☆ハルナと『お兄ちゃん』のハロウィン:2025 『トリック、オア、トリート…』誰もいないはずの部屋に小さく細い声が響く。 心当たりは大いにある。いつも一緒にいるはずの妹分を楽しい祭りに送り込み自分1人喧騒の外に身を置いたためだ。 『トリック、オア、トリート…』月夜に照らされた寝床から巻き取ったと思わしき布、その中から生気のない声が響く。 理由はどうあれ旅を共にする仲間を捨て置いたに等しい、気遣いもすれ違えばただの厄介に過ぎない。 『トリック、オア、トリート…』いつの間にかお化けの子と自分の距離が詰まり、悲しみを帯びた声が突き刺さる。 一時の静寂のあと。布塊の中に菓子包みひとつ、仲睦まじきふたり。「ただいま、ごめんね。」『にぃに…トリート…してくれる?』「…うん」 喧騒の残り香は既に遠く、燐灰石の瞳は緩やかに閉じゆく。 ☆ハルナと『お兄ちゃん』のハロウィン:2026 時は巡って秋深まる夜 旅行く少年少女が秋の夜祭りに飛び入る トリック・オア・トリート 耳と尻尾とフードを着込み トリック・オア・トリート おとぎ話の世界に溶け込む トリック・オア・トリート 狼と少女が仲良く歩き トリック・オア・トリート 籠と籠にお菓子をもらう 夜も更け宴も終わる頃 宿では悪い子待っている トリック・オア・トリート 赤い頭巾で顔隠し トリック・オア・トリート 音なくこっそり魔ッテイル トリック・オア・トリート 隠したお菓子は食べちゃった トリック・オア・トリート 朝までいたずら帰れない