。 焦点を完全に失わせた青い瞳の奥で、男の醜く歪んだ表情を克明に捉えていた。男の潰れたような鼻から吐き出される、荒く生温かい呼気が、彼女の陶器のような頬をかすめていく。 (……ふふ。すっかり信じ込んでいるわね) 男の顔に、先ほどまでの恐怖が嘘のように消え去り、じわじわと下品な優越感と欲望が滲み出していくのが分かった。 「ほ、本当に……効いているのか? あの最強の妖精騎士が……ただのアプリで……?」 男は端末の画面をタップし、アプリの画面に表示されたテキストをなぞるようにして、震える声で命令を下してきた。 「じ、じゃあ……右手を上げろ!」 メリュジーヌは、コンマ数秒の不自然な間をあえて挟んだ。 催眠にかかった人間特有の、思考の遅延と機械的な従順さを完璧にシミュレートするためだ。 スッ……と、細く白い右腕が、何の躊躇もなく持ち上がる。肩の高さでピタリと静止したその腕は、一切の震えもなく、ただ下された命令を機械的に遂行していた。 「う、うわっ……! マジだ……! マジで動きやがった……!」 男の喉から、歓喜の悲鳴が漏れ出た。 「すげえ……! 本物だ、本物の催眠アプリだ! あの無敵のランスロットが、俺の言うことを何でも聞く操り人形になったぞ……!」 男は興奮のあまり、両手で頭を抱えながら倉庫の中で小さく飛び跳ねた。その浅ましい姿を見つめながら、メリュジーヌの内なる歓びはさらに一段と熱を帯びていく。 (あはっ♥️ 本当に信じちゃって……なんて間抜けなのかしら。こんなただの光の点滅で、私がどうにかなるわけないのに) 男は息を荒らげながら、再びメリュジーヌの至近距離へと詰め寄ってきた。 男の体臭――油の浮いた皮膚と、汗の混ざり合った独特の生々しい臭気が、メリュジーヌの鋭敏な鼻腔を刺激する。 「おい、ランスロット卿……いや、ランスロット! 自分の名前を言ってみろ!」 「……私は、妖精騎士、ランスロット……」 抑揚を完全に削ぎ落とした、平坦な電子音声のような声で応答する。 その声を聞いた男は、もはや疑うことを完全にやめ、下卑た笑みをその顔いっぱいに広げた。 「へへ……へへへ! 最高だ……! あのツンツンした最強の騎士様が、こんなにあっさり落ちるなんてなァ!」 男の脂ぎった手が、震えながらメリュジーヌの肩へと伸ばされた。 無骨な指先が、彼女の純白の衣服の上から、華奢な肩の肉を鷲掴みにする。 ぐにゅり、と衣服越しに圧力がかかる。 メリュジーヌはあらかじめ肉体の硬度を一般的な少女と同等にまで落としていたため、男の力でも容易に皮膚が凹み、指の形に沿って沈み込んだ。 「あ……」 口元から、意図的に漏らしたような小さな、無機質な吐息が零れる。 男はその微かな反応にすら興奮を跳ね上がらせたのか、息を「フシュー、フシュー」と荒げながら、掴んだ肩を乱暴に揺さぶってきた。 「おい、聞こえるか? お前は今から、俺の専用の奴隷だ。俺の命令には絶対に逆らえないし、何をされても怒ったり抵抗したりすることは許されない。分かったか!」 「……はい。私は、あなたの、奴隷です……」 言わされている体を装いながら、自らの口で紡ぐ屈従の言葉。 その響きが、メリュジーヌの背筋を甘美な痺れで貫いた。 (あぁ……言っちゃった♥️ 私が、こんな無力な一般人の奴隷ですって……) 最強の竜の残滓たる私が、魔術の素養すらない路傍の凡人に組み敷かれようとしている。 その圧倒的な倒錯感が、胸の奥の炉心をドクドクと甘く脈打たせていた。 男はメリュジーヌの従順な返答に完全に気を良くしたのか、掴んでいた肩から手を滑らせ、彼女の細い首筋へと指先を這わせてきた。 冷たい男の指先が、陶器のように滑らかな肌を撫でる。 ざらりとした皮膚の摩擦感が、首筋の神経を刺激し、微かな鳥肌を立たせた。 「へへ……すげえ肌だな。透き通るみたいに真っ白で、すべすべだ……。こんな上等な女が、俺の思い通りになるなんて夢みたいだぜ……」 男は端末をポケットにねじ込むと、今度は両手を伸ばし、メリュジーヌの華奢な腰を左右から掴んできた。 ぐっと引き寄せられる感触。 メリュジーヌの身体は、抵抗の意思を一切見せることなく、人形のように容易に男の胸元へと引きずり倒された。 ドサリ、と倉庫の隅に置かれていた予備のマットレスの上へと押し倒される。 埃っぽい布の匂いと、男の生温かい体温が、彼女の背中と正面から同時に押し寄せてきた。 「く……っ」 メリュジーヌは視線だけを虚ろに天井へと向けたまま、背中に伝わるマットレスの沈み込みと、上に覆い被さってきた男の重みを全身で受け止めた。 男の体重は、彼女にとって羽毛のように軽い。本気を出せば、小指一本でこの男の身体を天井まで吹き飛ばすことができる。 だが、彼女はその力を完全に眠らせたまま、ただ無防備な少女の器として、男の乱暴な接触に身を任せていた。 男の太い太腿が、メリュジーヌの細い両脚の間に割り込んでくる。 「おい、ランスロット……服を脱がせても、じっとしていろよ。抵抗したら、アプリでもっと酷い目に遭わせるからな……!」 男はそう脅しをかけながら、メリュジーヌの衣服の胸元に手をかけ、ボタンを一つひとつ、震える指先で外していった。 パチン、パチンと小さな音が静かな倉庫に響く。 左右に押し開かれた布地の隙間から、泥一つついていない純白の肌と、小ぶりながらも美しい形をした胸の膨らみが、薄暗い倉庫の明かりの下へと露わにされていく。 森の冷気とは違う、カルデアの空調の冷たい風が、露わになった胸元の皮膚を撫でた。 「うわ……すげえ……。本当に、めちゃくちゃ綺麗だ……」 男は唾を飲み込み、その脂ぎった手のひらを、メリュジーヌの白い胸の上へと直接押し当てた。 ぐにゅり、と柔らかな肉が男の手の中で押し潰される。 「ん……っ……」 メリュジーヌの喉から、感情を押し殺したような、けれど隠しきれない甘さを孕んだ吐息が微かに漏れた。 男の手のひらは温かく、そして湿っていた。 その生々しい人間の手の感触が、彼女の皮膚を通して直接心臓へと伝わってくる。 (あぁ……触られてる。こんな……名前も知らないような一般人の男に、私の身体が……っ♥️) 男はメリュジーヌが暴れないことを確認すると、さらに調子に乗ったように、両手で彼女の胸を揉みしだき始めた。 指先が柔らかな肉にめり込み、先端の小さな突起を無遠慮に擦り上げていく。 「へへ、どうだ? 気持ちいいか? 催眠にかかってても、身体はちゃんと感じるんだろ?」 男の下卑た問いかけに、メリュジーヌは虚ろな瞳を天井に向けたまま、掠れた声で小さく唇を動かした。 「……はい。胸を、触られて……熱いです……」 嘘八百の返答。 けれど、その言葉を発するたびに、彼女の下腹部の奥がきゅんと甘く締め付けられていくのは、紛れもない事実だった。 男はメリュジーヌの従順な言葉に煽られ、さらに呼吸を荒らげながら、自らのズボンのベルトに手をかけた。 金属のバックルが擦れ合うカチャリという音が、薄暗い倉庫の空間にいやらしく響き渡る。 「よし……じゃあ、次はもっといいことをしてやるからな。お前はただ、俺を受け入れて、声を出していればいいんだ……!」 男の言葉を聞きながら、メリュジーヌは心の中で、甘く蕩けた笑みを浮かべていた。 (ええ、いいわよ……。好きなだけ、私をあなたの思い通りにしてごらんなさい) (私がただのお芝居で付き合ってあげているとも知らずに……哀れで、可愛い、私の新しいオモチャさん――♥️) 薄暗い倉庫の片隅で、最強の妖精騎士による、あまりにも歪で甘美な「催眠劇」が、静かにその幕を開けようとしていた。 男の震える指先がズボンのファスナーを引き下ろすジジジという乾いた摩擦音が、コンテナに囲まれた密閉空間に響き渡った。 「へへ……っ、ランスロット……俺のモノを、よく見てろ……」 下卑た笑みを浮かべた男が、乱暴に下着ごと押し下げ、露わになった自らの怒張をメリュジーヌの虚ろな瞳の前に突き出してきた。 赤黒く鬱血した、凡庸な人間の男性器。先端からは透明な先走りの粘液がドロリと一筋垂れ落ち、男の荒い息遣いに合わせてピクピクと醜く脈打っている。 本来のメリュジーヌであれば、視界に入れることすら汚らわしいと一瞬で消滅させているはずの汚物。 だが、今の彼女は「催眠で自由を奪われた無力な騎士」だ。 彼女は焦点をわざと曖昧にぼかしたまま、その突きつけられた異物をじっと見つめる人形の仕草を崩さない。 (……ふふ。本当に、どこまでも図に乗っちゃって) 内側でドロリとした嘲笑と歓喜が渦を巻く。 男はメリュジーヌが一切の拒絶を示さないことに完全に気を良くし、自らの手で剛直を一度扱き上げると、マットレスの上に仰向けにされた彼女の太腿を、左右から乱暴に押し広げた。 「おい、脚を開け……! 俺のモノを迎え入れる準備をしろ!」 「……はい、ご主人様……」 棒読みの従順な声とともに、メリュジーヌは自らの意思で、細く滑らかな両脚をだらしなく左右へと割り開いてみせた。 下着の布地が男の無骨な手によって脇へと押し退けられ、陶器のように白い肌に縁取られた、薄桃色の秘所が湿った空気の中へと露わになる。 まだ一度も男を受け入れたことのないような、無垢で小さく閉ざされた割れ目。 そこから、彼女自身の内なる背徳の興奮によって、じわりと透明な愛液が滲み出し、割れ目の筋を艶やかに濡らしていた。 「う、うわ……すげえ濡れてるじゃねえか……! お前、催眠にかかりながら、こんなにスケベな身体になってんのかよ……!」 男の鼻息が一段と荒くなり、生温かい呼気がメリュジーヌの太腿の内側へと直接吹きかかってくる。 男は待ちきれないとばかりに自らの腰を前進させ、充血した先端を、メリュジーヌの濡れそぼった入り口へと押し当ててきた。 ぬちり、と湿った粘膜同士が擦れ合う生々しい音が立つ。 「あ……」 メリュジーヌの口から、無機質を装った小さな呼気が零れ落ちた。 男の剛直は、彼女にとって何の脅威にもならない、ただの脆弱な肉の塊に過ぎない。竜の炉心が宿る彼女の身体にとって、人間の男性器など小枝を押し当てられているのと大差ないはずだった。 けれど、彼女は自らの身体を「ただの脆く弱い少女」として完全に弛緩させていた。 男が体重を預けて腰を突き出した瞬間。 ずぶり、と重たい感触とともに、男の剛直が狭い入り口を無理やりに押し広げながら、彼女の体内へと侵入してきた。 「ん……っ、く……っ!」 メリュジーヌの眉が、わずかにピクリと跳ねた。 狭い肉の襞が、容赦なく左右へと引き伸ばされていく生々しい摩擦熱。 男の体温、血管の脈動、亀頭の段差が内壁を削り取るように擦り上がっていく感触が、神経を通して鮮明に脳へと伝わってくる。 (あぁ……入ってきた……。こんな、ただの一般人の男のモノが……私の中に……っ♥️) 痛覚と、圧倒的な背徳感。 最強の妖精騎士として何者にも侵されたことのない神聖な領域が、催眠という子供騙しの嘘を口実にして、路傍の凡人に易々と踏み荒らされている。 その転落の情景が、メリュジーヌの背筋を甘美な電撃となって駆け抜けた。 「ぐ、うおっ……! めちゃくちゃ狭い……! なんだこれ、締め付けがヤバすぎる……!」 男はメリュジーヌの体内の尋常ではない密着感に顔を歪め、歓喜の呻き声を漏らした。 彼女の竜の肉体は、意図的に力を抜いていてもなお、生物としての格の違いからくる超高密度の筋繊維を持っている。それが男の剛直を全方位から隙間なく、万力のように締め上げているのだ。 男は彼女の腰骨を両手で強く鷲掴みにすると、己の欲望のままに、力任せに腰を打ち付け始めた。 ドス、ドス、とマットレスが軋む鈍い音が響く。 「へへ……っ、どうだランスロット! 俺のモノでお前の身体が犯されてるぞ! 気持ちいいだろ!」 男が腰を突き入れるたびに、メリュジーヌの華奢な上半身がマットレスの上で小さく揺さぶられた。 ぐちゅ、じゅるりと、結合部から溢れ出た愛液が泡立ち、淫靡な水音が倉庫の静寂を塗り潰していく。 「……はい。ご主人様のモノが……奥まで、入ってきて……っ、頭が……おかしくなりそうです……」 虚ろな表情を保ちながら、抑揚のない声で喘ぎの言葉を返す。 だが、その身体は嘘をつけなかった。 内壁が男のピストンによって擦り上げられるたび、彼女の爪先がピント伸び、下腹部の奥がきゅんと甘く収縮して男の剛直をさらに強く締め上げてしまう。 「ひ、ヒィッ……! すげえ……勝手に吸い付いてきやがる……!」 男はその締め付けに耐えかねるように、腰の動きをさらに加速させた。 ずじゅ、ずじゅり、ぐちゅるる。 男の荒い息と、汗の匂い、そして肉と肉がぶつかり合う生々しい打撃音。 メリュジーヌは天井を見つめたまま、心の中で甘く蕩けた笑みを深めていた。 (そうよ……もっと腰を振りなさい、無力なご主人様。私が催眠にかかっていると思い込んだまま……好きなだけ、私の身体で満足するといいわ) (あなたが私を支配しているんじゃない……私が、あなたにお芝居をさせてあげているのよ――♥️) 薄暗い倉庫の中、偽りの催眠に支配された最強の騎士と、全能感に酔いしれる哀れな男の、背徳に満ちた交わりはどこまでも激しく続いていった。 男の腰の動きは、完全に理性を失った獣のように乱暴さを増していった。 ドス、ドス、ずちゅ、ぐちゅり。 安物のマットレスがギシギシと悲鳴を上げ、結合部からは泡立った体液がじゅるじゅると音を立てて溢れ出している。男の脂ぎった額から垂れ落ちた汗が、メリュジーヌの白い鎖骨の上へとポタポタと落ちて広がり、体温を奪うように冷たく冷えていく。 「へへ……っ、ランスロット……っ、お前、本当に最高だぜ……! こんなに名器だなんて思わなかった……っ!」 男は勝利の喜悦に顔を歪めながら、メリュジーヌの腰を掴む手にさらに力を込めた。無骨な指先が彼女の柔らかな皮膚に食い込み、赤い鬱血の跡を刻み込んでいく。 メリュジーヌは焦点を失わせた瞳を天井に向けたまま、人形のように無抵抗にその衝撃を受け止めていた。 (……あは♥️ 跡がついちゃうわね。でも、それも悪くないわ) 内奥を突き上げられるたび、下腹部の奥深くに眠る竜の炉心が、甘い熱を帯びてトクン、トクンと力強く脈打つ。 男の剛直が彼女の最奥――子宮口の入り口を小突くように当たるたびに、背筋を突き抜けるような快感の痺れが走り、足の指先が無意識に丸まった。 「……あ……っ、ん……っ。ご主人様、の……奥まで、届いて……います……」 感情を殺した棒読みの声。 けれど、その吐息は熱く湿り、唇の端からは微かに透明な唾液が一筋零れ落ちていた。 男はその無機質な反応に、完全に全能感を満たされていた。 普段であれば自分のような下っ端の職員など視界にすら入れないはずの、カルデア最強の妖精騎士。それが今、自分の下で無力に脚を開き、命令通りの言葉を口にしながら犯されているのだ。 「そうだ……! 俺がお前の主人だ! お前は俺のオモチャなんだよ……!」 男は興奮の極みに達し、腰を打ち付ける速度を一気に跳ね上げた。 ずじゅ、ずじゅるる、ぐちゅ! 激しいピストンによって、メリュジーヌの体内の粘膜が限界まで摩擦され、熱い蜜がとめどなく溢れ出して男の剛直を濡らし尽くしていく。 「ぐ……っ、うおぉぉっ……! 出る……っ、中に出すぞ、ランスロットぉぉっ!!」 男の喉から、理性をかなぐり捨てた絶叫が上がった。 男はメリュジーヌの華奢な身体をマットレスへと力任せに押し付け、最奥へと自らの肉塊を深々と突き刺した。 ドスゥン、と子宮口を強く圧迫する決定的な衝撃。 「ん……っ……!」 メリュジーヌの首筋が小さく反り上がった。 その瞬間、男の剛直から、生温かい精液がドクドクと勢いよく彼女の胎内深奥へと解き放たれた。 どく、どくん、と脈打つ肉の感触。 大量の白濁が、彼女の狭い子宮口の周囲をじっとりと満たし、熱い粘膜を汚していく。 (……出されたわ) メリュジーヌは目を細め、胎内に広がる男の体液の感触を冷静に、そして甘美な背徳感とともに受け止めた。 ただの人間の、薄っぺらで脆弱な種。 竜の炉心を持つ彼女の肉体にとっては、何の魔力も宿っていないただの有機物の液体に過ぎない。本来であれば一瞬で魔力によって浄化されるはずの汚物を、彼女はあえて体内に留め、その重みと熱をじっくりと味わっていた。 男はすべての精液を吐き出し終えると、脱力したようにメリュジーヌの胸元へと倒れ込んできた。 ずしり、と男の汗ばんだ上半身が彼女の柔らかな胸を押し潰す。 「ハァ……ハァ……っ、すげえ……本当に、ランスロットを犯しちゃったよ……」 男は恍惚とした表情で、メリュジーヌの銀髪に顔を埋めながら、荒い息を繰り返している。 その無防備極まりない後頭部を見下ろしながら、メリュジーヌの唇の端が、スッと三日月のように吊り上がった。 (……ふふ。お疲れ様、私の可愛いオモチャさん) 男はまだ気づいていない。 自分が手に入れた「催眠アプリ」などという絵空事によって、この最強の騎士を支配したと信じ込んでいるが、実際には最初から最後まで、すべて彼女の手のひらの上で踊らされていただけだということに。 そして、一度この味を占めてしまった男が、これからもこの「特別なアイテム」を頼りに、彼女を呼び出し、支配しようとし続けるであろうことに。 (これからも、末永く楽しませてもらうわね……♥️) メリュジーヌは男の背中にそっと手を回し、催眠にかかった人形のふりを崩さないまま、その指先で男の衣服を優しく、愛おしそうに撫でた。 薄暗い倉庫の片隅で、破滅へと向かう男の傲慢と、それを飼い慣らす最強の竜の甘い罠が、静かに、そして確実に絡み合っていた。