機動六課にある取調室の一室
そこでは異様な空気が漂っていた
　00「…………」
　　「…………（ｶｼｬ...ｶｼｬ...）」
アツェレイは取り調べ相手の対面に座り無言で威圧している
その恰好はどこぞの刑事を思わせる恰好で何故か大きめのサングラスをかけていた
そして口には葉巻を加えている
まるで刑事ドラマでも見ているかの様だった
そしてエリオも同じ様に刑事の様なスーツを着て壁に設置されたブラインドをずらす
ちなみにこの取調室には窓は無い為このブラインドは完全な小道具である
　　「ねぇ？いい加減にしてくれないかしら？」
取り調べ対象の金華猫は呆れながらアツェレイに告げた
　00「お前は今重要な容疑者になっている、それを忘れるな」

エリオと霊と本職と＜苛烈な取り調べ＞

　　「いくら私が猫のキメラでもレンカを猫にするなんてやると思いますぅ？
　　　というか猫のキメラであって第三者を猫にする様な技術はありませんのよ？」
今朝方アツェレイが目を覚ますとレンカには猫耳と尻尾が生えていた
そして人語を喋らず「にゃあ」としか言わずにいる
まるで猫そのものという事で容疑者に上がったのが猫のキメラである金華猫だったのだが
　　「確かに金華猫にはそんな技術は持ってないと思うよ
　　　魔法は得意でも誰かを猫にするなんて」
エリオもそろそろアツェレイに意見を申し始めた
ここまで来てアツェレイも不発であると認識してきたので
　00「はぁ…仕方ない…お前の事は釈放してやるか」
　　「じゃあ小道具は片付けないとね（ｶﾞﾗｶﾞﾗ）」
アツェレイは立ち上がりエリオは小道具であるブラインドを片付ける
一方の金華猫は
　　「私そろそろあなた達に対して本気でキレていいかしら？」
理不尽な言い分で容疑者扱いされた事に怒っていた

昨日のぞろ目
>無題Nameとしあき 25/10/02(木)01:26:34No.18742877+
>ぞろ目だったらユーノとエリオとトーマをトリプルギロチンコ！
ラスレス
>無題Nameとしあき 25/10/02(木)01:30:30No.18742887+
>ラスレスならヴィータの衣装がセクシーランジェリーになる

目が覚めてレンカをすぐにシャマルやクアットロに診せている
何かの病気かそれとも別の何かなのか
だが診察した上で出された結論は一切の異常は見られないというものだった
耳と尻尾が生えている以外は至って健康、何の問題もなし
それは逆に手詰まりであると言える
　00「何かしら問題が見つかった方が対処が出来るってもんだが…」
　　「身体的に異常は見られない…という事は別の方面で見た方がいいかも」
　00「どういう事だ？」
　　「身体的ではなく精神的…内面…もしくはスピリチュアル的な部分かもしれない
　　　だからそういう方面はミッドチルダよりも専門家がいる世界があるじゃないか」
エリオの提案にアツェレイはようやく合点がいった
　00「そういう事か…確かに今は頼るしかないよな」
　　「そうと決まればレンカや娘達を、それにルージュさんも一緒に」
　00「そうだな…行くか」
　　「フロニャルドへ」

　　「――――なるほど、事情はよく分かったでござるよ勇者殿、アツェレイ殿」
エリオ達一行はフロニャルドの風月庵を訪れていた
中では座布団に座った封魔の剣士であるヒナ・マキシマの姿が
対面するエリオとアツェレイ
アツェレイの膝の上には猫になったレンカが気持ちよさそうに眠っている
ちなみにエリオの娘達は風月庵の庭でオンミツ隊の動物たちと戯れていた
　　「結論から言うと、レンカには霊が憑りついているでござる」
その言葉に2人は驚きを隠せない
　00「やっぱり…封魔の剣士には分かるものなのか？」
　　「そうでござるな…ただ安心してほしいでござるよ
　　　憑りついている霊は悪霊ではござらん、それは保証するでござる」
ヒナはアツェレイの膝の上で眠るレンカを見る
そこにはどこか慈しむ様な表情があった
　　「害は無いがこのままという訳にいかぬし霊を払うでござるよ」
そう言ってヒナは庭に出て準備を始めたのだった

ヒナは風月庵の庭で焚火を始めた
周辺から枯れた枝などを集めそれに火を点けると静かに音を立てて燃えていく
　　「アツェレイ殿、この焚火の前に立ってもらえるか？
　　　レンカを抱っこしたままで構わぬ」
　00「あぁ、分かった」
未だ安らかな寝息を立てて眠るレンカを抱っこしたアツェレイが焚火の前に立つ
その様子をエリオの娘達は心配そうに見つめていた
ただし誰も騒ぎ立てたりバタバタしていないのはさすがエリオの娘達と言えるだろう
今はただ妹であるレンカの心配をする優しい姉達だった
　　「…………封魔の剣士ダルキアン、此度霊を呼び出し候
　　　我が言葉が通るならその魂を呼び起こしたまえ」
ヒナが静かに詠唱するとレンカの身体が淡い光を放ち始める
周りの者達は言葉を発する事なくただ黙って事の成り行きを見届けていた
やがてレンカの身体から光が浮かび上がり完全にレンカの身体から分離したのだ
　00「これがレンカに憑りついた…霊？」

　「ん…………ふわ……あれ？お兄ちゃん？（ｸｼｸｼ）」
眠そうに目を擦りながら目の前にいる兄に気付くレンカ
だがそんなアツェレイは目の前に浮かぶ霊を見ていた
その視線に気づいたレンカも視線をそちらに向けると
　「あ……」
空に浮かんでいた霊、それはレンカや娘達が助けたあの子猫だったのだ
子猫の霊は不思議そうな様子で周囲をキョロキョロ見渡している
　「そなたの魂はこうして自由となった
　　そなたの想いは確かに届いたでござる、もう…いいのでござる」
レンカもエリオの娘達も
これには驚きを隠せず固まっていた
だが次の瞬間信じられない事が起こったのである
　《――――ありがとう》
あの子猫の声が聞こえてきたのだ
直接声を発したのではなくまるで心に響く様に

　　《助けてくれてありがとう》
それはとても穏やかだった、穏やかで純粋だった
　　《一緒にいてくれてありがとう》
ただ伝えたかった感謝の言葉、感謝の気持ち
　　《優しくしてくれてありがとう》
子猫の霊はたくさんの感謝の言葉を伝えるとゆっくりと空に浮かんでいく
　　「あ……」
　00「ほら、レンカ」
　　「バイバイ……バイバーイ！（ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ!）」
アツェレイに抱きかかえられながらレンカは必死に手を振る
よく見るとエリオの娘達も全員子猫の霊に手を振っていた
次第に子猫の霊の姿が薄れていきやがて消える
その頃にはレンカの目には涙が浮かんでいた
　　「レンカ、拙者はレンカにお礼を言わなければならないでござる」
ヒナはレンカのもとへと近付いてくるとレンカの目線まで屈みそう告げる

　「拙者はこれまで多くの魔物を封印してきた
　　その中には憑りつかれて命を落とした存在も多い
　　その魂は皆苦悩や後悔などを残しながら旅立っていったのでござる
　　でもレンカ達は違う…あの子猫は最後にレンカ達に会えて感謝して旅立ったのでござる
　　満足して、思い残す事はないとして旅立っていった…
　　拙者には出来ない事をレンカ達はやってくれた事に感謝するでござるよ、ありがとう」
レンカはその言葉を聞きながら手で目を覆っている
涙を拭っているのか泣いてる顔を見せたくないのか
　「レンカに憑りついたのも感謝の念が強かった事で起きた事
　　それだけあの子猫に好かれていたのでござるな
　　君達6人にはその優しい気持ちをいつまでも忘れないでいてほしいでござる」
こうして一連の騒動は幕を閉じた
子猫の最期が救われた事でレンカ達も少しは気持ちが軽くなった事だろう

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