GM [大浴場]
星が輝く夜
ここはとある町にある大浴場
近場に似たような施設もなく、癒しを求めるならここ一択
多人数で入ると落ち着かないという客層向けに個室風呂まで完備
夜景を楽しめる露天風呂もあります
美容や傷病に効く薬湯を揃えていることで近頃人気です
湯女 [大浴場]
"そういう"サービスも質が高い
GM [大浴場]
君たちはいずれかを求めてここにやってきたのでしょう
また、君たちは当然お分かりでしょうが混浴です
入り口の混浴を示す看板は湯気かなにかで見えづらくなっていますが
混浴は常識ですし特に問題はないはずです!
ギィ [大浴場]
音もなく、戸を引いて
ひとりの影が浴場に入る
ギィ [大浴場]
(無人か。ありがたい)
視認するだけでなく、耳をあちこちに向けてから。
最後にひとつ、頷くように耳を跳ねさせて。
洗い場の方へと歩いて行く。
ギィ [大浴場]
手早く身体を洗っていく。
心地よく感じているというよりは必要だからやっている、といった仕草。
最後に、頭を洗ってから泡を流すべく湯を被る。
ぱっ、と伏せていた耳を跳ねさせ、水気を払うと、湯船へ向かう。
ギィ [大浴場]
「……ふ、ぅ」
小柄な全身を浸けると、思わず声が漏れた。
へにゃり、と力なく耳が垂れる。
ギィ [大浴場]
(長らく……来ていなかったが)
(自覚のないままに……疲れていたのかもしれん)
ギィ [大浴場]
ゆっくりと、目を閉じる。
愛用の二刀の重みがない、というのは些か不安にもなるが。
それでも、己の身の価値の軽さを再認識するには、時にはこうした時間も大切だろう。
ギィ [大浴場]
軽く、湯の中で足を伸ばす。
向こうの端までは到底届かない。当然だ。
ギィ [大浴場]
(────昔は、もっと伸びればいいと)
(そう思っていたのだったか)
ギィ [大浴場]
どうやっても変わらないなら、今に合わせた戦い方を身に着けるべきだ。そう判断したのは、いつのことだったか。
その判断は正しかったのだろう。今の今まで、彼が生き残っているのを見るに。
ギィ [大浴場]
(────だが)
ギィ [大浴場]
瞼の裏で思い返す。
何度教えても、相手の弱点を突き刺すような戦い方ではなく……大振りで振りかぶる、派手な戦い方に拘った弟子のことを。
自分とは違う、身の程を知らぬままに駆けた少女のことを。
ギィ [大浴場]
(……叶うことなら)
どうか、憧ればかりを追い求める……身の程に合わない戦い方を貫く愚も、また正解であったと示してほしい、と。
ギィ [大浴場]
そう、身勝手に願う。
チルド・ヴァナイル [大浴場]
静かな浴場をズシンズシンと歩いてくる少年がいた
ギィ [大浴場]
「……ん」
ぱち、と目を開く
きょろり、と耳が見回すような動きをしてから、遅れて視線が付いてくる
チルド・ヴァナイル [大浴場]
まずはかけ湯を手早く済ませようと頭から桶に入れた湯をかぶって流し
汗を落としてから湯へと
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「!」
「こんばんは!」
一番乗りかと思ったがそうではなかった
それはそれとして元気よく挨拶
ギィ [大浴場]
「こんばんは。……すまないな」
「一番乗りを邪魔してしまったか」冗談めかした口調で
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「少しだけざんねんですがだいじょうぶです!」
正直者のアビスカース
ギィ [大浴場]
「ク。正直だな、それなら安心だ」
「ギィ。……今は、ただのギィだ」
「君は?」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「チルド・ヴァナイルともうします!」
名乗られたならば返さねばならない!
ギィ [大浴場]
「よろしく、チルド」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ボクもはいってもいいですか?」
こういう一言の断りを入れるのが大人
ギィ [大浴場]
「構わない。俺に何の権利がある訳でもなし、好きにするといい」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「はい!」
湯に落ちるようにドボンと入浴
思ったより波紋と音が大きい
ギィ [大浴場]
揺れる水面に、少し顔に水がかかる
「元気がいいな。いいことだ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「~♪」
じんわりと湯が沁み込んできて心地よい
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「あ!顔にかかってしまいましたか!?」
いかん…!
ギィ [大浴場]
「いや。……そうだな」
「掛かりはしたが、気にしてはいない」自分も正直に言うか、と
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「しつれいしました!!」
あわわと頭を下げる
相手が気にしていない事と謝罪は別
ギィ [大浴場]
「いや、いい。……律儀だな」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ごめいわくをかけたら謝らないといけませんから」
孤児院での教え
ギィ [大浴場]
「そうか。いい教えを受けたようだ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「つぎからは気をつけます」
とはいえ何度も謝るのもそれはそれで気分を害する
そこで一旦切ることにした
ギィ [大浴場]
「ああ。それでいい」
しかし……勢いよく飛び込んだ、だけにしては
随分と波が大きかったような、とチルドくんを見やる
チルド・ヴァナイル [大浴場]
改めて湯に身を任せ…ると沈む力の方が強いので
背を縁に預けている
ギィ [大浴場]
「……ふむ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「どうかしましたか?」
視線に気付いた
ギィ [大浴場]
「君は、冒険者だろうか。……それも、見るに」
「随分な手練れに思える」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「はい!1年ちょっと冒険者をしています!」
ギィ [大浴場]
「やはりそうだっ……」
「1年ちょっと」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「はい!」
ギィ [大浴場]
その割には……随分と、感じられる力が強いというか。
(ともすれば、俺よりも……)
ギィ [大浴場]
「……そうか」表情は変わらないまま、耳が直立して固まってからその言葉と共にへにゃりと伏せられる
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ギィさんも冒険者ですよね?」
「すごい力をかんじます!」
ギィ [大浴場]
「ああ。……腕には、それなりに自負はある」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ボクも腕だけはじしんがあります!」
力こぶを作ろうとして出来ていない
ここで言う腕とは腕力のみを指す
ギィ [大浴場]
笑いかけて……いやでもあの腕自分よりはるかに力がありそうだな?と
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「こう、武器をブンっておおきくふりかぶって、ガシャーン!ってします!」
戦闘の説明になると擬音を大量に使っていまいち分かりづらい
ギィ [大浴場]
「ふむ……|戦士《ファイター》かな」
「……チルドは、何歳なのだろう」その様子を見て
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「はい、戦士です」
「15さいになります!」
ただ擬音から察するにいわゆる重戦士らしい
ギィ [大浴場]
「15歳……15歳かぁ……」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
パワーオブパワーで戦うタイプの
ギィ [大浴場]
「……将来が末恐ろしいな」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ギィさんも戦士でしょうか」
なんか凄く避けるタイプの人に見えた
ギィ [大浴場]
弟子も今、そのくらいの歳のはずだ。
……この年代は随分と粒揃いなのだろうか。
ギィ [大浴場]
「ああ。君とは違い、|軽戦士《フェンサー》の方だが」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「そうでしたか!」
「すごいですよね、|軽戦士《フェンサー》のかた」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ビューン!って近づいてビシャーッ!ってしてますから」
たぶん…|致命の一撃狙い《ひっさつこうげきⅢ》のことか…??
ギィ [大浴場]
「そうかな。どんな攻撃にも揺るがず受け止める、重戦士の方が凄いように俺には思えるが」
「まあ、これはないものねだりというものか」
「……以前、軽戦士と共に戦ったことでもあるのか?」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「なんどかあります」
「みんな、フワーッって動いていて…」
自身の重さと戦闘スタイルで真似できないのが凄く見えている
ギィさんが言う通りのないものねだりだ
ギィ [大浴場]
「なるほどな。……とはいえ、自分に向いた戦い方を極める方が確実だ」
「その向き不向きが少し違っていただけで、チルドもきっと凄いと思われている」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「そうでしょうか」
ギィ [大浴場]
「ひとつのことを極めた者は、それが何であれ眩く見えるものだ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「なるほど…」
含蓄が深い言葉だと頷いている
チルド・ヴァナイル [大浴場]
言われてみれば…一緒に依頼をする仲間の人たちは
こう、内面から輝いていた気がするな…
ギィ [大浴場]
自分も思い返し……目を閉じつつ、少しだけ眉をひそめた
ギィ [大浴場]
「……まあ、些か行動に問題のある者もいたが……」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「もんだい、ですか?」
大人というものは会話のトスを上げるものなのだ
ギィ [大浴場]
「ああ。……|射手《シューター》……その中でも|銃手《ガンナー》の者で、二丁を同時に扱う者だったが」
「装填が切れた銃を投げ捨てては新しいものを取り出していてな……」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「銃をなげすてて…」
あぁ。壊れやすいから投げちゃダメだよ!なのかな?
ギィ [大浴場]
「命を預ける武器を軽々しく扱うのはあまり好ましくない。……チルドは、きちんと自分の武器の手入れをしているか?」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「砥石でみがくくらい、でしょうか…」
武器使いが荒い方+詳しくないので消耗が激しくなったら店に頼んでいる
ギィ [大浴場]
「ふむ……」
「……一度、本格的に学んでおくのもいいものだぞ。長く人里を離れた場所に赴くことがあるやもしれん」
「その時に致命的に破損してからでは遅いからな」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「たしかに、依頼中に武器がこわれたら大変ですね」
この位階になってからイグニダイト製の武器を使うようになって
あまり消耗を気にしなくなっていたが…
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「おしえていただきありがとうございます!」
ちょっと調べてみるか!
ギィ [大浴場]
「ああ。それがいい」
「……ここに来ているのも、似たような理由だ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「ギィさんの武器がこわれたんですか」
この流れだと
ギィ [大浴場]
「ああ、いや。武器ではないが」
「身体の方も、面倒を見てやらなければ呆気なく壊れるものだ」
「武器も身体も、常に戦うに過不足ない状態にしておかねばならない。だからこうして、時折羽を伸ばすようにしている」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「なるほど…」
などと言っているがピンと来ていない
15さいは休むとすぐ治り疲れが取れるからだ
ギィ [大浴場]
「……すまないな。チルドも、年寄りになればわかるさ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「そうですか…」
年寄りの自分…どうなっているんだろう
ギィ [大浴場]
「今のうちに、色々と経験しておくといい。……俺はこの歳になっても、やり残したことばかりだ」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「?」
「ギィさんはおいくつなんですか?」
喋り方と雰囲気からボクより年上なのはわかる
ギィ [大浴場]
「ああ。今年で111になるか」
「"三本の剣"、というやつだ」米寿的な
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「111さい!」
おー…!全然分からなかった…!
耳から人間じゃない事は予想がついたけど他種族の年齢わかんない…!
ギィ [大浴場]
「子供のように思われてばかりでな。そうした反応を返してもらえることも少ない」少し満足げに
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「こどもに見られると依頼がうけづらくてすこしたいへんですよね…」
15さいもそんな経験に悩まされた事もあったらしく共感の声
ギィ [大浴場]
「とはいえ、まだ耳を見せれば納得してもらえる分俺は楽な部類かもな」
ふ、と息を吐いて。
チルド・ヴァナイル [大浴場]
耳を見せると子供じゃないと分かってもらいやすいライフハックか…!
いいなー
ギィ [大浴場]
「……さて。俺はそろそろ、上がるとしよう」
ざぱ、と身を浴槽から引き上げる。
ほとんど波は立たなかった。
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「おつかれさまです!」
一足先に上がるギィさんへペコリ
ギィ [大浴場]
「湯あたりしない程度にな。いい夜を、チルド」
チルド・ヴァナイル [大浴場]
「気をつけます!」
「縁があいましたら、また!」
ギィ [大浴場]
「ああ。縁が合えば、また」
と言って、背を向けて
浴場を後にしたのでした
GM [大浴場]
そうして大浴場は健全も不健全も飲み込んで、閉館時間まで稼働したのだった…