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メイン
10/18 21:01
メインアレナ・グラック
街に日が沈みつつある。これまでの道中も、多くの人が同行していたが
10/18 21:02
メインアレナ・グラック
都市のそれとは比べ物にならない。これ程に開けた地の中の、区切られた領域の中で、一つの共同体が争いも無く暮らしていると言うのはどこか非現実的なことにも思えた。
10/18 21:02
メインアレナ・グラック
隊商の護衛の仕事である。幾つかに分けた隊の内、特に狙われては不味いもの
10/18 21:03
メインアレナ・グラック
狙われやすいルートのもの。それらを選んで、予算が許す範囲で冒険者たちは雇用された。
10/18 21:04
メインアレナ・グラック
道中は……快適だったとは言いづらい。冒険者の仕事なんてそんなものではあるけれど。
10/18 21:04
メインアレナ・グラック
そう派手に稼げている訳ではないことは、馬車などの品質から容易に伺い知れた。
10/18 21:05
メインアレナ・グラック
「ふー……」
10/18 21:05
メインアレナ・グラック
蛮族の襲撃も数回、備品のトラブルも1度ありはしたものの。
10/18 21:06
メインアレナ・グラック
護衛依頼を承った本隊を、日が暮れる前に都市まで辿り着かせたことに安堵する。
10/18 21:06
メインアレナ・グラック
「鍛錬より腰に来たかも。お疲れ、ジルちゃん」
10/18 21:07
メインジルド・レイザーゲイル
「お疲れ様、アーちゃん」 水袋から水を補給しつつ。都市に辿り着き警戒の必要がなくなったからこその無防備な補給。
10/18 21:08
メインジルド・レイザーゲイル
「ガタガタ揺られてるとどうしてもね……」 苦笑。一足先に地上で暮らしていたらしいジルドは比較的、慣れている。
10/18 21:08
メインアレナ・グラック
時間差があった。アレナが地下世界を出て、地上の人族社会に紛れ込むよりも
10/18 21:09
メインアレナ・グラック
前からジルドは地上に来ていて、経験を積んでいたのだと言う。
10/18 21:09
メインアレナ・グラック
「空が広いのは新鮮だけど……」
10/18 21:09
メインアレナ・グラック
「やっぱりちょっと落ち着かないな。警戒しないといけない範囲も広いし」
10/18 21:10
メインアレナ・グラック
弱音と言う程でもなく、本音を兼ねた軽口だろう。周囲に話を聞く者がいないことは確認していた。 ダークドワーフ──蛮族領の出であることは、そう喧伝するものではない。即座に追放の対象になるようなことはないとしても、だ。
10/18 21:11
メインジルド・レイザーゲイル
「都市の外に出ると、どうしてもね」 〈守りの剣〉────それが齎す加護の力は強い。ゆえにこそ、外と街の中での気の張りつめ用は全くと言っていいほど別のものだ。 むろん、その加護の恩恵に授かれていない街も少なくはないのだけれど。
10/18 21:12
メインジルド・レイザーゲイル
「窮屈さを感じないから、僕は好きだよ」
10/18 21:12
メインアレナ・グラック
言われて、もう一度空を見る。
10/18 21:13
メインジルド・レイザーゲイル
グ、と伸びをする。全く気にしないでいいというわけでもないが、それでも穴蔵で暮らしていたころに比べて感じるこの解放感は何物にも代えがたいと強く思う。
10/18 21:13
メインアレナ・グラック
赤く染まっていく。空は全体として昏さを増しながら、地平線に沿って輝きが強まっている。
10/18 21:14
メインアレナ・グラック
「……私も、この色は好き」
10/18 21:14
メインアレナ・グラック
鍛造の色に似ている。金属を熱し、打ち付ける時の
10/18 21:14
メインアレナ・グラック
何かが生まれ研がれる輝きの色だ。
10/18 21:15
メインアレナ・グラック
「ちょっと嬉しいな、なんか」
10/18 21:15
メインジルド・レイザーゲイル
その言葉に笑みを浮かべ、アーちゃんへと向ける。 「僕が好きなものがアーちゃんも好きで嬉しい」
10/18 21:15
メインアレナ・グラック
「……」
10/18 21:15
メインアレナ・グラック
言語化できていた訳では無かった。嬉しいと思った、それは何故?
10/18 21:16
メインアレナ・グラック
続くジルドの言葉で、それがすとんと胸に落ちて、ああ私もそうだったんだな、と理解する。
10/18 21:17
メインアレナ・グラック
「私も。……ジルちゃんは笑ってるとかわいいね、やっぱり」
10/18 21:18
メインジルド・レイザーゲイル
一転、その言葉には少しムッとする。 「もう、僕は男だよ、アーちゃん」
10/18 21:18
メインアレナ・グラック
「あんまり関係なくない?それは」
10/18 21:18
メインアレナ・グラック
「かわいいとかカッコいいとか、性別がないものにも言ったりするし……」
10/18 21:19
メインアレナ・グラック
「私は私が思ったことを言ってるだけ」
10/18 21:19
メインアレナ・グラック
落ちていく日を見ながら、くすくすと笑う。
10/18 21:20
メインジルド・レイザーゲイル
むー。と少し唸りながら。 「僕はカッコいいって思って欲しいのに」
10/18 21:20
メインアレナ・グラック
そうやってむくれるとよりかわいく見えるのが分からないのだろうか。あんま分かって無さそうだな。
10/18 21:21
メインアレナ・グラック
「カッコいいとは思ってるから安心してよ、ジールちゃん」頬を指で突いて。
10/18 21:21
メインアレナ・グラック
まあ実際、黙っていれば……と言うか
10/18 21:21
メインアレナ・グラック
普段の様子で言えばクールに見える方だと思う。なんならちょっと怖さを感じるくらいには。
10/18 21:22
メインアレナ・グラック
怖い?いや……なんだろう。上手く言えないけれど
10/18 21:22
メインアレナ・グラック
ちょっと、不安になる感じがする、陰りみたいなものが。
10/18 21:23
メインジルド・レイザーゲイル
「アーちゃん?どうかした?」 気付けば、ジルドが屈んで顔を覗き込んで来ている。
10/18 21:23
メインジルド・レイザーゲイル
「……疲れた?」 それで、ボーッとしていたのかなと、そんな風に不安がる。
10/18 21:23
メインアレナ・グラック
「っ、と」
10/18 21:24
メインアレナ・グラック
後ずさりをしそうになって、たたらを踏んでその場に留まる。
10/18 21:24
メインアレナ・グラック
思ったより、近い。
10/18 21:25
メインジルド・レイザーゲイル
「?」 幼馴染の時の距離感とまだ引きずっているのか、地上で再開後のジルドは時々アーちゃんにこうして距離を詰めることがある。
10/18 21:25
メインアレナ・グラック
「んん、なんでもない……」
10/18 21:26
メインアレナ・グラック
特に不快と言う訳ではない。不都合と言う訳でもない。
10/18 21:26
メインアレナ・グラック
ジルドとは対等な協力関係であり、そこに勾配はなく、故に害されることも現時点ではあり得ない可能性である。
10/18 21:27
メインアレナ・グラック
だから、別に。顔が近いからどう、と言うことも無い筈なのだけれど。
10/18 21:27
メインアレナ・グラック
夕陽の色が白い肌に映っているような気がした。
10/18 21:28
メインアレナ・グラック
「なんでもないけど、まあ……疲れはしたか」
10/18 21:28
メインアレナ・グラック
「よし、ジルちゃん!街入って休もっか今日はもう!」
10/18 21:29
メインジルド・レイザーゲイル
「んー……そうだね……………………」 間延びした返事を、街道を振り返りながら行う。
10/18 21:29
メインアレナ・グラック
泊れるとこ空いてるかなー、隊商の人たちも多分使うよなー、まあ別に野営でも困りはしないけどー……と呟きつつ。
10/18 21:30
メインジルド・レイザーゲイル
実際。この隊商はその全体で1部ではあるけれど、その護衛を完遂したからには問題なく報酬は出るのである。
10/18 21:30
メインアレナ・グラック
迂回路を使った別動隊の中には、まだ到着していないところもあるけれど
10/18 21:30
メインアレナ・グラック
無事辿り着けばそれで良し。……仮に無事でなくとも、仕事とは関係のない話だ。
10/18 21:31
メインアレナ・グラック
今頃はあのあたりかなー、と遠くの方へ視線を投げて──
10/18 21:31
メインジルド・レイザーゲイル
脚を軽く振り、疲労の程を確認する。
10/18 21:33
メインジルド・レイザーゲイル
アーちゃんはくたびれた様子だったが、自分はまだいける。魔物と遭遇することもあまりなかったことも幸いしている。余力は十分にあるなと自分の状況を確認する。
10/18 21:33
メインアレナ・グラック
「──ん?」
10/18 21:34
メインアレナ・グラック
何か、異音のようなものを……その視線の先から、聞いた気がした、直後。
10/18 21:34
メインアレナ・グラック
明確に、ここまで聞こえる形で
10/18 21:35
メインアレナ・グラック
破砕の音が響き渡った。分割した隊商の一部が、進行していたと思われるルートから。
10/18 21:35
メインジルド・レイザーゲイル
「────っ」 身構える。アーちゃんを庇うような形で前に出る。
10/18 21:35
メインアレナ・グラック
目を細める。警戒の姿勢に入っている。
10/18 21:36
メインアレナ・グラック
「……そう近く無いな。別動隊のルートだ」
10/18 21:36
メインジルド・レイザーゲイル
今すぐ、こちらに何か影響のあるものではないことを認めて。
10/18 21:36
メインジルド・レイザーゲイル
「アーちゃん」
10/18 21:36
メインアレナ・グラック
「大丈夫だよ、ジルちゃん。アレらはこっちに来ないし、来ても私が前に……」
10/18 21:37
メインアレナ・グラック
「ん、どうしたの」
10/18 21:37
メインジルド・レイザーゲイル
「行ってくる。アーちゃんは待ってて」
10/18 21:37
メインアレナ・グラック
その声色に怪訝なものを覚えて、振り返って表情を見る。
10/18 21:37
メインジルド・レイザーゲイル
答えを聞く前に、既にもう走り出している。
10/18 21:37
メインアレナ・グラック
「ちょっ」
10/18 21:37
メインアレナ・グラック
「えっ……」
10/18 21:37
メインアレナ・グラック
「何!?」
10/18 21:38
メインアレナ・グラック
「待ってて、じゃないけど!?どうしたのさ!」
10/18 21:38
メインアレナ・グラック
ああもうそう言う間にも走り出している!
10/18 21:38
メインジルド・レイザーゲイル
「今ならまだ間に合うかもしれない!」 驚愕の声が聞こえたから、顔だけ振り向いて叫ぶ。
10/18 21:39
メインアレナ・グラック
「間に合いは……するかもしれないけど」
10/18 21:40
メインアレナ・グラック
「依頼の範疇の外だし、ジルちゃんだって疲れてるでしょ!」
10/18 21:40
メインアレナ・グラック
「隊商の人たちは自分たちの力の及ぶ範囲で保険をかけて、それが足りなかっただけなんだから」
10/18 21:40
メインジルド・レイザーゲイル
「俺は大丈夫だから!」 やり取りをしているその間にも、ぐんぐんと距離は離れていく。
10/18 21:41
メインアレナ・グラック
「っ、もう……!」
10/18 21:41
メインアレナ・グラック
いつもこう……と言うには、いつもではないけれど。
10/18 21:42
メインアレナ・グラック
距離を離されると、こちらも追っていくしかない。
10/18 21:42
メインアレナ・グラック
「大丈夫、って言われてもな……!」
10/18 21:43
メインアレナ・グラック
不慣れから愚痴は零したけれど、体力そのものは残っていない訳ではない。愚痴は零したし、疲れてはいるけれど。
10/18 21:43
メインアレナ・グラック
後になってどうしてそうしたのかを聞かれたら、少し答えに窮するだろうが
10/18 21:43
メインアレナ・グラック
ひとまずの、現在。
10/18 21:43
メインアレナ・グラック
走り出す。ジルドを追って。
10/18 21:45
メインアレナ・グラック
10/18 21:46
メインジルド・レイザーゲイル
がむしゃらに走る内に、陽は落ちかけ、周囲には夜の帳が落ちようとしている。
10/18 21:46
メインジルド・レイザーゲイル
そんな中、隊商がいたと思われる場所はとても視認がしやすかった。
10/18 21:47
メインジルド・レイザーゲイル
────燃えていたから。
10/18 21:48
メインジルド・レイザーゲイル
「はっ、はっ……………………」 息を切らして走って。そして無残な姿になってしまった隊商の残骸の前で立ちどまる。
10/18 21:48
メインジルド・レイザーゲイル
生存者も──いないのか。時間としては短いはずだ。それでも。
10/18 21:49
メインジルド・レイザーゲイル
下手人も、見当たらない。よほどの手練れあることが、伺える。
10/18 21:50
メインジルド・レイザーゲイル
準備をしていたのだろう。財政苦からあまり多くの護衛を付けられない隊商を狙った。
10/18 21:50
メインジルド・レイザーゲイル
そういう手口は、少なくない。
10/18 21:51
メインジルド・レイザーゲイル
それでも。 「クソ……」 手を握りしめる力が強くなってしまうのは、無意識だ。
10/18 21:52
メインアレナ・グラック
道に迷う心配は無かった。ダークドワーフは夜目が利く。
10/18 21:53
メインアレナ・グラック
山野に親しみ、更に火と言う目印もある。道を走っていては追い付けそうになかったので、ちょっとショートカットをしてなんとか辿り着いた。
10/18 21:53
メインアレナ・グラック
「あー……案の定だ」
10/18 21:53
メインアレナ・グラック
「ジルちゃん。戻ろう、ジルちゃん」
10/18 21:54
メインアレナ・グラック
「隊商の人たちには一応、話しておいたし」一言だけだけど。
10/18 21:54
メインジルド・レイザーゲイル
「……うん」 頷きながらも、身体を動かそうとはしない。
10/18 21:54
メインアレナ・グラック
立ち止まっている背中に声を掛ける。拳に込められた力は、外からも読み取れる。
10/18 21:55
メインアレナ・グラック
「……」張り詰めたその背中が、どうにも居心地が悪くて。
10/18 21:56
メインアレナ・グラック
「……ジルちゃんが悪いんじゃないよ。隊商の人たちも」 「失策もない、求められたことをちゃんとやった」
10/18 21:56
メインアレナ・グラック
「この人たちの、身を守る力が足りなかっただけ。仕方ないことだよ」
10/18 21:57
メインジルド・レイザーゲイル
「うん……」 分かってる。分かっている。 アーちゃんの言うことに間違いはない。
10/18 21:57
メインジルド・レイザーゲイル
「それでも……」
10/18 21:57
メインジルド・レイザーゲイル
「それでも……!」
10/18 21:58
メインジルド・レイザーゲイル
憤りは隠せない。怒りを顕わに。握りしめる拳に更に力が入って、ぽたぽたと朱いものが垂れ落ち始める。
10/18 21:59
メインアレナ・グラック
「ジルちゃん……」
10/18 22:00
メインアレナ・グラック
少し不味いことを言ったことには、気付いていない。
10/18 22:00
メインアレナ・グラック
仲間を慰める冒険者の言葉として、夢のない現実として、おかしくないことではあるが
10/18 22:01
メインアレナ・グラック
他人が犠牲になったかもしれない状況で、仕方がないことだった、と言うのは一般的な人族社会構成員の感覚としては無神経に映る。そうした本音を隠す程度のことは、アレナは普段からしていた筈で。
10/18 22:02
メインアレナ・グラック
それが口を突いて出た理由と同じものが、アレナの体を動かした。
10/18 22:04
メインアレナ・グラック
放っておくとそのまま、夜の中に包まれてしまいそうな幼馴染の手に
10/18 22:04
メインアレナ・グラック
手を延ばそうと、して。
10/18 22:05
メインジルド・レイザーゲイル
「そうだね、帰ろう」
10/18 22:05
メインジルド・レイザーゲイル
唐突に面を上げ、踵を返した。
10/18 22:05
メインジルド・レイザーゲイル
触れかけた手が、すれ違う。
10/18 22:05
メインアレナ・グラック
空を切る。
10/18 22:06
メインジルド・レイザーゲイル
アーちゃんの様子には、振る舞いには気が付かないまま、帰路を歩き始める。
10/18 22:07
メインアレナ・グラック
「……うん」
10/18 22:07
メインアレナ・グラック
良かった、と思う。思って良い筈だ。
10/18 22:08
メインアレナ・グラック
一人で先行したジルドが深追いを止めて、こちらの言葉に応じて、戻ることにしてくれた。
10/18 22:09
メインアレナ・グラック
こうする為にここまで追って来たのだから、望んだ通りの結果になっている。
10/18 22:09
メインアレナ・グラック
なのに、少しだけ。今のジルドの目を見ることが
10/18 22:09
メインアレナ・グラック
取れなかった手に再び手を延ばすことが、なんだか恐ろしく感じて。
10/18 22:10
メインアレナ・グラック
背後の残骸に、一瞬だけ意識を向けて……慌てて、帰路へ着くジルドの少し後ろを歩いた。