おにいちゃんと、普通の日曜日  一、目玉焼きと、朝の抱きつき 日曜の朝、澪は目玉焼きを焦がした。 「……おにいちゃん、事件です」 「焦げただけだろ」 「目玉焼きの白身のふちが、茶色いレースみたいになってます。これはもう料理じゃなくて工芸品」 「言い訳も工芸品みたいに凝らなくていい。ほら、俺のと取り替えな。俺は焦げた方が好きだし」 「ほんと? じゃあお礼に、後ろからぎゅーってしていい?」 「朝から物騒な物が当たっています、とか言い出しそうな流れだな」 「言いません。今日は言いません。……多分」 言いながら、澪は台所に立つ悠真の背中にぴたりとくっついた。Tシャツ越しの体温、洗剤と少しの寝汗の匂い。腕を腰に回すと、悠真が小さく笑って、澪の手の甲をとんとん叩いた。 「澪、ご飯が先」 「分かってます。ご飯も、おにいちゃんも、どっちも先にいただきますって意味で――」 「はいはい、席に着きなさい」 「はーい」 朝食は目玉焼きと、味噌汁と、昨夜の残りの漬物。澪は焦げていない目玉焼きの黄身を割って、白ご飯に乗せて、幸せそうに目を細めた。 「ねえおにいちゃん、今日は本当に何もない日?」 「何もない。買い物行って、洗濯して、夕方はお前のゲームに付き合って、カレー作る。それだけ」 「大好き」 「何が」 「そういう『それだけ』の日。仕事も締切もなくて、おにいちゃんが一日うちに居て、私の隣でご飯食べて、洗濯物畳んでくれる日。……そういう普通の日に、私、夜のこともすごく楽しみになっちゃうんです」 「澪」 「だって一日中ずっと一緒で、ずっと優しくされたら、夜に我慢できなくなるのは当たり前じゃないですか。おにいちゃんのせいです」 「分かった、俺のせい。だから夜まで体力温存な」 「温存します。だから朝は抱きつくだけで我慢します。……あ、やっぱり当たってる」 「お前がくっつくからだろ」 「うれしい」 「変な妹」 「おにいちゃん専用の、変な妹です」 二、洗濯と、スーパーと、負けたら『ご主人様』 洗濯物を畳むのは澪の仕事、干すのは悠真の仕事、という分担だった。澪は悠真のシャツを畳みながら、わざと自分の胸元に当ててみせた。 「大きい」 「当たり前だろ、男物だし」 「おにいちゃんの匂いがする」 「嗅ぐな、畳め」 「嗅ぎながら畳んでます。効率がいいです」 スーパーでは、カレーの材料をカゴに入れながら、いつもの言い合いになった。 「じゃがいも、大きいのと小さいの、どっちがいいと思います?」 「煮崩れしにくいのは小さい方。でも剥くのが楽なのは大きい方」 「じゃあ大きい方。理由は、おにいちゃんの手間が減るからじゃなくて、私が大きいのが好きだからです」 「何の話だ」 「じゃがいもの話ですよ? 何だと思ったんですか、おにいちゃん」 「……カゴに入れなさい」 「はーい。あ、プリンも買っていい? 夜のデザートに」 「夜のデザートはプリンで足りるのか?」 「足りません。プリンは前菜です」 「……何の前菜だ」 「秘密です♡」 帰宅後のゲーム対決は、澪の惨敗だった。負けた方が夜、勝った方を「ご主人様」と呼ぶ――それは先週、澪が自分から言い出した約束だった。 「澪、お前、わざと負けてないか」 「負けてません! 本気でやって、本気で負けました! 悔しい! ……でも約束は約束なので、今夜は、ご主人様って呼びます。ちゃんと呼びます。恥ずかしいけど呼びます」 「無理しなくていいんだぞ」 「無理じゃないです。だって、ちょっと楽しみなんです。普段はおにいちゃんって呼んでるのに、夜だけご主人様って呼ぶの、背徳的で……あ、血は繋がってないから背徳でも何でもないんですけど、気持ちの問題として」 「気持ちの問題、大事だな」 「はい。だから今夜は、私の気持ちの問題に、とことん付き合ってもらいます」 三、カレーの後の、普通じゃない夜 カレーを食べ、プリンを半分こし、風呂に順番に入った。澪が先に出て、悠真のパジャマシャツを勝手に着てソファに座っていた。下は自分のショーツだけ、ボタンは途中までしか留めていない。 「……澪、それは反則だろ」 「何がですか、ご主人様」 「早いな、適用が」 「練習です。……ねえ、こっち来て。隣、座って。今日一日、ずーっと隣にいたのに、まだ隣がいいんです。朝ご飯の時も、洗濯の時も、スーパーでも、ゲームの時も、カレーの時もずっと隣で、こんなに一緒にいたのに、まだ足りないの、おかしいですよね」 「おかしくないだろ。俺もだし」 「ほんと?」 「ほんと。だから――」 悠真が隣に座るより早く、澪がその膝に跨った。小さな体が、悠真の胸にすっぽり収まる。朝と同じ抱きつき方なのに、風呂上がりの肌と、薄いシャツ一枚のせいで、意味が全然違った。 「ちょ、ちょっと…💕おにいちゃん、じゃなくて、ご主人様……硬いの、押し付けないで……って、私が跨ったんですけど。私が跨って、自分で押し付けに行ってますけど……ぁ゛ぁ゛ッ💕」 「自分で分かってるならいいだろ」 「分かってても言わせてください。だって、言いたいんです。ん゛゛💢💕おっきい……ご主人様のちんぽ、もうこんなに硬くて、私の、おまんこのところに、ぐりぐり当たってて……私、まだ触られてもないのに、濡れてきちゃってます。シャツ越しに、分かりますか」 「分かる。熱い」 「んッん💢💕ん゛ほッ💢💕だって一日中ですよ。一日中、おにいちゃんと普通のことをして、普通に笑って、そのたびに夜のこと考えてたんです。私、普通の日が大好きで、普通の日の夜が、いちばん大好きなんです。だから今日は、特別なことは何もいらない。いつものおにいちゃんの、いつものちんぽで、いつもみたいに何度もイかせてほしいんです。ぶッといちんぽでイかされるぅ゛💕💕私、ちんぽ好きです、ご主人様のちんぽ、ちんぽ…💢💕」 悠真の手がシャツの中に滑り込み、素肌の背中を撫で上げた。もう片方の手が澪の尻を掴み、自分の硬さに押し付けるようにゆっくり揺すった。 「あっ、あっ、ん゛ッぉ゛ッ💢💕ん゛ぉ゛💢💕擦れる、ショーツの上から、ご主人様のちんぽの形、そのまま、おまんこに伝わって……私、もう、我慢できないです。脱がせて。ご主人様が脱がせてください。私のシャツも、ショーツも、全部。今日は私、ご主人様にされる側でいたいんです。朝からずっと甘えてた分、夜は全部、ご主人様の好きなようにされたい」 「澪、お前は甘えた分だけ、夜はよく喋るな」 「喋ります。だって喋らないと、気持ちが溢れて死んじゃう。……あっ、シャツ、開けないでボタン外して、一個ずつ……ご主人様が一個ずつ外すの、見てるだけでイキそう……んっ、あ……♡」 ボタンが外れ、乳房が露わになる。悠真の掌が包み、指が乳首をつまんで転がすと、澪は膝の上で跳ねた。 「ん゛あっ💕乳首、いきなり、強く……は、はい、好きです、ご主人様に乳首いじられるの、大好き……私の体、全部、ご主人様の触り方を覚えてて、指が近づいただけで、もう反応しちゃうんです。おまんこ潰されりゅ゛💢💕早く、早くちんぽで潰してほしい。私のおまんこ、ご主人様の形に潰れて、広がって、中までごりゅごりゅされるためにあるんです……!」 ショーツが脚を伝って落ちた。悠真は澪を抱えたまま立ち上がり、そのまま寝室のベッドに下ろした。澪の脚が自然に開き、濡れそぼった性器があらわになった。 「ご主人様、見ないで……って言いたいけど、見てください。私、今日一日ずっと、こうなることを考えて、こんなに濡らして待ってた女です。おにいちゃんの妹で、恋人で、夜はご主人様に犯してもらうのが大好きな、澪です。……早く、入れてください。お願いします」 悠真のちんぽが、入り口を数回なぞってから、ゆっくりと押し入った。太さに膣が押し広げられ、澪の口から崩れた声が漏れた。 「ぉ"ぉ"♡💢お"……おっき、です、ご主人様の、でかちんぽ♡入ってくる、奥、奥まで、私のおまんこ、ご主人様の形に、無理やり広げられて……ん゛ぐっ💕💢あ、あ、あっ、全部入った、奥に当たってる、私のいちばん奥、ご主人様の先っぽで、ぐりゅって押されてます……♡」 「動くぞ」 「動いて、動いてください、強く、もっと強く、私、今日は優しくじゃなくていいんです。いえ、優しいおにいちゃんも大好きですけど、今夜は、ご主人様の日だから、つよつよにしてください。私のおまんこ、壊れるくらい、ごりゅごりゅしてっ゙♡💕」 腰の動きが始まった。抜き差しのたびに濡れた音が響き、澪の乳房が揺れ、その手が悠真の腕に爪を立てた。 「あ"っ💕あ"っ♡💢💕イグ💕ご主人様、すごい、すごいです、ちんぽが、中で、出たり入ったりするたびに、私の頭の中、白くなって……あっ、あっ、奥、奥もっとごりゅごりゅしてっ゙♡💕犯してくださいぃ゙っ゙っ💕💢私、ご主人様に犯されるの大好き、妹なのに、恋人なのに、夜は犯されるのが大好きな、だめな女です、あっ、あっ、あ゛っ💕💢」 「だめじゃない。俺の澪だ」 「ご主人様の、澪です……っ! イグ💕おまんこのナカ♡いぐ💕💕💢💕💢あ゛、あ゛、腰、止まらない、私の腰、自分で動いちゃう、ちんぽに吸い付いて、離したくなくて、勝手に……ん゛ぐっ💢💕まんこ💕💢潰れるっ💕💢イグっ💕💢💕💢💕💢ご主人様のつよつよちんぽで、中出しっ゙♡してくださいぃぃ゙ィ゙♡💕💢私の中、いちばん奥に、ご主人様の、全部、出してください。澪のおまんこは、ご主人様の精子、全部受け止めるためにあります。だから、だから――あ"っ💕あ"っ♡💢💕イグ💕いぐ、いぐ、いっちゃう、本当にいっちゃいます、ご主人様、ご主人様っ、ぉ゛っ、ぉ゛ぉ゛っ――っっ♡💕💢💕💢」 澪の体が大きく弓なりになり、中がきつく、痙攣するように締め付けた。悠真はその最奥に腰を押し付けたまま、澪の名を呼んで射精した。熱い精液が奥に注がれる感触に、澪はもう一度小さく達した。 「……出てる、出てます、ご主人様の、熱いの、私の奥に、どくどく……♡ あは、私、幸せです。朝、目玉焼きを焦がしたとこから始まった、普通の日曜日が、こうやって終わるの、最高に幸せ」 「まだ終わってないだろ。風呂入って、カレーの残り温めて、夜食だ」 「夜食の後は?」 「……澪次第」 「じゃあ、もう一回。今度はおにいちゃんって呼びながらするやつ。ご主人様も好きだけど、やっぱりおにいちゃんが、いちばん好きなので」 「欲張りだな」 「はい。おにいちゃんに育てられたので」 「俺は育ててない」 「甘やかして育てました。自覚してください」 四、月曜の朝も、普通に 月曜の朝、澪は目玉焼きを焦がさなかった。 「見てください、完璧な目玉焼きです」 「成長したな」 「昨夜のご褒美のおかげです。……ねえおにいちゃん、私たちって、外から見たら普通の兄妹で、家の中でも半分くらいは普通の兄妹で、でも夜だけ全然普通じゃなくて、そういうの、どう思います?」 「どうって」 「嫌じゃないですか。面倒じゃないですか。普通の恋人同士みたいに、外でも手をつないだり、できないのに」 「澪。俺は、お前と朝ご飯を食べて、洗濯をして、スーパーに行く、その『普通』が好きで選んでる。その延長に夜があるだけだろ。手は外で繋げなくても、家に帰ればいくらでも繋げる。……足りないか?」 「足ります。足りすぎて、昨夜あんなになりました」 「だろ」 「うん。……じゃあ、今日の夜も、普通の日の夜にしましょう。仕事終わったら、ご飯作って待ってます。デザートのプリンも買ってきます。前菜です」 「前菜か」 「前菜です♡」 澪は完璧な目玉焼きを悠真の皿に乗せて、自分は焦げていない方の――今日は両方とも焦げていない、普通の朝ご飯を、笑いながら食べ始めた。 普通の日は、また普通に始まった。その夜のことも、少しだけ楽しみにしながら。 (了)