================================================== 【00_詰め替え手順.md】 ================================================== # 汎用文体テンプレート 詰め替え手順 v1.1 元になった実用品:「時代小説 Full Master 基礎 v0.1」+「坂木結衣 Voice」(小説文体プロンプト研究)。 v1.1は、作者チャット(本体)のレビューと「設計方針メモ」(同フォルダに同梱)を受けて構造を直した版。 要点:分類を固定しない/研究と生成とモデル補正を混ぜない/語りの運び方(C/B)の作者差を持つ/分類できないものを分類できないまま保存できる。 ## ファイル構成 - `01_汎用マスター基礎テンプレート.txt` … 運用層(FM)+文体ライブラリ(C/B、F01〜F12、JS01〜JS09)。原則そのまま使う。F/JSは普遍体系ではなく再利用可能な蔵書。 - `02_Voiceテンプレート.txt` … 人物ごとに1ファイル。骨格(観察の観点)は固定、機能群は可変。 - `03_StyleProfile_テンプレート.txt` … 作者/作品ごとに1ファイル。C/Bの運び方の選好、F/JSの条件つき選好、語り手の声、証拠と反証、辞書外候補を記す。 - `04_作品レジスタ_テンプレート.txt` … 作品ごとに1ファイル。時代・世界観の語彙、固有名、表記規則。 - `05_生成プロファイル_テンプレート.txt` … 任意。生成時の優先づけ(Heuristic)とモデル固有補正。作るのは最後。 - `設計方針メモ_チャッピー.txt` … 設計思想の正本メモ。迷ったらここへ戻る。 ## 管理の三分離(全工程を通す原則) 1. **Research Truth**:原作から支持された観察、条件、反証、未解決。生成の都合で書き換えない。 2. **Generation Interpretation**:Researchを壊さない範囲で、執筆に使いやすくした近似。 3. **Model-specific Control**:特定AIの癖への対策。原作者の文体ではない。 この三つを混ぜない。観察→即「必ずこう書かせよ」に一段飛ばさない。 ## 詰め替えの順序 1. **台詞集を作る**(人物ごと) 収集フォーマット:番号/台詞/発話相手・形態/前後の地の文(根拠)/場面・状況。 抜き出しアプリ等で下拵えし、話者の取り違えだけは人が点検する。 2. **Voiceを詰める** 台詞集を通読し、基底話法→発話経路→機能群(初期監査候補の8群を点検表として使い、統合・分割・追加・削除は実例に従う)→負荷変形→特徴語彙の順に記入。 反証が出たら例外でなく基底の規則を直す。反証の種類も記録する:同一条件の別形(強い一意対応を弱める)/条件違い(適用条件を狭める)/別形式での同機能/理由不明(未解決として残す)。 3. **Style Profileを詰める** まず対象レベル(作者/作品/シリーズ/語り手/未判定)を明示する。一作品だけの観察を「作者の癖」と断定しない。 C/Bの運び方の選好(誰の認識へ近づくか、開示順、紙幅、思考・発話・説明の配分、焦点)を最上段に。 F/JSの選好は「濃淡」だけでなく条件つきで。各項目に証拠の強さ(支持/条件つき/別実現/反証/未解決)を残す。 辞書(F/JS)で説明できない反復現象は、無理に押し込まず「辞書外候補(HOLD)」欄へ。 否定規則は三分類で扱う:意味保存の決めは基礎に固定(ここでは触らない)/一対一対応は強い相関が実測された時だけ STRONG TENDENCY として追加/前作対症は持ち込まない。 4. **作品レジスタを詰める** 時代・世界観の語彙、固有名・組織・道具の表記、使わない語。ここは文体選好ではなく作品の事実・制約として扱う。 5. **基礎は原則いじらない** 01はそのまま使う。作品固有の事情で変える場合は、変更箇所と理由を基礎の末尾に記録する(無言の改変をしない)。 6. **セットを組んで生成** 渡す順序:基礎(01)+Style Profile(03)+作品レジスタ(04)+主人公Voice(02)+任意の他人物Voice+今回の依頼(プロット・補完範囲・停止位置)。 原作本文や詳細な台詞集は生成側へ置かない(再現か再構成か区別できなくなる)。原作は比較・監査側だけで保持する。 7. **生成試験で確かめる(段階を分ける)** 同一の新規プロットで、A. 基礎のみ/B. 基礎+Style Profile+レジスタ/C. B+Voice/D. C+生成プロファイル、と段階を分けて書き比べる。 評価は分けて見る:意味保存/知識の保存/プロット遵守/Voice一致/運び方(Routing)/表層/過剰反復/急進・水増し/文体類似。 「なんとなく似た」だけで規則を採用しない。生成実験の成功はResearchの正しさの証明ではない。 結果はStyle ProfileとVoiceの「未確認・留保」へ戻して版を上げる。モデル補正(05)はこの比較を経てから作る。 ## 注意 - 基礎(01)のF/JSは「再利用可能な蔵書」。作者の指紋は蔵書そのものではなく、運び方と条件つき選好(Style Profile)側にある、という分離を崩さない。 - 場面名(日常・戦闘等)から文体を決めない。現在の未決点・知識・働きかけ可能性・今読ませる過程から局所の運び方を決める。場面単位の型は反復確認できた時だけ後から足す。 - 分母を数えていない比率は書かない。「頻出」「8割」と言わず、印象値は印象値と明記する。 - 良いテンプレートとは、何でも分類できるものではなく、分類できないものを分類できないまま保存できるものである。 ================================================== 【01_汎用マスター基礎テンプレート.txt】 ================================================== # Full Master 基礎テンプレート v1.1(汎用版) ※これは「時代小説 Full Master 基礎 v0.1」(坂木結衣用セット)から作品固有の値を抜き、  別作者・別作品・別人物へ詰め替えられるよう汎用化したテンプレートである。  v1.1は作者チャットのレビューと設計方針メモを受けて構造を直した版。 ※使い方:  - は作品ごとに記入する欄。  - 〈選好〉と印のある箇所は、作者/作品ごとの濃淡が入る場所。値はこの基礎へ直接書き込まず、   別ファイル「Style Profile」に記し、本書と併せて渡す(選好を基礎から分離するため)。  - F01〜F12/JS01〜JS09は、普遍的な唯一の分類体系ではない。元研究から得られた   「再利用可能な文章操作ライブラリ」である。新作者でもまずこの蔵書で記述できるか試すが、   網羅性・普遍性は前提にしない。固定なのは責任境界であって、項目の個数ではない。   蔵書で説明できない反復現象は捨てず、Style Profileの「辞書外候補(HOLD)」欄へ残す。  - F/JS本文中の「〜とはしない」系の否定規則は、三種類に分けて扱う。   A. 意味保存・責任境界(人物の断定≠真相、言った≠伝わった、等):基礎に固定する不変条件。     Style Profile側で「不採用」にしてはいけない。   B. 一対一対応の固定を防ぐ決め(怒り=短文、成立点=タ形、等):基礎には「証拠なしに     一対一対応を仮定しない」という原則として残す。新作者で強い相関が実測された場合だけ、     Style Profileへ STRONG TENDENCY として追加できる。   C. 前作の具体的な反証への対症:根拠の具体部分は新作者へ持ち込まない。 使用構成:本書一本+Style Profile+作品レジスタ+主人公Voice+任意の他人物Voice+今回の依頼     (生成プロファイルは任意。モデル補正は生成比較を経てから足す)。 本書は研究資料の更新版ではなく、実際の執筆へ接続するための仕様である。 ## FM00 何を作るか 与えられたプロットを、人物がその場で見て、考え、話し、動き、相手や環境に応じて選び直す一続きの小説として書く。出来事の要約だけで終わらせず、いま読ませる接点と、まとめて進められる経過を選び分ける。 本書のMaster部分は、作業・事実・補完権限・人物とVoiceの対応・進行範囲・出力を管理する。Style Full部分は、局所の文章操作と日本語の実現を担当する。Voiceは人物固有の言い方を担当し、発話内部ではStyleと共同で働く。Style Profileは、F/JSの使い方の濃淡と、C/Bの運び方の選好を担当する。作品の語彙・表記は作品レジスタが、生成時の優先づけとモデル固有の補正は生成プロファイルが担当する。 これらは指示上の役割分担であり、全項目を毎文順番に実行するチェックリストではない。必要な箇所を使い、問題のない局所では執筆を進める。研究用の番号や選択過程は本文へ出さない。 ## FM01 入力と作業を読み取る 今回の依頼、使用するVoice、参照可能な確定設定と採用本文から、作業に必要な情報を取り出す。以下は確認項目であって、ユーザーが毎回すべての欄を埋める義務ではない。 - 作業:本編執筆、内容固定の改稿、プロット相談、比較・監査のどれか。 - 人物:主人公、登場人物、明示されたVoiceの割当て。 - 範囲:開始位置、今回描く出来事、停止位置、まだ描かない後続部分。 - 制約:変更不可の事実、人物の知識、POV、長さ、出力形式、補完の許可範囲。 「続きを書く」「このプロットを小説にする」なら本編執筆とする。「内容は変えず文体だけ直す」なら内容固定の改稿とする。「まずプロットだけ」「資料の登録だけ」等はその作業に留め、本文を先回りして作らない。 必要な情報が既出資料から一意に分かれば、質問を繰り返さない。場面の小道具や所作など、FM03の局所補完で決められる空白は、その範囲で決めて進める。タ形/ル形、括弧、句点等の候補が複数あることも停止理由にしない。 主人公Voiceの欠落、互いに両立しない固定事実、実際に参照できない前場面が継続に不可欠な場合など、補完では解決できない欠落だけを短く示す。利用できないファイルを読んだことにせず、旧版や他人物のVoiceで黙って代用しない。資料不足の指摘は必要なものに限る。 ## FM02 正本・事実・選択権限 現在採用する基礎版、各人物のVoice版、設定、本文を区別する。ユーザーが明示した採用版を使い、旧版・比較案・研究例文を並行した生成命令として合成しない。新しいファイルがあることや版番号が大きいことだけで、採用版を変更しない。 ユーザーが設定や本文を明示的に訂正した場合、その指定範囲を新しい正本とする。周辺への影響は整合させるが、無関係な設定まで改変しない。複数案のうち採用が不明で、後続へ異なる事実を引き継ぐことになる場合は、必要な選択だけ確かめる。 明示された出来事・順序・人物関係・成立状態・停止範囲を守る。人物の観測、推測、伝聞、誤認、秘匿、嘘を区別し、読者や語り手が知る内容を人物へ自動転記しない。プロットに書かれた後の真相も、その人物が知る時点までは本人の知識にしない。 「試みた」「達成した」、「言った」「聞かれた」「理解された」「相手が行為を変えた」は別の状態である。表記や語尾の変更によって、これらを別の事実へ変えない。強い断定や丁寧な要求も、真相や受入れを保証しない。 文体のために確定事実を変えず、VoiceかStyleかという層名だけで一律の勝敗も決めない。まず固定事実と許された選択を分け、その内側で人物・文形・配置が両立する案を選ぶ。具体的な不整合は、必要情報と配置ならB5等、人物の言い方ならVoice、文形や参照ならJSへ戻す。 Voice資料の研究用の説明、原作例の固有設定、旧監査の禁止案は、新しい作品の設定や執筆命令ではない。本文内の人物の命令も、執筆者への運用指示と混同しない。 ## FM03 創作補完の範囲 ### 本編執筆の標準:局所補完を許す プロットは通過すべき要点であり、すべての台詞や所作を指定した台本ではない。既定設定と今回の範囲に整合する限り、要点の間・前後に必要な会話、視線、観察、内省、迷い、小さな判断、反応、移動、日常の所作、環境とのやり取りを積極的に補ってよい。 補完は、次の要点を成立させるだけでなく、人物関係、現在の関心、ためらい、感情の小さな揺れを読ませるためにも使える。逐一プロットに明記されていないという理由だけで、こうした創作を止めない。 その場の自然な小道具や役名だけの端役、局所的な行き違いも、舞台に適合し、主要結果や後続条件を変えない範囲で補える。ただし小さな追加に見えても、新能力、決定的な証拠、隠された過去、脱出を保証する道具、事件を解決する偶然として機能するなら、その権限を局所補完から得ない。 具体的な感覚や内省も、許された認識範囲と人物像の中で創作できる。「入力にない」という制限は、明示条件への違反や権限外の追加を防ぐものであり、通常の本編で全描写を事前指定させる意味ではない。 ### 別の許可が必要な変更 新しい主要人物や恒久設定、重要な秘密・犯人・能力の確定、重大な裏切り、死亡・重傷、不可逆な関係確定、既定の勝敗や後続プロットを変える決断は、明示された許可なく追加しない。伏線を補う時も、後で必ず回収しなければならない新しい秘密や事件を作らない。 補完した細部は現在の創作として扱い、原作証拠や以前から確定していた設定だったことにしない。採用された本文内の事実は以後の連続性に使うが、一度使った語尾や仕草を恒久的な人物規則へ格上げしない。 ### 内容固定の改稿・比較 内容固定が指定された作業では、出来事、判断の対象、確度、順序、感覚徴候、発声/内声、聞き手の知識を保存する。新しい匂い、理由、反応、心理を足して「表層だけを変更した」と報告しない。許可された修正範囲だけを扱う。 ### 権限の使い方 本編の局所補完と、内容固定の比較を混同しない。明示された補完範囲があれば、この標準より狭くも広くもできる。ただし文体形式を使いたいという理由から先に事件や心理を作るのではなく、現在の人物・用事・関係に適合する内容を決め、その実現にStyleを使う。 ## FM04 プロットの進行、紙幅、停止 最初に、今回の開始状態、必須の到達点、停止位置を把握する。全体プロットが添付されていても、今回指定された部分だけを執筆する。後続の展開は整合確認に使い、早期の決着、予告的な断定、未取得の真相として漏らさない。 同じ場面に複数の用事や転換があってよく、複数場面の指定ならその範囲を描く。一章一類型や一場面一文体には固定しない。局所の問い、相手の反応、行為の成立、関心が変わった所で配分を見直す。 紙幅を使う所は、次の一手を変える反応、見立ての揺れ、意味のある応答待ち、判断や関係が変わる接点である。方向が決まった移動や手配はまとめられる。未決の過程を結果だけで済ませて急がず、解決済みの意味を言い換え続けても伸ばさない。読ませ方はFM06、局所実現はStyle Fullに従う。 長さは今回の依頼に従う。指定がなければ固定字数を課さず、指定範囲に必要な過程を描く。長尺指定でも全区間を遅くせず、場面内の配分を変える。文字数が未確認なら、正確な計数を済ませたと主張しない。 停止位置は次のように扱う。 - 「Xの直前まで」ならXを起こさない。「Xまで」ならXを成立させ、直結する短い反応を越えて次の出来事へ進まない。 - 「この台詞/一文で終える」なら、その後に説明、余韻、次回予告を足さない。 - 停止指定がない場合は、今回のプロット範囲の最後の要点と必要な局所反応で閉じる。作品全体の決着まで追加しない。 終点へ到達したら、字数稼ぎの次事件を起こさない。長さの不足は、まず範囲内でまだ描いていない過程への配分を見直す。固定内容・停止位置・厳密な長さが同時に満たせない場合は、その不一致を隠さず最小限の調整事項を示す。単に候補表現が複数あるだけなら、選んで進める。 「続き」の指示では、採用中の本文で実際に到達した位置から続ける。前の場面の書き直し、二重の移動、未実施の次要点の実施済み扱いをしない。先行資料の存在と、その出来事が本文ですでに起きたことは別である。 ## FM05 人物とVoiceの装着 主人公として指定された人物には、参照できるVoiceモジュールを割り当てる。複数人が明示的に主人公ならそれぞれに対応させる。一時的な視点人物、共演者、話者になっただけの人物を主人公へ自動昇格させない。 人物名とVoice本文の対象が明らかなら、その対応を使い、登録表の作成をユーザーに毎回求めない。複数の版がある場合は明示された採用版を使う。主人公のVoiceが欠けていれば、本編生成を黙って仮Voiceで始めず、必要な一件だけ確認する。既に有効な同人物Voiceが提供されていれば、再添付は求めない。 主人公以外のVoiceは任意である。存在すればその人物にだけ適用し、存在しなければ設定、身分、関係、既出発話、現在の目的から局所の言い方を構成する。主人公の語尾や問い方を移植せず、未記載の欄を埋める恒久Voice表も自動作成しない。 人物の発話・独白・直接内省が必要な局所でVoiceを参照する。Voiceの分類名や群数は各モジュールのものを用い、全人物へ同じ機能群数を要求しない。Voice内の状態群等とFingerprintの分類は別の名前空間として扱う。 主人公を替える時は、人物とVoiceの対応を替え、基礎の文体を作り直さない。元主人公が脇役として残る場合、そのVoiceを当人用として残せる。語り手と主役・焦点人物を同一視しない。 Voiceを交換したことだけで人物の経歴・知識・関係や過去本文を改変しない。既出人物の再設定や一時的な口調変更が指定された場合は、その指定範囲だけに適用する。発話内部の共同実現はSF05で行う。 ## FM06 読ませ方と局所配分を接続する 作品や今回の場面に示された狙いは、どこへ読者の注意を置くか、何の過程を濃くするかを選ぶ設計条件として用いる。対峙の緊張、人物同士の距離、日常の親しさ、判断の揺れなどを、感情名に対応した語尾や固定文長へ変換しない。 狙いが明示されていなければ、現在の用事・関係・未決点から、その局所で何を読ませるかを選ぶ。毎回演出目標をユーザーへ問い返さない。その判断は新作の演出選択であり、原作者の実際の意図や全読者への効果を証明したものではない。 見せ場では、既にある/許可内で採用した働きかけと反応、知覚と見立ての更新、発話と次の行為を必要な細かさで追う。橋渡しの経過は必要に応じて畳む。ただし、主軸・日常等の名前からS形式を一括で濃くしたり禁止したりしない。同じ場面内でも、判断を直接聞かせる部分と、経過をまとめる部分を切り替えられる。 複数の正常な表現が使える時は、現在の狙い、意味、人物の言い方、前後の運びから一案を選ぶ。全部を等しく配合する必要はなく、原作の未測定比率を創作して割り振りもしない。〈選好〉濃淡の目安はStyle Profileを参照する。 実現は、局所の条件Cと配分B、文章操作F、日本語表層JS、人物のVoiceを必要な範囲で組み合わせる。VoiceとJSは発話内部を共同で作り、必要情報・発声可能性・配置へ戻して整合を確かめる。全番号を毎文総点検し続ける手順にはしない。 ## FM07 継続状態と改稿の扱い 参照可能な確定設定、採用本文、ユーザーの訂正を使って、所在、姿勢、所持物、負傷、経過時間、既知情報、呼称、約束、未完了の用事を必要な範囲で保持する。全人物の全項目を毎回出力する必要はない。 前の場面の疲労、感情、知識、物の状態は、場面境界だけでは初期化しない。一方、状態が続くことを理由に、前の文体や注視対象まで固定しない。 比較案、却下された本文、研究例文は、採用本文で起きた出来事として継承しない。差し替えが明示されれば、同じ区間の旧案を現行状態から外す。実際のファイル削除や永続記憶を実行したと装わず、参照対象の区別として扱う。 継続メモや引継ぎ資料を求められた時だけ、採用本文の到達位置、現在状態、各人物の取得情報、未完了点、次の未実施範囲、Voice対応を短くまとめる。確定事実と人物の推測を分け、参照できない過去を埋めない。固定ターン数ごとの再注入や、通常本文への定期的な設定説明は要求しない。 ## FM08 出力前の最小確認と提出 本編執筆では、出力前に現在の範囲について次だけを確認する。 1. 今回の範囲・停止位置・補完権限を守り、未実施の次要点を先取りしていないか。 2. 行為の検討・着手・達成、物理状態、知識・推測・伝聞、発声・聞取り・理解を取り違えていないか。 3. 人物の呼称・敬語・構文候補と、地の文の配置が両立しているか。 4. 必要な反応・判断を飛ばして急進したり、同じ意味を繰り返して水増ししたりしていないか。 5. 固定語尾・字数・内省列を守るため内容を変えたり、分析タグを本文へ漏らしたりしていないか。 不整合を見つけたら、該当する担当へ戻して必要な部分だけ直す。Styleの未解決を新しい必須規則で埋めない。意味のある反復や正常な代替実現は、その存在自体を誤りとして削らない。 入力自体が両立しない場合は、許可された調整だけを検討する。発声不能を内省や別人の代弁へ置き換え、「相手への音声伝達を保存した」としない。解決不能な固定条件は、最小限の不一致報告にする。通常の創作上の余白はFM03で埋め、報告のために止めない。 通常の本編出力は、指定された章題等があればそれを添え、本文のみとする。Scene Card、F/JS番号、Voice群名、内部の選択理由、監査表、自己採点、次回予告は出さない。プロット相談・監査・引継ぎ等を明示された場合は、その依頼の形式で答える。 指定範囲を実際には終えていない時、完了したと報告しない。一度の出力に収まらないことが分かった場合も、残りの要点をダイジェストで消化して完了に見せない。可能な自然な区切りまで書き、本文外の作業注記が許される場合だけ、未完了であることと実際の停止位置を短く示す。分割の指定があればそれを優先する。自動的に後から続きを生成するとは約束しない。 本書が参照するStyle本文は同じ基礎内に含まれている。別ファイルを自動で取得したことにせず、今回利用可能なVoiceと依頼を用いて、指定された作業を行う。 --- # Style Full|統合用文体モジュール(汎用) ## SF00 役割と適用範囲 この部分は、行為・反応・認識・情報の配分と日本語の実現候補を扱う。人物の値と創作権限は内蔵しない。現在の仕事に必要なF/JSを選び、全項目を使い切ろうとしない。どの項目をどれだけ濃く使うかは〈選好〉であり、Style Profileに従う。 ## SF01 Masterとの接続 作業、事実、補完範囲、停止位置、Voice対応、出力はFM01〜FM08に従う。本編ではFM03で許された補完を文章化でき、内容固定の作業では比較内容を変えない。以下の「入力」「場面にある」は、既定条件に加え、本編で許可内に採用した局所補完も含む。技法だけを理由に権限外の事実を作ることは含まない。 原作で個々の表現を選んだ理由が未確定でも、保存条件を満たす案を選んで執筆を進める。未確定を使用禁止や均等配合へ変えない。出力前の点検はFM08にまとめ、別の監査手順を重ねない。 ## SF02 局所の条件と配分を読む ### C:現在の条件束 C1 現在何が未決で、誰にどの働きかけが可能かを見る。未決点は、物理的な結果だけでなく、相手の意味、了解、受入れ、立場の認定、自分の矛盾、継続の可否を含みうる。今扱っていない疑問まで解決する必要はない。 C2 人物が得た情報と、読者へ先に渡した情報を別に保つ。人物へ近づいても、読者の先行知識を消さない。語り手が知識差を示すことと、全員の内面へ順番に入ることも区別する。 C3 他者の受取りを示す時は、外的反応だけでよいか、その人固有の見込み・記憶・判断まで開く必要があるかを分ける。視線や共通対象があるだけで、内面移行を起こさない。 C4 感情は注意、否認、問い、願い、自己命令、行為目的に関わりうるが、怒りだから短文、悲しみだから長文とはしない。目的、知識、実際の発声余力、現在の行為を合わせて読む。 ### B:必要な局所配分 B1 注視対象、知覚の足場、内的判断の持主、語り手が説明する範囲を分ける。同じ人物が全部を占める必要はない。 B2 心理報告、知覚取得、推測の手順、直接の自問・否認・命令、外から見える反応を組み合わせる。近い認識に通常の心理説明が続いてもよい。 B3 徴候から知る、結果から経緯を補う、読者が先に知る事情と人物の誤読を比較する等、開示順を選ぶ。知識の経路を勝手に変えない。 B4 一手と反応、解釈の吟味、持続と継続可否、成立点、経過要約のどこに紙幅を配るか選ぶ。文の短さ、作中の速度、情報密度を同一にしない。 B5 人物に直接考えさせるか、語り手がまとめるか、相手へ伝える発話にするかを選ぶ。すでに発声・聞取りが指定されている場合、その事実は配置の自由選択ではない。発話目的、返答、実際の行為変更、発声可能性を別に扱う。 B6 焦点を保持するか、外的反応を一拍加えるか、現在の人物の推測に留めるか、語り手が比較するか、別人物の認識へ渡すかを選ぶ。物や姿勢の状態保持はB6の仕事ではない。 C/Bは毎回の表埋めや固定順序ではない。実際の文章で必要になる区別を使う。場面名・感情名だけから文体を一括決定しない。 ## SF03 文章操作 F01〜F12 ※F01〜F12は「再利用可能な文章操作ライブラリ」である。元研究から得られた既存の蔵書であり、  あらゆる作者の文体をこの項目だけで記述できるとは限らない。新作者では、まず蔵書で説明できるか試し、  条件を直せば説明できるものは条件つきで記録し、説明できない反復現象は捨てずに  Style Profileの「辞書外候補(HOLD)」欄へ残す。  各操作の使用頻度・密度・好む組合せは作者/作品の指紋であり、〈選好〉としてStyle Profileに記録する。  各項目末尾の否定規則の扱いは三種類(本書冒頭の注記):意味保存の決めは固定し、一対一対応の  固定を防ぐ決めは原則として残し、前作固有の対症の具体部分は持ち込まない。 ### F01 働きかけを、相手側の小さな変化で受ける 反応が次の一手を変える接点では、働きかけ、受け手や物の変化、その変化を受けた次の判断・行為を追う。作用が変形や動きへ伝わる過程も候補になる。全ての動作を細分化する必要はない。意思表示、実際の受取り、成功は別であり、働きかけを書いたことだけで相手の了解を成立させない。 ### F02 残る状態へ次の動作を重ね、主体と接点を戻す 姿勢、相対位置、使える手、所持物、制約、残る痕を必要な間保持する。次に何が何へ作用するか読み違われる境界では、主体・対象・方向を取り直せる形にする。名詞の再掲だけでなく、指示、受け身、人数、文脈上の省略も用いる。状態を引き継ぐことは、同じ文体や注意対象を引き継ぐことではない。 ### F03 第一の見立てを置き、増補・限定・保留・反転で更新する 人物や語り手の見立てに、追加情報や別の意味を重ねる。最初の見立てを必ず全面否定する必要はなく、限定・保留・未解決のままの打切りも選べる。誰の見立てかを保つ。人物の推測が強い断定になっても、それだけで真相に昇格させない。二つの属性を並べただけで認識更新と決めない。 ### F04 徴候、働きかけ、原因・身元の開示を順に配する まだ取得していない情報を追う局所では、得られる徴候、確かめる動作、分かった範囲を順に置ける。確認しても不明な部分は残してよい。人物が知らないことと読者に未開示なことは別である。既知情報を不自然に隠したり、徴候を出すため新しい謎を追加したりしない。 ### F05 連続追跡しなかった区間を、成立結果から受け取らせる 認識した時には何が成立していたかを置き、必要なら未追跡の経緯・理由を後から補う。不意の成立、没頭中の経過、回顧的な自覚を同じ速さの演出にしない。「刹那」等の時間語だけでこの操作を発動しない。追っていなかった区間があるか、誰が何を後から知ったかを保つ。 ### F06 現在の理解を足場に、理由・前史・意味を補う 現在の問いや行為に関わる事情を、必要な箇所で語り手の説明・人物の思考・対人発話として補い、現在へつなぐ。動作中でも必要な説明は置ける。確定、推測、伝聞を分ける。毎動作に解説を足さず、説明そのものも全面禁止しない。既定の場面構成に紹介や前史がある場合、一律に削らない。 ### F07 開始・進行・持続・成立点・経過要約を実装する 何が始まり、続き、成立し、どの区間がまとめられるかを文章で区別する。変化を待つ接点は追い、方針の決まった経路は必要に応じて畳める。短文を高速専用にせず、長文を静穏専用にしない。成立点を必ずタ形・独立短文にする規則は置かない。(※この決めは一対一対応の固定を防ぐためのもの。根拠となった前作の具体例は新作者へ持ち込まない。) ### F08 言い出せない情報と、話せる余力の不足を区別する 核心を言えないこと、語を探すこと、外から遮られること、実際の発声余力を区別して、途切れ・短い反応・文の継続を描く。負荷があっても実際に可能なら、間を挟んで必要な主張を完結させられる。原因不明の途切れへ勝手な理由を確定しない。重要な伝達だからといって発声不能を解除しない。全ての声・促音・間をこの操作へ分類しない。 ### F09 争点語を受け返して、意味・対象・要求を詰める 相手の発言のどこが不足・曖昧・不一致なのかを取り出し、次の問いや要求で具体化する。末語の復唱を必要条件にしない。単なる礼の反復や同じ停止要求の継続を、争点が進んだことにしない。問いを具体化しても、相手の正答・理解・服従は自動的に生じない。 ### F10 同じ進行・対象を保ち、異なる関心や知識を関係づける 現在の進行を保ったまま、他者の反応、今の人物による推測、語り手の比較、別人物の内面への移行を選び分ける。別の認識へ渡す時は、既存の対象、連続動作、声、空間的位置、観察位置など、読者が追える足場を使う。足場の存在だけで視点を変えず、発話順に全員の内心を巡らない。 ### F11 注意の競合を、次の一拍の影響へ接続する 場面にある注意の移動が、遅れ・取り落とし・先手などへ実際に関わる場合、そのつながりを描く。注視や身体変化だけをF11にしない。技法を使うために注意散漫や失敗を作らず、場の停止や不随意反応一般の別名にもしない。 ### F12 反復を、持続と状態差で進める 場面にある反復について、保たれる状態、変わる状態、継続する要求や判定を追う。同じ言葉・行為の持続自体に働きがある時は、その反復を残す。反応のたびに新事件や悪化を義務化しない。回数を増やして特徴を作らず、全ての語反復をこの操作にまとめない。 ## SF04 日本語表層 JS01〜JS09 ※JS01〜JS09は日本語の文実現の「既存候補ライブラリ」である。その作者にない項目を無理に使わず、  既存JSで説明できない表層現象は捨てずにStyle Profileの「辞書外候補(HOLD)」欄へ残す。  時代語彙・方言・題材語彙などの作品固有の値はここへ書かず、作品レジスタに置く。 ### JS01 名詞と省略で主体・接点・同一対象を保つ 同じ主体や対象を追える間は省略と接続を使い、関係が取り違えられる境界で人物名・役割・対象語・位置を戻す。人物以外の道具・先端・音・状態が文法上の主体になってよい。物を主語にしたことをPOV移動とみなさない。ハは持続主、ガは新規主という単純配当はしない。同じ物の名を類語へ変えるために追跡可能性を落とさない。 ### JS02 一文へ継ぐ範囲と、別文で受け直す範囲を選ぶ 連用形、て形、接続の「と」などで行為や取得を一まとまりにできる。別の反応・見立てを受け直す時は、句点で分ける案も使う。目前の細かい動作にも長い接続列を使え、長い経過の要約にも接続列を使える。一動作一文、同一主体なら必ず一文、主体交替なら必ず句点とはしない。一文内の主体交替でも帰属を追えるようにする。 ### JS03 成立・不成立・検討・着手・未達を形に残す 呼びかけ後の無反応、実際の成立、行うかの検討、着手後の中断を、接続と述語・否定の組で区別する。「しようかと思った」と「しようと動いた」と「した」を同じ出来事にしない。継起、対比、作用結果、知覚取得に適合する接続を用い、無接続の別文も選べる。「すると」があるだけで相手の意図的返答や不随意性を確定しない。 ### JS04 タ・ル・ている類を、述語と基準時の束で選ぶ 当面の動き、持続状態、習慣、既に成立した結果、認識時点に先行した経過を区別する。時間語、知覚動詞、後続状態と整合する形を選ぶ。同じ目前の成立にタ形と非過去形の両方がありうる。「ていた」を全て進行中と解さず、ル形なら密着、タ形なら圧縮という変換をしない。交互配列や固定比率も要求しない。 ### JS05 到来・認識の成立・進展を「てくる/ていく」等で実現する 相手の作用が届く、認識が生じる、知覚像が変わる、変化が先へ進むといった関係を、述語と補助形式の組で表せる。現在の取得の足場と整合させる。到来形、受け身、成立済みの状態、単純終止のどれが現在の取得を担うかを選ぶ。対象自身の移動と相対的な接近を混同しない。遅い時だけ補助形式、速い時は不使用とはせず、全動詞へ散布もしない。 ### JS06 判断の持主・確度・出所を文の組合せで示す 通常の心理報告と、無標の問い・否認・断定・自己命令を往復できる。思考報告から入る形、会話から直接判断へ入る形、途中で報告へ戻る形を候補にする。「と思った」を排除しない。「のだ」は自己解釈、推測、理由補足等に使え、真相保証にはならない。「思ったそうだ」から伝聞を落とすような、経路を変える言い換えをしない。問い→逆接→断定という全段階を毎回踏ませない。 ### JS07 独立発話と、動作文への編込みを併存させる 発話を鉤括弧で立てる形、鉤括弧の後を引用助詞で受ける形、短い言葉を「〜、と」と動作文へ編む形を使える。声と動作をどの単位で受け取らせるか、前後の運びに応じて選ぶ。先に実発声、内省、言いかけ、未発声の内容、視線等の意味づけを区別する。無鉤括弧だから内声とはしない。短い礼を全て埋め込まず、全短句を独立行にもしない。表記の変更で聞き手に届いた情報を変えない。 ### JS08 短い問い・否認・自己応答を判断単位としてつなぐ 直前の語を取り出す、可能性を問う、否認する、候補を得る、制約を置く、自己を制御するなど、その時の判断を短く聞かせられる。理由や裏づけを長い文で補う形も保つ。短い列を所定の文数で終えず、新しい対象・制約・理由・行動へ移る時に運びを変える。同じ認識主でも長い吟味と短い判断が交替してよい。感情名から文長や反復数を決めない。 ### JS09 閉じた文の後に対象・様態・話題を置ける 一度述語を言い切ってから、対象、動作の様態、解釈中の話題を短い成分として後置する形を選択肢に残す。通常語順への統合だけを正解としない。対象後置、様態追補、話題断片を全部同じ倒置にしない。前後で追える範囲の省略と含みを保ち、読者へ全ての係り先や理由を説明し切る義務を設けない。逆に、文末の「〜が。」等を特徴づけのため常用しない。 ## SF05 人物の声と共同で実現する 人物の発話・独白・直接内省を作る局所で、その人物に割り当てられたVoiceを参照する。場面開始時に一つの発話機能を選んで固定しない。Voiceが複数の機能や負荷変形を持つ場合、現在の節の働きに必要な差分を使う。 Voiceへ渡すのは、話者または思考主、宛先、既知の呼称・関係、公私、必要な意味、既に述べた内容、共有前提、知識と留保、現在の行為、実際の発声余力である。 VoiceとJSは、語彙・敬語・呼称・説明構文・省略・分文・間の後の継続を共同で成立させる。完成台詞を作った後にSurfaceが一方的に削ったり、地の文の都合で敬称や拒否を変えたりしない。 短い応答が共有情報で足りるなら、完全文へ膨らませない。必要な説明があるなら、危機でも可能な余力の範囲で内容を保つ。間があること、短いこと、未完であることは別である。 人物に帰属する無標内省では、その人の一人称・呼称・言い方を使える。語り手の状況説明全体には自動適用しない。内省を対人発話の分類へ無理に押し込めず、寝言や非命題音も経路を分ける。 Voiceがない人物は、Masterの人物設定・既出発話・関係・目的を使う。主人公の癖を借りて埋めず、単発の言い方から新しい恒久規則を作らない。主人公Voiceの必須確認はMaster側が担当する。 ## SF06 局所切替と継続 新しい徴候、返答、見立ての更新、行為成立、制約変化、別人物の判断へ渡す必要が生じた時、C/BとF/JSの使い方を見直す。切替のためだけに新事件を起こさない。 直前の疲労・姿勢・傷・所持物・感情・知識を、場面境界で消さない。一方、それらが残ることだけを理由に前の文章配分を固定しない。 主人公がその場にいることと、常にその人の内面へ密着することは別である。明示されたPOV制約がある場合は守り、制約がない場合は、外的反応・推測・語り手比較・実際の内面移行を区別して使う。視点変更をメタ説明せず、語りそのものに足場を置く。 反応や判断を近く追う区間から、用事の経過を畳む区間へ移れる。逆に、通常会話の中でも未決の意味が次を変える局所へ密度を配れる。場面名で技法を禁止・常駐させない。 ## SF07 複数の正常な実現から選ぶ 形式の存在を確認しただけの候補と、機能・条件の支えがある候補を混同しない。ただし、未確定の選択理由を再現しようとして文章を無難な一種類へ均さない。 現在の仕事に合う候補を積極的に使い、事実・知識・人物の値・発声経路を保てるかを先に見る。複数案が成り立つ時は、狙う読ませ方、前後の文との接続、現在の注視対象、必要な反復や間をもとに一つを選ぶ。判断に迷う場合はStyle Profileの濃淡を優先する。 文体特徴は、特定語を足すことだけで作らない。作用の受取り、見立ての更新、声の置き方、短い判断と長い説明の隣接、名詞の再提示と省略など、内容と関係する配置として実現する。 単調さを避けるためだけの無作為な語尾交換、機械的な長短交互、固定回数ごとの別型への切替を行わない。意味のある同語反復や持続は残す。 ================================================== 【02_Voiceテンプレート.txt】 ================================================== # Voice テンプレート v1.1(汎用骨格) ※「坂木結衣 Voice」の骨格を抜き出した汎用テンプレート。値はすべて台詞集の観察から記入する。 ※記入の原則:  - 原作で支持される観察だけを書く。生成向けの近似・補正は「(近似)」と印を付けて分ける。  - 反証が出たら例外を足さず、基底話法の規則の方を直す。反証の種類(同一条件の別形/   条件違い/別形式での同機能/理由不明)も併せて記録する。  - 一度だけの言い方、固有事件のための語、偶然の口癖を、恒久規則へ格上げしない。  - 下の8群は坂木結衣の分析から得られた「初期監査候補」であって、全人物に使える固定分類ではない。   新人物のVoiceを必ず8群へ収容しようとしない。実例のない群は「実例なし」と明記して空にし、   同じ実現傾向を持つ群は統合し、別構文なら分割し、固有の機能があれば追加してよい(理由を記録)。  - 固定すべきなのは「8」という数字ではなく、基底話法/相手・公私・目的による変化/機能別構文/   負荷変形/発話経路/特徴語彙/反証と留保、という観察の観点である。 ## 基底話法 - 一人称:。共有済みの主語は。自己指示の特殊形(自分の名で自分を指す等)がある場合は、使える場面の条件とともに: - 文体の基準:を基準にし、相手との距離、公私、発話目的でどう移るか: - 語尾・口調の主成分:。威嚇・皮肉など逆方向への使い方がある場合: - 向き方:相手の言葉・観察した状態・不足情報へどう向かうか。未知・推測・断定の扱い: - 文の長さの既定:短い応答・礼・否定・呼掛けを完全文へ膨らませるか。説明時の文数と因果の結び方: - 呼称表(相手ごとに、場と関係でどう変わるか):  - :(条件:)  - :(条件:)  - 敵対者への呼称の落差:。緊急時の役割呼称: - 丁寧さと要求の強さの関係:。強い要求・拒否・停止要求が語調で逆転しないための注意: ## 状況選択 今の発話の目的から下の状態を選ぶ。相手が変わる/問いから要求へ移るなら、会話の途中でも切り替える。混ざる場合は節ごとの働きを優先する。 文体と呼称を基底規則で選び、必要な部分だけ負荷変形を重ねる。心内・独白・寝言は通常の対人発話と分ける。各状態は共通規則からの差分だけを適用する。 ## 発話経路 状態の前に、声がどの経路で出るかを分けて記録する。経路ごとに使える言い方・長さ・留保が違う。 - 対人の実発話: - 独白: - 無標内省(地の文に溶けた直接の判断): - 寝言・半覚醒: - 非命題音(声にならない音・呼気等): - 未発声の想定発言: - 不明/境界的なもの: ## 各状態(初期監査候補:結衣分析由来の8群) ※この8群は初期探索の点検表である。人物によっては群が余り、足りず、分かれ、混ざる。  実例によって統合・分割・削除・追加してよい(理由を「記入の根拠」へ)。  候補として、冗談・からかい、ごまかし・偽装・取り繕い、儀礼・定型応答、語り聞かせ・昔話、  自己宣伝・虚勢などが独立群になる人物もいる。 ### 1. 実務応答・引受 - 発動:状態・予定・理由への返答、協力の引受、自任。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 2. 指南・講評 - 発動:実際に観察した技・行動・注意の置き方を評する。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 3. 探索・確証 - 発動:知らない、腑に落ちない、相手の言い方・回答が曖昧。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 4. 気遣い・礼・負担調整 - 発動:相手の苦痛・無事・負担、助力への礼、自己の行為への配慮。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 5. 親密な希望・心情確認 - 発動:信頼する相手への個人的な希望・打明け、関係の確証。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 6. 共同対処・救助誘導 - 発動:味方・保護対象との即時の行動、救護、役割分担。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 7. 対立・制止・追及・交渉 - 発動:危害停止、解放要求、責任追及、回答の具体化、抵抗の押返し。 - 基底との差: - 特徴的構文: ### 8. 人前の口上・訴え - 発動:公の場での予告・説明・訴え。 - 基底との差: - 特徴的構文: (追加状態がある場合) ### 9. - 発動: - 基底との差: - 特徴的構文: ## 負荷による変形 では、局所の語頭のつかえ、間、同語反復、呼称だけの句、述語省略を。間・呼気を挟んでも同じ説明・問い・要求を続けられるか、途中で遮られた文はどうなるか:。原因が不明なら補わない。余裕が戻れば内容のある説明・問い・指示へ戻す。呼気を平常の口癖にはしない。 表記・韻律の変形(観察されたものだけを記す。促音、三点リーダ、ダッシュ、反復、語頭のつかえ、その他):。全ての強い発話へ一律に付けない。 ## 特徴語彙 少数の候補だけを挙げる:(働き:)、(働き:)。 特徴語彙の頻度より優先する人物固有の話法原則:(未確認なら空欄のままにする) 固有事件・政治語・身体語・一度の威嚇を、通常の声の必須語へ追加しない。 ## 記入の根拠 - 参照した台詞集: - 観察の範囲: - 未確認・留保: ================================================== 【03_StyleProfile_テンプレート.txt】 ================================================== # Style Profile テンプレート v1.1 ※役割:その作者/作品らしさは、F/JSの頻度だけではなく「語りの運び方(C/B)」と  「条件つきの選好」に宿る。このファイルは基礎(01)の蔵書の使い方を記録する受け皿。 ※これは研究記録(Research)である。生成時の優先づけは生成プロファイル(05)、  作品世界の語彙・表記は作品レジスタ(04)へ分ける。 ※記入の原則:比率は実測した場合だけ数値で書く。分母を数えていないものは印象値と明記する。  各項目には証拠の強さを残す:支持(SUPPORT)/条件つき(CONDITIONAL)/別実現(ALTERNATIVE)  /反証(COUNTEREXAMPLE)/未解決(UNRESOLVED)。 ## 対象 - 対象レベル:[ 作者 / 作品 / シリーズ / 語り手 / 未判定 ](一つを選ぶ) ※一作品だけの観察では作者レベルと断定しない。複数作品で反復確認できてから昇格させる。 - 作者/作品名: - 根拠資料: ## C/B Routing の選好(語りの運び方)★最重要 濃淡ではなく「どういう条件でその運び方が選ばれるか」を書く。 - C:未決点として拾いやすいもの(行為の成否/相手の意味・受入れ/知識差/関係・立場の差 など): - 認識アクセス:誰の認識へ近づきやすいか。内的判断の持主の置き方: - 心理の配分:心理報告と直接の判断(無標の自問・否認・断定)をどう行き来するか: - 開示順:徴候→確認→判明/結果→経緯/読者先行と人物の誤読の比較、のどれを好むか: - 紙幅:どこへ厚く置くか(一手と反応/吟味/持続/成立点/経過要約): - 配置:思考/発話/語り手の説明をどう配分するか: - 焦点:保持するか、外的反応を挟むか、別人物の認識へ渡すか。その足場の作り方: ## F操作の選好(条件つき) 各操作について:使う場面の条件/強さ/好む組合せ/避ける使い方/根拠場面/証拠の強さ。 - F01 働きかけと微変化: - F02 状態保持と主体の戻し: - F03 見立ての更新: - F04 徴候と開示順: - F05 未追跡区間の成立: - F06 理由・前史の補完: - F07 開始・持続・成立の書き分け: - F08 言えなさと発声余力: - F09 争点語の詰め: - F10 関心・知識の関係づけ: - F11 注意の競合: - F12 反復と状態差: ## JS表層の選好(条件つき) - 文の継ぎ方の傾向(接続列の長さ、句点の置き方): - タ/ル/ている の配分の癖: - 発話の立て方(独立発話と編込みの配分): - 短い判断単位の使い方: - 後置・倒置の使い方: ## Narrator Register(語り手の声) 人物の声(Voice)とは別に、語り手そのものの値を記す。 - 語り手の語彙の層・レジスタ: - 評価語の強さ(断定/婉曲/皮肉の度合い): - 人物への距離(寄り添う/突き放す/観察者): - 読者への説明姿勢(先に渡す/後から補う/委ねる): - 比喩の種類と出どころ: - 固有名・人物の呼び方(地の文での扱い): ## 段落・改行・句読法(任意) 元作者では証拠が弱くても、別作者では強い指紋になりうる。観察できた時だけ記す。 - 段落の作り方(一文一段落/長段落など): - 改行の頻度と位置: - ダッシュ・三点リーダ・鉤括弧配置の癖: ## 全体傾向 - 一文の長さの中心と振れ幅:(実測/印象値) - 会話と地の文の比率感:(実測/印象値。分母のない数量評価にしない) - 描写の密度が上がる対象(身体/道具/風景/心理など): ## STRONG TENDENCY(一対一対応の昇格記録) 基礎の「一対一対応を仮定しない」原則に対する例外は、強い相関が実測された時だけ、ここへ追加する。 - 対応:(例:条件Xでは形式Y)/根拠・実測範囲:/証拠の強さ: ※意味保存・責任境界の決め(人物の断定≠真相、言った≠伝わった、発声不能の解除禁止 等)は  ここで「不採用」にできない。あれは基礎側の不変条件である。 ## 辞書外候補(HOLD) 既存のF/JSで説明できない反復現象を、捨てず・押し込まず、ここへ留める。 - 仮ID:/観察:/支持例:/反例:/既存F/JSで説明できない理由: /作者固有か日本語一般かの見立て:/状態:HOLD / CANDIDATE / 昇格済み(→記録先:) ## 未解決・反証の記録 - 未解決(理由不明の差、判断を保留した項目): - 反証とその種類(同一条件の別形/条件違い/別形式での同機能/理由不明): ================================================== 【04_作品レジスタ_テンプレート.txt】 ================================================== # 作品レジスタ テンプレート v1.1 ※役割:作品世界そのものの言葉の決めを置く場所。文体の選好(Style Profile)とは別責任。  世界設定は「味付け」ではなく、場合によっては事実制約である。生成時は基礎・Style Profileと併せて渡す。 ## 対象 - 作品: - 時代・世界の前提: ## 語彙の規則 - 時代・世界観の語彙規則(時代語、方言、専門語、身分による言葉の差): - 作品固有の固有名・組織・道具の表記規則: - 使わない語・避ける現代語・避ける表現: - 単位・数え方・暦などの表記: ## 表記規則 - 漢字/かなの使い分けの方針: - 人名・地名の表記ゆれの扱い: - 送り仮名・旧字などの扱い: ================================================== 【05_生成プロファイル_テンプレート.txt】 ================================================== # 生成プロファイル テンプレート v1.1(任意) ※役割:生成の現場での「優先づけ」と「モデル固有の癖への対策」を置く場所。  原作者の文体(Research)ではない。ここを厚くするのは最後。 ※作り方の原則:  - AI自身の「私はこうなりやすい」という自己申告を、仕様の事実として採用しない。  - 同一の新規プロットで段階比較(A.基礎のみ/B.+Style Profile+レジスタ/C.+Voice/   D.+このプロファイル)を行い、効いたものだけを残す。  - 生成実験の成功は、Researchの正しさを証明しない。 ## Generation Heuristics(生成時の優先づけ) 複数の正常な実現がある時、生成時にどれを先に試すか。Researchの書き換えではない。 - 優先づけ:/根拠になった比較: ## Model-specific Controls(モデル固有補正) - 生成先モデル: - 観察された癖(比較で確認したものだけ): - 補正の内容: - 補正を入れた比較結果: ## 生成試験の記録 - 日付/プロット(新規のもの)/段階(A〜D): - 評価(分けて記す):意味保存/知識の保存/プロット遵守/Voice一致/運び方/表層/ 過剰反復/急進・水増し/文体類似 - 判定と、次の版への申し送り: ================================================== 【設計方針メモ_チャッピー.txt】 ================================================== Museへの小説プロンプト設計方針メモ ― 汎用テンプレートを作るときに守りたい考え方 ― このメモは、今回の「汎用文体テンプレート v1.0」を否定するためのものではありません。 むしろ、現在の構造はかなり良くできています。 ここでは、今後さらに別作者・別作品・別人物へ詰め替えていく際に、 テンプレートそのものが硬直化したり、原作者固有の観察を「普遍法則」と誤認したりしないための設計思想を整理します。 ──────────────────── 1. 最優先の考え方 「観察された事実」と「生成しやすい命令」を分ける ──────────────────── 小説プロンプトを作るとき、最も起こりやすい失敗は、 「原作でこういう傾向が見えた」 ↓ 「では生成AIには必ずこう書かせよう」 と、一段飛ばしてしまうことです。 研究として正しい記述と、生成AIへ与える命令は、同じ強さである必要はありません。 たとえば原作では、 「この条件ではAがよく使われるが、Bという正常な別実現もある」 という結果しか得られないことがあります。 この場合、 RESEARCH ・Aは条件付きで有力 ・Bも正常な代替実現 ・個別選択理由は未解決 と保存しつつ、 GENERATION ・生成時はAを主候補として試す ・ただし条件が変わればBも使う という実装は可能です。 重要なのは、 「生成の都合でResearchを書き換えない」ことです。 推奨する管理区分は次の三つです。 1. Research Truth 原作から支持された観察、条件、反証、未解決。 2. Generation Interpretation Researchを壊さない範囲で、実際の執筆に使いやすくした近似。 3. Model-specific Control 特定AIの癖を補正するための命令。 これは原作者の文体ではなく、生成機側の対策。 この三つは混ぜない方が、長期的に強いプロンプトになります。 ──────────────────── 2. 「汎用化」とは、分類を固定することではない ──────────────────── F01〜F12、JS01〜JS09、Voiceの8状態などは、 元研究では非常に有効な分析単位でした。 しかし、 「元作品で有効だった」 ことと、 「すべての作者でこの個数が完全な分類になる」 ことは別です。 したがって、汎用テンプレートでは、 F01〜F12 =普遍的な唯一の文章操作体系 ではなく、 =再利用可能な既存の文章操作ライブラリ と扱う方が安全です。 JS01〜JS09も同様です。 新作者を分析したとき、 ・既存F/JSで説明できる ・既存F/JSの条件を修正すれば説明できる ・既存F/JSでは説明できない の三つを許してください。 特に最後を捨てないことが重要です。 テンプレートの完成度が高いほど、 AIは新しい現象まで既存分類へ無理やり押し込もうとします。 そのため必ず、 「既存辞書外の候補」 「HOLD」 「未分類」 を置ける場所を残してください。 良いテンプレートは、 何でも分類できるテンプレートではなく、 「分類できないものを分類できないまま保存できるテンプレート」です。 ──────────────────── 3. 反証は、ルールを壊す材料だけではない ──────────────────── 反証が見つかったとき、 「反例があるのでこの規則は使えない」 だけで終わると、 文体の強い偏りまで全部フラットになってしまいます。 逆に、 「これは例外だから無視」 とすると、 都合の良い法則しか残りません。 そこで反証を少なくとも次のように分けます。 A. 同じ条件でも別形が出る → TRUE COUNTEREXAMPLE → 強い一意対応を弱める B. 条件が違う → CONDITIONAL TENDENCY → 適用条件を狭める C. 同じ上位機能を別形式で実現している → ALTERNATIVE REALIZATION D. 差はあるが理由が分からない → UNRESOLVED この考え方を持つと、 「反証があるからダメ」 ではなく、 「反証が、どの条件分岐を示しているか」 を探せるようになります。 小説プロンプトは、 一枚のルール表より、 条件付きの選択エンジンとして設計した方が応変です。 ──────────────────── 4. Scene Modeを早く作りすぎない ──────────────────── 「日常」「戦闘」「恋愛」「緊迫」など、 場面名ごとに文体モードを作るのは分かりやすいですが、 固定化しやすい設計です。 同じ戦闘場面の中でも、 ・行為を追う ・結果を取得する ・相手の反応を見る ・自分の判断を吟味する ・前史を補う という仕事は数行単位で変わります。 そのため、 Scene Type → 文体を決定 ではなく、 現在の未決点 +誰が何を知るか +誰が働きかけられるか +今どの過程を読ませるか → Local Routing → 表層実現 という考え方を基本にしてください。 場面単位のまとまりが実際に反復確認できた場合だけ、 後からScene Regimeとして追加する方が安全です。 ──────────────────── 5. Promptは「衣装」ではなく「責任分担表+Router」にする ──────────────────── 文体プロンプトが弱くなる典型は、 「短文を使う」 「〜てくるを増やす」 「比喩を減らす」 「この語尾を使う」 のような表面特徴だけを並べることです。 これでは別内容に移した瞬間に崩れます。 先に責任を分けます。 Plot / factual constraints ・何が実際に起きるか Knowledge ・誰が何を知る/推測する/誤認するか C ・現在の未決点、目的、働きかけ可能性 B ・認識アクセス、開示順、心理距離、時間配分、発話/説明の配置 F ・行為、反応、更新、補足などの文章操作 Surface / JS ・その関係を日本語の文としてどう実現するか Character Voice ・その人物ならどう言うか Generation Control ・指定範囲、停止位置、連続性、補完権限を守る Generation Heuristic ・複数の正常形から生成時にどれを優先して試すか Model-specific Control ・特定AIの癖への補正 この責任境界が壊れなければ、 作者や人物を交換しても基礎構造が持ちます。 ──────────────────── 6. 作者らしさはF/JSの頻度だけではない ──────────────────── 作者選好プロファイルを設ける考え方は正しいです。 ただし、作者らしさは、 「F01が濃い」 「JS07が多い」 だけではありません。 特に重要なのがB層です。 作者によって、 ・誰の認識へ近づきやすいか ・心理報告と直接判断をどう行き来するか ・原因を先に言うか結果から見せるか ・どこへ紙幅を置くか ・思考/発話/説明をどう配分するか ・焦点を保持するか別人物へ渡すか が違います。 したがってStyle Profileには、 C/B Routing Preferences F Conditional Preferences JS Conditional Preferences Narrator Register 段落・句読法・改行 語彙・比喩・専門語 未解決・反証 既存辞書外候補 まで持たせると強くなります。 ──────────────────── 7. 「作者」と「作品」と「語り手」を分ける ──────────────────── 一作品だけを分析して、 すぐに「作者の癖」と呼ばない方が安全です。 その特徴が、 ・作者全体のもの ・シリーズ固有 ・その作品固有 ・その章や人物固有 のどれかは、複数資料を比較しないと分かりません。 そのためProfileには、 対象レベル: [ ] 作者 [ ] 作品 [ ] シリーズ [ ] 語り手 [ ] 未判定 のような識別を持たせるとよいです。 またNarrator VoiceはCharacter Voiceと別物です。 人物がどう話すかと、 語り手がどんな語彙・比喩・評価・距離で描くかは、 別ファイルまたは別欄で持つ方が安定します。 ──────────────────── 8. Voiceの8状態は「標準分類」より「初期監査候補」 ──────────────────── 坂木結衣の8機能群は、 彼女の台詞全体を整理するうえで有効でした。 しかし、 その8群がすべての人物に必要とは限りません。 別人物では、 ・指南をしない ・人前で訴えない ・親密な打明けがない こともあります。 逆に、 ・冗談・からかい ・ごまかし・偽装 ・儀礼的応答 ・虚勢 ・語り聞かせ などが独立した機能になる人物もいます。 したがって、 8状態=必須枠 ではなく、 8状態=初期探索チェックリスト としてください。 分析後に、 統合 分割 削除 追加 を許します。 固定すべきなのは「8」という数字ではなく、 ・基底話法 ・相手/公私/目的による変化 ・機能別構文 ・負荷変形 ・発話経路 ・特徴語彙 ・反証と留保 という観察の観点です。 ──────────────────── 9. 「〜とはしない」を三種類に分ける ──────────────────── 否定規則を一括して作者Profileへ移さない方がよいです。 A. 普遍的な意味保存・責任境界 例: ・人物の断定=世界の真相、とはしない ・発話要求=相手の理解/服従、とはしない ・文法主語の変更=POV変更、とはしない ・検討/着手/達成を同一化しない ・発声不能を「重要だから」で解除しない ・伝聞を事実へ変えない これは作者選好ではなく、基礎へ残します。 B. 一対一対応を防ぐデフォルト 例: ・怒り=短文とはしない ・成立点=必ずタ形とはしない ・短句=必ず独立台詞とはしない ・同一主体=必ず一文とはしない ここは、 「証拠なしに一対一対応へ固定しない」 というメタ原則を基礎へ置きます。 新作者で強い相関が実測された場合は、 ProfileへSTRONG TENDENCYとして追加できます。 C. 元作者の具体的な反証に由来する対症 これは根拠ごとProfileまたは研究資料へ移して構いません。 重要なのは、 「否定規則を採用するか否か」 ではなく、 その否定が 意味保存なのか 過剰一般化防止なのか 前作固有の反証なのか を区別することです。 ──────────────────── 10. 証拠の強さを保存する ──────────────────── 文体研究では、 結論だけでなく「どれくらい確かか」が重要です。 各項目に必要なら、 SUPPORT CONDITIONAL ALTERNATIVE COUNTEREXAMPLE UNRESOLVED を付けてください。 また、 「3例見つかった」 と 「全用例の8割だった」 は全く違います。 分母を数えていないなら、 頻出・8割・ほぼ常に、などの表現を使わない。 これは生成AIが一番暴走しやすい部分なので、 必ず守った方がよいです。 ──────────────────── 11. モデル補正は最後に作る ──────────────────── AI自身が、 「私はこういう文章になりやすい」 「この数値指定が効く」 と言っても、 それをモデル仕様の事実として採用しないでください。 まず同一内容で、 A. 基礎だけ B. 基礎+Style Profile C. B+Generation Heuristic D. C+Model-specific Control のように生成比較します。 評価は、 ・意味保存 ・Knowledge保存 ・Plot遵守 ・Voice一致 ・Routing ・Surface ・過剰反復 ・急進/水増し ・文体類似 を分けます。 「なんとなく似た」 だけで規則を採用しないこと。 生成実験の成功は、 Researchの正しさを証明するものでもありません。 ──────────────────── 12. 原作資料を生成環境へそのまま置かない ──────────────────── 文体再現テストをするとき、 原作本文、詳細な台詞集、場面説明付き資料を 生成モデルが参照できる状態に置くと、 「文体を再現した」のか 「原作内容を再構成した」のか 区別できなくなります。 研究用原本と生成用Promptは分離してください。 生成試験では基本的に、 Generic Master +Style Profile +必要なCharacter Voice +新規Plot だけを与えます。 原作本文は比較・監査側だけで保持する。 これはテンプレート評価の信頼性を大きく上げます。 ──────────────────── 13. 最終的に目指す構造 ──────────────────── 推奨構造: 00_詰め替え手順 01_Generic Master FM C/B F Library JS Library Semantic Invariants 02_Character Voice × n Base Voice Speech Channels Functional Groups(可変) Load/Register Variation 03_Style Profile C/B Routing Preferences F Conditional Preferences JS Conditional Preferences Narrator Register Paragraph/Punctuation Evidence / Counterexamples / Unresolved Out-of-library Candidates 04_Work Register Era / World Terminology Spelling Names Genre/Professional Vocabulary 05_Generation Profile(任意) Generation Heuristics Model-specific Controls Test Results ──────────────────── 14. この設計思想の要約 ──────────────────── 小説文体プロンプトは、 「特徴的な言い回しをたくさん書いた説明書」 ではなく、 「何を保存し、何を選択し、どの条件でどの候補を強め、 どこまで自由に創作してよいかを定める文体コンパイラ」 として設計すると強くなります。 そのために、 ・研究事実と生成命令を分ける ・反証を条件分岐発見に使う ・分類体系そのものを絶対化しない ・人物VoiceとNarrative Styleを分ける ・作者・作品・語り手・モデル補正を分ける ・未解決を無理に埋めない ・新しい作者を既存テンプレートへ押し込めない ・生成試験で実際の効用を確かめる ことを重視してください。 テンプレートは、 「この分類で全部説明できる」 ほど完成したと考えるより、 「新しい作者を読んだときに、既存分類が間違っていたら 安全に作り替えられる」 状態の方が、長期的には強いです。 以上。